石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月25日)

2009-09-25 | 今日のニュース

・NY原油急落、66ドルに。

 

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「OPECの暗雲:減産に同調しないロシア」(下)

2009-09-24 | OPECの動向

()本稿はHP石油と中東」に上下一括掲載されています。

2.タナボタのロシア

 OPEC総会の二日後、ロイター通信モスクワ支局から一つのニュースが流れた。ニュースのタイトルは「増産についてロシアはOPECに謝罪(apologies)の必要は無い」と言う刺激的なものであり、OPECが生産制限を続ける中で、同国の8月の月間平均生産量は史上最高の997万B/Dに達したことを伝えた。そこにはセルゲイ・シュマトコ石油相の「わが国はOPECに何ら義務は負っていないし、何の約束をしたこともない」と言う談話が添えられていた。

  確かにOPECメンバーではないロシアは生産削減に同調する必要は無い。しかしロシアは昨年12月及び今年3月のOPEC総会にオブザーバーとして参加しており、原油価格引き上げのために同じ生産者としてOPECが苦闘している様子を見ている。と同時にこれまでのロシアの言動を振り返ると、減産に対する確約はしないまでも、リップサービスの「口約束」をしていることは紛れも無い事実である。昨年12月のOPEC総会にはロシアの石油相がオブザーバーとしてアゼルバイジャン、オマーン、シリアと共に出席している 。

  ロシアはこの総会にプーチン首相の腹心でエネルギーの最高責任者イゴール・セイチン副首相を始め、同国二大石油企業Rosneft及びLukoilのトップという超重量級のミッションを派遣すると言明(実際の出席者は不明)、しかもLukoilのCEOはOPEC総会で自国が20-30万B/Dの生産削減を提案する可能性すら示唆したのである。この時点でのロシアの生産量はすでに1千万B/Dに達していたと見られる(但し輸出量は4百万B/D以下だった模様) 。

  12月総会では同年9月のOPEC各国の実生産量合計2,905万B/Dを420万B/D減産して2,485B/Dとする決定を行なった。このときロシアと共にオブザーバーとして参加していたアゼルバイジャンは、同国が生産能力100万B/Dに対し既に84万B/Dに落ちている生産量をさらに54万B/Dまで下げると言明した。これに対して会議に同席したロシアは自国の態度を明らかにしなかった 。

  ロシアは続く3月のOPEC総会にもオブザーバー参加している。出席したイゴール・セイチン副首相は、1-2月のロシアの石油生産は1.9%下落しており、輸出を削減することになろう、と説明したが、具体的なコミットは避けている 。そしてロシア石油相は9月総会を控えた8月末、OPECメンバーをモスクワに招き会議を開きたいと6月にOPEC側に提案したことを明らかにしている 。このモスクワ会議が9月に予定されていたOPEC総会を意味するものか、或いはそれとは異なる生産国同士の対話であるかは明らかでない。これら一連のロシアの言動によりOPECはロシアが共同歩調を取るというシグナルを送っているとの印象を受けたに違いない。

  しかしロシアは昨年12月以降OPECの期待をことごとく裏切り、それどころかサウジアラビアを上回る1千万B/D近くの世界最高の生産水準を続けている。原油価格はこの間、OPECの減産が奏功し、年初の30ドル台から70ドル前後にまで回復した。これによってタナボタの利益を得たのが誰であり、割を食ったのが誰であるかは明らかであろう。特にOPEC最大の生産国であるサウジアラビアの逸失利益は莫大である。ロシア石油相は今年第二四半期の生産量は740万B/D、8月は997万B/Dで前年同月比1.3%増であり、輸出もこの間に5.9%伸びたと述べている。3月のOPEC総会での説明とは全く逆の結果を示している。これに対して減産協定を忠実に守ったサウジアラビアの輸出量は739万B/Dから700万B/D程度まで落ちているのである。

  専門家はロシアが得たタナボタ利益は200億ドルに達し、一方サウジアラビアの年間逸失利益は1千億ドル、GDPのほぼ25%に達すると推算している 。OPECとしてはロシアの身勝手さに憤懣やるかたない思いであろう。9月総会後の記者会見でバドリ事務総長は、生産削減に対してロシアから目に見える形の協力が得られなかったからと言って落胆しているわけではない、と述べた 。しかしそのとき記者団はバドリ事務総長がフラストレーション一杯の表情であったことを見逃さなかった。「落胆していない」という彼の発言は、名指しで相手国を非難すること避け、精一杯の強がりを見せる外交官特有の態度だと評している 。

