石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

世界最大のガス輸入国になった中国:BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ天然ガス篇 (3)

2019-07-31 | BP統計

BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。

 *BPホームページ:

http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

 

1.  世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)

(昔も今も中東とロシア・中央アジアが二大埋蔵地域!)

(4)地域別の埋蔵量推移(2000年~2018年)

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G03.pdf 参照)

 埋蔵量の推移を地域別に見ると、2000年は中東地域が世界全体の41%を占め最も大きく、次いでロシア・中央アジア地域が28%であり、この2地域で世界の埋蔵量の7割近くを占めている。2018年末はそれぞれ38%と32%であり、両者の合計シェアは2000年と変わりはないが、中東地域が若干減少、ロシア・中央アジア地域が増加している。

 

その他の地域では2000年のシェアはアフリカ9%、アジア大洋州8%、北米、中南米各5%、欧州4%であった。このうち2018年のシェアはアフリカ、中南米及び欧州が下がり、アジア・大洋州及び北米はシェアが上がっている。北米については米国でシェール・ガスが開発され、この結果同地域のガス埋蔵量は2000年の7tcmから2018年には14tcmに倍増している。

 

2000年から2018年の埋蔵量の伸び率は北米地区が最も大きく、これに次ぐのがアジア・大洋州地域の1.63倍、ロシア・中央アジア地域の1.59倍である。その他の中東、アフリカ、中南米の各地域も1.2~1.3倍程度増加しているが、唯一欧州地域だけは2018年末の埋蔵量が2000年末を下回っている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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石油と中東のニュース(7月30日)

2019-07-30 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・米FRBの利下げ観測で原油価格上昇。Brent $63.71, WTI $56.87

・韓国、米国の要請でペルシャ湾に海賊対策のエリート兵団派遣。英国はイランの拿捕船交換提案を拒否

(中東関連ニュース)

・オマーンは仲裁ではなく全関係国との関係維持を目指す:外相、イラン訪問後談話

・サウジアラビア:初代国王10番目の子息、存命最長寿のバンダル王子死去。 *

・トルコ、学校教科書で911事件を正当化、EUにキリスト教クラブのレッテル

・アブダビMubadala、ADIC吸収合併で運用資産80%増の2,290億ドルに。 **

・カタール、南米ガイアナの海上鉱区利権を仏Totalから取得

 

*サウド家系図参照。http://menadabase.maeda1.jp/3-1-1.pdf

**「世界の政府系ファンド(SWF)の資産規模」参照。

 

 


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世界最大のガス輸入国になった中国:BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ天然ガス篇 (2)

2019-07-30 | BP統計

BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。

 *BPホームページ:

http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

 

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)

(埋蔵量は増えても可採年数は低下!)

(3)1980~2018年の埋蔵量及び可採年数の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G02.pdf 参照)

 1980年末の世界の埋蔵量は71tcmであったが、2018年末のそれは197tcmであり、この38年間で2.8倍に増加している。埋蔵量は1990年、2001年及び2010年前後とほぼ10年毎に大幅に増加しており、以下のような4つの成長時期に分けることができる。

 

1980年代は年率4%前後の割合で伸び、1988年末の埋蔵量は95tcmに達した(第1期)。そして1989年には対前年比11%の大幅な増加を示し同年末の埋蔵量は106tcmとなった。その後1990年代は年間成長率が平均2%とやや鈍り2000年末の埋蔵量は139tcmであった(第2期)。2001年は前年比10%増加し同年末の埋蔵量は154tcmに達したが、2002年以降2007年までは年間成長率が1%以下に停滞している(第3期)。2008年から埋蔵量は再び増加の兆しを見せ2010年及び2011年の対前年比伸び率はそれぞれ4.4%、5.7%であった(第4期)。2011年から2016年の埋蔵量は横ばい状態が続き、その後2017年は対前年比で2.8%増加し、2018年末は197tcmfであり次の成長期にかかろうとしているように見受けられる。

 

 一方可採年数の推移をみると1980年代は50年台前半であったが1990年代以降は50年台後半を維持し、2001年から2003年までは可採年数は60年を超えている。2004年以降は50年台後半に、また2015年以降は50年台前半に後退し2018年の可採年数は51年と1980年代の水準に戻っている。上に述べた通り可採埋蔵量は過去40年近い間に2.8倍にしている。これは世界各地に新しいガス田が発見され、或いは従来商業生産が難しいとされていたものが技術革新により実用化されたことを意味している。前者の新規ガス田発見の例としては中央アジアのトルクメニスタン、ロシアの北極海或いは東アフリカのモザンビーク沖における大型ガス田の発見があり、後者の技術革新の例としては米国のシェールガスや世界各国におけるコールベッドメタンの開発をあげることができる。しかし可採年数が低下している事実は新規発見を上回るベースで生産・消費が拡大していることを示している。(生産量・消費量については第2章、第3章参照)

