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東海汽船のフラッグシップ「さるびあ丸」(1)~フェリーではない貨客船だけあって…

2012-07-05 | 船舶[日本国内]

先日「MAKIKYUのページ」では、東海汽船が三宅島へ試験就航させた高速船(ジェットフォイル)「セブンアイランド」に関して取り上げ、MAKIKYUが先月三宅島へ出向いた際には、往復共に試験就航のジェットフォイルに乗船する予定でした。

しかしながらMAKIKYUが三宅島から首都圏へ帰島する日は、天候こそ決して悪くなかったものの、島内を走る村営バスで伊ヶ谷港へ向かおうとしたら、運転士氏が電話でジェット船就航に関するやり取りをしており、その旨を尋ねたら「欠航」との事でした。

運転士氏からは「飛行機は?」とも尋ねられたのですが、日頃首都圏に身を置きながらも、韓国へ足を運ぶ際にもJR九州高速船「BEETLE」を愛用する程空を飛ぶのがダメなMAKIKYUとしては、幾ら所要時間が短いとは言っても、船で充分移動可能な所で、問題多発のボンバルディア製プロペラ機に搭乗するのは論外です。
(おまけに運賃も、東海汽船より大幅に割高と言うオマケ付きです)

飛行機がダメな事を運転士氏に伝えると、定期船に乗船する場合は、錆が浜(阿古)港には必ず東海汽船の係員が居り、朝の定期船(東京発八丈島行)は錆が浜港に入港している事から、東海汽船の事は詳しくは分からないが、今日の天候からすると恐らく錆が浜港出航との事でした。
(ジェット船が試験就航で予定通り運航した場合は、ジェット船とその日の午後に三宅島を出航する東京行定期船の双方が、伊ヶ谷港発着となる様です)

ただ「三池港出航となる可能性はまずないと思うが、今朝の貨物船は伊ヶ谷港に入港したので、もしかしたら伊ヶ谷港かもしれない。その場合でも錆が浜港周辺に居れば、比較的容易に移動できる」との事でしたので、村営バスで錆が浜港まで移動したら、定期船はやはり錆が浜から出航する旨の掲示が出ており、係員に乗船券の払戻・変更に関して尋ねると、乗船券発券時間が限られている(12時30分~14時)ので、発券時間になってから再度足を運んで欲しいとの事でした。

そのため現在の三宅島における中心地域ともなっている錆が浜港周辺(阿古地区)で食事などを済ませ、再度錆が浜港に足を運ぶと、ジェット船の乗船券無手数料払戻と、定期船の乗船券発券が行われ、東海汽船HPのジェット船試験就航案内に記されていた「復路欠航時に三宅島にいらしゃる場合は、三宅島14:20発大型客船(20:30東京竹芝着)のご利用となります。(2等7020円~をお求めください)」という事態になってしまいました。

そのためジェット船に乗船し、大島寄港時における島内プチ観光堪能(ジェット船は大島到着後、熱海まで往復して大島へ戻り、その後館山・東京へ向かうダイヤでした)や、館山港の初利用計画は頓挫する事になったのですが、往路欠航で三宅島に足を運べない事に比べれば…といった所で、想定範囲内の予定変更です。

時間的余裕もありましたので、ジェット船とは趣が異なる大型客船に乗船するのも一つの楽しみで、2等利用では運賃も安くなるというオマケ付き(房総半島の館山周辺在住者にとっては、かなり迷惑な話ですが…)ですので、計画外の大型客船乗船となりましたが、MAKIKYUが東海汽船の大型客船に乗船するのは、今回が初めてでした。

現在東海汽船で運航している大型客船(貨客船)は、さるびあ丸(通称さる)とかめりあ丸(通称かめ)の2艘があり、後者の方は結構古い船だけあって置き換えが確定しています。

スペック的にも新しいさるびあ丸(それでも既に就航から20年経つのですが…)の方が優れており、利用客からの評判もこちらの方が良好の様です。
(どちらの船が充当された場合でも、同時期の同じ等級では同一運賃となります)


三宅島~八丈島方面への航路(通称三八航路)は、時期によって使用船舶が入れ替わるのですが、MAKIKYUの乗船日は大型客船による大島~神津島航路(通称片航路)が運休(ジェット船運航はあり)となっており、大型客船が1艘しか稼動していない事もあり、東海汽船のフラッグシップ的存在と言える「さるびあ丸」での運航でした。


さるびあ丸は全長が約120m、総重量も5000t近い大型船で、ジェット船などと並ぶと、その差は歴然としています。


離島航路の大型客船では珍しく、フェリーではない貨客船(貨物は船体前方にコンテナ収納スペースがあり、車が直接船内へ乗り入れる構造にはなっていませんので、車両航走は行っていません)という事もあり、船体後部が丸みを帯びた展望スペースの様になっているのは、この船の大きな特徴と言えます。
(かめりあ丸も外見は類似していますが、製造時期などが異なる事もあり、2艘の写真を見比べると、幾つもの差異が見受けられます)


そしてさるびあ丸に乗り込むと、程なく三宅島(錆が浜港)を出航となり、次に訪問する機会は何時なのだろうか…と感じたものですが、往復で違う港を利用できたのは、予定変更がもたらした予想外の収穫、また訪問する機会があれば、今度は火山ガスの影響で枯れた痛々しい姿の木々が元の姿を取り戻し、活発な火山活動を続けている雄山(現在山頂周辺は火山ガスが大量に放出されており、立入禁止区域となっています)の活動が沈静化している事を願いたいものです。

三宅島をして暫くすると、MAKIKYUのさるびあ丸乗船日はジェット船が欠航となる様な海況でしたので、時化とうねりで船体は大きく揺れ、MAKIKYUは船酔いこそ免れたものの、新島の東方辺りを航行する際の揺れは相当なものでした。
(三八航路では八丈島近海もかなり揺れる模様で、船内の係員から伺った話でも、「今日八丈島周辺は結構揺れた」「凪の時でも揺れる」との事でした)

出航から2時間程度で大島周辺まで来ると揺れも大分収まり、その後東京湾に差し掛かると、殆ど揺れずに快適なクルージングを堪能できたものでした。


ただ18時頃には既に3本の煙突が特徴の久里浜沖を通るものの、東京湾は船舶が錯綜しており、浦賀水道では全長50m以上の大型船は減速航行が義務付けられているという案内放送が流れ、この辺りで下船できれば…とも感じてしまいます。


減速航行の影響もあり、久里浜沖から東京港(竹芝桟橋)まで2時間以上を要するとなると、遅い事で定評ある京急の普通車(各駅停車)に浦賀~品川間を乗り通す方がまだ早く(浦賀~品川間を普通車で乗り通す乗客は、かなり稀かと思います)、レインボーブリッジの下を通り、ほぼ定刻で竹芝桟橋に到着する頃には外は真っ暗という有様でしたので、クルーズ気分で乗船する分には良いかと思いますが、この様な運航形態も、三宅島を「近くて遠い島」にしている気がします。

東海汽船では片航路の大型客船が時期限定で、一部運航日に横浜寄港を行っている事や、ジェット船が久里浜寄港を行っている事等を踏まえると、三八航路も久里浜か横浜に寄港すれば…と感じたものでした。

さるびあ丸船内の様子に関しては、近日中に続編記事で取り上げたいと思います。