MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

JR西日本381系「ゆったりやくも」~国鉄型車輌ながらも車内設備は…

2015-07-23 | 鉄道[中国]

先月MAKIKYUが山陰方面へ足を運ぶ際には、個人型の旅行会社ビジネス向けパッケージ商品(往復JR+宿泊がセットで割引)を利用した事もあり、往復の道程は新横浜~(新幹線)~岡山~(特急やくも)~米子・出雲市という行程でした。

新横浜~岡山間は直通「のぞみ」号で約3時間、これに対し中国地方内の岡山~出雲市間は在来線利用という事もあり、特急でものぞみ号乗車時間と大差ない約3時間を要します。

そのため福岡県内など北部九州へ行くよりも、距離的には近くても感覚的には遠いと感じる程で、ビジネス向けパッケージ商品の設定価格も博多などへの往復よりも割高になりますので、様々な面で足を運び難い所と感じ、こんな状況もあってか、先月の山陰訪問は久々、島根県内へ足を運んだのは9年ぶりという有様でした。

首都圏や京阪神などから、島根県東部(松江・出雲など)や同県と隣接する米子(鳥取県)などへ足を運ぶ場合、公共交通機関利用だと先月MAKIKYUが利用した岡山まで新幹線+特急やくも号へ乗り継ぎという方法が最も一般的なルートになると思います。

岡山で新幹線と接続し、陰陽連絡を担う特急「やくも」号は昼間概ね1時間毎に運行、国鉄時代末期に電化されて電車が用いられているなど、陰陽連絡を担う鉄道ルートの中では突出した存在と感じます。

車両面では国鉄時代末期の電化から今日に至るまで、ずっと381系と呼ばれる電車が活躍を続けており、全国各地でJR発足後に導入された車両が多数活躍する今日では、同系は現在活躍するJR在来線特急車両の中では古参の部類に入ります。

そのため381系の姿を見ると陳腐感が否めず、MAKIKYUは今まであまり乗車意欲の湧かない車両と感じており、紀伊半島方面への特急「くろしお」号などで活躍する同系が、北陸方面からの転用車で取り換えとなるのも当然と感じています。


しかしながら「やくも」号で活躍する車両に関しては、数年前に大規模なリニューアルが実施され、塗装以外の外観や性能などは「くろしお」号などと大差ないものの、車内設備に関しては別物と言っても過言ではない進化を遂げており、通称「N40」などとも呼ばれる一般車両の大規模リニューアルで定評あるJR西日本ならではと感じたものです。


大規模リニューアルを行った「やくも」号用の381系電車は、塗装も改められると共に「ゆったりやくも」という名称がつけられ、車外にはイラスト入りのロゴも見受けられると共に、名称の通り座席の居住性は大幅に改善、普通車でも非常にゆったりとした空間を提供する車両へ進化を遂げています。


普通車における居住性改善策としては、座席数を減らしてシートピッチを拡大する事に加え、国鉄型車両などの古参車両では座席下の足元が狭い車輌が多いものの、これを最新型車両などと同様に足元が広く確保された座席に改める事で、数値上のシートピッチ拡大以上の居住性向上を実現しており、普通車でもシートピッチが広くゆとりある新幹線から乗り継いでも、遜色ないレベルと感じたものでした。


国鉄型車両のリニューアルでは内装や座席取換を行っても、座席下の足元が狭く、特別料金を徴収する車両でこれでは…と感じる事例も多々ありますが、この点「ゆったりやくも」はJRが「ゆったり」と謳うだけあると感じたものでした。


ただ座席は新車と遜色ないレベルにまで飛躍的進化を遂げたとは言えども、デッキなどを見渡せば古参車両の雰囲気は否めず、元々は特徴的なブラインドが装備されていた客窓周りや、構造を大幅に改めて見付けを改善した天井などは、かなり苦心していると感じたものです。


案内設備面でもJR西日本は自動放送に対して余り積極的でない事もあり、ゆったりやくも用のオリジナルチャイムは用意されているものの、自動放送は実施されておらず、それどころか客室端に「指定/自由席」を案内するLED表示器は設置されているものの、その隣に存在しても不思議ではない次駅案内などは装備されていない辺りも、少々物足りなさを感じたものです。

381系は登場当時と比較すると、「ゆったりやくも」への改造以前にも短編成化による増発、一部列車におけるパノラマ型先頭グリーン車導入、シートピッチ変更などは行われ、「ゆったりやくも」改造時にグリーン車連結位置統一(中間車→先頭車)、逆に元グリーン車(中間車)の普通車化など幾多の改造が行われていますので、窓割が合わない座席が非常に多い車両になっていると感じたものでした。


その中でも元中間グリーン車(サロ)を改造した普通車(サハ)は、他車両と窓形状などが異なり、見た目のバラエティという点では非常に興味深い車両ですが、電動車へ好んで乗車する事も多いMAKIKYUとしては、この車両は最大のハズレ車両と感じたものです。

往復共に指定座席はこの車両に当たってしまいましたが、他車両に空席が多数存在した事もあり、他車両へ移動する有様で、パノラマ型グリーン車を組み込んでいない「ゆったりやくも」でよく見かける編成は、出雲市方(1号車)から順に先頭グリーン車(クロ)+( ★ )+元グリーン車改造付随車(サハ)+中間電動車(モハ)+制御電動車(クモハ)の4両編成、MAKIKYUが乗車した「やくも」号は往復共にこの編成でした。

この編成が6両編成で運行する場合には、( ★ )部分に普通車の電動車(モハ)ユニット2両が加わりますが、この他に国鉄型特急車では一般的な両端制御車(動力なし)、中間が全て電動車という編成も存在します。

4両だと岡山方1両、6両だと岡山方2両が自由席となり、グリーン車は確実に制御車(クロ・モーターなし)ですが、普通車指定席はどの車両が電動車かは編成によって異なる状況です。

ただどの編成でも指定席は3号車を狙えば、余程の事がない限りは元から普通車の電動車になりますので、個人的には今後「ゆったりやくも」で指定席を利用する際には、極力この号車を指名買いしたいと感じたものでした。

また381系は「振り子車両」としても有名な存在で、特に制御付ではない自然振り子式という事もあってか、一部では「列車酔い」の話も持ち上がる程、車内放送でも「少し揺れます」という案内を何度も聞く状況でしたが、着席している限り個人的にはこの点はさほど…と感じたものでした。

走行時に台車からカタカタという音が聞こえるのは少し気になったものでしたが、加減速の際の衝動なども、顕著と感じる485系などに比べれば遥かに良好と感じたものでした。

国鉄型車両ならではの雰囲気が感じられる面も多い一方で、最新型に劣らない座席でゆったりとくつろげる「ゆったりやくも」は、改造車ならではの苦心ぶりも見られるものの、JR化後に登場した下手な特急車両よりも好印象を受けたものでした。

充当座席による当たり外れも大きく、最新型車両に比べると見劣りが否めない部分も存在するものの、趣味的にも興味深い列車と感じたものですので、機会があれば再度乗車しても…と感じたものでした。

ただ同じ381系を用いていても、まもなく車輌取り換えとなる「こうのとり」号の一部列車などは、同区間を走る一部の一般車両と比べても「下剋上」状態かと思いますので、こちらはわざわざ特急料金を支払い、好んで乗車する気にはなれないのですが…



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。