石油の内外情報を読み解く

内外の石油・天然ガス関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。(元ジェトロリヤド事務所長 前田高行)

今週の各社プレスリリースから(3/19-3/25)

2017年03月25日 | 今週の新聞発表

3/22 国際石油開発帝石 インドネシア共和国 サルーラ地熱 IPP 事業 第 1 号機の商業運転開始について  

3/23 東燃ゼネラル石油 千葉県市原市での石炭火力発電所建設プロジェクトの解消について  

3/24 経済産業省 JXホールディングス株式会社の産業競争力強化法に基づく事業再編計画を認定しました 

3/24 石油資源開発 国内天然ガス等供給事業に係る組織改編と役員等への担当業務の委嘱について 

 


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OPEC・非OPECの協調減産は守られているか?【2017年3月現在】  

2017年03月24日 | 産油国・OPECの動向

2017.3.24

前田 高行

  

 昨年11月のOPEC総会で加盟13カ国(インドネシアはこの時点で加盟資格を返上)はリビア及びナイジェリアを除く11カ国で2017年1月から生産量を120万B/D(厳密には1,164千B/D)削減することを申し合わせた。リビア及びナイジェリアは内戦状態で生産量が極端に低下していることを考慮して当面の間は減産の対象外とされた。また減産量はイランを除き9月の生産量が基準とされた。イランについては核問題による経済制裁のため生産量が低水準にある点を考慮して9月の生産量を若干上回る数値を認めている(http://menadabase.maeda1.jp/1-D-2-34.pdf 参照)。そして同時にロシア、メキシコ、カザフスタン、オマーンなど非OPEC産油国11カ国も60万B/Dの減産を決定、今年1月から6か月間にわたり22カ国で合計180万の協調減産体制が出来上がった。この協調減産状況を監視するためクウェイト、ロシアなどから成る監視委員会が結成され、1月22日の第1回を手始めに委員会が毎月開催されている。

(注)全体の経緯については2月3日付レポート「OPEC減産合意の経緯」参照。

http://mylibrary.maeda1.jp/0397OpecProductionCut.pdf

 

 3月17日の監視委員会では各国が申告した前月(2月)の生産量に基づき評価が行われ、OPECでは減産順守率を106%と説明している。1月の順守率は94%であり、このことから1月は減産目標を下回ったが、2月は目標をオーバーした減産を達成していることが解る。但し、独自の集計を行っているIEA(国際エネルギー機関)では順守率を1月105%、2月94%と全く逆の判定をしている。この事実をとらえてメディアは生産国側に立つOPEC(本部:ウィーン)と消費国側に立つIEA(本部:パリ)による「二都物語」だとはやし立てている[]

 

 OPEC11カ国の目標と1月以降の実績をOPEC月例レポートの国別生産量で比較すると11カ国中、実績が目標値を下回っているのはサウジアラビア、イラン、アンゴラの3カ国だけであり、特にサウジアラビアとイランがいずれも目標生産量を20~30万B/D下回っている。アンゴラ及び目標値に達していない8カ国は目標生産量との乖離は小さく、またロシアを筆頭とする非OPEC11カ国の減産量は目標(60万B/D)の40%にとどまっている[]

 

 これらの事実から減産量はサウジアラビアとイランの2カ国に負うところが大きいことがわかる。このうちイランは輸出余力があるにも関わらず米国の意向で欧米諸国への輸出が思うようには回復しないためと考えられる。一方サウジアラビアは常に十分な輸出余力を有しており、実際に1千万B/Dを超える生産を続けていたことから、現在までのところサウジアラビア一国が率先して減産している形である。

 

 このような状況を受けて北海ブレント原油の価格は1月以降2月末までは55ドルを上回る水準を続けてきた。しかし3月に入ると50ドル台前半に下落している。米国で原油の在庫が増加し、またシェールオイルが増産する兆しを見せているからである。主要な石油消費地であるアジア市場での原油売り込み競争が激しくなっており、中国向け輸出ではイランとサウジアラビアがしのぎを削っている。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行

 〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp



[] ‘OPEC’s output-cut deal: A tale of two cities’ by Arab News on 2017/3/20

http://www.arabnews.com/node/1070866/business-economy

[] ‘OPEC news’ by Arab News on 2017/3/19

http://www.arabnews.com/node/1070861/business-economy#

 

 

 


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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月22日)

2017年03月22日 | 今日のニュース

・OPEC協調減産の延長観測で油価上昇。Brent $52.04, WTI $48.60

・マラッカ海峡回避の中国-ミャンマー石油パイプライン、近く稼働開始

 


