一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

上川香織女流二段は、ピアニストの響野夏子に似ている

2016-07-30 01:11:15 | 似ている
日付変わって今日7月30日は、上川香織女流二段のお誕生日。おめでとうございます!!
その上川女流二段は、ピアニストの響野夏子(きょうの・なつこ)に似ていると思う。
響野夏子は、1963年3月12日、東京生まれの53歳。幼少よりピアノを習い、それが本業となる。響野夏子を一躍有名にしたのは1989年に放送された生理用品のCMで、この妖艶な雰囲気が視聴者のハートを鷲掴みにした。
TBSテレビの「爆報!THEフライデー」によると、響野夏子はその後結婚をし、ピアニスト活動を休止していた。が、2年前より活動を再開。また、テレビの「再現女優」としても、活躍の場を拡げているという。
上川女流二段とむかしの響野夏子は似ても似つかないが、現在の響野夏子は、その疲れた感じが、上川女流二段ととてもよく似ていると思う。

上川女流二段は現在休場中。2014年にも1年間休場しているので、気になるところである。
肉体的病気なら全快してほしいし、精神的な問題ならば、周りの女流棋士が力になってほしいと思う。(女流)棋士に直接声を掛けられるのは、同業者しかいないのだから。
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サンケイ将棋フェスティバル2016(後編)

2016-07-29 21:27:12 | 将棋イベント
フーッ、きつい。人生最悪の一日、か。

(昨日のつづき)

第2図以下の指し手。△3一香▲8三角成△3七銀▲同金△同歩成▲同玉△4五金▲3六歩△同香▲同銀△同金▲同玉△3五歩▲2七玉△3六銀▲1八玉△2七銀打▲同飛△同銀成▲同玉
△3六角▲3八玉△2六桂▲4八玉△4七金(投了図)
まで、一公の勝ち。

私は△3一香と打った。これが間接的に先手玉を睨んでいるのだが、先手に正しく指されれば負けだと思っていた。
先手氏は▲8三角成。次に▲2一飛を見てこれも厳しいのだが、私は一瞬のスキを衝いて△3七銀。以下先手の応手が大人しく、そのまま先手玉が詰んでしまった。

感想戦。私の△3五歩には▲同玉の一手と思っていた。私は△4三桂と打つ予定だったが、▲4四玉と潜ってどうか。しかしこれは先手玉が寄っていた。
そこで少し戻って、△3一香に▲3四角成はどうか。タダで飛車を取れるのに、あえて角金交換に出るのだ。いわゆる「終盤は駒の損得よりスピード」だ。
以下△3四同香▲3五歩△同香▲3四桂△3三玉▲4二銀なら、後手玉は寄っていそうだ。
いずれにしても、薄氷の勝利だった。
「勉強になりました。…お強いですね。三段はあるんじゃないですか?」
と先手氏。三段のお墨付きをいただけるとは、私も満更ではないんだな。

こうなったら3局目も指すしかない。3局目はやや中年が入った人と。俳優の光石研にそっくりだった。
私の後手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩。△8四歩なら横歩取り系に進むが、私はこれの後手方が嫌いなので、やや不本意ながら、△4四歩から四間飛車に振った。
先手氏は穴熊に組み、私は△5四銀と腰掛ける。以前植山悦行七段に、対イビアナに△5四銀型は損、と語っていたが、前日のNHK杯では、佐藤和俊六段がこの形を指していた。今日はこちらの説を採ったわけである。

第1図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲同角△3二飛▲3八飛(第2図)

△3二飛に▲3四歩△5一角▲4四角は、△3四飛で後手指せる。
▲3八飛に次の一手は。

第2図以下の指し手。△1五角▲3六歩△5九角成▲2八飛△3四飛▲2四歩△同歩▲同飛△同飛▲同角△2八飛▲2二飛△2九飛成▲2一飛成△3二桂▲1一竜△2四桂▲5五桂△同銀▲同歩△9六歩▲同歩△9七歩▲同香△8五桂▲8六銀△9七桂成▲同銀引△8五桂▲8六香△7七香▲8五香△7八香成▲同金△6九馬▲7九香△4四角▲2一竜△9六香▲9四桂△7三玉▲8二銀△6四玉▲5六桂△5五玉▲4四桂△9七香不成▲同銀△9六歩(第3図)

