石油と中東

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BPエネルギー統計レポート2012年版解説シリーズ:天然ガス貿易篇2 国別輸出量

2012-08-30 | その他

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0238BpGasTrade2012.pdf

 

(輸出量1、2位のロシアとカタールは対照的。パイプラインのロシア、LNGのカタール!)
2.2011年の国別天然ガス輸出量(パイプライン+LNG合計)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/4-1-T01.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/4-1-G01.pdf参照)
 2011年に天然ガスを最も多く輸出した国はロシアであり、輸出総量は1,914億㎥、内訳はパイプラインによる輸出が1,770億㎥、LNGによる輸出は144億㎥であった。ロシアに次ぐ輸出国はカタールの1,218億㎥で、内訳はパイプライン192億㎥、LNG1,026億㎥である。両国は対照的であり、ロシアはパイプラインによる輸出が圧倒的に多く、一方のカタールはLNG輸出が殆どを占めている。ロシアのパイプラインによる輸出量はノルウェーの2倍近くの世界一である。カタールもLNGの輸出量としては2位マレーシアの3倍以上であり、こちらも世界最大のLNG輸出国である。昨年からはロシアがLNGによる輸出(主として日本向け)を開始、一方のカタールもパイプラインによる輸出(UAE向け)を開始しており、両国はお互いにしのぎを削っている。

 天然ガスの輸出量世界3位はノルウェーであり、輸出量は968億㎥(内訳:パイプライン928億㎥、LNG40億㎥)である。これら3カ国の輸出量は世界全体の48%を占めている。4位以下10位まではカナダ(614億㎥、全量パイプライン)、アルジェリア(515億㎥、内訳:パイプライン344億㎥、LNG171億㎥)、インドネシア(379億㎥、内訳:パイプライン87億㎥、LNG292億㎥)、オランダ(367億㎥、全量パイプライン)、トルクメニスタン(346億㎥、全量パイプライン)、マレーシア(336億㎥、内訳:パイプライン3億㎥、LNG333億㎥)、ナイジェリア(267億㎥、内訳:パイプライン8億㎥、LNG259億㎥)の順である。

 これら以外にも19カ国が天然ガスの輸出を行っており輸出の総量は8,551億㎥に達する。なおこの輸出量は前章の貿易量とは異なり例えばカナダと米国のように隣国間で相互に輸出入を行っている場合はそれを相殺した各国のNET輸出量である(次項の輸入も同様にNET輸入量を示す)。

(参考)ガス輸出国フォーラム(GECF)の輸出量と世界に占めるシェアについて
 世界の天然ガス生産国のうちロシア、カタールなど12ヶ国は「ガス輸出国フォーラム」(略称GECF)を結成しており(オブザーバー3カ国を含めると15カ国)、本シリーズの天然ガス篇でも触れたとおり世界に占めるシェアは埋蔵量ベースで59%、生産量ベースで37%である。輸出量ベースで見たGECFのシェアはメンバー国では53%、オブザーバーを含めると69%に達し、これはOPEC(石油輸出国機構)に引けを取らないシェアである。現在のGECFはOPECのような生産カルテルを目指さないと言明しているが日本が原発事故後LNGの調達を増やすなど、当面の天然ガス貿易は売り手市場の様相にあるためGECFの動向は目が離せない。但しGECFの加盟国のうちイランとベネズエラは生産した天然ガスを全量国内消費しており、不足分を周辺国から輸入している実質的な輸入国であることに留意する必要がある。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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