暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

3人が出稽古にやって来ました!

2019年03月09日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 玄関先の紅梅 (唐華彫花瓶・・・井上良斎造)


3月4日(月)の昼過ぎ、チャイムが鳴りました。
ちょうど炭を熾していた時だったのでツレに出てもらうと、
「N先生社中の者です。
 今日は出稽古に参りました。よろしくお願いします」
という元気な声が聞こえ、「出稽古」と言う言葉がとても新鮮でした。

「出稽古」といえばお相撲さん。
他所の相撲部屋へ出向いて稽古をすることを「出稽古」といいますが、大好きな大相撲の3月場所が明日(10日)から始まります。


  秋の春草廬・・・「三溪園・春のクロスロード茶会」の濃茶席です
  (前の大きな石は東大寺の伽藍石(がらんせき)だった・・・と思う)

「三溪園・春のクロスロード茶会」濃茶席・春草廬には、恩師・N先生の愛弟子3人(O氏、T氏、Iさん)に応援を頼みました。
それで、2回目の暁庵への「出稽古」にやって来たのです。
本番さながらにカッコいい袴姿のO氏とT氏、素敵な着物をお召しのIさん、その着物姿から熱い御心がヒシヒシと感じられて、一生懸命お教えしなければ・・・気持ちが引き締まります。
こちらも本番とほぼ同じ道具揃えで稽古に臨みました。

それから、暁庵社中のN氏に助っ人(?)をお願いしました。
男性2人の点前や所作を一緒に見てもらうためですが、先ずはN氏に模範の濃茶点前をして頂きました。
所作や間合いなどを客席に入ってじっくり見てもらい、N氏の点てた濃茶を味わって頂きました。

続いてO氏とT氏の濃茶点前です。
台目出炉・点前座の座り方、袴の捌き方、茶杓の清め方、柄杓の持ち方など、いろいろ注意が飛び、「出稽古」の良さと厳しさを味わったことでしょう。
全員がどの役でも出来る様にと、水屋や案内をお願いしているIさんにも濃茶点前を稽古してもらったので、びっくりしたかも・・・です。



点前も大事なのですが、一番大事なのはお客さまに美味しい濃茶を差し上げ、楽しんで頂くことです。
お互いに点てた濃茶を飲みあい、練り加減、濃さ、味、量、温度などを評価してもらいました。
暁庵も相伴しましたが、熱くよく練れていて美味しかったです・・・。
O氏、T氏、Iさんの一生懸命な姿勢が素晴らしく、心の中でただもう感激しましたが、
「まだまだ稽古不足です」などと申しました。
茶会までの短い間ですが、自分自身の点前や所作など「茶道点前の三要素」を磨く良い機会と捉えて稽古に精進してほしいと願っています。

たくさんの回数を積み重ねることで、きっときっと身に着く何かがあると思いますので・・・。

「出稽古」や「クロスロード茶会」を通じていろいろな経験をして、今までと一味違うものを体得してくださると嬉しいです・・・。


     暁庵の裏千家茶道教室   前へ    次へ    トップへ


再び・・・お茶のご縁ってステキ!

2019年03月07日 | 暁庵の裏千家茶道教室

  (床に雪柳、白椿、蕗の薹(我が家産)をいけました)

ある日の午後、電話がありました。

それは福井県にお住いのF氏からで、
「出張で今、東京にいます。明日ご都合がよろしかったら、横浜のお宅へお寄りしたいのですが・・・」
「Fさん・・・よく覚えていますよ。午前中にお稽古があるのでどうぞ見学にいらしてください。」

F氏との最初の出逢いは京都・灑雪庵でした。
当ブログが100万頁に達した記念茶会「京都の春を惜しむ茶会」(2014年4月29日)を催した際に福井県から参加してくださったのです。
横浜へ戻ってすぐの2015年6月20日に再び暁庵を訪ねてくださいましたが、それから早や4年近くが経っていました。
でも、忘れずに電話してくださったのがとても嬉しく
「よくぞ思い出して電話してくださいましたね。
 Iさんがいらっしゃいますが、見学と薄茶一服を楽しんでください」