甲斐智美女流五段―香川愛生女流三段戦が終わり、94手で甲斐女流五段の勝ち。
これは勝者予想クイズに加え、手数当てもあった。ダブル正解がただひとり(女性)いて、盛大に表彰されていた。なお、手数の近似値を書いた投函者にも、賞品が渡されたようだ。
関係者が、
「サンケイフェスティバルはよかった、とネットに書いてください! そうすれば来年もやります!」
と叫ぶ。指導対局の抽選はアレだったが、各所で工夫を凝らし、素晴らしいイベントになっていると思う。私も今は、清々しい気持ちでいる。
局面、私は△1五角とノゾいた。このユーレイ角が妙手で、先手はどう受けても味がわるい。結局▲3六歩と受けたが、私はゆうゆう△5九角成とし、一本取った。
だが後の△3四飛が疑問手。▲2四歩から飛車をぶつけられ、一編に優位が吹き飛んだ。
本譜は△3二桂から駒得を果たしたが、いかにも強引な手順で、これが本筋とは思えない。
ただし直後の▲5五桂では、▲7五歩の桂頭攻めがイヤだった。もっとも本譜の進行でも、先手がよい。
ただその後、先手に攻め急ぎがあったかもしれない。私は手に乗って玉を中段に逃げ出したが、△9六歩はしくじった。

第3図以下の指し手。▲8八銀△5六玉▲3五角△9七銀▲9八歩△8八銀不成▲同玉△4七玉▲4九歩△3四金▲6一竜△同銀▲4八金△3六玉▲3八香△2五歩▲2六歩△1四玉▲1六歩△3七歩▲3二桂成△3五金▲3三成桂△5五角▲7七桂△3三角▲3七香△9五飛(投了図)
まで、一公の勝ち。

ホールは棋士関係者が引き揚げ、向こう半分はガランとしている。今はフリー対局の愛棋家が指しているのみだが、その数も少なくなっている。
先手氏は▲8八銀と引いたが、逸機。何はともあれ▲5七香と打つところだった。これに△4四玉は怖すぎるし、さりとて△5六銀とも打てない。△5六銀に▲8八角(▲7七角)とでも打たれたら、後手はどう指せばいいのだろう。
本譜は△5六玉と突っ込み、完全に安全になった。
最終盤は△5五角のあたりで投了してほしかったのだが、先手氏はまだ指す。△9五飛にやっと投了してくれた。

が、私は「投了ですか?」と、やや懐疑的だ。
実は△9五飛が疑問で、先手はここまで粘ったのだから、もう一手▲8六銀と受けるべきだった。以下△9四飛▲3五香が、金を取ってまた角取りだ。
感想戦ではこれでも私が勝ちだったが、実戦ではどうなったか分からない。
何だか3局とも消化不良の内容で、ちっとも勝った気がしなかった。
ともあれこれで3勝。時刻は午後8時をすぎ、もう引き揚げる時間である。景品をいただいたが、筆記具っぽかった(後で確認したら、3色ボールペンだった。これ、買ったらけっこう高い)。
帰ろうとしたら、Tod氏が指していた。
局面はTod氏敗勢。相手は△3八金の王手。ここで▲1七玉と逃げればいいものを、▲3八同金と取ったから、早くなってしまった。
敗勢なのに悪手を指す、いかにもTod氏らしい手である。私は終局まで見届けず、会場を後にした。
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サンケイ将棋フェスティバル2016(中編)

