シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

日本近隣国に日本病が?

2012年11月19日 | 経済あーだこーだ
左グラフは、日本の出生数 (棒グラフ 目盛左) と合計特殊出生率 (折れ線グラフ 目盛右)。 右グラフは、日中の全人口に占める 65歳以上人口の割合を示したもの。 
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日本の経済が停滞してもう20年が過ぎた。 その原因は様々多くのことがいわれているが、根本的な原因は “人口が減り始めた” ことだろう。

人口が減るといっても 災害や疫病 戦争ではなく、出生率が減少したことから来る2次的なものだろう__1) 子供が減れば 若い親が子供のために購入する購買力も減る、2) 生産年齢人口 (15~64歳) が減り老人が増えると 活力が無くなり、3) 住宅を購入する中心の中年世代が減れば 住宅需要や不動産需要も減る、4) 全体が高齢化すると ストックが出来上がった人たちの割合が増え 全体の需要が減る__といったことが考えられる。

日本は、75年以降 出生率が2を下回る__詰まり 夫婦が2人以下の子しか作らないから人口は減少基調となり、生産年齢人口は95年をピークに減り、日本人の総数は05年がピークだったから、90年代初頭のバブル崩壊もあって国全体の活力が失われ、いわゆる “失われた20年” に突入したままの潜水状態だ。 それを他国は “日本病” といっていたが、どうやら、近隣諸国もこの日本病が及びそうだ。

相次いで報道された記事を読むと、韓国も中国も日本のあとを追いかけて、同じ轍 (てつ) を踏むことになりそうだ。 いわば 雪道で、タイヤのワダチが出来た窪みにタイヤがはまり込んでしまい、どうハンドルを切ろうが なかなかそのワダチから抜け出せない、という状況にも似ている。

韓国の「生産年齢人口の峠」は今年であり、後は下がって行く。 右グラフにあるように、2010年の中国の65歳以上は 8.2% に留まっているが、今後 中国の高齢者人口割合は急速に上昇する__日本の25年前の推移の線を移動させるとほぼ重なる。 日本の25年前は87年、日本はバブル景気のまっただ中だった。

人口ボーナスの後、人口オーナスになり、購買力や活力が減少し、経済成長率が鈍化していくのは避けられない運命なのだ。 『生産年齢人口の比重が減る時点の前後に、人口ボーナスがオーナスに変わる』(日本銀行の白川総裁の2011年論文) と専門家が指摘しているように、これは不可避なのか …

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コトバンクから__人口ボーナスとは、一国の人口構成で 子供と老人が少なく、生産年齢人口が多い状態。 豊富な労働力で高度の経済成長が可能。 多産多死社会から少産少子社会へ変わる過程で現れる。

人口オーナスとは、一国の人口構成で 高齢人口が急増する一方、生産年齢人口が減少し、少子化で生産年齢人口の補充はできず、財政、経済成長の重荷となった状態。

「”日本病に罹った” とついに認めた韓国」(11月15日 鈴置 高史/日経ビジネス) _ ※追加1へ

「中国は “失われた20年” に突入した」(11月14日  川島 博之/JBpress) _ ※追加2へ

ウィキペディアから__ 日本は1975年には出生率が2を下回り、以降 少子化状態となった。 日本人の数 (2010年10月1日時点の確定値) は、1億25百万人 で、前回調査 (2005年) に比べ 37万人 (0.3%) 減少した。 生産年齢人口は、95年がピークの 8700万人 だった。
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以上


※追加1_● 株安、低成長、不良債権 … 悪材料が一気に噴出 ●
「ついに我々も日本病に罹った」――韓国のメディアが書く。 不動産価格の下落に続き、株安/成長率の急減/企業のリストラなど、20年前の日本を思わす深刻な症状が相次ぐからだ。

●「嫌いな日本を追う我ら」●
最大手紙 朝鮮日報の朴正薫・副局長兼社会部長が、11月9日付で書いたコラムが興味深い。 見出しは「それほどに嫌いながらも、日本を追う我ら」だ。

