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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

性犯罪刑法改正 論点のポイントは① 「不同意」要件は不可欠

2021-06-01 07:24:06 | 政治・社会問題について
性犯罪刑法改正 論点のポイントは① 「不同意」要件は不可欠
性犯罪の刑法改正に向けた法務省検討会は5月21日、議論の報告書をまとめました。今後見込まれる法制審議会(法相の諮問機関)に向け、性被害当事者らがくり返し求めてきた法改正に踏み出すのか、国の姿勢が厳しく問われています。中心的な論点のポイントをまとめました。(日隈広志)

今回の刑法改正の焦点は、「暴行・脅迫」要件を撤廃し、「不同意性交等罪」を新設することです。フラワーデモなど当事者らはこれまで、同意のない性交の適切な処罰のため被害者の「同意がない」ことを要件に明記するよう訴えてきました。
報告書は、現行法の強制性交等罪の構成要件の「暴行・脅迫」では処罰範囲が狭すぎるなど問題があると認めました。その上で、法改正は「威迫」「酩酊(めいてい)」など手段や被害者の状態を列挙し、「その他の意に反する性的行為」といった包括的な要件を設けることで「おおむね異論はなかった」としました。「その他の意に反する性的行為」とは、当事者らが求める「不同意」明記の案です。
しかし包括的要件には「拒否・拒絶が困難」「抗拒・抵抗が著しく困難」との案も併記されました。これでは被害者側になお重い立証の負担がかかり、法改正を求める趣旨に反することになります。


性犯罪の刑法改正に向けた動き
2017年6月110年ぶりの刑法改正。付則に「3年後めどに施策の検討」
2019年3月強制・準強制性交等罪での四つの不当な無罪判決
4月フラワーデモ開始
12月ヒューマンライツ・ナウなど刑法改正市民プロジェクトが共同で法改正案発表
2020年3月フラワーデモが全国47都道府県に拡大
法務省が検討会設置
2021年2月市民プロジェクトの「不同意性交等罪の新設」を求める署名6万人分超を検討会提出
5月検討会が報告書をとりまとめ、終了
法制審議会への諮問へ


検討会委員で、性被害当事者の山本潤・スプリング代表理事は11日のフラワーデモで、検討会が「その他の意に反する性的行為」を案に挙げた上で包括的要件の設定でまとまったことは「希望だ」と歓迎しました。一方で、それが入らない場合「法改正しても従来と変わらない」と述べ、予断を許さないとの認識を示しました。
当事者や支援団体はこれまで6万人分超の署名や臭体的な改正案を示してきました。それにもかかわらず具体案が示されなかったことに対し、国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」は21日の声明で「不同意による性被害が処罰されない事態の継続を甘受せよという結論は容認できない」として「遺憾」の意を表明しました。
法務省は当事者らの思いを受け止め、当事者や支援団体が示してきた法改正案を法制審への諮問の要綱案に盛り込むべきです。法制審の構成員には性被害支援の専門家や当事者の参加が不可欠です。(つづく)

男女の権力構造無視するな
千葉大学教授 後藤弘子さん


検討会での報告書に欠けているのは、異性愛を前提とした場合ですが、男女の間の社会的権刀構造を無視しているということです。
法制審では、日本社会の深刻な男尊女卑のジェンダー不平等を議論の前提に据え、「不同意」を明記し、不同意性交の禁止をはっきりと打ち出すべきです。
これまで性犯罪の本質は「性的自由の侵害」だと言われてきました。しかし、不同意が客観的に明らかな場合でも、「暴行・脅迫」要件があるために、性交が「相手方の反抗を著しく困難ならしめる程度のもの」(判例)でなければ、犯罪が成立しないとされてきました。実際検察では「頭を抑えつける」「ベッドに引きずり込む」などの行為があっても、通常の性行為にも伴うものであり、「抵抗できないほどの暴行・脅迫ではない」として不起訴にする運用が散見されます。
1907年に成立した刑法そのものが、「性的同意・不同意」の意味を被害者の視点から理解していないために、明らかな暴行・脅迫がなければ犯罪は成立せず、事実上加害を容認してきました。
刑法の性犯罪規定を前提として、日本社会には「二人で酒を飲む」「ホテルに行く」ことが性交の同意だと加害者男性目線で不同意性交を容認し、被害者女性に責任を転嫁する規範や価値観を維持してきました。
このことが、被害者の不同意が重視されず、「強姦(ごうかん)神話」など2次被害やセクシュアルハラスメントなど性暴力の土壌になっています。
政府・自民党からは「セクハラ罪という罪はない」(麻生太郎副総理)、「女はうそをつく」(杉田水脈衆院議員)などの暴言がやみません。刑法が性暴力に寛容な男性権力の支配に加担してきたと反省すべきです。
性暴刀根絶には社会での個人の行為を刑罰で規律する刑法の役割が欠かせません。明治期以来110年以上続く女性差別の不正義と決別するかどうかが間われています。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年5月31日付掲載


性犯罪の被害者が自ら立ち上がり声を上げたことが大きい。
「不同意による性被害」を処罰する。
千葉大学教授 後藤弘子さんに言わせると、これまで性犯罪の本質は「性的自由の侵害」。つまり男女間の性行為はお互い「やりたい・やってもらいたい」の関係で外部から口をはさむべきでないってこと。
でも「それはちょっと違うよ」ってことで「不同意」要件が重要。
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