2016-07-28 22:30:42 | 将棋イベント
前方を見ると、浴衣姿の女流棋士が二人、エスカレーターを昇っていた。私はフラフラとその後についていく。女流棋士は2階で控室?に戻ったが、私はそのまま階上に向かった。
4階に着くと、駒師と思しき人が談笑していた。私はホールに入る。
おお! 左手では、甲斐智美女流五段と香川愛生女流三段の特選対局が行われていた。解説は阿久津主税八段、聞き手は貞升南女流初段である。そうかそうか、このフェスティバルの「目玉」が今一つ分からなかったのだが、これが目玉だったのだ。私は見落としていた。
右手では、例のサマー将棋大会が行われていた。けっこうな人数が参戦している。女流棋士の対局も拝見したいが、今は将棋を指したい思いが勝っている。それで、将棋大会に臨んだ。
受付をすると、99番の手合いカードがもらえた。早速対局がつく。相手は若者で、振ってもらって私の先手となった。
▲2六歩△3四歩▲7六歩△4二飛。ここで私は▲6六歩と指したが、これが一公流だ。
あわよくば▲6五歩と突くネライで、先月の社団戦でこの構想がバカにうまくいったので、二匹目のドジョウを狙っている。
しかし後手氏は△7二玉形のまま△6四歩、さらに△7四歩と突いた。さすがにこの形の急所を熟知している。
私は▲6八銀上と中央を厚くしたが、進展に困って▲8六歩~▲8七玉~▲7八金と組む。しかしこれでは形がいびつで、全然自信はなかった。
私は4筋から動くが、堅実に受けられて無効。▲2八飛にも△2二飛と受けられて、先手に手がないように見えるが…。

第1図以下の指し手。▲6五歩△8八角成▲同玉△6五桂▲6六銀△4六歩▲5五歩△4三銀▲1一角△3二飛▲2四歩△同歩▲同飛△4七歩成▲2一飛成△4四歩▲4五歩△5八と▲4四歩△6八と
▲同金引△4八角▲6七歩(第2図)

公開対局のほうは、勝者予想クイズがあったらしい。ただし投函は午後6時までだった。どうも今日の私はことごとくタイミングが悪い。
私は▲6五歩と突いた。模様は先手が悪いが、後手の1一の地点に弱点を見たのである。
△4六歩の突き出しに▲5五歩を利かし、▲1一角。△1二香形の弱点を衝いた。
▲2一飛成として、次のネライは▲4四歩。それを受けた△4四歩には、▲4五歩とこじあけにいった。
後手氏もと金を活用し、△6八と。これに▲同金寄ならハナレ駒はなくなるが、玉が孤立する。よって、▲同金引と取った。
△4八角に▲6七歩と受ける。ここで後手氏の次の手が意外だった。

第2図以下の指し手。――
まで、一公の勝ち。

何と、後手氏は投了してしまった。私は△5七銀を読んでいて、▲同銀△同桂成▲同金△同角成▲4三歩成△6九銀…とこうはならないが、まあ△5七銀には手抜きで▲4三歩成か、などと考えていた。…それにしても投了とは。
「投了は早いでしょう」
「でも▲4三歩成が早いですから。この局面はもうダメです」
「……」
何だか早投げのお株を奪われた感じで、全然勝った気がしなかった。

初戦を負けたら熊倉紫野女流初段のトークショーを聴きに行くことも候補にあったのだが、勝てばもう一局指したくなる。私は景品がほしいのだ。
2局目も青年と。振り駒で後手になった。
横歩取り模様に進んだが、先手氏は飛車先の歩を交換せずに、▲2二角成ときた。先手番の利を放棄し、ネライが分からない。
▲1五歩と突き越した。なるほど、先手番で右玉をやろうとしているな、とピンときた。
しかしそれを止める手段はなく、先手氏は果たして右玉に構えた。
私は先月の対植山悦行七段戦を思い出して駒組を進めるが、そううまくはいかない。

第1図以下の指し手。▲8三歩△同飛▲3五歩△同歩▲3四歩△4二銀▲1四歩△同歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2九飛△8八歩▲7七桂△8九歩成▲5五銀△同銀▲同歩△3六歩▲2五桂△9九と
▲3三銀△同桂▲同歩成△同銀▲同桂成△同金▲3四歩△同金▲6一角(第2図)

