宮応かつゆきの日本改革ブログ

●日本共産党
総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

「卑劣なテロ犯罪を厳しく非難するー『法の裁き』による解決という原点に立った行動を」ー志位委員長

2021年08月28日 | 未来社会へのプロセス
「しんぶん赤旗」28付から、アフガン空港付近で起こったテロ犯罪について、志位和夫日本共産党委員長の談話を紹介させていただきます。

一,8月26日、アフガニスタンの首都カブールで起きた大規模な爆発で、多数の市民や米兵などに死傷者が出た。米国のバイデン大統領は、ISの地域組織による犯行だと非難し、IS関連組織も犯行声明を出していると報じられている。犠牲となった方々への哀悼を表明する。
 多数の市民の生命を無差別に奪う憎むべき蛮行は絶対に許されず、いかなる理由によっても正当化できるものではない。日本共産党は、今回の卑劣なテロ犯罪を厳しく非難する。

一、テロ犯罪をうけ、バイデン米大統領は、報復攻撃の準備を指示した。しかし、この20年間のアフガニスタン戦争の教訓は、報復戦争ではテロはなくならず、かえってテロを拡散し、テロと戦争の悪循環をつくることにある。
 国際社会が、この教訓を踏まえ、国連を中心に、国際法にもとづく「法の裁き」によってテロ犯罪を根絶するという原点に立ち返って行動することを、強く求める。

「核兵器禁止条約の発効ー『ある種の革命が起こった』オーストリアのハイノッチ大使  

2021年08月10日 | 未来社会へのプロセス

 被爆76周年の記念式典が6日に広島市で、9日長崎市で開催されました。今年も直接被爆地を訪問することはできませんでした。2人の市長の「平和宣言」はテレビで視聴しました。

 広島市の松井一実市長は、「日本政府には、一刻も早く核兵器禁止条約の締約国となるとともに、第1回締約国会議に参加していただきたい」と訴えました。

 9日の長崎平和式典で田上富久市長は「平和宣言」で次のようによびかけました。
「人類が核兵器の惨禍を体験してから76年目の今年、私たちは、核兵器をめぐる新しい地平に立っています。今年1月、人類史上初めて『全面的に核兵器は違法』と明記した国際法、核兵器禁止条約が発効したのです」
「日本政府と国会議員に訴えます。核兵器による参加を最もよく知るわが国だからこそ第1回締約国会議にオブザーバーとして参加し、核兵器禁止条約を育てるための道を探ってください。~ そして、1日も早く核兵器禁止条約に署名し、批准することを求めます」
 被爆地の市長の「平和宣言」は、私たちの運動を励ましています。

 日本共産党は4日、党創立99周年記念講演会を開き、志位和夫委員長が講演しました。視聴し、「しんぶん赤旗」でお読みいただいている方が多いと思いますが、「核兵器禁止条約の発効ー『ある種の革命』が起こった」の部分について、紹介させていただきます。

 「この間、私たちと全く同じ見方が、核兵器禁止条約の実現の先頭に立ってきた著名な外交官からのべられました。オーストリアのトーマス・ハイノッチ大使は、今年4月に行った講演で、核兵器禁止条約は、『核武装国から、核軍縮の独占権を奪うものとなった』という点で、『ある種の革命』だったと強調しました」
「ハイノッチ大使は、『市民社会と決意をもってとりくんだ国々の協力こそが、この画期的な条約を実現したのです』と語りました」
「こうしたもとで、唯一の戦争被爆国の政府の立場が問われています。世界で、『ある種の革命』ともいえる、国際政治の『主役交代』が起こっているもとで、米国だけが、『主役』だといつまでも思い込んでいる。そういう古い色眼鏡でしか世界をみることができない。核兵器禁止条約にいつまでも背を向け続ける。こんな政権でいいのか」
「ここでも政権交代が必要ではないでしょうか。みなさん。核兵器禁止条約に署名・批准する新しい政権を、みんなの力でこの日本につくろうではありませんか」


 

 

 

 


「平和・人間の尊厳に逆行ー坂上康博一橋大学大学院教授(スポーツ社会学)」

2021年08月05日 | 未来社会へのプロセス

「しんぶん赤旗」5日付に「東京五輪ー異議あり」コーナーに、坂上康博一橋大学大学院教授(スポーツ社会学)のの発言が紹介されてぎます。一部を紹介させていただきます。

「200以上の国」と地域の人々が一堂に会する文化イベントは五輪しかありません。その目的は、五輪憲章にある『人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会』をつくることです。競技大会はそのための手段です」~中略~

「今回の五輪では、『多様性と調和』が前面に出て、その一方で平和運動としての自覚が後退しているように思います。たとえば、開会式で100歳の最年長金メダリスト・ハンガリー女子体操のアグネシュ・ケレティさんにスポットをあてながら、五輪の100年を振り返る動画が流れました」

