出版当時から評判の高かった、ブレイディみかこ氏の『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。ずっと気になっていたのですが、先日めでたく文庫化されたので、さくらんぼコンサートの移動のお供に購入。想像以上に面白くて、一気に読んでしました。
父がアイルランド人、母が日本人でロンドンに住む著者の息子が、とにかく頼もしいのです。時々つぶやく一言の鋭さに驚かされますし、優しさも勇気もある。こんな若者ばかりなら、未来はかなり明るいと思うのですが。どうしたらこんな子が育つのか、、、と考えてしまいますが、育った環境と、やはり母の教育は影響大でしょう。親子の会話には何度も唸らせられました。
この本が書かれたのはコロナ禍前ですが、このコロナ騒動を連想せずにはいられないエピソードがありました。差別主義的発言をよくする学校の友達が、最近逆にいじめられ始めたという状況を母に説明する息子。実は息子も最初いじめられていたのですが、なぜかその友達を攻撃するのは、息子を含む差別発言を受けた人たちではなく、何もされたことのない人たちなのだというのです。それに対し、「.....人間って、よってたかって人をいじめるのが好きだからね。」と言う母に返した息子のセリフが的を射ており、衝撃的です。「僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。.....罰するのが好きなんだ」。
分断が進んだと思われることが増えた現代社会。多くの人に読んで頂きたい一冊です。