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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見果てぬ平和 - 中東の戦後70年(3)

2019-07-29 | その他

ホームページ:OCIN INITIATIVE 

 

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

プロローグ

 

荒葉 一也

E-mail: areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

 

3.中東を流れる三つのアイデンティティ

 ここから先、筆者なりの見方で戦後70年の中東の歴史をたどっていくつもりであるが、中東には三つのアイデンティティがあると筆者は考える。一つは「血」のアイデンティティ。二つ目は「心」のアイデンティティ。そして最後の一つは「智」のアイデンティティである。今後各章でこれら三つのアイデンティティについて頻繁に触れることになるが、ここで簡単に説明しておきたい。

 

 最初の「血」のアイデンティティとは人間としてこの世に生まれたときにすでに与えられている特性、現代風に言えばDNAとでも呼ぶべきもので生物学的なアイデンティティである。「血」のアイデンティティはすなわち「民族」であり、中東でその最大のものは「アラブ」であるが、中東にはそのほかにも、トルコ民族、ペルシャ(イラン)民族などいくつかの民族が共存している(「ユダヤ民族」という呼称があるが、ユダヤは生物学的な意味での「民族」とは言えない)。

 

 「民族」となるとかなり大きな概念になるが、「血」は先ず本人と他者との血縁関係から始まる。最も近い関係が親子・兄弟姉妹であり、これが「家族」と呼ばれる。伯父・叔母・従兄弟等の関係まで広げると「親族」となり、遠い縁戚関係を含めると「一族」となる。さらにその上に「一族」を束ねる「部族」があり、最終的には「民族」のカテゴリーに行き着く。すべてに共通しているのは「族」という言葉である。「族」とは同じ祖先から分かれた血統であり、すなわち「血」のつながりである。

 

 都市化が進んだ近代国家では「核家族」の言葉に代表されるように、血のつながりは家族もしくは親族どまりであり、「一族」、「部族」などは死語に近い。最も大きな概念である「民族」という言葉は今もよく使われるが、それは政治のスローガンとして利用されることが多い。これに対して中東(特にアラブ民族の間)ではこの「血」のアイデンティティが今も末端の庶民からトップの権力者まで広く意識されていると言えよう。

 

 「血」のアイデンティティがDNAとして受け継がれる先天的なものであるのに対して「心」と「智」のアイデンティティは後天的に得るものである。「心」とは信仰心のことであり、「智」とは政治思想あるいは主義主張を指す。

 

 中東で信仰と言えばイスラームが圧倒的な影響力を持っている。アラブ民族、トルコ民族、ペルシャ民族などもほとんどがイスラームの信者(ムスリム)である。もちろん中東の人々の中にはエジプトのコプト教徒のようなキリスト教信者もいればユダヤ教徒の国イスラエルもある。ムスリム、キリスト教、ユダヤ教はともに一神教という共通点を有するが、むしろそれ故にこそ互いに反発し憎しみ合う長い歴史がある。特に中東におけるイスラーム国家群とユダヤ教国家イスラエルとの対立は今も先の見えない状況である。

 

さらに現代中東のイスラームにはスンニ派とシーア派という宗派による対立があり、或いは同じ宗派の中でも原理主義と穏健派の対立もある。宗派による対立あるいは教義の解釈をめぐる厳格派と穏健派との対立があるのは何もイスラームに限ったことではなく、西欧中世のカソリック対プロテスタントの宗教戦争もその一例である。しかし中東では近代西欧文明が浸透し、インターネットが発達したグローバリゼーションの現代において未だに(あるいは漸くと言うべきか)宗教の対立が先鋭化していることが大きな問題なのである。

 

 三つ目のアイデンティティとしてあげた「智」は主義、主張を伴った政治的あるいは経済的なイデオロギーのことである。「智」の対立が起こるのは宗教の束縛から解放されてからである。西欧では中世以降、産業革命を通じて経済面で重商主義が起こり、さらに資本主義へと発展していった。その過程で富の分配の不平等が問題となり、社会主義、共産主義のイデオロギー、すなわち「智」の世界が広がっていった。

 