「ケレティさんはナチスの迫害を受けて、父親がアウシュビッツ強制収容所で殺され、大戦による中断で五輪の金メダル獲得は31歳でした。戦争の大きな被害者なのです。しかし、動画はこの点に全く触れず、黒人選手や女性の活躍のシーンを『多様性』を示すものとしてひたすら強調するものとなっています。そもそもコロナ禍での開催自体が『人間の尊厳の保持に重きを置く』という五輪の理念に反しています」~中略~

「日本国民の圧倒的多数も今このタイミングで五輪を開催することに批判的です。開催地でこれだけ反対された例は過去にありません。コロナの感染拡大が終息しておらず、ワクチン接種も十分になされてないからです。コロナは人の命を奪います。まずはその対策に集中する。その後に五輪開催という当然の手順をふまえないで国民の合意を得られるはずなどありません」~中略~

「『人間の尊厳』を保証するうえで重要なのは、日本国憲法の第13条だと思います。自民党はそれに制限を加えるような改正をめざしていますね。五輪の理念や原則の無視や不祥事の続出も当然だと思います。招致からここまで、ばく大なお金と労力を使って最後の最後がこれか、というのが率直な思いです」


「『五輪より命が大切』の立場で中止の決断を求め続けるー志位委員長の7月22日の声明

2021年08月01日 | 未来社会へのプロセス

 国内の新型コロナウイルス感染者は7月31日、1万2341人が新たに確認されました。以下、「しんぶん赤旗」8月1日付の報道から紹介させていただきます。

「1日当たりの感染者数が1万人を超えたのは3日連続で、4日続けて過去最多を更新しました。死者は9人。重症者数は667人で、前日から41人増えました」

神奈川県(1580人)では4日連続で最多を更新。大阪府(1040人)は5月8日以来、埼玉県(1036人)は初めて1000人を超えました。この他、千葉(792人)、沖縄(439人)、京都(199人)、静岡(168人)、群馬(136人)、新潟(58人)の各府県も最多でした」

「東京都では4058人の感染が確認されました。1日当たりの新規感染者は初めて4000人を超えました。新規感染者の直近」1週間平均」は前週比217%の2920人。新規感染者を年代別に見ると、20代が1484人で最多。30代887人、40代583人、50代398人と続きました。65歳以上は106人」 

 コロナの感染が急増している中で、五輪は続いています。あらためて、7月22日の志位委員長の「声明」を紹介させていただきます。

「(一)「五輪より命が大切」―この立場から、日本共産党は、今年一月以来、五輪を中止し、コロナ対策にあらゆる力を集中することを求めてきた。五輪の開催が強行さるもとでも、わが党は、命を守ることを最優先にする立場を揺るがず貫き、開会途中でも中止を決断することを求め続ける」

「(二)開催都市東京の感染が、過去最悪ペースで増えるなど、国内の感染はきわめて深刻であり、すでに病床が逼迫し、医療崩壊の危機も差し迫っている。緊急事態宣言を出しながら、それとまったく矛盾する五輪開催に突き進めんだことが、国民への誤ったメッセージとなり、感染を拡大するうえでの重大な障害となっている」

「たとえ『無観客』であっても、選手、大会関係者、警備や輸送、ボランティア、報道関係者など、数十万人にのぼる巨大イベントは、さまざまな場面で感染拡大のリスクを大きく増大させている。すでに選手村内でのアスリートの感染が連日明らかになるなど、『バブル』は穴だらけとなり、『安心・安全の大会』という日本政府、東京都、IOCの言い分は完全に崩壊している」

「世界を見ても、パンデミックは、デルタ株のまん延など深刻化している。そのもとで『世界最大のスポーツの祭典』を開催することが、世界にウイルスを拡散させる一大契機になるとの警告が発せられている」

(3)『多くの人々の命にリスクをもたらしながら、なぜ五輪を開催しなければならないのか』この根本的な問いに、菅首相は、いまだに答えられないままである」

「(4)以上の諸点にてらして、今回の五輪開催が間違いであることはあまりにも明らかである。この間違いは、開会を強行することで、決してあいまいにしたり、なし崩し的に容認したりすることをしてはならないものである。『五輪より命が大切』の立場にたち、中止の決断を」

「思想・信条の違いをこえ、この一点で、力をあわせよう。日本共産党は、命を守ることを最優先にする立場を貫き、国内外の多くの人々と手をたずさえて奮闘する決意である」


「悪政隠すスポーツウォッシングー平尾 剛ラクビー元日本代表、神戸親和女子大学教授」

2021年07月29日 | 未来社会へのプロセス

「しんぶん赤旗」日曜版8月1日号に、「五輪考え直す機会」のコーナーに、元ラクビー日本代表、神戸親和女子大学平尾剛教授の発言が掲載されました。私も拝読し、興味を感じました。紹介させていただきます。

「『スポーツウォッシング』という言葉をご存じでしょうか。政府や権力者が、自分たちに都合の悪いことをスポーツの喧騒で洗い流すという意味です。サッカーの元米国五輪代表で米パシフィック大学のジュール・ボイコフ教授の言葉です」

