シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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絶好調だったが ツケがそろそろ …

2015年12月18日 | 経済あーだこーだ
上グラフは1961年~2007年の原油価格。 オレンジ色線は実質価格 (物価変動補正)、青色線は名目価格 (当時の金額)。 下グラフは中国の GDP の推移。 2005年の GDP は 2兆2248億USドル (出典:世界銀行)。 どちらもウィキペディアから。
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中国経済と産油国経済を眺めると、共通する風景が見えてくるのに気づく。 というのも ここ何十年も躍進が続く中国経済と、1970年代の石油ショック以降の原油高どまりを背景に、好調な経済を満喫してきたのが産油国で、ともにその期間が 40年前後と似ているからだ。

中国経済の高度成長はいつから始まったのか? 『世界の金融の歴史辞典』(http://history.nobisiro.com/country/china.html) によると、1978年12月 小平が最高指導者となり、改革開放政策を推進、部分的に資本主義を取り入れ、経済発展を促した (社会主義市場経済)。 この時期を原点とすると もう 40年近くも市場経済を取り込んだ中国の躍進が続いていることになる。
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ウィキペディアから __ 1976年 小平は権力を奪取した。 そして 1978年の第11期三中全会で改革開放路線が採用され、従来のソビエト連邦型の計画経済は否定され、市場指向型の経済に大きく舵を切った (※追加1へ)。
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一方 石油ショック以降の産油国経済を OPEC 諸国の例で見ると、例えば 1971年にイギリスから独立したカタールは、以前の産業は漁業と真珠取りだけだったが、石油発見後 石油と天然ガスに依存する経済となり、人口 200万人、1人当り GDP は 10万ドルを超え富裕世帯が多い、いわゆるオイルマネーの国だ。 湾岸産油国クウェート、バーレーンも同様だ。
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オイル・ショックとは、1973年 (第1次) と1979年 (第2次) に始まった (ピークは1980年)、原油の供給逼迫および原油価格高騰と、それによる世界の経済混乱。 石油危機 (oil crisis) または石油ショックとも称される。 OPEC 諸国の国際収支黒字は1973年には 10億ドル であったが、1974年には約 700億ドル に急増した __ ウィキペディアから。
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だが アメリカのシェール革命により、オイルマネー経済に依存した国々は、過去 40年以上にも及ぶ原油高どまり時代から、環境が変わりつつあることに否応なく気づかされているのではないか。
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シェール革命とは、今まで困難であったシェール層からの石油や天然ガス (シェールガス) の抽出が可能になったことにより、世界のエネルギー事情が大きく変わることを指す__ ウィキから。

ワシントン時事から __ シェール革命 米国では採掘技術の発達により、2010年ごろから 地下2000~3000メートルのシェール (頁岩=けつがん) 層からの原油「シェールオイル」の産出が急増した。 米エネルギー情報局 (EIA) によると 米国は13年に原油・液体燃料の産出量でサウジアラビアを抜いて世界首位となり、14年の原油・液体燃料産出量は日量 1397万3000バレルとなった。 こうした変化は「シェール革命」と呼ばれ、世界の原油需給バランスを崩し、14年夏以降の価格下落を招いた (12月18日)。

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そもそも シェール層から石油や天然ガスを取り出すにはコストが高過ぎて、数年前までは見向きもされなかったのだが、近年の1バレル 100ドル 近辺の原油高どまりによって 採算が合うようになった。 しかし そのコストは 50~60ドル 以上でないと引き合わないといわれているから、原油先物相場が 40ドル を切っている現状では、シェールオイル産業は赤字のはずだ。

そこは経済原則であって、いったんシェールオイルに設備投資をしてしまった企業は、採算割れとなっても 掘り出し続けて販売しなければ 投資した設備費用を回収できず、暫くは赤字でも販売し続けるだろう。 1年前から続く原油価格の値下がりで、倒産したシェールオイル企業はあったが、まだ1社しか聞かない。 それ以外の投資企業は、なんとか持ちこたえているわけだ。

OPEC 諸国が減産すれば、需要が引き締まって 原油価格が値上がりするかも知れなかったが、先頃の12月4日 OPEC 総会では減産を打ち出さなかったことで、米国産標準油種 WTI の清算値 は 1バレル=37.65ドル にと、6年10カ月ぶりの安値に下落した。
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「原油急落、6年10カ月ぶり安値=OPEC 減産見送りで-欧米市場」(12月8日 ニューヨーク、ロンドン時事)
「原油価格の低迷長期化、シェール業者のヘッジ困難に」(12月8日 ロイター/シンガポール)

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どの産油国も減産して原油輸出収入が減るのを避けたいという思惑で、減産をいい出す国がないのだ。 減産しようなどと提案すれば、どうぞ減産して下さい けれど我が国は輸出収入が減るので減産しませんという国ばかりで、これは非 OPEC 諸国でも同様のようだ。 特に 輸出の7割を石油と天然ガスが占め、これらが値下がりして GDP が落ち込んでいるロシア (非 OPEC) などは、減産などとんでもない、政権が倒れる、といったところだろう。
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ロシアはサウジアラビアに次ぐ世界第2位の原油生産国であり、同時にサウジアラビアに次ぐ世界第2位の原油輸出国である。 2003年以来の原油価格上昇によって貿易収支が改善し、市場経済転換後の長い経済停滞を脱し、急速な景気回復が見られた __ ウィキから。

ロシアの名目 GDP は、2013年 2.07兆ドル、2014年 1.86兆ドル、2015年 1.23兆ドル (予測) と2013年をピークに下がっている __ IMF から。

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OPEC 諸国であろうと非 OPEC 諸国であろうと 多くの産油国が減産すれば、原油価格が上昇し、シェールオイル産業は息を吹き返し、産油国の市場を奪う恐れがあり、それは産油国にとって嬉しくはなく、結局 産油国とシェールオイル産業のどちらが先に撤退するかのチキンレースが続くこととなる。
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また 昨今いわれているように、中国経済が今後 高成長から低成長に減速すると、エネルギー需要も減ることになり、それは原油の売り先が減ることにも繋がり、この先 短期的には原油市場は値上がりしにくい市場環境が続く。 いつまでも “我が世の春” は続かない、いつかは秋がきて冬も来る。 そして いずれまた 春が来るだろう、いつかは__という具合に 私には、中国と産油国がある意味 同じように見えたのでした。

以上

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