忘備録の泉

思いついたら吉日。O/PすることでI/Pできる。

行政による事業主への助言・指導および裁判外紛争解決手続の整備(第24条)

2020-02-12 10:48:29 | Library
(紛争の解決の促進に関する特例)
第23条 
前条の事項についての短時間・有期雇用労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成13年法律第112号)第4条、第5条及び第12条から第19条までの規定は適用せず、次条から第27条までに定めるところによる。

(紛争の解決の援助)
第24条 
都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。
2 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(調停の委任)
第25条 
都道府県労働局長は、第23条に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第6条第1項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。
2 前条第2項の規定は、短時間・有期雇用労働者が前項の申請をした場合について準用する。

2020年4月1日施行の改正法により、行政による助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定がパートタイム労働者、有期雇用労働者等で統一的に整備された。
また、第24条では、有期雇用労働者に関する紛争について裁判外紛争解決手続(行政ADR)の利用が可能となり、労働者がこれを求めたことによる不利益取扱いの禁止が明記された。

待遇の相違等に関する説明義務(第14条)

2020-02-10 14:35:20 | Library
(事業主が講ずる措置の内容等の説明)
第14条 
事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、第8条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く。)に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
2 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。
3 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

2020年4月1日施行の「パートタイム・有期雇用労働法」では、従前の「パートタイム労働法」で定められていた説明義務について、「有期雇用労働者」にも説明義務が加えられた。
また、説明義務の対象に、「当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由」が加えられ、企業に対して従来よりも強化された。


教育訓練・福利厚生施設(第11条、第12条)

2020-02-08 12:17:58 | Library
(教育訓練)
第11条
事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。以下この項において同じ。)が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き、職務内容同一短時間・有期雇用労働者に対しても、これを実施しなければならない。
2 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験その他の就業の実態に関する事項に応じ、当該短時間・有期雇用労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。
 
(福利厚生施設)
第12条
事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その雇用する短時間・有期雇用労働者に対しても、利用の機会を与えなければならない。
 
2020年4月1日施行の「パートタイム・有期雇用労働法」において、従前のパートタイム労働法で定められていた「短時間労働者」に加え、「有期雇用労働者」についても厚生労働省令で定める福利厚生施設(給食施設・休憩室・更衣室)への利用の機会を与えられなければならないと義務づけられた。

基本的理念の策定(第2条の2)

2020-02-07 12:56:42 | Library
(基本的理念)
第2条の2
短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者は、生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる機会が確保され、職業生活の充実が図られるように配慮されるものとする。
 
2020年4月1日施行の「パートタイム・有期雇用労働法」では、同一企業内における正社員と非正規社員の間の不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても待遇に納得して働き続けることができるよう企業に求めている。
この改正により、パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も法の対象に含まれた。
また、従前の「パートタイム労働法」にはなかった、基本的理念に関する規定が設けられた。
これにより企業が行うべき方向性が示された。

通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止(第9条)

2020-02-07 10:55:47 | Library
第9条
事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。
 
従前のパートタイム労働法でも「職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一」で、「職務の内容および配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれる」短時間労働者については「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇」について通常の労働者と差別的取り扱いをしてはならない旨が定められていた。
2020年4月1に施行の改正法では、短時間労働者に加え有期労働者についても、上記の要件を満たす場合は、短時間・有期雇用労働者であることを理由として差別的な待遇を行ってはならないとされ、適用範囲が拡大した。

なお、均等待遇を判断する際には、次の2つの要素を考慮したうえで、同じであれば差別的取扱いが禁止されることになる。
①職務の内容
②職務の内容・配置の変更の範囲