般若心経

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2018-02-22 | Weblog
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 ふしぎなおじさん

 ふしぎな人に出会いました。今でも何だったのかよく分かりません。
先日、東京での結婚式の後のことです。そのまま宿へ向かうにはまだ時間あり、改修を終えた東京駅を見てから渋谷の街に行こうということになりました。
式場のホテル横の和田倉公園で噴水を眺めながら庭園を横切ろうとしたら、休憩所から小柄な男性が出てきて話しかけられました。昭和18年の生まれだというその人はグレーのコートと少し皴のよったベージュ色の帽子を被っています。
私たちがあちこちきょろきょろ見ながら歩いていたので、東京の人間ではないと思ったのでしょう、「ここはもと大名屋敷の跡でどこそこの大名、あちらはどこの大名」とすごい早口で話し始めました。さらに見える範囲のビルを指さして細かく由来を説明してくれます。
別に時間的に急ぐことはないし、話もおもしろそうなので、しばらく聞いていると、「自分は文化庁の審議委員をやっており、なんでも鑑定団にも出ている。中島は焼き物、北原はおもちゃ専門だが、自分は刀剣と落款の二つを専門にしている。
明日は江戸東京博物館で講演を頼まれているので、今日は文化庁の宿舎で泊まる。
岡山の長船は刀のふるさと、刀をやっている人間で長船に行ったことのない人間は偽物だ。自分は45回も行っている。
NHKの大河を見ているか? 再来年の大河の時代考証を頼まれている、覚えていたら見てほしい。時代考証の一番初めに出てくるから」などと次から次へと話が続きます。
そして明日の講演会の資料とだといって大名の家紋、徳川家の系図、大名の格付け一覧表などA3版6枚をもらいました。そして、その資料にサインをしてあげようと言ってカバンの中から筆を取り出して名前を書いてくれました。
「このサインは後にかなりの値打ちが出てくる。人には見せないように、見せると絶対に欲しがられるから。サインを持って歩いていて盗られた人もいる」といいます。
その後、道順は分かるからと断ったのですが、東京駅まで案内すると言い前を勝手に「こちらへ、こちらへ」と言ってずんずん進み、駅前広場で別れました。
あれこれ30分位も話を聞いていたでしょう。やはり東京だ、いろんな人がいるものだと思いました。
 しかし、ホテルに戻り、後から考えるとおかしなことに気づきました。
まず、スマホで見てみると、サインしてくれたその名は1件もヒットしません。文化庁の審議委員にも該当なし、なんでも鑑定団の鑑定士一覧にも掲載がありません。
話の途中で刀剣の専門で文化庁の審議委員をしているということなので、「この前、岡山県立博物館の国宝の刀が新潟に売られる話があったがどう思うか」と話を持ちかけましたが別の話へとはぐらかされました。
翌日講演を行うという江戸東京博物館は昨年10月から工事のため全館休館中です。
国会図書館で特別に申請してコピーを取らせてもらったというその資料は、相当な回数コピーを繰り返しているようでよく見ると字がくずれてしまっています。とても講演会で使用できるような資料ではありません。
サインの日付は平成三十六年如月となっていますし、家内の話では少しお酒の匂いがしていたそうです。
からかわれたのでしょうか。
 再来年のNHKの大河ドラマを見れば、はっきりするでしょう。
そのサインが『間違えた日付を書いた〇〇さんのサイン』としてなんでも鑑定団で数万円の鑑定がつくことを夢見ながら待ってみることにします。





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