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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

民営化40年 NTT法廃止の狙い① フリーハンドを与えよ

2024-04-14 07:12:06 | 経済・産業・中小企業対策など
民営化40年 NTT法廃止の狙い① フリーハンドを与えよ
国民共有の財産の私有化を狙う新自由主義が台頭する中で、1985年に電信電話公社が民営化されてから来年で40年―。岸田文雄政権は、後継組織のNTTに全国どこでも安定的に電話サービスが受けられるユニバーサルサービスの提供責務を課したNTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)を廃止しようとしています。
JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)通信産業本部特別執行委員の重見幸春さんに問題点を聞きました。
(佐久間亮)

JMlTU通信産業本部特別執行委員 重見幸春さんに聞く

慎重意見を無視

―政府は今国会に提出したNTT法改定案に、現在NTTに課している研究責務(研究推進と成果の開示)の廃止と、禁じている外国人の役員就任の緩和を盛り込みました。さらに付則で、2025年の通常国会に向けてNTT法廃止も含めた検討を進めると明記しました。
法案にいたる総務省の審議会では研究者や地方団体などから多くの慎重意見が出ていました。しかし法案をみると国の規制をすべて取り払い、「フリーハンドを与えよ」というNTTの主張がそのまま反映されたという印象です。
NTTと政府・自民党は、研究責務が国際競争力や経済。安全保障上の障害になるといいます。
しかし、総務省の審議会で国の情報通信研究機構は、日本の国際競争力の向上には機構とNTTが相互に補完し協力し合うことが必要だと主張。委員からも、多くの日本企業が研究所を縮小してきたことで基礎研究ができなくなり応用研究に進めない状況にあることをみれば、NTTの研究責務は残すべきだとの意見が出されました。



NTTが開発を進めるIOWNのイメージ(同社ホームページから)

軍事利用の思惑
―NTTが開発中の次世代通信基盤構想「IOWN(アイオン)」に防衛省が注目していると報道されています。研究成果の開示義務廃止には軍事利用の思惑も働いてはいないでしょうか。
アイオンが成功すれば極めて少ない電力で大容量・高品質なデータを素早く送信できるようになります。軍事転用への期待があっても不思議ではありません。
研究成果の開示義務が経済安全保障にどれほど影響を及ぼしているかは率直にいってよく分かりません。競合するKDDIは、現行法のもとでも研究成果の開示・非開示はNTTが自主的に判断してきたとし、法律をいじらなくても運用見直しで対応可能なはずだと指摘しています。
NTTは、外国人の役員就任規制の緩和について国際展開に不可欠だといいます。すでにNTTの大株主の上位をJPモルガンチェース銀行など海外投資家が占めており、こうした投資家から役員が送り込まれることでNTTの株主利益優先の経営がいま以上に強まる可能性はあると思います。
注意すべきは、研究責務の廃止も外国人役員の緩和も、NTTの公的責務放棄につながる完全民営化に向けた足掛かりだということです。今回の法改定案の本丸が、NTT法廃止に言及した付則にあることは間違いありません。民営化以降の40年の歴史を振り返れば、完全民営化はさらなる労働者の犠牲、利用者軽視、株主優先・利益至上経営をもたらす危険が極めて高いと思います。(つづく)(4回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年4月10日付掲載


NTTと政府・自民党は、研究責務が国際競争力や経済。安全保障上の障害になると。
しかし、総務省の審議会で国の情報通信研究機構は、日本の国際競争力の向上には機構とNTTが相互に補完し協力し合うことが必要だと主張。委員からも、多くの日本企業が研究所を縮小してきたことで基礎研究ができなくなり応用研究に進めない状況にあることをみれば、NTTの研究責務は残すべきだとの意見。
アイオンが成功すれば極めて少ない電力で大容量・高品質なデータを素早く送信できるようになります。軍事転用への期待があっても不思議ではありません。
民営化以降の40年の歴史を振り返れば、完全民営化はさらなる労働者の犠牲、利用者軽視、株主優先・利益至上経営をもたらす危険が極めて高い。

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