橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

世界にまるで不用の物なし【EHAGAKI復刻版 #352】

2023年11月13日 | EHAGAKI

SDGsな、ネタ資源保護の為のEHAGAKI復刻版その1であります

 

分類して整理することは、大切で重要なコトでしょうが、私の場合は、

・情報を一か所に集める
・整理分類に時間労力を使わない
・忘れる力が益々充実しているので“忘れる前提”で“覚えない”
・手書きメモは好きなので書くが、書くのは一か所、分類せず時間順に
(コクヨのSKETCH BOOKで現在115冊目)

という塩梅であります

現在の情報処理は

・多くの材料を集め
・その材料をデータ化して蓄積
・必要に応じてそのデータを自在に取り出し
・提供する

というものが主流でしょうか

それとよく似た方法を100年前に実践していた日本人がいます

知の巨人と言われる南方熊楠がその人です

2018年の2月25日、お休みの日曜日、昼前に上野の国立科学博物館に向かいました

南方熊楠生誕150周年記念企画展「南方熊楠100年早かった智の人」を観る為です

まぁ、その後アメ横で知人と待ち合わせて昼酒でしたが、、、

南方熊楠、私が初めて取り上げたのは2002年3月19日です・・・※

なぜ、すぐに日付まで書けるかというと、まさに現在の情報処理方法(そんな大そうなこともないですが)

このメールなどもエバーノートというアプリに入れてますので、検索すればすぐに見つけられる、という塩梅であります

エバーノートの様な最新のツールをうまく活かせば、まだまだ「智」は集められると愚考する次第です


以下その展示、私のメモです ↓

◆ ◆ ◆ ◆

一切智の人、熊楠の情報処理には、今日の情報処理、WikipediaやGoogleと類似

熊楠の情報処理の特徴

1)とにかくたくさん材料を集め

2)それぞれの材料をデータ化して蓄積し

3)必要に応じてそのデータを自在に取り出す

これはまさに、現在のサイバー空間における知識の蓄積と情報処理によく似ている

今日の情報機器を使って行っているような情報の利用を、熊楠は100年前に行っていたのかもしれない

◆ ◆ ◆ ◆

とのことです

こんな言葉の断片も展示されていました

◆ ◆ ◆ ◆

熊楠語録

しかるに、小生は多年間夢のことを研究す。
銭もなにもいらぬ研究ゆえ面白し。
熊楠26歳 1893(明治26)年12月24日土宜法龍(どぎほうりゅう)宛書簡より

学問と決死すべし。
熊楠28歳 1895(明治28 )年日記の見返しより

晩学如夜灯尚勝無之(晚学は夜の灯の如し、なおこれに勝るもの無からん)
熊楠28歳 1895 (明治28)年日記の見返しより

宇宙万有は無尽なり。(略) 宇宙の幾分を化しておのれの心の楽しみとす。
これを智と称することかと思う。
熊楠36歳 1903 (明治36)年6月30日土宜法龍宛書簡より

物を多く識るばかりで、それを 一々つづけて考えねば何の悟りも用もなし。
熊楠36歳 1903(明治36)年8月8日付土宜法龍宛書簡より

世界にまるで不用の物なし。
熊楠56歳 1923(大正12)年12月11日「十二支考」
「鼠(ねずみ)に関する民俗と信念」より

人の交わりにも季節あり。
熊楠58歳 1925(大正14)年9月21日上松蓊(うえまつしげる)宛書簡より

小生はそのころ、たびたび『ネーチュール』 に投書致し、東洋にもありたることを西人に知らしむ ることに勤めたり。
熊楠58歳 1925(大正14)年1月31日
「そのころ」とは30歳前後のこと。東洋にもちゃんと研究者が居ることをアピール!

そのころは、熊野の天地は日本の本州にありながら、和歌山などとは別天地で、蒙昧といえば蒙昧、しかしその蒙昧なるがその地の科学上、
きわめて尊かりし所以で、小生はそれより今に熊野に止まり、おびただしく生物学上の発見をなし申し候。
熊楠58歳 1925(大正14)年1月31日  「そのころ」とは35歳のこと

小生のもっとも力を致したのは菌類で、これはもしおついであらば当地へ見に下られたく、主として熊野で採りし標品が、幾万と計えた
ことはないが、極彩色の画を添えたものが 三千五百種ばかり、これに画を添えざるものを合せばたしかに一万はあり。
熊楠58歳 1925 (大正14)年1月31日矢吹義夫宛書簡(履歴書)より

己れ九歳の程より菌学に志ざし、内外諸方を歴遊して息まず。今、六拾三に 及んで此地に来り、寒苦を忍び研究す。
これが何の役に立つ事か自らも知らず。

苔の下に 埋もれぬものや 蟹乃甲 熊楠
熊楠62歳 1929 (昭和4)年1月6日に書いた色紙より

人となれば自在ならず、 自在なれば人とならず
熊楠58歳 1925(大正14)年1月31日矢吹義夫宛書簡(履歴書)より

記憶という物ほどあてにならぬは、かいしんなしと今さら大いに戒心致し候。

戒心……用心すること。
熊楠70歳 1937 (昭和12)年8月11日上松蓊宛書簡より


◆ ◆ ◆ ◆

※ HAGAKI Vol.42(2002.3.19)より

If the river was whiskey, And I was a duck
I'd dive to the bottom, And I'd never come up

というフレーズは複数の歌に共通して使われています
なんともダメ男の現実逃避の歌詞なのですが 
それは「叫び」でありそこにも のすごいパワーを感じます

私の読書のフェイバリットである南方熊楠は知人からの
「酒を控えた方がいいですよ」という親切な忠告に対して
以下の様な返事の手紙を書いています

小生に酒をつつしめ云々と有之(これあり)。小生は親や兄弟が言うても酒をつつしまず。

又、たとえ慎むべしと約束した処が、酒をつつしむ男に無之候(これなくそうろう)。

小生、従来名を挙げ事を成したるは、みな酒の被護にて候。

其許は酒を飲まず。故に常に腰弱く・・・・酒がいやなら自分謹んで可なり。

人に勧むるに及ばず。・・・・小生酒を飲んでも其許の損に成らず。

其許は酒を飲まぬが、非常に小生及び当地方の多人数の迷惑を起こし居る也。・・・・体や酒の事は其許等の世話にならず。

ここまで言いきることにパワーとある種の感動を覚えるのは私だけでしょうか


◆ ◆ ◆ ◆

ということでした

実はこのメモの部分
iPhoneで写真撮影、その写真をiPhoneアプリでスキャン

そのアプリはデジタルテキスト(文字)として読み取りできるのでそれをiPhoneからエバーノートへコピペ

パソコンでエバーノートを開いて読み込み間違い等を修正

思い出したい時は、キーワードで検索、ということで年々実力が増している「忘れる力」を新しい道具で薄めている今日この頃であります

◆ ◆ ◆ ◆

と書いたのは2018年5月6日

新しいiPhoneは写真から文字のテキスト化もそんな手間が要らなくなったようです

日進月歩

ではまた


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