「東京五輪の開催をめぐり、国際オリンピック委員会(IOC)も日本政府も狙いはここにあると思います。現実に彼らがやっていることは社会における『倫理の破壊』です。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)禍で、人々の命や暮らしが脅かされる中、そこに目をつぶり、うそにうそを重ねて五輪を強行するー。社会のあるべき姿、倫理的な価値観を狂わせている罪はあまりに重い」

「マスメディアの加担ぶりも目に余ります。大会直前まで五輪を批判、コロナの危機を叫びながら手のひらを反しています。感染拡大の現状すら十分に知らされていないのは深刻です」

「今大会は競技としてもいびつです。スポーツで最も大事なのはフェアネス(公平、公正)です。しかし、コロナ禍で選手をとりまく環境はさまざま。万全な態勢で練習できた選手もいれば、そうでない選手もいる。公平な競争がないのに、優位な状況にある選手はメダルに駆り立てられ、目をつむらされています。相手への敬意は後景においやられ、弱肉強食という資本主義の倫理が前面に出ている気がしてなりません」

「ある日本の競泳選手が大会に選ばれなかったことで、『正直ほっとしている』と語っていました。五輪と社会の板挟みで、選手にそう思わせる五輪とは一体なんなのか。救いは、行き過ぎた商業主義と政治利用でゆがんだ五輪を、みなが認識したことです。スポーツを五輪から救いだすことが必要ではないか」

「いま、選手の頑張りを評価しつつ、東京五輪に反対し、異議を唱えることとは両立できると私は思います。五輪を見ながらも社会と五輪のあり方を変えるために力を尽くす。スポーツウォッシングを許さないために」


「理念なき五輪開会式ースポーツジャーナリスト 谷口源太郎さん」

2021年07月25日 | 未来社会へのプロセス

 予想された通り、五輪報道にメディアが占領される事態となっています。しかし、新型コロナの感染は続いています。「しんぶん赤旗」は、「五輪より、命が大事」の立場で報道を続けています。 今日は、スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんの発言が掲載されました。紹介させていただきます。

「開会式を見て、この東京五輪がいかに理念なき大会なのかということを改めて実感しています。その最たるものが、国際オリンピック委員会バッハ会長のスピーチだったと思います。バッハ氏は予定時間をオーバーしてまで長々とスピーチし、『オリンピックコミニュ二ティー』『連帯』などの言葉を多用しました。しかし、何も心に響いてくるものがありませんでした」

「おそらく大義なき東京五輪の空虚さを埋めるため、必死に考えたスピーチだったのでしょう。しかし、そもそもこのコロナ禍で『なぜオリンピックが必要なのか』。政府や組織委員会から説得力ある説明はありませんでした。『復興五輪』『人類がコロナに打ち勝った証としての五輪』『安心安全な大会』・・・。 いずれも国民の心に届くスローガンではありませんでした」

「むしろ、五輪ありきでコロナ対策が中途半端になり、感染は広まるばかり。国民の不安はさらに広がるばかりでした。東京五輪が強行され、国民の中にはあきらめの気持ちを持つ人も多いかもしれません。しかし、バブル方式も機能しておらず、ここまで100以上の五輪関係者の感染者が出てしまっています。人の命を危機にさらすこの大会がうまくいくはずはありません」

「日本政府は、五輪が始まってしまえば、国民は盛り上がると信じきっています。命を犠牲にし、コロナ禍で開催する五輪の意義すら説明できない。この国民への誠実さを欠き、愚弄する政治を許さず、中止を求め続けなければなりません」

「メディアはすでにあの手この手で、こぞって五輪を盛り上げようとしています。背景には、スポンサーの存在があり、世界50億人の視聴者を対象に動く巨額マネーがあります。その商業主義のため、命が脅かされる状況下でも開催を強行する、オリンピックの本質が明らかになりました」

「五輪の存在意義を喪失させた商業主義、国家主義を否定し、スポーツに人間性を取り戻すために、スポーツのあり方を根本から問いなおす必要があるのではないでしょうか」


「人権も人命も危機にー女性の権利を求めるフラワーデモ主催者が東京五輪・パラ中止を訴え」

2021年07月14日 | 未来社会へのプロセス

「しんぶん赤旗」日曜版11日付で作家の北原みのりさんが紹介していた女性の外国特派員協会での記者会見が12日開かれました。同記者会見の内容の一部がいくつかのメディアが13日付で報道されました。

「しんぶん赤旗」13日付から、紹介させていただきます。

「女性の権利を求めるフラワーデモの主催者の松尾亜紀子さんや看護師で随筆家の宮子あずささんら各分野の女性が12日、東京五輪、パラリンピック中止を求め、外国特派員協会で記者会見を開きました」

「五輪が行われようとする中で、日本の女性の権利が侵害されており、人命も危機にさらされていると訴えました。松尾さんは、日本では、医療従事者の多くが女性だとした上で、コロナ対応に必要な医療従事者が五輪に動員され人員不足が深刻化し、より過酷な労働環境に追い込まれていると説明しました」