    待合の「春水」の色紙    森下隆子作

その日はIさんの稽古が入っていました。
Iさんは12月に入門された方です。
仕事の都合で月1回しか来れませんが、熱心に通って来てくださっています。
その日は初めて炭手前をして頂き、丸卓で薄茶点前の予定です。
午後からクロスロード茶会の打ち合わせがあったので、社中Fさんに早目に来てもらい総勢4人になりました。


    立ち雛香合・・・香は「梅ヶ香(松栄堂)」です

「左利きなので炭が上手に持てず、炭手前は苦手です・・・」と言っていましたが、
暁庵から見ると、違和感なく上手に炭を持てていました。
きっと陰で人知れず努力を重ねていることでしょう・・・でも、それが嬉しいしステキです。


    半泥子の茶碗で・・・F氏の薄茶点前

Iさんの薄茶点前が終わり、時間があったのでF氏に薄茶点前をお願いしました。
「三溪園・春のクロスロード茶会」に向けてN氏からお預かりしている茶碗をお見せし、その中の一碗(半泥子を選びました)で点てて頂きました。
姿勢よく基本をきちんと身に着けられたお点前は気持ち良く、拝見する暁庵も背が伸びる思いで見守ります。
「もう少しゆっくり・・・」
「はい!」
皆、F氏の薄茶を半泥子の茶碗で飲みたかったので3服点てて頂き、最後に御自服して頂きました。


     「のりこぼし」  (石井製)

点前中いろいろお話が弾みましたが、一番印象に残っているのはF氏から伺った福井県小浜市・神宮寺の「お水送り」のお話でした。
お菓子に「のりこぼし」(旭区都岡・石井製)をお出ししたので、東大寺二月堂の「お水取り」のお籠りやお香水のこと、小浜市神宮寺の「お水送り」の行事に皆で想いを馳せました。

Fさん、ステキなご縁をありがとう! またお茶飲みにいらしてくださいね。  


「お水送り」(「ええやん!若狭の國」より抜粋)
 3月12日に奈良東大寺二月堂で行われる「お水取り」に先がけて、毎年3月2日に行われる小浜市神宮寺の「お水送り」は、奈良と若狭が昔から深い関係にあったことを物語る歴史的な行事です。
 奈良東大寺二月堂のお水取り(修ニ会の「お香水」汲み)は全国にも有名な春を告げる行事ですが、その「お香水」は、若狭鵜の瀬から10日間かけて奈良東大寺二月堂「若狭井」に届くといわれています。

 「お水送り」は午前11時、下根来八幡宮で営まれる山八神事から行事はスタート。神宮寺僧と神人がカシの葉に息を吹きかけ、手を交差させて後ろに投げます。これは、体内に宿った悪霊を振り払うためです。それから赤土をお神酒で練ったものをご祈祷してからなめて、残り土で柱に「山」と「八」の字を書き込みます。

 午後1時からは神宮寺境内において弓打神事。紫の装束に身を包んだ氏子代表が古式にのっとり、30メートルほど離れた的に向けて弓を放ちます。
 午後5時半ごろ、白装束の僧がホラ貝を吹きながら山門をくぐり入場します。
 午後6時からお堂で修二会を営み、「だったん」の行へ。7メートルもあろうかと思われる巨大松明を「エイッ、エイッ」とのかけ声とともに振り回します。
 いよいよ大護摩に火がともされると、炎が水面に燃え広がったようになります。住職が送水文を読み上げ、邪気払いをし、香水を遠敷川に流す。香水は10日後、奈良東大寺の「お水取り」で汲み上げられます。



    暁庵の裏千家茶道教室   前へ    次へ    トップへ