Untersee-Boot

あるいは感想記として

あれこれ2020晩夏

2020年08月31日 | あれこれ
相変わらず暑~~い日が続いている今日この頃。
この暑さにもめげず、8月もちょこちょこと落語を聴きに行ってきましたので、そんな話をあれこれと。


まずは8月6日、鈴本演芸場8月上席の夜の部へ。

            


玉の輔師の「宮戸川」や、ニックスの漫才(いつもはだいたい同じネタだけど、この日は今まで見たことないネタでした・笑)で笑ったりしつつ。

小ゑん師の「ほっとけない娘」という噺で大笑い。
小ゑん師匠は鉄道だけではなく仏像もマニアなのか!?と思っていたら、この噺は新作落語台本募集の作品だそうで。
師匠のツイートによると、もう少し時間があれば鎌倉デート各所の言立ての場面も入っていたとのこと。
今度たっぷり聴いてみたくなる噺でした。

少し前にヒルナンデスにVTR出演もしていた、柳亭こみち師匠は「七段目」。
芝居の素養がない私でも十分楽しめた七段目。
堂に入った芝居演技でした。



陽気なマジックおじさんのダーク広和さんは、この日も陽気なおしゃべりとカードマジックを披露(笑)。

文菊師は、隠しきれない品を醸しだしながらの「転失気」(笑)。

そして、マイペースのペペ桜井さんのギター漫談がありつつ。


トリは菊之丞師匠。
マクラでは、お馴染みのたいこもちの話や、90歳の芸者さんの話などを約10分。
本編は「鰻の幇間」。
嫌味な旦那と、情けない幇間が出てくるこの噺は、菊之丞師匠にぴったりという感じ。
たっぷり30分近く聴けて、満足でした。



この日の鈴本演芸場は、お客さんが少なくてちょっと残念。
このご時世とはいえ、魅力的な出演者が揃ってるのにもったいない限り。
ちなみに、仲入りの時に客席を見渡してみたのですが、お客さんは13人くらいだったかな・・。
男女比は5対8くらい(笑)。
お客さんが少なすぎて、聴いていてちょっと緊張してしまいましたが、出てくる噺家さんが口ぐちに言う「足を運んでいただきありがとうございます・・」というお礼の言葉に励まされながら(笑)、最後まで大いに楽しんだ夜でした。






8月13日は、去年に続き鈴本演芸場の8月中席『吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特撰集』へ。

         


白鳥師は「敢えて変な噺をしたいと思います」と言って「アジアそば」を口演(笑)。
先月の浅草で聴いて以来の「アジアそば」でしたが、やはり面白かったです。


菊之丞師は「片棒」。
短めバージョンでしたが、名調子は変わらずでした。


マジックのアサダ二世さん。
配信などでは観たことがありましたが、生でその姿を見たのは初めて(笑)。
マイペースなとぼけたおじいさんという感じで、何をやっても思わず笑ってしまい、さすがでありました(笑)。



喬太郎師は、昨日は大阪、今日は4つの高座をかけもちだそうで。
「殺す気か!」と、舞台上で叫んだあと(笑)、コロナの影響でカラオケにも行けないという話に。
「(カラオケに)行ったら鶴光師匠の「うぐいすだにミュージックホール」を歌いたい」と話していましたが、急にその「うぐいすだにミュージックホール」歌い出す喬太郎師匠(笑)。
1コーラスの熱唱に、客席からは大きな手拍子&拍手で大盛り上がりでした(笑)。
その後も、あれやこれやの爆笑のマクラがありつつ。
「(トリのさん喬師匠の)「品川心中」の前にこんな噺を・・」と言った後、本編は「諜報員メアリー」。
もちろんこちらも爆笑で、何分くらい口演していたのか時計を確認するのも忘れてしまいました(笑)。



この日は、仲入り後に登場の権太楼師匠。
「トリは噺が決まってるけど、今回はトリ以外は決まってない」ということで、何を演ろうかと舞台上で色々と思案しながら、「幾代餅」に決定。
権太楼師は「さん喬師匠の「幾代餅」は人情噺だけど、自分がやると爆笑の噺に」と言ってましたが、確かに、こんなに大笑いした「幾代餅」は初めてかも(笑)。
同じ噺なのに人によって全然違うところが、落語の面白いところです。



そして、トリはさん喬師匠の「品川心中」。
さん喬師匠の「品川心中」は初めてでしたが、したたかなお染も、間抜けな金蔵も、登場人物が皆、嫌味のない人物になってるところは、さん喬師匠の人柄だな~、と笑いながらも大感心。
さすがという感じでした。
それから、普段この噺は、金蔵がほうほうの体で親方の元に帰ってきてひと騒動おこすところまでで終わりですが、この日は、親方たちと皆でお染に仕返しに行く場面まで、たっぷり50分の口演。
後半は知識としては知ってたけどちゃんと聴いたのは初めて。
最後まで聴けて僥倖でした。