東京特派員経験者の朴正薫・副局長は、こう書き出した。「認知症の妻を殺したソウル文来洞の78歳の老人の事件を見て『来るものが来た』との思いで胸がふたいだ。 日本がすでに体験している高齢化の絶望的局面が結局、我々にも訪れたということだ …… しかし韓国は、『日本病の回避』という国家の課題では苦戦している」

● ついに日本を追い越したのに…… ●
日本に詳しい韓国紙の社会部長は、「高齢化社会の日本の後を韓国が追う」明らかな証拠を、ソウルの殺人事件に見出したのだ。

同じ朝鮮日報の やはり東京特派員だった宋煕永・論説主幹は2年ほど前から、「現在の不動産市況の低迷は、実は少子高齢化が原因で今後 韓国経済も日本のような長期停滞期に入る」と警告を発し続けてきた。

ただ 宋煕永・論説主幹の卓見は、韓国論壇の主流にはなかなかならなかった。 時を同じくして 韓国人は「ついに日本を追い抜いた」と祝杯をあげていたからだ。

赤字に陥った日本のライバルをしり目に、世界市場で快進撃を続けるサムスン電子や現代自動車。 長い間「絶対に日本企業には勝てない」と思い込んでいた韓国人にとって、夢のようなできごとだ。

日本の民主党政権の大地震への対応は、後手に回った。 一方 G20 など国際会議を続々と主催した韓国。 両国政府の差は「統治能力でも韓国が上回った」ことの “確かな証拠”

として語られていた。

「あの 憎らしい日本に勝った!」と皆で祝っている最中だったから、「日本病に罹るぞ」などという不愉快な予言は、誰も聞こうとしなかったのだ。

●「バブル崩壊後の日本」とそっくり ●
しかし今 朴正薫・副局長の記事と前後して韓国メディアは、「日本病に罹った」という趣旨の記事を一斉に載せ始めた。 不動産価格が依然として下げ続けるうえ、株まで大きく下げる。 さらには 経済成長率の急速な鈍化など、状況が「バブル崩壊後の日本」と似てきたからだ。

韓国人にショックを与えたのは、2012年7~9月の実質経済成長率が前期比で 0.2%、前年同期比で 1.6% の低水準に留まったことだ。
右肩上がりに伸び続けて来た韓国の GDP。 四半期ベースで「前年同期比」が 2% 以下に陥ったのは、第2次オイルショック (1980年)、IMF 危機 (1998年)、世界金融危機 (2008~09年) の3回だけだ (注)。

中央日報の社説 (10月27日付) は説く。「過去3回の低成長は一時的な、外からの衝撃によるものだった。 しかし 今度は (外からの) 特別な危機ではない。 構造的な低成長時代に入ったのではと疑わせる」

●「生産年齢人口の峠」は今年 ●
「日本病」という単語は使っていない。 だが 成長率の鈍化は景気変動などではなく、日本と同じ少子高齢化による病と見たのだ。

堅実な予測をすることで定評のある韓国銀行が、このところ成長率見通しを見誤り、下方修正し続けている。 韓銀の予想以上に消費や投資といった内需が伸び悩んでいるからだ 。

日本の7~9月期の実質成長率は前期比でマイナス 0.9% となった。 日本では、「海外経済の減速で輸出が細ったうえ、エコカー補助金の終了により内需も弱まったから」とその理由が明確に認識されている。

韓国の場合は、輸出も減ったが輸入がそれ以上に減っており、「純輸出」は GDP の増加に寄与している。 海外が原因ではない。

注) 韓国銀行は長い間 成長率の変化を「前年同期比」だけで表してきた。 季節調整用データの蓄積が乏しかったためと見られる。 そこで「前期比」が公表されるようになった今でも、過去の成長率を語る際は「前年同期比」が用いられることが多い。

一方 韓国の消費の低迷は根深い。 10月の百貨店売上高(暫定値)は前年同月比 1.3% 減少した。 5カ月連続の落ち込みだ。 同月の量販店売上高 (同) は同 7.4% 減。 4月から8月まで減り続けたが、いったん9月に同 0.2% 増と水面上に顔を出した。 それがまた大きく沈んだ。

しかし この消費低迷に関し日本の「エコカー」のようにはっきりとした原因は見当たらない。 となると、「少子高齢化による経済規模の縮小」が “主犯” として疑われる。