先手氏は▲8三歩。△同飛に▲3五歩~▲3四歩とした。取れば▲6一角の両取りで、これが先手氏のネライだったか。
もちろんこの歩は取れず、△4二銀。先手氏は飛車先の歩を交換し、私は8筋にと金を作った。
△3六歩は、▲同銀と取れば△5六角だが、こういうミエミエの手はよくないものだ。幸便に▲2五桂と跳ばれ、私は△3五香の狙いで△9九とと香を補充したが、もっと自陣をよく見るべきだった。
▲3三銀! が強烈な打ち込みで、後手が相当まずい形勢になっているのに愕然とした。
▲6一角と、結局この手が実現した。ただ何となく、この手はありがたい気がした。もう飛車を取っている状況ではないからである。

(つづく)
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サンケイ将棋フェスティバル2016(前編)

2016-07-27 22:46:29 | 将棋イベント
25日(月)は、東京・大手町の「東京サンケイビル」で行われる、「サンケイ将棋フェスティバル2016」に行った。
午後5時で仕事を終え、東京メトロに乗る。大手町で下車すると、E1出口が会場だ。
5時37分、ビルの地下2階を通ると、その一隅で若手棋士が初心者講座を行っていた。高見泰地五段だった。
傍らにはこのイベントのスケジュール表が置いてあった。1部いただいて確認すると、1階ビアガーデン近くで女流棋士らの指導対局をやっている。高見五段の講座もおもしろそうだが、私は階上に向かった。
1階の特設会場では女流棋士や男性棋士が勢ぞろいし、縁台将棋という名の指導対局を行っていた。
コの字型に2つ並び、その内側に棋士がいる。参加棋士を向かって左手奥から記せば、西尾明六段、千葉涼子女流四段、竹部さおり女流三段、真田彩子女流二段、伊藤明日香女流初段、安食総子女流初段。右のシマは熊倉紫野女流初段、野田澤彩乃女流1級、高崎一生六段、井道千尋女流初段、高浜愛子女流2級、塚田恵梨花女流2級。
改めてスケジュール表を見ると、指導対局の抽選は5時30分で締め切っていた。第2部は7時からあり、その抽選は6時半からある。貴重な機会だし、次はぜひ受けてみたい。
ほかのスケジュールを確認すると、3階では、「高齢者将棋大会」。
4階ホールでは、「将棋駒書き師・塚本ヨシ江氏による実演・体験コーナー」。
「特選レディーストークショー」は、甲斐智美女流五段、香川愛生女流三段、カロリーナ・ステチェンスカ女流3級が登場する。阿久津主税八段の出演もある。ただしこれは5時50分までなので、もう終わっている。
さらに「サマー将棋大会」として。フリーで将棋が指せるようだ。8時半までたっぷり指せて、3勝者には景品が出るらしい。
なお7時からは地下2階で、西尾六段と熊倉女流初段のトークショーがある。こちらも拝聴したいが、指導対局の可否次第だ。
とりあえず現在は、女流棋士を鑑賞するのがベストのようである。
女流棋士は全員浴衣姿で、何とも艶やかだ。各3面指しで、満席である。高層ビル群の谷間でパチリ、は非日常感があって人目を惹く。
西尾六段、千葉女流四段は立って指している。それぞれベストのファイティングポーズがあるようだ。
西尾六段には平手で挑んでいる猛者がいる。つまり西尾六段は、「平手将棋可」派ということだ。将棋は角換わりになっていた。
また角落ちの将棋もあり、これは下手が細い攻めを繋いでいる。
竹部女流三段に対峙している一人はTod氏に見えるが、どうなんだろう。
将棋ペンクラブ会員のOsa氏がいた。声を掛けて対局はしないのかと聞いたら、見送ったとのこと。いまは女流棋士の撮影で忙しいらしい。
熊倉女流初段も艶やか。相変わらずの色白だ。熊倉女流初段には不思議な魅力があり、生で見れば見るほどファン度が上がる。
高浜女流2級も指導対局中。思ったのだが、彼女は船戸陽子女流二段に似ている。
その右の塚田恵梨花女流2級は、室谷由紀女流二段にそっくりだ。何だかファンになりそうだが、ご両親の顔がチラチラ浮かぶのがアレだ。
見物客はパラパラといる。その中に、しっとりした雰囲気のきもの美人が観戦している。この方が指導対局に入ればたいへんな絵になるだろう。
将棋ペンクラブ交流会で見る顔も何人かいる。みんな、将棋が好きだなあと思う。
Tod氏?の背後に回ると、彼が私に気付いた。
「あれ、来てたんだ」
やはりTod氏だった。局面はTod氏が優勢のようだ。ただし二枚落ちではあるが。
なお今回の指導対局は、勝てば勝利者賞が出る。
あっちこっちでポツポツ終わったところが出てきている。終わっていないところは、下手の指し手が遅いから。
指導対局では、指し手が分からなくても指してしまうことが肝心だ。でないと時間切れ打ち切りになる。どうせ、下手の考え休みに似たり、である。
西尾六段の平手戦は、西尾六段に急所の角打ちが出て、上手勝勢。ま、そうであろう。
角落ちの将棋も、上手がギリギリで凌いだ。これも上手勝ちだろう。
2回目の抽選会の6時半まで、まだ20分近くあるのに、すでにかなりの人が並んでいる。中に若い女性もいて、これはいいことだ。
先着順ではないから6時半ギリギリに並んでもいいのだが、みな気がせいているのだろう。
Tod氏が勝ったようだ。勝利者賞はこのビアガーデンなどで使える、1,000円の賞品券だった。
抽選会だが、私も並ぶことにする。
さっき指導対局を受けていた男性が、「2局目も並んでいいの?」と係氏に聞く。と、「どうぞ」の返事である。
オイオイちょっと待ってくれよ! 定員36名枠にこれだけ並んでて、こっちはこれ以上抽選倍率が上がるのはゴメンなんだ。1局目を戦った人は2局目を遠慮してほしいし、スタッフもその辺を考慮してほしい!
…私はこの後の展開が予想できた。たぶんさっきの男性が抽選に当たり、私はハズれるのだ。

