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十和田観光電鉄 7200系電車~2両のみが存在する異端車両

2008-03-21 | 鉄道[東北]

    

先日MAKIKYUが八戸を訪れた際には、少々足を伸ばして十和田観光電鉄(十鉄)にも足を伸ばしたのですが、MAKIKYUが同線に乗車するのは2回目でした。

以前同線に乗車した際は、7700系と呼ばれる現在の主力車両に乗車し、この車両は東急の運行系統再編に伴う余剰車両とはいえ、地方私鉄では異例のVVVFインバーター制御車として知られています。

この車両が入線する前の十鉄と比べると、同時に行われた軌道設備の更新・強化と合わせ、同線の格段な近代化に貢献した車両ですが、2両3編成が在籍しているこの車両と共に、十鉄には2両だけ7200系も移籍しています。

十鉄では通常、営業列車では専ら2両編成での運行ですので、片運転台の同系先頭車を2両連結した編成でも良いのですが、1両編成での営業運転も想定しているのか、それとも事業用などで1両で使用する事も兼ねているのかは分かりませんが、2両それぞれを単行運転可能な両運転台に改造しているのが特徴です。

この運転台を増設した部分は、前面形状も原型の先頭車とは大きく異なる切妻の機能本位といった感があり、東急8000系を改造して先頭車化改造を行った伊豆急行向け譲渡車両を思い出させるものがありますが、種車が7200系故に伊豆急向け譲渡車両ともまた異なった趣となっています。

増設運転台部分はコルゲートがありませんので、外観も一発で異様さに気づく程ですが、車内側もこの部分だけ化粧板が異なっているのが特徴的で、増設運転台部分のみ、東急で今でも活躍する8500系の更新車両と同等の化粧板が使われています。

この様な改造は、東急からの地方私鉄向け譲渡車両では過去にも幾つか事例があり、専ら2両編成で使うにも関わらず、松本電気鉄道に譲渡された(旧)5000系の一部車両の様に両運転台に改造した事例もありますが、松本で活躍した車両は増設した運転台は中間に組み入れられていたのに対し、十鉄では2両の7200系それぞれの十和田市寄りが原型運転台、三沢寄りが切妻の改造運転台となっていますので、異様な前面が先頭に立つ姿や、原型運転台と切妻運転台が2両の連結面で顔を合わせる姿が、ごく普通に見られます。

VVVFインバーター制御の7700系に混じってこの様な車両が実質1編成(現状では2両をバラして使う事はないため)だけ走り、その上通常の営業用編成では1編成だけ(十鉄では通常の営業では使用しない釣掛式駆動の旧式車両が、動態保存車両として今でも2両残されています)というのは、趣味的には非常に興味深いものがあります。

しかもこの車両は同一形式で十鉄には2両しか存在しないにも関わらず、それぞれで下回りの製造メーカー(日立・東洋)が異なっており、走行音が微妙に異なる事や、更にダメ押しとでも言うのか、異様な姿をした切妻の三沢方改造先頭車の貫通扉には、これがなくても各車両の貫通路上には「三沢-十和田市」という表示が出ていますので、実質的には差し支えないのですが、他の車両では装備していない社紋入りの行先表示板(以前MAKIKYUが十鉄に乗車した際には、これは付いていなかったはずなのですが…)まで付けており、どこまで珍車ぶりを顕示すればと思う程です。

そのため十和田観光電鉄に乗車する機会があるならば、是非一度は乗車してみたい車両ですが、実質1編成のみの存在という事もあって、遭遇できるか否かは運次第といった所です。

写真は十和田市方/三沢方の先頭車と7200系車内、改造運転台付近の様子です。