暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

茶室の起し絵

2010年02月21日 | 美術館・博物館
1月に訪ねた五島美術館で茶室の起し絵が展示されていました。

起し絵とは、茶室の絵図面などに用いられたものです。
切り抜いて垂直に立てることで
部屋が立体的に再現されるようになっています。
平面図より実際に近い感じで茶室をイメージすることが出来ました。

覘き込んで、
「にじり口は? 床は? 茶道口は? 点前座は?
 炉は? 窓は? 点前座の窓は?・・・」

客になったり、亭主になったり、面白かったです。
つい夢中になって、のしかかるように見ていたので
警備の方に注意を受けました。
「ガラスケースに手をつかないでください」
「すみません。気をつけます・・・」

千利休の待庵、それから不審庵、今日庵、官休庵、
織田有楽斎の如庵、古田織部や金森宗和の茶室、
小堀遠州の四畳半板入、尾形光琳の三畳半などなど。

特に古田織部作・茶室の、二つの起し絵に興味を持ちました。
一つは、宗貞囲です。
台目床のある二畳台目向切ですが、
点前座と客座の間に二枚襖がありました。
亭主は客から見えない点前座で茶を点て、
襖を開けて客に茶を出していたようです。

もう一つは、一畳半の茶室です。
台目床(巾三尺四寸)のある一畳半向切ですが、
点前座の勝手付きに巾四寸の板タタミが
入っていて点前座が広くなっています。

一応、見取り図はメモしてみたけれど
「えーと、茶道口は? 逆勝手向切かしら?
 この床と炉の間にある板は何?
 ここに確か柱があったような?」
全く??の状態です。

最後に、千宗旦作の不審庵。
三畳台目出炉、一度は座ってみたい茶室です。
「伯庵茶碗」で触れた、高橋箒庵が移築した
嬉森庵(きしんあん)は不審庵の写しだそうです。

点前座の勝手付きに巾四寸の板タタミがあって
点前座の巾が広くなっています。
それは、茶道口が風炉先の方に開き襖(釣襖)になっていて
道具を運び出す時にターンするためです。
昔は襖を引いていましたが、
宗旦が「釣襖も侘(わび)て面白し」と、改めたそうです。

不審庵の名前の通り不思議な茶室です。
そして、点前を想像するとぶるぶるするほど魅力的です。

                            
   写真は「早春のミモザ」
                          


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