雲南、見たり聞いたり感じたり

雲南が中心だった記事から、世界放浪へと拡大中

スペインとポルトガル32 エヴォラで昼食を

2021-11-24 16:24:04 | Weblog
【堅牢な石造り】
 世界遺産にも登録されているエヴォラの旧市街は直径1.2キロほどの静かな町。釣り鐘をスパッと割った形のようにも見える町をすっぽりと囲む城塞はローマ時代からの補強工事で円というより釣り鐘状をしています。なかの道は狭いのでほとんど車も通りません。その中心部にある15世紀に建てられた修道院を改装した風情あるホテルに荷物を置くと、さっそく町の食事処へと向かいました。

外は日差しで暑いぐらいなのに広場に面したレストランは堅牢な石造りで中はひんやり。外がまぶしすぎるせいで、中の暗さが一層際立ちます。中世の建物というのは日本も含めて、ひたすら体温を奪っていくようです。

Kさんがメニューを見て、流れるように注文をして待つことしばし。いつものように「パン祭り」と呼びたくなるような光景となりました。いずれも地元ではおなじみのメニューなのだとか。そのいくつかをご紹介しましょう。


ミーガシュ(MIGAS)
カリっとオーブンで焼いた骨付き豚肉を、パン粉を煮て汁気を含んだ程度のものと合わせていただきます。豚が口に含むほどに自然のうまさが満ちて、おいしい。Kさんから「エヴォラ独自の料理ですよ」と説明がありました。

あとで調べると「MIGAS」は「スペイン語、ポルトガル語では『パンくず』を意味し、元来残り物のパンを使用した料理」(ウィキペディア≪ミガス≫より)を指していて、パンくずを使った料理に合わせるものや味付けの違いで、地域ごとにおらがクニのものが存在しているようです。ポルトガルでも場所が変われば、作り方も合わせる材料も様々。
 スペインでは「ミガス」と呼び、キューバ、メキシコ、アメリカでも様々な広がりをみせていることがわかりました。日本なら残り物のご飯を使った料理、といったところで今だと雑炊のポジションといえそうです。本来は貧しい庶民の料理の代表選手でした。
(つづく)
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スペインとポルトガル31 古都・エヴォラへ

2021-11-14 20:32:00 | Weblog
写真はリスボンからエヴォラへと続く幹線道路の景色。電線をつなぐ鉄塔の上にはコウノトリの巣がいっぱい。

【エヴォラへの道】
リスボンを離れて、バスで東南に130キロ離れたアレンテージョ地方の古都エヴォラへ。

リスボンのセッテ・リオスバスターミナルを出発し、テージョ川にかかるヴァスコ・ダ・ガマ橋を抜けていきます。川の青さと空の青さに吸い込まれていくよう。

この橋は17.2キロメートルとヨーロッパ最長の橋で、朝も夕もとにかく景色がイメージ通りの「リスボン」なのです。エヴォラからの帰りは夕方だったのですが、同じ湿度のある日本とはまた違う、パステル系水彩画。ヨーロッパ的色彩の空と水の中心に立ったような現実から少し浮遊したような不思議な感覚がありました。

やがて風景は湿度の薄い緑と乾燥した大地へと一変。海沿いのリスボンから内陸に向かう4車線道路からは日本とは違う丸い松、ひよっと伸びたオリーブ林やユーカリ、コルクの林が見え、時折、間を占める草原に豚やヤギなどの家畜の群れがゆっくりと動いています。電気を運ぶ鉄塔のあらゆる角度にコウノトリの巣がいっぱい。絵本のような景色がえんえんと続きました。1時間半の車窓は飽きることがありません。

一瞬、霧にむせぶ地帯を抜けると、エヴォラの街に到着。ここでは雲一つないカンカン照りの日差しが降り注いでいました。
(つづく)
※次週の更新はお休みします。季節の変わり目ですので、ゆっくり深呼吸を忘れずにお過ごしください。
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スペインとポルトガル30 アウグスタ通りの朝食

2021-11-07 10:34:53 | Weblog
「セント・ニコラス」の朝食セット。これにコーヒーが付く。ポルトガルでは珍しく野菜が付いていない。これで1000円ほど。朝7時のせいか、通りにたくさんあるお店のうち、開いているのは数軒程度だった。

【外で朝食を】
シントラ、ロカ岬を冒険した翌朝。午前9時にはバスでポルトガルを南下する予定が組まれていました。そこで早めに朝食をとろうと散歩に出かけました。

宿泊ホテルは旧市街のバイシャ地区にありました。バイシャとはポルトガル語で低い土地という意味です。大航海以前から迎賓館、異端審問所などが設置され、現在ではシントラ行の鉄道の起点ともなっているロシオ広場と、テージョ川が目前に広がるコルメシオ広場の間に位置します。

いにしえのリスボンの顔ともいえる二つの広場をつなぐアウグスタ通りによさそうな食事処が集まっているのを昨日、ロシオ駅に歩いていくときに発見して興味を持っていました。

外気温6度。底冷えで吐く息も白い静かな朝7時。

歩行者天国となっている石畳のアウグスタ通りの中央には、白いパラソルとテーブルが常設されていました。そこでは亜麻色の髪の店員が早くもイスをテーブルから手早く降ろして、きれいに整えていました。

店内からは、しゅんしゅんとやわらかな湯気。コーヒーを立てているのでしょう、いい香りがします。たまたま目に入った「セント・ニコラス」という店に入っていくと、そこの店員が当たり前のように

「外? なか?」
 
と聞いてきました。「外」はテイクアウトの意味ではありません。外で食べるかと聞かれているのです。

私は迷わず「なか」と答えました。看板の写真にある朝食セットを頼み、室内の温かさに手を伸ばしていると、写真よりも数段大きいクロワッサンに食パン、大きな目玉焼きとよく燻製されたソーセージが出てきました。たっぷりのバターはコクがあってパンに載せると食欲倍増です。

ペロリと平らげて、最後にコーヒーを飲んで外に出ると、通りの中央にあるテーブルには朝食をとる人々が何組か座っていました。この程度なら寒くはないのか、それとも外の空気が好きなのか? 世界にパンデミックが訪れる前から、外で食べる文化がこちらでは根付いていたのでした。
(つづく)

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