 それが世界レベルに広まったのがロシア革命によるソビエト社会主義連邦(ソ連)の誕生である。そもそも西欧資本主義とソビエト社会主義は互いに相容れない性質のものだったが、ドイツ・ナチスの全体主義に対抗するため両者は共闘してこれを打倒し第二次大戦を終わらせた。しかしその途端米ソ二大陣営は鋭く対立、「冷戦時代」となった。「冷戦」と言っても実際には世界各地で両陣営の代理戦争―熱い戦争―が発生、中東もその舞台の一つになったのである。中東ではイスラームの呪縛から解放されないまま第二次大戦後にイデオロギー戦争に巻き込まれた。このことが後々の混乱を拡大したのである。

 

 改めて「血」と「心」と「智」の時系列的な発生の順序を考えてみたい。「血」はDNAとして先天的、遺伝的に身に備わったものである。それに比べ「心(信仰)」と「智(主義)」は後天的なものである。さらに「心(信仰)」はほとんどの場合物心のつかない幼時期に身に染み付く。キリスト教徒の赤子は洗礼を受け、そしてイスラーム教徒(ムスリム)の場合はモスクから流れる祈りの言葉「アザーン」を子守唄として成長する。それに対して「智(主義)」は教育(特に高等教育)を通じて個人の頭脳の中に刷り込まれる。つまりこれら三つの要素が人間に取り込まれるのはまず先天的な「血」に始まり次に「心(信仰)」であり、「智」は最も遅い。これがごく自然な順序と言って良いであろう。

 

国家レベルで見ると「血」の民族国家、「心」の宗教国家。「智」の資本主義あるいは社会主義国家が形成される歴史的な順序は異なる。西欧社会ではそれらがそれぞれ相当の時間差(タイムラグ)で歴史に登場しており、同時並行的に現れることはなかった。ところが中東ではそれら三つの要素が第二次大戦後の70年という短い歴史の中で同時並行的に登場している。戦後中東の混乱と悲劇はそのような土壌の中から生まれたものではないか、というのが筆者の見方である。

 

(続く)

 

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世界最大のガス輸入国になった中国:BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ天然ガス篇 (1)

2019-07-29 | BP統計

BPが毎年恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から天然ガスに関する埋蔵量、生産量、消費量、貿易量及び価格のデータを抜粋して解説したものである。

 *BPホームページ:

http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

 

1.世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数

(中東とロシア・中央アジア地域で世界の埋蔵量の7割!)

(1)2018年末の確認埋蔵量

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G01.pdf 参照)

 2018年末の世界の天然ガスの確認可採埋蔵量(以下単に「埋蔵量」と言う)は197兆立方メートル(以下tcm: trillion cubic meter)であり、可採年数(R/P)は51年である。

 

 埋蔵量を地域別に見ると中東が39%、ロシア・中央アジアが32%であり、この2地域だけで世界の埋蔵量の7割を占めている。これら2地域に次ぐのはアジア・大洋州9%、北米、アフリカ各7%、中南米4%、欧州2%でこれらすべて合わせても3割弱にとどまる。このように世界の天然ガスの埋蔵量は一部地域に偏在していると言える。

 

埋蔵量を生産量(次章参照)で割った数値が可採年数(R/P)であるが、2018年の天然ガスのR/Pは51年である。これを地域別で見ると中東地域の110年に対して北米或は欧州はわずか13~16年にすぎない。またロシア・中央アジア地域のR/Pは76年、アフリカ地域は61年であり全世界の平均を上回っているが、中南米は46年、アジア・大洋州は29年と世界平均を下回っている。

                                 

(国別埋蔵量ではロシアとイランがトップ!)

(2)国別の埋蔵量

(表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-T01.pdf 参照)

 2018年末の国別埋蔵量を見ると、ロシアが最も多い39tcmであり、第2位はイランの32tcmである。この2カ国が世界の中で飛びぬけて多く、両国を合わせると世界の36%を占める。この2カ国に続き第三位がカタール(25tcm、シェア13%)、第四位トルクメニスタン(20tcm、10%)であり、これら4カ国だけで世界の埋蔵量の6割弱を占めている。5位以下10位までは米国(世界シェア6%)、ベネズエラ(3.2%)、中国(3.1%)、UAE及びサウジアラビア(各3%)、ナイジェリア(2.7%)と続いており、上位10カ国の世界シェア合計は80%に達する。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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石油と中東のニュース(7月28日)

2019-07-28 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・イラン船、パナマに便宜船籍拒否され苦境、沖合瀬取り増える