韓国の生産年齢人口 (15~64歳) が全人口に占める比率は2012年に――まさに今年に頂点に達し、後は下がって行く一方だからだ。

● 成長率は日本より低い 1% に ●
東亜日報は11月12日付で、「韓国の生産年齢人口の減少速度、世界最高」との見出しの記事を掲載した。 経済協力開発機構 (OECD) の報告書「世界経済長期展望」を引用した記事だ。

それによると 韓国の生産年齢人口の比率が2011年の 72.5% から2060年には 52.3% へと急落する。 34の OECD 会員国と、8の重要な非会員国の中でもっとも大きな下落幅だ。

このため 韓国の2031年から2060年までの年平均の成長率 (購買力基準) は 1.0% に過ぎず、ルクセンブルグ (0.6%) に次いで2番目に低い。 ちなみに 日本はフランスと同じ1.4% で、韓国はその後塵を拝する。

「日本病」の典型的症状と指摘される 不動産価格の低迷も深刻さを増す。 国民銀行の調査によると、ソウルの住宅価格は、今年1月から10月までに 2.4% 下がった。 IMF 危機の1998年 (13.2%) 以降 最大の下げ幅だ。

9月の取引件数も前年の半分程度で、不動産市場が冷え切っていることを示した。 政府が様々な対策を打つが、2008年をピークに不動産価格はだらだらと下がり続けている。

● 土地神話の崩壊で「老後難民」発生 ●
「不動産市況の低迷は少子高齢化――もっと厳密にいえば 主に住宅を買う生産年齢人口の減少が原因である」という宋煕永・論説主幹の警告が正しいことが証明された。

「不動産は絶対に下がらない」との神話が日本以上に根強かった韓国では、ことに高齢者が利殖目的で借金して不動産を購入するケースが多い。 年金制度の不備を個人で補うためでもある。

しかし 土地神話の崩壊が彼らを直撃し始め、住宅を手放すか、生活費を借金に頼る羽目に陥る「老後難民」が、これから大量に発生する可能性が強い (朝鮮日報11月11日付)。

韓国各紙は、11月4日「韓国の全負債額が 3000兆₩ (約 221兆円) に迫る」と一斉に報じた。「全負債額」とは政府/企業/家計の3経済主体の負債額をすべて足したものだ。

いずれの経済主体でも負債が増えているが、聯合ニュースは「一番深刻なのは家計」との専門家の意見を紹介した。 家計の負債総額は 1000兆₩ (77兆円) を超え、GDP の88.5% に膨れ上がるなど「時限爆弾」化している。

● 造船、石化、自動車で希望退職 ●
3カ所以上から借り、いずれ返済に困難をきたすと見られる多重債務者が、全人口の 6% 以上の 316万人 もいる。 次期大統領レースで 有力3候補ともに「公的資金を投入して多額債務者を救う」との公約を発表したのも、人気取りだけではない。 急増する家計負債が金融システムを揺らしかねないからだ。

韓国人が「低成長時代の到来」を実感したのは、多くの企業が日本企業のように縮み始めたからでもある。 世界一の建造量を誇った造船産業で廃業が相次ぐ。 最大手の現代重工業も創業40年にして初の希望退職を募集した。

石油化学/自動車/輸送などの業種でも希望退職が始まっており、「現代重工業の希望退職が産業界の大規模リストラの引き金になる」(朝鮮日報10月23日付) と見る向きが多い。

各社のリストラは、「長期的な不況が到来する」との読みからだ。 ただ「韓国企業は、以前は世界的な不況に直面しても攻撃的な投資を行い、世界シェアの拡大に成功した。 しかし 今回は完全に異なる。 多くは投資を手控えている」(朝鮮日報11月12日付)

韓国の経営者も、生産年齢人口=労働力の減少という新しい状況に直面し、国内の生産能力縮小には躊躇しなくなったのだ。

● 白川総裁の論文も指摘したように…… ●
10月下旬から11月半ばまで、「日本病に罹る」という趣旨の記事が韓国メディアにあふれた。 ついに というべきか、11月7日に韓国銀行がそれを認める論文を発表した。「人口構造の変化と金融安定の関係」という調査報告書だ。 以下は、巻頭の「要約」の一部だ。

