暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

春草廬・有楽茶会 (2)

2009年11月11日 | 三溪園&茶会
第二席目の月華席は、茶友と元職場の同僚をお招きしました。
お正客は茶事の会のお仲間のMさまです。

「床のお軸はなんとお読みするのでしょうか?」
「周藤苔仙和尚の筆で、無我でございます」

「無我」が読みにくいのですが、筆の味わいが素晴らしく
 お気に入りのお軸です。
「無我」の言葉は重く、悟りの境地を表しています。
この書を読むと、般若心経の「色即是空 空即是色」
の語が重なってまいります。

花はニシキギと西王母。
母の形見の古伊万里・徳利に生けました。
香合は、東大寺大仏殿修復古材で作られた「一連弁」。
炉の時期は陶器の香合が約束ですが、
原三渓翁がお好きだった蓮花に因んで
木地の一蓮弁香合を床に飾りました。

釜は美之助の真形・霰唐松です。
松風が心地よく、高まる気持ちを鎮めてくれます。

急に炉から薫煙がでてきました。
「お香が燃えたのでしょうか? お香は?」とお正客さま。
「香の代りに桜の落葉を三枚ほど焚いてみました・・・」
「まぁ、そうでしたか・・とても懐かしい、良い香りですね」

薄茶が始まり、給仕口から私も席へ入りました。
その途端、九つの窓が全て目に飛び込んで来て、
私が座った処が点前座もよく見え、
一番良い場所であることに気づきました。

「やっと暗さに目が慣れてきました。
 窓が九つもあって、晴れていてもこの明るさなのですね。
 電気のある、明る過ぎる茶室に慣れてしまっていたようです」
とお正客のMさま。

程よい暗さの中で釜から覘く炭火の景色、
釜の松風と湯気が茶室を温かく包みます。

一席目と違う点は先生のご指導で続き薄にしたことでしょうか。
続き薄のお点前は茶友のSさんにお願いしました。
点前の時間が大分短くなりましたので、薄茶でゆっくりお客様と
お話しできたように思います。

元職場の同僚Tさまから嬉しい葉書が届きました。
「今日は部外者ながらお茶席に参加させて頂き、嬉しかったです。
 すばらしい秋の景色と歴史を感じる茶室の中で
 至福のひとときでした。ありがとうございます」

       (前へ)     (有楽茶会 次へ)
                          

       写真は「春草廬への道」、だちくゎんさまの提供です。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。