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寝台特急・はやぶさ/富士号(A寝台車「シングルデラックス」編)

2008-01-05 | 鉄道[九州・JR]

 

先月から何度かに渡って取り上げている、寝台特急・はやぶさ/富士号に関する記事ですが、今日はA寝台車「シングルデラックス」に関して取り上げたいと思います。

この車両は、6両編成のはやぶさ/富士号それぞれの編成(両者を併結した編成は12両)に1両ずつ連結されているA寝台車で、両列車の残り5両はB寝台ですので、一応両列車の中では最高級に属する看板的存在の車両と言えます。

この車両は「シングルデラックス」という名の通り1人用個室で構成され、1両の定員は僅か14名とB寝台開放室の半分以下となっていますので、占有空間はかなり広いとも言えますが、B寝台料金(6300円)に比べて2倍以上となるA寝台料金(13350円)が適用される事もあって、MAKIKYUがはやぶさ/富士号に乗車した際に見た限りでは、列車内の看板的存在とはいえ、利用率は余り芳しくない様に見受けられました。

この事は日本における寝台列車の利用率の低調さ(一部列車を除く)もあるかと思いますが、はやぶさ/富士号それぞれの編成に1両だけとはいえ、「MAKIKYUのページ」でも先日の記事で取り上げた定員18名の1人用個室「ソロ」が連結(MAKIKYUが富士号に乗車した際はこの車両を利用しました)されており、ソロとの料金格差が大きい割には、両者の差異・棲み分けが不十分である事も、利用率低調の大きな要因と考えられます。

ちなみにソロとの差異といえば、シングルデラックスはA寝台だけあって通路や個室の扉などにやや高級感が感じられる事と、ソロ比べてベッド(座席)の大きさがやや大きく、個室内に洗面台を組み込んだテーブルが設置されている事、それと全て平屋で天井空間が広い程度(ソロは下段と上段を巧妙に組み合わせています)ですので、登場当時と比べて多少のリニューアルが施されているとはいえ、レールファンの一人であるMAKIKYUでも、ソロの倍以上にもなる寝台料金に見合う程の設備とは感じられないのが実情です。

設備的には電車寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」号のシングル(MAKIKYUは乗車した事がありませんが、B寝台1人用個室で、通常のB寝台より1050円高い寝台料金が適用されます)などとほぼ同等レベルの設備かと思いますので、空気を運びながら走り続けるよりは、B寝台に格下げするか、さもなければ一般向けへの価格設定や車両の扱いは現状を維持しつつも、この車両を利用した割安なパック旅行商品(とはいってもシングルデラックスは1人用個室ですので、商品企画も難しそうですが…)を設定するなどの背策を講じた方が良さそうな感があります。

ただはやぶさ/富士号の列車自体の廃止が確定的となっている現状では、大きな打開策は期待できそうになく、またはやぶさ/富士号の看板的存在とはいえ、個室の鍵も同一車両内でテンキーと通常の鍵式(恐らく故障などで、後に一部個室のみを取り替え)が入り乱れているなど、この列車の苦境を表している様にも感じられるのは悲しい限りです。

写真はA寝台個室「シングルデラックス」の客室内通路(手前の方にある個室と、奥の方にある個室のドア部分に注目)と、寝台個室内部の様子(鍵の開いている空室を車内通路から撮影)です。