6時半になって、抽選が始まった。抽選の方法は、竹串を引くものだった。この方式にはイヤな思い出があって、以前マイナビの企画の時にこれをやり、私は当選率8割以上の勝負に負けたことがある。
現在に戻る。さっきの男性は、「当たり」だった。
やっぱりな…。
数人後に、私も引く。結果は、「はずれ」だった。
ふふっ…。まあ、そうだろう。そうなると思ったよ!
もう帰ろう、と思った。
(つづく)
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大山の名局・5

2016-07-26 12:50:14 | 名局
今日7月26日は、大山康晴十五世名人の命日。
いまや恒例となった、「(私が勝手に選ぶ)大山の名局」第5弾をお送りする。
今回は平成3年1月に指された、第49期A級順位戦第7回戦、大山十五世名人対内藤國雄九段の一戦である。
ここまで大山十五世名人は、1勝5敗。序盤から5連敗を喫し、6回戦で難敵南芳一九段に勝ち、一息ついた。しかし降級候補に変わりはなかった。
対する内藤九段はここまで4勝2敗。名人挑戦のためにはもう一番も落とせない。双方にとって、重要な一戦であった。


平成3年1月26日
第49期A級順位戦
▲十五世名人 大山康晴
△九段 内藤國雄
(持ち時間:6時間)

第1図までの指し手。▲7六歩△3四歩▲6六歩△4二銀▲6八銀△5四歩▲5六歩△5三銀▲6七銀△3二飛▲4八銀△6二玉▲6八玉△7二玉▲7八玉△6四歩▲2六歩△8二玉▲2五歩△3三角
▲5七銀△4四歩▲7五歩△5二金左▲7六銀△6三金▲6五歩△同歩▲同銀△9二香▲5八金右△9一玉▲7六銀△8二銀▲9六歩△7一金▲6七金△3五歩▲1六歩△4二角
▲2六飛△3四飛▲4六銀△6四銀▲6六金△7四歩▲6五歩(第1図)

