忘備録の泉

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世界全史(13)

2017-01-05 14:32:35 | Library
121、日清戦争後に、列強の勢力圏、租界(中国における外国人居留地)の画定の動きを一挙に強め、中国を分けとりしようとする。ここから東アジアの現代史が始まる。

122、三国干渉後、渤海、黄海が国際紛争の場になると、イギリスは日英同盟を結び、日本にロシアとの戦いを担わせようとした。外交は甘いものではない。「内」だけを見ていると、出し抜かれる。

123、日露戦争の結果、東アジアでの列強の勢力圏が一応安定したが、今度は清にアジア情勢の激変の影響が及んで辛亥革命が勃発した。しかし、清は倒されたものの各地に軍閥が乱立する最悪の状況となり、内外入り乱れての混乱と窮乏の下で中国現代史が展開される。

124、1870年代以降の新技術体系の普及、経営方式の革新がイギリスの没落、ドイツの勃興をもたらし、ドイツが海軍増強、海洋進出をめざしたことで第1次世界大戦につながる両国の対立が激化した。

125、1970年代のドル危機と石油危機によるスタグフレーションが世界情勢を激変させたように、「大不況」と言われる1870年代からの長期の不況が帝国主義という時代の背景になった。

126、独立達成後、70年間で大陸国家となったアメリカにとって移民の受け入れと西部の開拓とインフラ整備が国家づくりの土台になった。現代中国が中国の内陸部をフロンティアとみなして、高速道路や高速鉄道のインフラを整備する政策はアメリカから学んでいる。

127、国家が全面的にバックアップした産業の裾野の広い鉄道建設が、アメリカの資本主義経済の成長を牽引した。かつての日本列島改造と同じだ。

128、アメリカは、太平洋を新たなフロンティアとする世界政策を一貫して推進していった。21世紀にシー・パワーを強化し、かつてのアメリカを模倣して南シナ海、東シナ海を土台に西太平洋を支配しようというのが、現在の中国の戦略だ。

129、シー・パワーを強化して海洋覇権の獲得をめざせというマハン(海上権力史論)の主張はアメリカの世界政策となったばかりでなく、ドイツ帝国、明治の日本にも影響を与え、第1次世界大戦、太平洋戦争につながった。現在の中国の海洋政策もマハンの強い影響を受けている。

130、2世紀のプトレマイオスの「世界図」に描かれた「南方大陸」が存在しないことを明らかにしたのがイギリスのクックの業績であり、オーストラリアの植民地化は探検の副産物だった。