1960年から2010年までの OECD の 27カ国のデータを分析した結果 生産年齢人口の比重が下がれば、成長率と1人当たりの所得が下がる可能性が大きいことが分かった。 そして、株価、不動産価格など資産価格の上昇率も下がる ……。

次ページの「研究の背景」という項では次のように分析した。

日本は1990年代初めに生産年齢人口の比重が減り始めた。 この時期に資産価格が下落し始め、その結果 金融の不安定がもたらされた ……。

そして脚注では「日本銀行の白川総裁も論文 (2011年) で『生産年齢人口の比重が減る時点の前後に、人口ボーナスがオーナスに変わる』と言及している」と書いた。 隣国の中銀総裁まで “動員” して「日本病」の恐ろしさを強調したのだ。

● 逃げるのか、外国ファンド ●
こうした不安を反映、株価も下がる。 KOSPI (韓国総合株価指数) は10月上旬まで 2000 をつけていたものの 同月中旬以降下げ始め、乱高下を繰り返しながらしばしば 1900 を割り込むようになった。

それも 外国人が大量に売り浴びせる一方、韓国の機関投資家が買い支えるという不気味な――韓国が通貨危機に陥る時のパターンがほぼ連日続く。

ちなみに 規模の小さな韓国市場を揺すぶって利益をあげる外国の投資ファンドは、2008年に一斉に韓国の不動産を売り抜けている。そして今 株式も売り方に回った。

注目すべきは為替だ。 今年8月に 1ドル=1130₩ 前後だったのが ウォン高ドル安に動き、11月上旬には 1090₩ 台に進入した。 日米欧の金融緩和でホットマネーが入りこんだからだ。

ただ 11月中旬以降はウォン高も止まっている。 悪材料の噴出を見て「日本病の発症」と判断した外国のファンドが、ウォンまで売って完全に逃げ出すことにしたせいか、あるいは、韓国でもうひと稼ぎしようと踏みとどまるのか――。

韓国はそもそも「外貨不足」という持病を抱え、しばしば通貨危機に陥ってきた。「日本病」に罹ると当然、持病も発症しやすくなる。今、韓国の市場が注目されるゆえんだ。
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※追加2_● バブル崩壊で日本と同じ道をたどる理由 ●
中国のバブルが崩壊し始めた。 中国政府が掲げる今年度の経済成長目標は 7.5% だが、その達成は難しいようだ。 これまで中国政府は、農村部から都市部へ出てくる人々の雇用を確保するために年率 8% の成長が必要であるといってきたのだから、7.5% は控えめな数字なのだが、その達成さえも危ぶまれている。 バブルが崩壊し始めたと考えてよい。

筆者の研究室には中国からの留学生がいるが、その学生によると、現在 中国では大学を卒業しても、条件の良い就職先を見つけることが極めて難しいそうだ。 多くの若者が低賃金労働に甘んじている。 それは米国や日本に留学した学生も同じで、当研究室の学生も帰国してからの就職を心配している。

経済が年率 7~8% で成長している国の就職事情とはとても思えない。 もし 本当に経済が 7~8% で成長しているならば、大卒は引っ張りだこだろう。

日本がバブル景気に沸いてきた頃を思い出してもらいたい。 バブル最盛期の1988年の経済成長率は 7.2% であったが、その頃 多くの学生は複数の会社から内定をもらって、内定を断ることに苦労していた。 中国政府が発表する経済成長率には、ウソが含まれている。

ついこの前まで ヨーロッパの高価なワインは、ほとんどが中国で消費されているなどといわれていた。 今もその余韻は残っているようだが、ちょうど日本の90年代の初頭のように 多くの人々が経済の潮目が変わったことに気づき始めた。

上海の株価指数は既に大きく下落している。  不動産価格についての情報はまちまちだが、大きな目で見れば下落傾向にある。 現在の中国の経済状況は、90年代初頭の日本によく似ている。

● 中国にもいる「団塊の世代」●
それでは、今後どうなるのであろうか。 中国は90年頃の日本とは大きく異なり発展途上にあるから、もし景気が後退しても再び成長軌道に戻ると見る向きも多い。 だが 筆者はそうはならないと考えている。 それは中国で急速に少子高齢化が進行しているためだ。