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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月21日)

2017年03月20日 | 今日のニュース

・OPEC協調減産の2月達成度でIEAとOPECが正反対の評価

サウジアラムコIPO及び合弁製油所を巡るアジアとの関係。  *

*「アラムコIPOの行方は?」荒葉一也参照。
http://mylibrary.maeda1.jp/0400AramcoIpoMar2017.pdf


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八方ふさがりのサウジアラビア副皇太子(3)外交篇  

2017年03月19日 | 荒葉一也シリーズ

2017.3.19

荒葉一也

 

 

 

3.外交篇:米トランプ政権誕生で漸く腹が据わったサウジアラビア外交

 しばらく鳴りを潜めていたムハンマド副皇太子が3月14日ホワイトハウスでトランプ米国大統領と会談、イラン、シリア、イエメン、イスラム国など山積する中東問題について意見を交換した。トランプ新政権誕生後、中東アラブ諸国の首脳が大統領と直接顔を合わせるのはこれが初めてである。しかも歴代大統領が国家元首以外ではこれまで慣例として認めていなかった大統領執務室(オーバル・オフィス)での写真撮影を許可し、さらに会談後は昼食に招くなど異例の厚遇ぶりを演出した。

 

 ムハンマド副皇太子の訪米外交に力を入れたのはサウジ側も同じである。オバマ前大統領時代に過去最悪ともいえるまでに落ち込んでいた対米関係を改善することはサウジの悲願だったからである。実は同じ時期にサルマン国王一行が大人数を従えて日本を訪問したのであるが、予定されていた複数の有力閣僚が直前に訪日をキャンセルしている。Al-Jubeir外務大臣は副皇太子の露払いとして先行渡米し、またFalihエネルギー相はエネルギー会議「CERAウィーク」出席を名目にテキサス州ヒューストンに飛んでいる。共に副皇太子を支えるためと考えられる。サルマン国王にとっては米国に出かけたムハンマド皇太子のことがよほど心配だったに違いない。副皇太子は第二副首相兼国防相に加え経済開発問題会議議長も兼務しているが外交は直接の担当分野ではない。外交は首相を兼務するサルマン国王が前駐米大使のAl-Jubeir外相を指揮する形である。しかし国王は実質的な外交の決定権を当初から息子のムハンマド副皇太子に委ね、外相もテクノクラートとして副皇太子の指示に忠実に従っている格好である。

 

 2015年1月のサルマン国王即位時の米サウジ関係は最悪の状態であった。オバマ前大統領は一連の「アラブの春」騒動でアラブの民主勢力に肩入れし、さらに核開発問題をめぐってイランと「歴史的な核合意」を締結した。これによりオバマは中東における戦争の脅威が薄れたとして、外交・国防の重点を中東から太平洋地域にシフトした。この結果、中東に「力の空白」が生まれ、シーア派のイランがシリア・アサド政権及びイエメン反政府組織のフーシー派を支え、またシリアとイラクにまたがる地域ではイスラーム過激派「イスラム国」が台頭した。スンニ派の盟主を自認するサウジアラビアにとっていずれも耐え難いことであった。

 

 スンニ派の「イスラム国」はイスラム原理主義を標榜しており、この点では同じスンニ派原理主義であるワッハーブ派を奉じるサウジアラビアと「イスラム国」は似た者同士である。しかしサウジアラビアのサウド王家は実際は絶対君主制の世俗政権であり、従って中東でイスラーム宗教勢力が強くなりすぎることは好ましくないのである。サウジアラビアがイランを極端に嫌うのもシーア派とスンニ派の宗派闘争というよりむしろ世俗君主制政権対宗教政権の対立が根底にあり、サウジアラビアはそのことが表面化することを嫌っているからというのが一面の真理であろう。イランの宗教性を嫌っているのは米国も同じであり、だからこそサウジアラビアは米国べったりの姿勢を見せ石油政策および武器輸入で米国の歓心を買っていたのである。

 

 しかしオバマ政権末期にはサウジアラビアの米国に対する期待はことごとく裏切られアブダッラー前国王は米国に嫌悪感すら抱くようになった。このような状況を引き継いだサルマン国王は2016年1月の即位直後から米国依存脱却を模索した。同年6月にムハンマド副皇太子がロシアのプーチン大統領及びフランスのオランド大統領と相次いで会談したのは米国離れにより中東情勢を転換しようとしたためと見ることができる。しかし中東情勢を動かすことができるのは米国の他にはないことをサウジは思い知らされた。ロシアもフランスもサウジアラビアに対して外交辞令を並べるか、さもなくば武器の売り込みに熱心なだけであった。結局サウジアラビアが頼る先は米国しかないことを思い知らされたのである。