・米国務長官:必要なら喜んでイランに行く。一方で日英などにタンカー共同護衛を呼びかけ

・米政府、経済制裁下のベネズエラで操業中のChevron社ライセンスを延長

(中東関連ニュース)

・オマーン外相、イラン訪問。最新情勢について意見交換

・シリア、反政府支配地域爆撃で3か月間に40万人以上が避難民に:国連報告

・UAE、労働許可方式改訂。男性所帯主が配偶者以外の家族のスポンサーも可能に

・ドバイ-シャルジャ間にフェリー就航。所要時間35分、30分ごとに発着

・バハレーン、警官襲った過激犯3人を死刑

 

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今週の各社プレスリリースから(7/21-7/27)

2019-07-27 | 今週のエネルギー関連新聞発表

7/22 石油連盟 

参院選の結果について(会長コメント) 

https://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2019/07/22-001858.html

7/23 JXTGエネルギー 

当社石油製品の生産・供給体制の再構築について 

https://www.noe.jxtg-group.co.jp/newsrelease/20190723_02_2011051.pdf

7/24 石油連盟 

月岡 石油連盟会長定例記者会見配布資料 

https://www.paj.gr.jp/from_chairman/data/2019/index.html#id1859

7/25 Total 

Second quarter and first half 2019 results 

https://www.total.com/en/media/news/press-releases/second-quarter-and-first-half-2019-results

7/26 国際石油開発帝石 

米国メキシコ湾キースリーキャニオン 921 / 965、ウォーカーリッジ 881 / 925 鉱区権益の取得について  

https://www.inpex.co.jp/news/pdf/2019/20190726.pdf

7/26 住友商事 

ノルウェーにおける石油ガス関連ベンチャー企業Sekal AS社への出資について 

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2019/group/12210

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石油と中東のニュース(7月26日)

2019-07-26 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・英仏のホルムズ共同防衛構想、独はなお参加検討中

・イスラエル、11月にエジプト向け天然ガス輸出開始

(中東関連ニュース)

・トルコ、公定歩合を大幅引き下げ。24%から19.75%に

・アブダビ皇太子、中国に続きインドネシアを公式訪問

・トランプ大統領、議会のサウジ・UAE向け武器売却否決に拒否権行使

・チュニジア大統領死去、92歳

・IMF、エジプト向け120億ドル融資の最終分10億ドルを実行

・アブダビ、10月から一部道路を有料化

・サウジアラムコの印Reliance製油所出資、協議難航

 

 

 

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米国の原油生産、二年連続で世界一:BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ石油篇(18)

2019-07-26 | BP統計

(注)本シリーズ(1~18回)は「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0474BpOil2019.pdf

 

BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。

 *BPホームページ:

http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

 

5.世界の石油精製能力(続き)

(慢性的な設備不足のインド、中国の稼働率は80%に改善!)

(5)主要な国と地域の精製設備稼働率(2000~2018年)

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-5-G04.pdf 参照)

 精製能力に対して実際に処理された原油の量(通油量:Refinery throughputs)で割ったものが設備の稼働率である。ここでは日本、米国、中国、インド及び欧州について2000年から2018年の稼働率を比較検討する。

 

2000年には米国とインドが90%を超える高い稼働率を示し、日本及び欧州も80%強を記録している。これに対し中国は69%にとどまっていた。インドはその後も高い稼働率を維持し2003年以降は稼働率100%を超える状況が続き、2018年の稼働率は104%であった。前項の精製能力の推移に見られるとおりインドは2000年以降精製能力を拡大しており、2018年には2000年の2.2倍の能力に達しているが、需要の伸びに追い付かず慢性的な精製能力不足であることがわかる。

 

 米国の稼働率は2000年の91%をピークに年々低下し2009年には81%まで下がった。その後稼働率は回復、2018年には90%まで戻っている。同国の精製能力は2000年の1,657万B/Dに対して2018年は1,876万B/Dに増加しており、近年経済が回復しガソリンなどの石油製品の需要が堅調であることを示している。

 

日本は設備能力の削減により2012年以降2017年まで稼働率が上昇している。前項に示したとおり日本の精製能力は2000年の501万B/Dから2018年には334万B/Dへと3割強減少している。その間の稼働率は2000年の82%が2005年には91%に上昇し設備廃棄の効果が見られた。その後稼働率は再び低迷、2012年は80%に落ちたため、更なる設備削減が行なわれた結果、2017年にはこれまでで最高の96%になったが、2018年は若干低下し92%にとどまっている。

 