「日本女医会理事の青木正美さんは『無観客にしようが、選手や関係者が大量に集まることは絶対にしてはならない』と述べ、五輪を実施すれば東京が感染源になると警告しました」

「国際婦人年連絡会CEOの前田佳子さんは、病院に収容できず、PCR検査すら受けられない在宅患者が増えており、五輪開催で事態が深刻化すると報告しました」

「宮子さんは、看護師は自ら感染を出さぬように、友人や家族とすら接触を避けており、気分転換もできずに追い詰めらていると語りました」

「教育関係者は、『子どもたちは給食での会話すら許されず、さまざまな行事が中止になっているが、なぜ五輪が特別扱いか』と批判しました」

 


「五輪中止の決断こそ最良のコロナ対策 ー 志位和夫日本共産党委員長」

2021年07月09日 | 未来社会へのプロセス

新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京都に4回目の緊急事態宣言の発令が決定されたことについて、8日国会内で記者会見し、「五輪中止を決断することこそ、最良のコロナ対策になる」と強く主張しました。以下、「しんぶん赤旗」9日付から、一部を紹介させていただきます。

「志位氏は国民に対して、”自粛せよ” ”酒を出すな ” ”運動会、夏祭り、花火大会ををやるな”と求めながら、人類最大のお祭りである五輪だけは開催となれば、矛盾したメッセージとなる。それでは国民の協力は得られない、厳しく批判しました」

「(五輪について)無観客がどうかを議論しているが、無観客かどうかが焦点ではない、と指摘。無観客でも五輪・パラリンピックを開催すれば、海外から6万8000人の外国人が来日し、ウイルスが持ち込まれる危険が生まれるとともに、矛盾したメッセージを発することで国民の感染抑止の協力を得られなくなるとして、『無観客でも、二重の意味で問題は解決しない。五輪の中止を強く求めたい」

【菅政権の3つの致命的欠陥を大本からただせ】

「志位氏は、菅政権のコロナ対応には、五輪の問題にくわえて、三つの致命的な欠陥、責任放棄がある。それを大本からただすことこそ必要だ」として、次の諸点を強調しました。

「第1は、ワクチンの安定供給の責任を果たしていないことです。ワクチンの供給不足で多くの自治体で新規予約が停止に追い込まれ、職域接種も中止に追い込まれる事態になっていることを指摘。政府が供給責任を果たすとともに、正確な情報を正直に国民と自治体に伝えることを強く求める」

「第2は、PCR検査拡大の責任の放棄です。直近の1日あたりの検査件数(1週間平均)は、約5万4000件で、ピーク時(5月13日)の約9万4000件から半減している。1日約21万6000件とされる検査能力の4分の1しか使っておらず、1日1万件と約束したモニタリング検査も直近の数字で5000件だけだと指摘。ワクチン接種によって集団免疫をつくるには一定の時間がかかる。基本的な感染対策、とくに大規模検査をセットでやってこそ、封じ込めができる」

「第3は、補償の責任の放棄です。政府が持続化加給金、家賃支援給付金を1回だけで打ち切ったことを批判。4回目の宣言で自業者に厳しい自粛を強いながら、支援金が1回きりというのはあまりに冷酷で無責任だ。持続化給付金の第2弾をただちに支給し、コロナが収束するまで持続的に支給することを強く求めたい。生活が困窮している人への給付金の支給も急務だ」


「羅針盤を持った人生こそ、生きるに甲斐ある幸福がある」ー志位委員長の学生オンラインゼミ

2021年06月13日 | 未来社会へのプロセス

 今月1日から12日まで連載された、志位委員長と学生のみなさんのオンラインゼミの最終回で宮本顕治元議長の戦前獄中から妻の宮本百合子に送った77年前の1944年10月10日付の手紙の一節が紹介されています。志位さんの若い世代へのメッセージとして、強い思いを感じました。少し紹介させていただきたいと思います。

「最後に、みなさんにお伝えしたいのは、戦前、戦後、日本共産党のリーダーを務め、今日の党の基礎を築いた大先輩に宮本顕治さんという方がいるのです。2007年に亡くなっています。~中略~宮本さんは戦前、国民主権と反戦平和を貫いて弾圧され、激しい拷問を受けるのですが、信念を貫いて、敗戦までの12年間、獄中で頑張りぬいた。あの時代に、よくぞここまでと感嘆するような、本当に理性的なたたかいを貫いた方です」

そこで、顕治さんから妻・百合子さんにあてた手紙が紹介されています。その一節を紹介させていただいます。

「人生を漂流しているのでなく、確平(かっこ)として羅針盤の示す方向へ航海しているということは、それにどんな苦労が伴おうと、確かに生きるに甲斐ある幸福だね。漂流の無気力な彷徨は、生きるというに価いしない。たとえ風波のために櫓を失い、計器を流されても、尚(なお)天測によってでも航海する者は祝福される者哉(かな)以下略」