両者とも振り飛車が好きなので、序盤はいつも腹の探り合いになる。本局は大山十五世名人の居飛車に落ち着いた。
大山十五世名人は位取り。内藤九段は穴熊に潜って重圧を軽減するが、人が変われば指し手も変わり、軽快に7筋から動く。
▲6五歩に次の手は当然。

第1図以下の指し手。△7五銀▲同銀△同角▲同金△同歩▲5八金△7六歩▲6七銀△7五金▲5七銀△7四金上▲4三角△3一飛▲5四角成△5一飛▲3二馬△7三桂▲6六銀右△6五桂▲同銀
△同金上▲6六歩(第2図)

△7五銀は当然。▲同銀にはこれも△同角と取ってしまう。自陣は穴熊の堅陣だから、角金交換ならオンの字だ。
大山十五世名人は角を取って▲5八金。以下、ひたすら受けに回る。
内藤九段は二枚の金がスクラムを組んで、駒落ちの上手みたいだ。
▲6六歩には当然、金を逃げない。

第2図以下の指し手。△7七銀▲同桂△同歩成▲同玉△7六歩▲6八玉△7七銀▲5七玉△6六金右▲4八玉△3四桂▲2八飛△8八銀不成▲7二歩△同金▲4二馬△7一飛▲6六銀△同金▲4三馬
△5七歩▲5九金△5八銀▲3四馬△5九銀成▲3九玉(第3図)

当然△7七銀とカチこむ。大山十五世名人は角をおとりに▲6八玉と逃げる。
大山十五世名人は攻め駒がないので、馬を小刻みに使うが、内藤九段の攻めのほうが早い。
▲3四馬と桂を外したが、△5九銀成とボロッと金を取られ、▲3九玉とよろけるようでは、先手もうダメである。
ところが…。

第3図以下の指し手。△6七角▲2六飛△5八歩成▲2八玉△4八と▲6四桂△4九角成▲7二桂成△同飛▲6四桂△7一飛▲3五馬△3八と▲2七玉△3一飛▲3四銀△4三桂▲4四馬△3五歩▲4五馬△2九と▲1八玉△1九と▲同玉△1七香
▲1八金△3九馬▲1七金△同馬(第4図)

このあたりは、河口俊彦八段が「対局日誌」の取材で観戦していた。
内藤九段は△6七角とミエミエの詰めろを放ったが、これが大悪手。大山十五世名人にヒョイと▲2六飛と浮かれ、△6七角がスカタンになってしまった。
内藤九段は△5八歩成としたが、一手遅かった。大山十五世名人は▲2八玉。第3図から△5八歩成▲2六飛に△6七角と打つ人はいないから、△6七角がいかにヒドイ手だったか分かるというものだ。
局面は内藤九段の駒得なのだが、左辺の駒がタコすぎて、やってられない。
それでも△2九と~△1九とと桂香を取り、△1七香に▲1八金と受けざるを得ないようでは、先手が負けに見える。
ところが△3九馬▲1七金△同馬の局面は、先手の飛車と馬の利きが素晴らしく、先手玉は詰まないのだ!
この利きが私には鶴に見えた。もしくは手足を伸ばしたバレリーナに見えた。
この時大山十五世名人、67歳。この歳でこれだけ「魅せる」将棋を指せるのは、もうこの人しかいない。

第4図以下の指し手。▲7五香(投了図)
まで、125手で大山十五世名人の勝ち。

▲7五香が詰めろで、受けても一手一手。内藤九段はここで投了した。内藤九段は順位戦で大山十五世名人に11戦全敗。どうしても勝てなかった。
大山十五世名人はこれで2勝5敗になり、次の青野照市八段戦に、これも苦しい将棋を逆転し、見事残留を決めた。そして翌期はガンの治療を挟んで6勝を挙げ、名人挑戦プレーオフに進出、最後の輝きを見せるのである。
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