この日は、毎年恒例の会ということもあり、左右一席づつ空けて座るソーシャルディスタンスで満員。
前売りの段階でチケットは売り切れだったようで。
ものすご~~く暑いなか、行って良かった鈴本演芸場でした(笑)。







8月17日は、浅草演芸ホール8月中席夜の部、真打昇進襲名披露へ。

         

もともと、3月に行われていた真打昇進襲名披露が途中で中止になり、今回改めての襲名披露だそうで。
真打に昇進した5人のうち、私が行った日は、春風亭一左師の襲名披露でした。

         


舞台上には、春風亭一左の文字が染め抜かれた緑色の後ろ幕(って言うそう。菊之丞師匠のYouTubeチャンネルで知りました・笑)がかかり、襲名披露らしい高座になってました。




アサダ二世さんは、先日の鈴本とほぼ同じネタを、とぼけた感じで披露(笑)。

権太楼師匠は、「来ていただきありがたい」「最後まで帰らないでね」という話などをしつつ、お馴染みの「代書屋」。
何度聴いても大笑いの噺でした。

さん喬師匠も、お馴染みの「天狗さばき」で、こちらも大笑い。

その後、正楽師匠の紙切りや、市馬師匠の「狸賽」などがあり。

仲入りのあと、真打襲名披露の口上。
舞台下手から、彦いち師匠、新真打の一左師匠、一左師の師匠の一朝師匠、落語協会会長の市馬師匠が並び、彦いち師の進行で、一朝、市馬の両師匠がそれぞれ挨拶。
一左師は湘南ボーイだそうで(笑)、あまり面影は残ってない感じですがそれは兎も角。
市馬師匠から、芸の道はこれで良いということありません・・というありがたい言葉などがあり、最後はお客さんと共に三本締め。
おめでたい襲名披露に参加出来て、良かったです。



口上のあとは、ジキジキの音曲漫才などあり。

一朝師匠は、「芝居の喧嘩」という噺。
気持ちの良い江戸っ子の啖呵に聞き惚れました(笑)。
ちなみに、マクラでは、(この噺は)寄席で演るには時間がなくてオチまで出来ない・・という話をしていましたが、この日もやはり時間がなくてオチまで聴くことはできませんでした(笑)。



彦いち師匠は「熱血!怪談部」。
今年の夏は、この噺を聴く機会が多い感じ(笑)。
外国で落語を演った話や、英語の「初天神」のレクチャーなど、大笑いのマクラを約7分。
本編は約8分でしたが、「時間がなくてオチが・・」という、一朝師匠と同じ展開で出番が終了(笑)。
このへんの臨機応変な対応は、生の舞台だからこその面白さだな~、という感じでした。



喬太郎師匠は、短めのマクラのあと、「同棲したい」を約12分。
どんな噺かわかっているのに、爆笑爆笑また爆笑。
あっという間に時間が経ってしまいました。
で、噺の最後に、喬太郎師匠も「このあとが面白いけど、ちょうど時間となりました」と言って退場。
一朝師、彦いち師からの流れを受けて、最後も笑いをとるあたりはさすがでありました(でも、このあとの続きはホントはないんじゃないかな?)。
あ、それから、去年も浅草演芸ホールの8月中席の夜の部へ行ったのですが、その時も喬太郎師匠は「同棲したい」だった記憶が(笑)。
この噺は夏の噺ということなのかな??(そういえば、奥さんがあんな格好で出てくるっけ・笑)



トリの一左師匠は「ちりとてちん」。
新真打らしく、けれんなく熱演。
縁あって真打昇進襲名披露を拝見できただけに、今後も頑張って欲しいと思う一左師匠でした。


            



この日はせっかくの真打襲名披露なのに、お客さんの入りが少なかったのは残念でしたが、そんなこととは関係なく盛り上がった夏の夜の浅草演芸ホール。
めちゃくちゃ暑い中、行った甲斐がありました。
ちなみに、権太楼師とさん喬師は先述したように、鈴本での『吉例夏夜噺 さん喬・権太楼特撰集』に出演中で、こちらと掛け持ち。
他にも、喬太郎師、彦いち師、アサダ二世さんに正楽師なども鈴本と掛け持ち出演で、皆さん本当にお疲れ様でありました。





・・・これが今年の8月の出来事でありました(笑)。

9月になっても、まだまだ暑い日が続くようで。
くれぐれもご自愛くださいませ。


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