 そして、志位さんは、学生のみなさんに、次のように訴えました。

「私が、今日、その一端をお話しした科学的社会主義の立場、日本共産党の綱領こそ、若いみなさんの生きる羅針盤となりうるものだと思っています。どうかこの機会に、科学的社会主義と日本共産党綱領を学び、若いみなさんの願いを実現する先頭に立ってる日本民主青年同盟に、加盟されていない方はぜひ加盟していただきたいと、私からもお勧めしたいと思います」

 

 


「社会科学の理論は何によって実証されるか」ー志位氏「社会と経済の現実の運動で確かめられる」

2021年06月06日 | 未来社会へのプロセス

【しんぶん赤旗】日刊紙は6月1日から、日本民主青年同盟主催で5月23日に行われた「社会は変わるし、変えられるー志位さんと語る学生オンラインゼミ」の内容を紙上再現し、連載中です。私も「オンラインゼミ」を視聴させていただきました。今回は、5日付の「科学と実証ー社会科学の理論は何によって実証されるのか」

東京都の学生(理学専攻)ー科学的社会主義や綱領において言われる、科学的に社会をとらえるということは、どのようなものとして解釈されるでしょうか」

志位ー私たちが世界観としている科学的社会主義は、人間の社会にも、自然界と同じように、人間の意識から独立した客観的な運動の法則が存在するという立場に立っています。それでは、その法則が真実かどうかは何によって検証されるか。自然科学の場合は、理学をやっているということでしたが、ある理論の真実性というのは、実験や観測で確かめられます。例えば、アインシュタインが一般相対性理論を提唱しました。この理論が何よって確かめられたかといったら、強い重力を持っている天体のそばを光がとおると曲がる、このことが観測されたことによって正しさが確かめられたわけです」

ー志位さんは、次のように答えましたー

一つは、社会と経済の現実の運動によって確かめられます。たとえば、マルクスは、『資本論』のなかで、資本の蓄積が進みますと、一方では、富みの蓄積が、他方では、貧困の蓄積が起こる。貧富の格差が必然的に拡大する。このことを、徹底的に論じ詰めて明らかにしています。この理論というのは、今日起こっている世界的規模での貧富の格差の途方もない拡大によって、日々、実証されてぎます。そういう形で私は真理性が確かめられていると思います」

「それから、マルクスは、同じ『資本論』のなかで、環境破壊についても、とても先駆的な解明をやっています。資本主義の下での、もうけ第一の生産によって、人間と自然との『物質代謝』が『攪乱』されるという指摘です。19世紀の当時、環境破壊で何が問題だったかというと、その一つは、農業生産での環境破壊でした。資本主義的なもうけ第一の農業生産によって、土地の栄養分がなくなってしまって荒れ地になってしまう。それをマルクスは、『物質代謝』の『攪乱』だとズバリ指摘するのですが、これはいま、まさに、21世紀の今日、地球規模での気候危機とか、感染症の多発とか、深刻な環境破壊によって日々、実証されています」

同時に、もう一つ大事な問題があります。それは、社会と経済の運動法則のなかでも、社会を変える法則ーー社会変革の法則は、自然には進まない、自動的には進まないことです。人民のたたかいによってはじめて、社会変革の法則は現実のものになる。これが自然の法則と社会の法則の大きな違いだと思います」

「たとへば、日本共産党は戦前、天皇絶対の専制政治に反対して主権在民の日本をつくろう、侵略戦争や植民地支配に反対して主権在民の日本をつくろう、侵略戦争や植民地支配に反対して平和な日本をつくろうと訴えました。いろいろなひどい攻撃や迫害が行われましたが、不屈に頑張りぬきました」

「民青同盟の前身の日本共産青年同盟も、そうした旗を掲げて一緒にたたかいぬいたのです。若い女性の革命家で、迫害によって20代前半で命を落とした先輩たちも歴史に刻まれています」

「戦前の日本共産党や共産青年同盟の主張の正しさが、何よって確かめられたかといったら、歴史によって真実性が確かめられています。戦前、日本共産党や共産青年同盟が掲げた旗印は、戦後の日本国憲法の国民主権や恒久平和主義などに実っています。そういう形で真実性が実証されたのですが、そういう歴史の進歩は、自然現象ではなく、たたかいによって勝ち取ったものです」

「日本国民の不屈のたたかい、さらには平和と民主主義を求める世界のたたかいと世論よって、日本の社会変革の巨大な一歩前進が実現したのです」

「私たちがいま掲げている日本共産党綱領も、その真実性は、たたかいによって綱領を実現することによって確かめられていく。そういう立場で頑張りたいと思います」


「日本は ” IOC帝国の植民地” か。”命より五輪優先”の発言許せないー志位委員長」

2021年05月28日 | 未来社会へのプロセス

 日本共産党の志位和夫委員長は27日、国会内で記者会見し、この間の国際オリンピック委員会(IOC)の幹部の一連の発言について、「常軌を逸した発言だ。断じて看過できない」と強く批判しました。以下、「しんぶん赤旗」28日付から、一部を紹介させていただきます。