  蛇足ではあるが9月総会に出席したのはOPECメンバーだけであり、ロシアはオブザーバー参加していない。オブザーバー参加を招請するのは会議主催者のOPECであり、ロシア側から押しかけることはありえない。したがってロシアが参加しなったのは、OPECが当初からロシアの非協力的態度に嫌気をさしてロシアに声をかけなかったのであろうか。それともOPECから誘いはあったものの、ロシア自身が6月に今秋のモスクワ会議開催をOPECに提案していることから、間の悪くなったロシアが逃げたのかもしれない。冒頭に述べたようにロシアが「OPECに誤る必要はない」と述べた趣旨は案外ロシアの開き直りなのかもしれないが、真相は闇の中である。

  もう一つ蛇足を加えるとすればベネズエラの動向である。今回の総会でベネズエラは石油相が欠席し代理を送り込んだ。同じ時期にチャベス大統領がロシアを訪問し、石油相は随行を命じられたから、と言うのがその理由である。しかし石油相がOPEC総会よりも大統領随行を優先したことは本末転倒とも言え、そもそもこの時期にチャベス大統領がロシアを訪問すること自体がサウジアラビアなどOPEC穏健派に対するあてつけとすら考えられるのである。12月総会の減産決定後、OPEC加盟国はほぼ減産幅を遵守し、その結果価格は70ドル前後まで回復した。しかし最近では加盟国に抜け駆けの増産をする国が絶えないようであり、Bloombergによれば3-4月に80%であった遵守率は最近では71%に落ちており抜け駆けの増産に走る国が少なくないようである。その筆頭格がベネズエラと言われる。OPECの中でベネズエラは常に高価格を求める強硬派であるが、価格が高くなると一方的に自国の割り当て量を破る常習犯でもある。

(これまでの内容)

1. 第154回OPEC総会で生産枠維持を決定

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

前田 高行

〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月23日)

2009-09-24 | 今日のニュース

・ベネズエラ:中国、ロシアに次いで仏Total社ともオリノ鉱区契約を締結

 

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月23日)

2009-09-23 | 今日のニュース

・来年はOPEC減産の必要なし:サウジアラビア石油相

 

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今週の各社プレスリリースから(9/13-9/19)

2009-09-19 | 今週のエネルギー関連新聞発表
9/15 石油連盟     石油連盟ホームページアンケート調査結果について http://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2009/20090915.html
9/17 石油連盟     天坊 石油連盟会長定例記者会見配布資料(2009年9月17日) http://www.paj.gr.jp/from_chairman/precon/2009/20090917.html
9/18 新日本石油   「北九州水素ステーション」 がオープン! http://www.eneos.co.jp/company2/press/2009_2010/20090918_02_0794529.html
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月17日)

2009-09-17 | 今日のニュース

・WTI原油70.8ドル、米の石油製品在庫データ発表待ち

 

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OPECの暗雲:減産に同調しないロシア(上)

2009-09-14 | OPECの動向

()本稿はHP石油と中東」に上下一括掲載されています。

 9月9日、オーストリアのウィーンで第154回OPEC総会が開かれ、昨年12月総会で決議された生産枠を維持することとなった。8月以降WTI原油価格は60ドル台後半、時として70ドルを超える状況にあり、OPEC加盟国はこの価格水準にほぼ満足している。一方需要は米国、中国で景気回復の兆しが見られるものの、その他の欧米、日本、アジア新興工業国などは依然不透明である。

  原油を減産するべきか、はたまた増産するべきか、OPEC加盟国に迷いが見られた結果が今回の現状維持の決定に至ったと考えられる。一方、そのようなOPECを尻目にロシアは大幅な増産を行なっており、今やサウジアラビアを上回る世界一の生産量を誇っている。ロシアはこれまでOPEC総会にオブザーバーとして出席し、少なくともOPECの決定を尊重する姿勢を示していたが、今では自国の増産について「OPECに謝罪する必要は無い」とまで発言している。

1. 第154回OPEC総会で生産枠維持を決定

 9月9日、ウィーンのOPEC本部で第154回OPEC総会が開催された。加盟12カ国の石油相が集まり(但しベネズエラは石油相がチャベス大統領のロシア訪問に随行したため代理出席)、アンゴラのバスコンテロス石油相を議長に現行生産枠の当否について議論が交わされた。因みにOPEC加盟国は昨年末にインドネシアが脱退しており、アルジェリア、アンゴラ、エクアドル、イラン、イラク、クウェイト、リビア、ナイジェリア、カタール、サウジアラビア、UAE及びベネズエラの12カ国で構成されている。