 

 オバマ民主党政権からトランプ共和党政権に交代し、サウジアラビアの期待が一気に膨らんだ。トランプ大統領はイスラム国の殲滅に米軍を投入し、イランとの核合意を破棄する姿勢を見せている。場合によっては直接イランを叩くことすらほのめかしている。サウジアラビアにとっては願ってもないことである。

 

 但しサウジアラビアはトランプ米政権の中東政策の真の意図を忘れてはならない。それは二つある。一つは(邪悪とみなす)イスラーム思想が米国に広がるのを阻止すること。トランプはイスラーム思想そのものは民主主義と相いれない過激思想と見ている。彼にとってはヨーロッパ諸国のイスラームとの融和政策こそがこれら各国にイスラーム・テロをもたらし、イスラーム難民を呼び込んだ元凶に映る。だからこそイスラーム思想に忠実な宗教国家イランは我慢がならないのである。

 

 トランプ中東政策の二つ目の意図は徹底したイスラエル擁護政策である。これはトランプを支える共和党の伝統的な政策であり、保守派の米国白人層を代弁したものでもある。米国のビジネス特に金融界を牛耳るユダヤ人の実力は不動産業で浮き沈みを経験したトランプにとって十分すぎるほどわかっているはずだ。

 

 イスラームを国家の基本理念に据え、また歴史的にパレスチナ支援の姿勢を明確にしているサウジアラビア政府にとってはこのようなトランプ政権の二つの意図はいずれも簡単に受け入れられるものでないことは間違いない。しかし今のサウジアラビアが頼れる相手は米国しかないのである。トランプ政権の誕生でサウジアラビアの外交はようやく腹が据わったようである。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

       荒葉一也

       E-mail; areha_kazuya@jcom.home.ne.jp

       携帯; 090-9157-3642

 


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今週の各社プレスリリースから(3/12-3/18)

2017年03月18日 | 今週の新聞発表

3/14 経済産業省 再生可能エネルギーの平成29年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました 

3/14 国際石油開発帝石 インドネシア共和国マハカム沖鉱区における 操業移管に関する諸契約の締結について(お知らせ)  


3/15 JXエネルギー サウジアラムコとの協業検討に関する覚書の締結について 

3/15 石油連盟 木村 石油連盟会長定例記者会見配布資料 

3/15 国際石油開発帝石 幹部社員の人事異動について 

3/16 BP Second Shah Deniz 2 platform jacket sent offshore 

 


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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月15日)

2017年03月15日 | 今日のニュース

・クウェイト石油相:原油需給のリバランスには時間が必要。6月以降も生産削減継続を

・OPEC生産削減にもかかわらず在庫水準上昇

・カタールとポーランド、LNG年200万トン供給契約締結


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ニュースピックアップ:世界のメディアから(3月14日)

2017年03月14日 | 今日のニュース

・原油価格:Brent、昨年11/30日以来の安値$50.85、WTIも8%下落$48.34

 


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2017年03月13日 | その他

 これまでにブログおよび各種の雑誌への寄稿等に発表したレポート、エッセイ等を「マイ・ライブラリー(論稿集)」としてまとめました。 日々のニュースをモニタリングしているブログ「アラビア半島定点観測」、「石油の内外情報を読み解く」及び中東問題の評論・分析ブログ「OCIN Initiative (荒葉一也のホームページ)」とあわせてお読みください。

おすすめのコーナー:

・(New)五大国際石油企業2016年業績速報

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・五大国際石油企業2016年4-6月期決算速報

・BPエネルギー統計2016年版石油篇

・五大国際石油企業2015年度業績速報

 

 

 


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今週の各社プレスリリースから(3/5-3/11)

2017年03月11日 | 今週の新聞発表

3/6 ExxonMobil ExxonMobil Plans Investments of $20 Billion to Expand Manufacturing in U.S. Gulf Region  

3/6 Shell Saudi Aramco and Shell achieve significant milestone toward separation of Motiva assets  

3/9 ExxonMobil ExxonMobil to Acquire 25 Percent Interest in Mozambique Area 4 from Eni  

3/9 Shell Shell divests oil sands interests in Canada for net consideration of $7.25 billion  

 


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