 この間、IOCのコーツ調整委員長(副会長)は緊急事態宣言のもとでも五輪を開催するかと問われ「もちろんイエスだ」と答えています。バッハ会長は「(東京五輪開催のために)誰もがいくらかの犠牲を払わなければいけない」と述べています。最古参委員のパウンド氏は「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」(「文春オンライン」)とまで発言しています。

「志位氏これの発言について、『日本国民の命より五輪開催を優先させるもので、断じて許すわけにはいかない』と厳しく批判。『緊急事態宣言下でも開催するというのは、感染拡大で多くの方が苦しみ、亡くなる方もいる状況だ。医療従事者は必至でたたかっている最中だ。休業を余儀なくされた事業者は深刻な疲弊のもとに置かれている。そういう状況でも五輪は開催すると平気で言うのは、”五輪ができさえすれば日本国民の命がどうなろうと知ったことではない”と言わんばかりのひどい発言だ』と批判しました」

「パウンド氏が、 『菅首相が中止を求めても、大会は開催される』と述べていることについて、『いったいIOCは何様か。何の権限でそんなことが言えるのか。日本を”IOC帝国の植民地”扱いする主権侵害につながる発言だ」

「これだけひどい発言に、菅首相は一言も抗議せず、『安心安全』『全力を尽くす』と繰り返すだけでいいのか、主権国家の首相といえるのかがいま問われている」

「菅首相は主権国家の政府、国民の命に責任を負うものとして、中止を直ちに決断するよう強く求めたい」

 


”五輪強行納得できない”ー五輪メダリスト・末続慎吾さん=「しんぶん赤旗」紙上で語る

2021年05月27日 | 未来社会へのプロセス

「しんぶん赤旗」日曜版5月30日付に、五輪メダリストの末続慎吾さんが、「五輪強行納得できない」と思いを語っています。一部を紹介させていただきます。

「ぼくは大会を推し進める人たちによる一方的で自己完結的なやり方について、納得がいきません。世論調査で国民の約7~8割が開催に反対しています。その国民感情を見ていないかのような物事の進め方をしているように感じます。国民はなにもむちゃを言っている訳ではありません。何をもって『安心・安全』なのか、知りたいだけなのです」

「これだけ国民世論が『中止』を求めているのは、明らかに説明不足であることは否めません。そして、このまま開催を強行したとしたら、(五輪に対する)負の感情が、大きい箱モノとともに残ってしまうのは目に見えています」

「国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が10日、日本人の『粘り強さの精神と逆境を耐え抜く能力』をほめたたえて、開催できるというメッセージを発信しました。でもいまはそんなことを言われても、日本国民に届かないだろうな、と感じます」

「なぜなら、国民はすでにがんばっていますから。十分に耐え忍んでいるからです。それよりも『五輪開催で日本国民に無理をさせてしまいます』の一言が、なぜ言えないのでしょうか」

「オリンピックの理念からすれば、嘆かわしい事態です。五輪は『平和の祭典』です。人種や肌の色など、違いを超えて『対話』して理解しあうことに意義があります。それなのに開催国がこんなに荒れて、推進する側と国民が分断されてしまっています」

「すべては、推進する人たちが国民感情に向き合わず『対話』の門戸を開かないのがいけません。世界はいま、日本が『対話』で解決する姿を注目しています。開催国がオリンピックの理念や意義にのっとっているのかと。オリンピックはつねに開催国の真実を映し出します。これまでのプロセス(過程)を見ても、日本は恥をさらす場面が多々ありました。これはオリンピアン(五輪経験者)として恥ずかしい思いです」

「アスリートは自分の全存在をかけて、この状況の中でいまなにを考えているのかを発信するべきだと思います。選手は競技だけをしていればいい時代ではありません。開催の是非について、勇気を振り絞って発信するのは、いまです。私も納得できない現状に対して、一アスリートとして、個人として、本当の気持ちを伝えていきたいです」

 


「『ワクチン・検査 英に学ぶ』ー渋谷健司教授(キングス・カレッジ・ロンドン)に聞く

2021年05月06日 | 未来社会へのプロセス

 緊急事態宣言やまんえん防止等重点措置を政府が連休明けにどのように判断するのか。そして、その根拠と今後の対策について、国民が注目しています。

「しんぶん赤旗」の5日付に、「ワクチン・検査・英に学ぶ」の見出しで、中祖寅一編集委員の渋谷健司教授のインタビュー記事が掲載されました。今後の日本政府の対策に参考になるだけでなく、国民の間でも大いに議論し提言していくことが求められているのではないかと感じさせられました。以下、同記事の一部を紹介させていただきます。

「— イギリス型・N501Y変異株の脅威についてお聞かせください」

(渋谷教授)N501Yは重症化率が従来型より60%以上高いというデータもありまが、何よりも恐ろしいのは感染力が強く、感染者数が急激に増えることです。そのために医療機関が逼迫し、十分な治療体制が確保しきれず、結局、死亡者数も重症者数も増えてしまう。『感染者数をできるだけ抑えることが肝心だ』と何度も警告してきましたが、イギリスでも日本でも対応が後手に回り、悪い状況を引き起こしてしまいました」

