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寝台特急「あけぼの」号(2)~客車外観編

2009-06-27 | 鉄道[東北]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた上野~青森間を走る寝台特急「あけぼの」号ですが、今日はその続編として寝台客車の外観に関して取り上げたいと思います。

現在「あけぼの」号は24系と呼ばれる客車の寝台車8両+電源車の計9両が所定の編成となっており、団体利用時や多客時などには客車の増結が行われる事もある様ですが、MAKIKYUが今月初めに乗車した際は所定の9両編成でした。

ブルートレインで9両という編成は、国鉄時代のブルートレイン最盛期などに比べると随分短い編成で、「あけぼの」号の編成としても、最盛期に比べると減車されています。

それでも10~15両程度の長編成列車が次々と行き交う首都圏であればともかく、普通列車は2~3両が主流、特急でも短い列車は3両編成という奥羽本線の現状を踏まえると、みちのくの地ではこれでも結構立派な編成と感じるものです。

客車は一部が「ゴロンとシート」として指定席特急料金で乗車可能ではあるものの、全て寝台車のみ構成されており、食堂車やロビーカーなどの連結はないのですが、バラエティ豊かな構成となっています。

その中でも一般的な開放式B寝台車は、所定の8両編成では1・8号車の「ゴロンとシート」(1号車は女性専用車)と、2~4号車の合計5両が連結され、編成の過半数を占めています。

開放室B寝台車は最も上野寄りに連結され、女性専用車となっている1号車だけ白帯を巻いた装いとなっており、MAKIKYUが「あけぼの」号に乗車した際は、他の車両が全て金帯を巻いた装いでしたので、編成端でこの車両だけが異彩を放っています。


これはたまたま1両だけ異なる装いの車両が連結されただけなのか、それとも女性専用車である事を明確にする為に、敢えてこの様な編成にしているのかは気になる所です。
(余談ながら「ゴロンとシート」充当車両は、車両仕様こそ一般的なB寝台車と同等ですが、「ゴロンとシート」のステッカーが貼られており、充当車両は一応限定されている様です)

他のB寝台開放室各車は装いこそ金帯で統一され、この塗装は国鉄末期にグレードアップした寝台列車の証として用いられた程ですので、1号車に比べると見た目はやや優雅な雰囲気を感じますが、2・4号車と3・8号車で窓の大きさや扉形状が異なっており、しかも4・8号車は車掌室付きで2・3号車とは外見も異なりますので、5両の開放室B寝台車は全て見た目が異なる有様です。

   
その上B寝台として運用される2~4号車では、その中間に組み込まれる3号車が大きく形態の異なる車両であるだけに、尚更雑多な印象を受けたもので、2号車と3号車の連結位置を逆にすれば、多少は整った印象になるのでは…と感じたものです。

そして装いの異なる1号車と共に目立つ存在といえるのが、上段・下段の2段構造で個室を配したB寝台1人用個室「ソロ」です。


先日MAKIKYUが「あけぼの」号に乗車した際は、この車両を利用したのですが、一般の開放室B寝台車からの改造車ながらも、車両構造故に窓配置は原型とは大きく異なり、独特の雰囲気を放っていますが、5・6号車の2両共見た目は同形態で、「あけぼの」号で同形態の車両が2両続いて連結されているのはこの5・6号車のみです。


7号車は「あけぼの」号では唯一のA寝台となる車両で、このA寝台車は1人用個室ながらも、補助ベッドを使用する事で2人使用も可能な「シングルDX」と呼ばれるものです。

小窓がズラリと並んだ姿も、「あけぼの」号の雑多な編成の中では、1両だけのA寝台車である事を知らない人間が見れば、インパクトは意外と薄いのでは…と感じたものです。

また「あけぼの」号は8両の寝台客車以外にも、青森寄りに電源車が1両連結されているのも大きな特徴です。


電源車は隣国の韓国をはじめ、客車列車が一般的な海外の鉄道ではよく見かける車両ですが、日本では客車列車自体が希少な存在になっている上に、客車自体に発電装置を搭載した車両も存在する事から、電源車を見かける機会自体が非常に少なくなっています。

発電装置を客車とは別とする事で、客車の居住性を確保している24系客車ならではの車両で、荷物室を併設しているのも特徴ですが、この車両もMAKIKYUが乗車した「あけぼの」号に連結された前面貫通路付きの車両以外に、前面非貫通となっている車両も存在しています。

ちなみに寝台客車でも14系は一部の客車床下に発電装置を搭載しており、そのお陰で電源車を別途連結する必要がありませんので、途中駅での分割併合も容易で、機関車以外は全て乗客を乗せる事が可能な事もあって、編成長が限られる路線・区間で輸送力を確保出来る利点もあります。
(「あけぼの」号の場合は寝台客車8両に対し、機関車と電源車という乗客が利用できない車両が計2両、比率にして5分の1にもなります)

ただディーゼル発電機が発する騒音と振動に夜通し…という事を考えると、運用上はともかく、乗客の立場から見て寝台列車としてどちらの方が良いかは言うまでもない事です。
(世の中には14系客車の発電装置を搭載した車両を、敢えて指名買いする方も居られる様ですが…)

この寝台特急「あけぼの」号は寝台列車にしては比較的地味な存在であるが故に、今まで寝台列車の中では余り注目されていなかった列車という印象がありますが、寝台列車の廃止が相次ぎ、貴重な現存する寝台列車の一つとなった今日では、大きく脚光を浴びる存在になりつつあります。

編成構成もB寝台主体の実用性が強いものですので、観光的要素は薄いものの、編成は寝台客車の見本市とでも言うべき様相を呈しています。

B寝台1人用個室「ソロ」の5・6号車を除くと、全て隣り合う車両が別形態という見るからに雑多な編成は、非常にインパクトがあって面白く、「あけぼの」号の大きな特徴と言えます。
(客車の組み合わせによっては、B寝台車で同形態の車両が2両以上連なる可能性もありますが…)

寝台特急としては比較的短めの編成という事と合わせ、鉄道模型で実際の編成を再現して走らせる対象としても絶好なのでは…と感じてしまう程です。

「あけぼの」号に関しては、車内の様子なども続編として取り上げたいと思います。