忘備録の泉

思いついたら吉日。O/PすることでI/Pできる。

労働協約(1)

2017-06-11 09:45:25 | Library
労働協約の成立要件
労働協約は、簡単に言えば、労働組合と使用者との間の書面による取り決めだ。
団体交渉を行い、合意に達すると、その合意を書面化する。
このようにして書面化された取り決めが労働協約である。
労組法14条
「労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名捺印することによってその効力を生ずる。」
従って、団体交渉で合意が成立したとしても、合意内容を口約束だけで書面化しなかった場合や、双方の署名(記名捺印)がないものには、労働協約としての効力は認められない。

債務的効力と規範的効力
労働協約は、使用者と労働組合との約束であるから、使用者及び労働組合は、そこに記載された内容を守らなければならない。
例えば、労働組合に対して組合事務所を提供する旨の労働協約が成立した場合、使用者は、労働組合に組合事務所の提供をしなければならない。
使用者がこれに反して、組合事務所を提供しなかった場合、労働組合は労働委員会への不当労働行為救済申立や、裁判所への提訴によって事務所の提供を請求したり、損害賠償の裁判を起こすこともできる。
このように、労働協約一般に認められる効力のことを「債務的効力」と呼ぶ。

一方、「規範的効力」とは、労働協約により定められた個々の労働者の労働条件の部分である。
使用者と労働組合との間で結んだ約束ではあるが、あたかも使用者と個々の組合員との間で取り決めしたのと同じ扱いを受けるのである。
なお、労働協約の規範的効力については、就業規則との関係も重要である。

(つづく)