 中国の精製能力は2000年の591万B/Dから2018年には2.7倍の1,566万B/Dに急拡大している。但し2014年までの稼働率は60%台にとどまっており需要が追い付かない状況を示している。しかし2015年以降精製能力は削減又は横ばいの状態であり、その結果稼働率は2015年71%、2016年75%、2017年77%、2018年79%と上昇傾向にある。

 

欧州の精製能力は2000年の1,427万B/Dが2018年には1,279万B/Dに減少している。この間の稼働率は80%前後とほぼ横ばい状態であり、2018年の稼働率は82%である。

 

(石油篇完)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

 

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米国の原油生産、二年連続で世界一:BPエネルギー統計2019年版解説シリーズ石油篇(17)

2019-07-25 | BP統計

(注)本シリーズ(1~18回)は「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0474BpOil2019.pdf

 

BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2019」を発表した。以下は同レポートの中から石油に関する埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したものである。

 *BPホームページ:

http://www.bp.com/en/global/corporate/energy-economics/statistical-review-of-world-energy.html

 

5.世界の石油精製能力(続き)

(第二次オイルショック以降一貫して設備を削減した日本、過去最高となった米国の精製能力!)

(4)主要国の石油精製能力の推移(1970年~2018年)

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-5-G03.pdf 参照)

  世界の石油精製能力上位10カ国のうちここでは米国、中国、インド、日本、サウジアラビア及びドイツの6カ国について1970年から2018年までのほぼ半世紀の石油精製能力の推移を追ってみる。

 

現在世界最大の石油精製能力を有する米国の1970年のそれは1,286万B/Dであり、この時既に他国を圧倒する1千万B/Dを超える設備を有していた。この年の日本(350万B/D)は米国の4分の1、ドイツ(264万B/D)は5分の1であり、サウジアラビア(68万B/D)、中国(61万B/D)、インド(41万B/D)に至っては米国の20分の1から30分の1程度にすぎなかった。

 

米国は1970年代に精製設備を急速に増強し、1980年には1,862万B/Dになったが、1980年代前半には逆に能力が急減、1985年から1995年までの10年間は1,500万B/D台で低迷した。しかし1995年以降は再び精製能力を増強、2018年には過去最高の1,876万B/Dに達している。

 

米国とは対照的に日本とドイツは第2次オイルショック(1979年)直後の1980年に日本564万B/D、ドイツ342万B/Dに達したが、その後両国はいずれも設備能力を縮小し続け、2018年は日本334万B/D、ドイツ209万B/Dになっている。

 

一方、中国は能力拡大の一途をたどり、1970年の61万B/Dから1985年には235万B/Dに達している。1990年以降は拡大のペースが一段と高まり、316万B/D(1990年)→439万B/D(1995年)→591万B/D(2000年)→846万B/D(2005年)→1,232万B/D(2010年)→1,502万B/D(2015年)と驚異的なスピードで精製能力を増強、2000年には日本を追い抜いている。しかしここ数年は能力拡大のペースが鈍化しており、2018年の精製能力は1,566万B/Dとほぼ横ばいの状況である。精製能力1位の米国と同2位の中国の差は300万B/D強である。

 

インドの場合も1970年の精製能力は中国とほぼ肩を並べる41万B/Dにすぎなかったが、1980年代後半に100万B/Dを超え、2000年には222万B/Dに達してドイツに並んだ。さらにその後も能力は増加し2015年には日本を追い抜き、2018年の精製能力は497万B/Dとなり日本との格差が開いている。インドは2000年から2018年までの間に能力を倍増しており、同じ期間内の日本が3割強削減しているのとは対照的である。日本と中国・インドの差は経済の成熟度の差であると同時に、日本が省エネ技術により石油製品の消費を抑えているのに対し、中国及びインドはエネルギー多消費型の経済開発により高度成長を遂げつつあるためと考えられる。

 

OPEC(石油輸出国機構)の盟主であるサウジアラビアは原油の輸出国と見られているが、精製設備増強にも熱心である。これは原油の付加価値を高めるため石油製品として輸出し、或いは中間溜分をポリエチレンなどの石化製品として輸出することを狙っているためである。同時に国内では急増する電力及び水の需要に対応するため発電所或いは海水淡水化装置用の燃料が必要とされ、また生活水準の向上によるモータリゼーションのためのガソリンの需要が増大する等、石油製品に対する国内需要が急速に拡大している。この結果同国の精製能力は1970年の68万B/Dから70万B/D(1975年)→151万B/D(1985年)→210万B/D(2005年)と年々増強され2018年には284万B/Dに達している。

 

(続く)

 

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