「また、変異株は若い人や子どもにも感染が広がります。そこで飲食から過程という流れだけでなく、職場や学校で広がり、そこで地域・家庭に持ち込まれるというパターンになります。クラスターも飲食だけではありません」

「— イギリスでの対策はどのようになされてきたのでしょうか」=「略」

「— 『人の行動のコントロールは難しい』という認識で、早くからワクチン開発にかけてきたと聞きます」

「(渋谷教授)アストラゼネカ社にワクチン開発を急がせ、オックスフォード大学のパンデミック・チームにはMERS(中東呼吸器症候群)ワクチンの技術をコロナに使う準備を昨年1月に開始させ、6月にはファイザー、アストラゼネカとのワクチン供給を早々に契約しました」

「ワクチン供給体制についてのタクスフォースを昨年5月に立ち上げました。ワクチンの確保に加え、接種の情報システムやロジスティックス(実行体制の確保)が極めて重要なため、医療のほかデータサイエンスティックスやロジの専門家が集められています。また医療施室以外にも、薬局、スポーツセンター、教会、大きオヒィスなどで打てるように規制を解除し、もともと薬剤師が打てるうえに、法律を改正して訓練を受ければボランティアでもワクチンを打てるようにしました」

「— ワクチンの効果が出てくるまで、さらに検査・隔離が不可欠ですね」

「(渋谷教授) ジョンソン政権は、すでに昨年9月には『国民全員検査』の方針を出しています。ワクチンが供給されるまでに検査を拡大することが社会を回すために必要だと言っていました。その後10月末までに1日50万件の体制をつくり、今は1日100万件以上。3月8日からはイングランドでは無料で誰でも週に2回の検査ができるようになっています。

― 中略 ―

「イギリスにも南アフリカ型変異朱が南ロンドンの一定の地域に広がりつつあり、そこでは全員検査をやるために一戸一戸ドアをたたきながら検査に回っています。また子どもにも感染が広がることから、学校に定期的に検査が行われています」

「— ワクチン、検査をメインとした対策に治療薬の開発を加えた出口戦略=『正常化への道程』が示されたことは大きいですね」

「(渋谷教授) イギリスでは日本より強力なロックダウンができ、その影響は大きく単純な比較はできません。逆に、制限を緩めるとすぐに人が密集し、マスクをしないなど、行動のコントロールは難しい。『国民の我慢』のみに頼る対策は限界があります」

「日本ではロックダウンはできないが、行動制限やマスク、手指消毒など公衆衛生観念の強さでこれまで対応してきていますが、そればかりに頼っていると効果は限定的で、国民の側にも不安と不満が強まります。何よりも、自粛と緊急事態宣言を繰り返すことで社会経済が疲弊します。『ローマップ』のような形で先の展望を示すことが重要だし、ワクチンや検査など、国民の自主的努力のみに頼らない積極的な政策を柱にするべきです」

 

 

 

 


「 選手も社会の一員 ー バトミントン選手 奥原 希望(のぞみ)さん 」

2021年04月28日 | 未来社会へのプロセス

 「毎日」紙4月27日付に、バトミントン選手の奥原希望さんの発言が掲載されていました。一部を紹介させていただきます。

「3月に私が優勝した全英オープンは大会の歴史が最も古く、どの国の選手であれ平等に応援してくれる雰囲気があります。国・地域ごとに応援のスタイルは異なりますが、それぞれに良さがあります。良いプレーに拍手を送る会場は一体感があります。人種や肌の色、性別、言語などの違いを超えて一つになれるのがスポーツの素晴らしい点です」

「世界各地を回り、他の国の選手らと話しをすると、ひとりひとりと向き合うことの大切さを感じます。性別や年齢、国籍などでカテゴライズすべきではありません。私は26歳の日本人女性である前に、私は奥原希望です。固定観念にとらわれず、それぞれの個性を理解し、尊重することが大切ではないでしょうか」

「新型コロナウイルスの影響で、人と人とのつながりが途絶えがちです。それでもパソコンなどの画面越しに表情や声、言葉を伝えることはできます。今まで以上に相手の言葉に真剣に向き合わなければいけないと思います。当たり前のことを再確認できれば、コロナの終息後、より良い世界になっているはずです」

「2017年度に通信制教育が中心の日本ウェルネススポーツ大を卒業しました。在学中、五輪の起源を調べる機会があり、平和、団結、友愛を実現するために始まった『世界の運動会』と知りました。私にとって4年に1度開かれる世界一を目指す大会なのは間違いないですが、五輪の舞台で感じたことを世の中に伝える役割があると考えています」

「コロナで、しかも自国開催の五輪はさまざまな意味で特別な大会です。アスリートが臆することなく、社会への思いを訴える機会にもなります。『選手は自分の仕事をしていればいい。社会や政治について意見を言うべきではない』という声もありますが、選手も社会の一員です。スポーツを通じて感じたことを伝える使命もあると思います」