  現在のOPEC生産枠は昨年12月の第151回総会で決定されたものであるが、これは同年9月の加盟12カ国の実生産量のうちイラクの生産量(221万B/D)を除く2,905万B/Dを420万B/D削減(△14.5%)し、11カ国の生産枠を2,485万B/Dとするものであった。この結果、今年1月1日以降の各国生産枠は大きい順に並べると、サウジアラビア(8,065千B/D、以下同じ)、イラン(3,342)、UAE(2,228)、クウェイト(2,227)、ベネズエラ(1,990)、ナイジェリア(1,677)、アンゴラ(1,484)、リビア(1,471)、アルジェリア(1,205)、カタール(732)、エクアドル(425)となっている 。

  2008年は原油価格が史上まれに見る乱高下となり、それにつれてOPECの生産枠も大きく変動した年であった。年初にバレル当り100ドルを突破した原油価格(WTI原油)は、その後も急激に上昇、7月には遂に史上最高の147ドルに達した。しかし9月にリーマン・ショックにより世界の金融市場が100年に一度といわれる危機に見舞われると、原油価格も秋の陽のつるべ落としのごとく急落、年末には遂に30ドル台前半に落ち込んだのである(上図参照)。

  OPECは9月及び11月の総会で急落する価格に対して生産量削減を打ち出した。価格が急上昇しつつあった2007年12月に開かれた総会で2,967万B/Dに設定された生産枠(インドネシアを含む)は、2008年9月の総会で90万B/d減の28,800千B/Dに、さらに11月総会では150万B/D減の2,730万B/Dに削減された。

  それでも2008年末の価格はピーク時の147ドルから30ドル前半まで急落したため、12月総会では遂に、9月の実生産量をベースに420万B/Dを削減し、OPEC11カ国の割当総量を2,485万B/Dとしたのである。従来OPECの各国別生産割当量は常にその直前の割当量を元に均等な割合で増減されていたのであるが、今回初めて9月の実生産量を新割当量の算定ベースにしたのである。これは従来のやり方を見直した大きな転換点であったと言えよう。リーマン・ショックが未だ需給に反映されていない9月の実生産量は、イランやベネズエラのような生産余力の乏しい国にとっては生産量のピークを示していたと言えよう。潜在的な生産余力を持つサウジアラビア、UAEなどとは事情が異なっていたのである。12月総会でイランやベネズエラなどのOPEC強硬派が大幅削減に反対しなかったのはそのためと考えられる。

  そしてこの生産枠は2009年2月の152回総会から今回の154回総会まで維持されたのである。この削減が功を奏し、原油価格は09年年初から徐々に回復し、3月には40ドル台、5月には50ドル台を回復、6月以降はOPEC加盟国の多くが満足な価格水準と考える60~70ドル台を維持している。

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

前田 高行

〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月12日)

2009-09-12 | 今日のニュース

・ロシア、OPECに冷淡。エネルギー相:ロシア増産でもOPECに謝罪の要なし。

 

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今週の各社プレスリリースから(9/6-9/12)

2009-09-12 | 今週のエネルギー関連新聞発表
9/7 昭和シェル石油     昭和シェルソーラー(株) CIS太陽電池 第3工場投資決定のお知らせ http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2009/0907.html
9/7 全国石油協会     石油業界 今月の動きのページに、8月分を追加いたしました。 http://www.sekiyu.or.jp/topics/index.html
9/8 ExxonMobil     Mega Liquefied Natural Gas Facility Starts up in Qatar http://www.businesswire.com/portal/site/exxonmobil/index.jsp?ndmViewId=news_view&ndmConfigId=1001106&newsId=20090908006513&newsLang=en
9/9 AOCホールディングス     エジプト・スエズ湾ノースウェスト・オクトーバー鉱区の権益譲渡先の変更について http://www.aochd.co.jp/ir/pdf/090909_jigyo.pdf
9/9 住友商事     サウジアラビアで石油・ガスプラント向け大型通信設備2件を受注 http://www.sumitomocorp.co.jp/news/2009/20090909_094125.html
9/9 Chevron     Chevron Secures Multiple Sales Agreements for Gorgon LNG http://www.chevron.com/news/press/release/?id=2009-09-09a
9/9 Total     Qatargas 2 Train B starts LNG production http://www.total.com/en/press/press_releases/pr-2009/090909-qatargas-2-train-b-lng_18229.htm
9/10 石油連盟     石油連盟会長コメント 第154回OPEC定例総会終了にあたって http://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2009/20090910.html
9/10 OPEC     154th (Ordinary) Meeting of the OPEC Conference http://www.opec.org/opecna/Press%20Releases/2009/pr092009.htm
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ニュースピックアップ:世界のメディアから(9月11日)

2009-09-11 | 今日のニュース

・豪Gorgonガス田LNG、中国に続き東ガス、大阪ガス等と契約、生産開始2014年予定

 

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