たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

須賀敦子の著作に出会う「モランディの静物」

2011-06-25 11:20:22 | 須賀敦子の著作


NHKBSプレミアムで毎朝7時15分から
[額縁をくぐって物語の中へ]という番組があります。



昨日(24日・金)はモランディの「静物」でした。
イタリアのボローニャに生まれのジョルジョ・モランディの静物画といえば、
昨秋から読み続けている、須賀敦子が大好きだった絵画です。
著作のなかに、作品に出会ったときの記述が幾度か登場します。



「コルシア書店の仲間たち」のなかの一章「夜の会話」にもあります。
ミラノ生活で知り合った、貴族社会の流れを汲むオールドたち、
今風に言えば「超セレブ」たちの館に招かれ、
モランディの静かで気品さえ感じる作品に出会う。

いま読んでいる河出書房文庫版の「須賀敦子全集」(全8巻)
表紙はモランディの静物画の写真がモチーフになっています。



ところで、NHKBSの「額縁をくぐって物語の中へ」
番宣のコピーには<絵の中に入って、登場人物に話を聞いたり、
人物がどこを見ているのか探ったり
窓の外側に出て画家が描いていない街を散歩してみたり…
「視点」を変えて絵の中の世界を見てみると、
名画の新しい楽しみ方が見つかります>
”美しい絵の中に入ってみたい!”
そんな願いをかなえる番組です―――とあります。



良く知られた名画について、
制作の背景、作者の意図など画中の人物と対話したり、
尋ねたりしながら、名画の中を歩き回ります。
実に面白いです。名画鑑賞の新境地を開いた番組ですね。

3日間にわたった「源氏物語絵巻」など、
人物の配置の中に、どろどろの愛憎と哀しさを語る絵巻ドラマ。
また、モーリス・ドニの「セザンヌ礼賛」は昨年の夏、
国立新美術館で開かれた「オルセー美術館展」で眺めただけの絵でしたが、
まあなんと、複雑な背景と製作意図が込められていることを知りました。

NHK年間受信料1万6180円は、高いと思うか、値ごろと思うべきか。
贅沢に作られた海外ロケ番組など見ていると、金遣いが荒いなとも感じます。