下の図を見てもらいたい。 これは全人口に占める 65歳以上人口の割合を示したものである。 2010年の日本は 22.7% だが、中国は 8.2% に留まっている。 しかし、今後 中国の高齢者人口割合は急速に上昇する。

ここで、図の日本の線を25年ほど右に移動させると、中国の線に重なる。 つまり 中国の高齢化の進行は、日本より25年ほど遅れていることになる。

「なーんだ、ずいぶん先の話だな」と考える人はちょっと甘い。 日本の25年前を思い出していただきたい。 87年になるが、その頃 日本はバブル景気に酔っていた。 しかし、直ぐに「失われた20年」に突入した。

日本で急速に少子高齢化が進行しているのは、団塊の世代が引退する年齢になったからである。 そして 中国における高齢化の進行が日本によく似ているのは、中国にも団塊の世代がいるからである。

日本の団塊の世代は戦争直後の4年間に生まれているが、中国の団塊の世代は1960年代の約10年間に生まれた。 毛沢東が強行した大躍進政策の失敗によって、58年から60年頃にかけて多くの人が餓死したことが、60年代に中国で多くの人が生まれた原因のようだ。

戦争などで多くの人が死んだ後には、多くの子供が生まれる時代が来る。 それが団塊世代を作る。

現在 中国の団塊世代は40代になっている。 日本もバブルに踊った頃、団塊世代は40代であった。 バブル景気と団塊の世代の年齢は関係がある。 40代といえば働き盛りである。働き盛りが多いから、当然のこととして経済が活性化する。 また それまでは社宅などに暮らしていても、40代になるとそろそろ自分の家が欲しくなる。 それが不動産バブルを起こす。

どこの国でも、団塊世代が40代に差しかかると、経済活動が活発化するとともに不動産バブルが発生する。 現在の中国はまさにそのような時代である。

● 既得権益層になってしまった都市部のインテリ層 ●
そんな中国は、日本の後を追う可能性が高い。つまり、「失われた20年」に突入する。

なぜ バブル崩壊の後に「失われた20年」に突入するのだろうか。 その原因については既に多くのことが語られているが、一口でいえば 果断な改革ができないためだ。

バブルが崩壊するまでの成功体験が大きいために、果断な改革を実行できない。 そして 奇跡の成長が各種の既得権益を生み出すことも大きい。 既得権益が重なり合うために、改革を行おうとしても「総論賛成、各論反対」になってしまう。

現在の中国も まさに、バブル崩壊後の日本にそっくりである。 そして 中国の既得権益層の得ている利益は、日本のそれを大きく上回っている。 清廉とのイメージを振りまいてきた温家宝首相の周辺が、巨額の不正に関わっていたというニュースが流れたばかりである。

中国の貧富の格差は、極限にまで拡大している。 改革の必要性は、バブル崩壊後の日本以上になっている。 だから 日本以上の気迫を持って改革を断行しなければならないのだが、昨今の状況を見ると、中国において大胆な改革が行われることはないだろう。

現在の中国を変えるには、旧ソ連が崩壊したような、大きな変革が必要になる。 そして 大きく政治を変えるには、天安門事件がそうであったように、都市部に住むインテリ層が立ち上がらなければならない。

しかし、現在 都市に住む中国のインテリ層は、過去20年ほど続いた好景気の中でそれなりの成功を収めて中産階級になってしまった。  団塊世代の多くは、奇跡の成長の中でそれなりの成功を収めて既得権益層になった。 だから 彼らが第2の天安門事件を起こすことはない。

今後 経済の低迷が始まれば、中国政府も改革を試みることになるが、それは過去の日本のように「総論賛成、各論反対」の抵抗に遭う。 そして 何も決定できない。 それは 日本の過去20年と瓜二つである。 その結果 中国は政治面でも経済面でも失速する可能性が高い。

ここでは紙幅が限られるために 中国が今後どのようになる可能性が高いかを十分に論じることができないが、拙著『データで読み解く中国経済 やがて中国の失速が始まる』(東洋経済新報社、税込1890円、11月9日発売) に詳しく述べたので、この記事と併せてお読みいただければ幸いである。

以上

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