「コロナ感染拡大は続いており、東京五輪は開催、中止どちらの可能性もあると覚悟しています。だからこそ、結果だけでなく、過程に目を向けてほしいです。五輪に至る道筋一つとっても、選手の数だけ物語があります。まさに『多様性』です。多くの人々の心に物語が届いてくれることを願います」


「米中対立は『新冷戦』かー”多極化進む中の自国の取り分争い” ウィスタッド米エール大教授

2021年04月21日 | 未来社会へのプロセス

 4月20日付「朝日」紙「オピニオン&フォーラム」欄に米エール大学教授オッド・アルネ・ウィスタッドさんが登場し、インタビューに答えました。ウィスタッド教授は、1960年ノルウェー生まれ。米ソの第三世界への介入を研究、新しい冷戦史像を構築した。著書に「冷戦 ワールド・ヒストリー」など。と紹介されています。

 読まれている方も多いと思いますが、私にとっても参考になる発言がありました。一部を紹介させていただきます。

 冒頭部分で、ウィスタッド教授は、次のように語りました。

「 ー 米中の対立は、新たな冷戦なのでしょうか」

(教授)中国は米国にとっての大きなライバルであり、中国共産党は米国を敵視している。その意味ではソ連と似ています。経済力から考えると、中国はソ連よりも手ごわいかもしれない

「しかし、最大の違いは、ソ連は西側から遮断され、独自の経済圏を持っていたこと。中国は世界市場に統合され、それが中国が急速に大国になった理由でもある」

「もうひとつの大きな違いは、米ソ冷戦は、資本主義と社会主義のイデオロギーの戦いだったことです。『善』と『悪』との戦いでした。これに対し中国にはソ連が持っていたようなグローバルなイデオロギーはありません。名は共産党だが、実際にやっているのはナショナリズムの政策。中国の利益をできるだけ増大させるということです」

― 中略 ー 後段部分を紹介させていただきます。

「 ー 習近平国家主席は『中華民族の偉大な復興』を唱えています。共産党の統治をどう見ますか」

(教授)中国共産党が政権を握ったのは決して歴史の必然ではありません。私は中国研究が出発点ですが、1920、30年代の中国では、共産主義は多くの運動の一つに過ぎませんでした。日本との戦争がなければ共産党が政権を取ることはなっかった。日中戦争で国民党政権が弱体化し、共産党が軍事的勝利で政権を奪取するチャンスが開けたのです」

「建国後の歩みも、50年代から60年代は、大躍進や文化大革命で経済が破綻し、大失敗だった。70年代末からの改革開放政策は成功を収めた。その意味で共産党の統治は功罪両面がある。共産党は選挙で選ばれた政権ではないから、経済成長を続ける続けることで支配を正当化しています。しかし、社会主義の強い統制や巨大企業への締め付けには反発も出てきています。経済が行き詰まれば、共産党の統治も困難に直面するでしょう」

「 ― 台湾をめぐる緊張が高まっています。中国の台湾侵攻はありえますか」

(教授)中国の国内情勢次第でしょう。もし体制が安定し、米国や日本との対外関係で大きな問題が生じなければ、武力衝突はないと思う。ナショナリズムが強い習近平政権でも、そこまでのリスクはとらないでしょう。問題は習政権は内政がうまくいかないと、対外問題のカードを持ち出す傾向があること、特に台湾問題です」

「―  日本について伺います」

(教授)冷戦なしには戦後日本の経済成長も保守政治の安定もなかったと思います。だが、それだけではありません。冷戦が決定的な岐路を迎えた1980年代、日本は信用供与、ドル安容認など米経済を支え、米国の巨大な軍備増強を支えたのです」

「ー 日本の経済力が米国の冷戦戦略を助けたのですね。しかし現在は、安保は米国、経済は中国に依存し、板挟み状態です」

(教授)この状況は相当長く続くと覚悟せねばなりません。日本が米国と緊密な外交・安保関係を維持することは非常に重要です。日米双方だけでなく、それは東アジアにとっても不可欠です。同時に、日本経済にとっての中国の重要性も増す一方でしょう。安保と経済が違う方向を向いている状況を扱うのは大変難しい。しかし、不可能ではない。日本の役割は、米中間の緊張が制御できないレベルなることを防ぐこと。米中双方にとって日本がそういう役割を担う国だと思われることが、日本の国益なのです」

― 中略 ―

「 — 冷戦終結から30年以上が経ちました。私たちはまだ冷戦の影の中にいるのでしょうか」

(教授)いいえ、新しい時代が始まっています。先に述べたように、米国は依然として重要な大国ですが、国際システムを維持する責任を担うことはない。中国も大国であり続けるでしょうが、米国同様、冷戦時の超大国のような圧倒的存在ではない」

「パンデミックが示すように世界は非常に複雑で多様になった。それぞれの国が発言権を強め、米中の影響力には限界があります。これは『冷戦2・0』ではありません。前よりはよい世界かどうかはわかりませんが、私たちは新しい世界の力学を見極めねばならないのです」