Untersee-Boot

あるいは感想記として

行ってきました、内子座

2019年03月27日 | ウンナンあれこれ
3月24日に愛媛県の内子座で行われた、『あんまと泥棒』の公演へ行ってきました。

              


この日一日限りの公演、『HUG』で大いに楽しませてもらった近藤さんとのお芝居、しかもそれがあの内子座で行われると聞いたら、参戦しないわけにはいきません(笑)。
出演者の息遣いや表情までも手に取るようにわかる、ライブ感抜群の素敵な小屋で、大いに楽しんで参りました。

           

今回の舞台は、最初に南原さんの落語『犬のブチ』。
続いて、近藤さんと南原さんの二人芝居『あんまと泥棒』という二部構成。

パンフレットによると『犬のブチ』は「お芝居の序章の様な新作落語を」ということで作られたとのこと。
発芽の会などでお芝居のことは知らずに聴いた時には、『死神』に着想を得た噺なのかな??と思っていたのですが(それもあるかもですが)、『あんまと泥棒』の前に聴くと、確かにこれは今回のためにつくられた話なのだと納得。
そして、二部構成の序章としても、とても良く出来た噺だな~と大感心でした。
序章でもあり、スピンオフ的な作品でもある『犬のブチ』(何故このタイトルなのかも今回納得)があることで、『あんまと泥棒』がより重層的な話になっていて、この構成を考えたプロデューサー氏や演出家に脱帽。
そして、プロデューサー氏などの要望に見事に応え『犬のブチ』を創作し口演もした南原さんは素晴らしいな~と改めて思いました(パンフレットには安請け合いして後悔したと書いてありましたが・笑)。


           


定時より1分ほど遅れて開演。
定式幕が開くと舞台上には一段高い高座が用意され、"南原清隆"のめくり。
♪金毘羅船船♪の出囃子にのせ、お馴染みの若草色の縞の着物(羽織あり)を着た南原さんが下手から登場。
「ナンチャン!」というかけ声も飛んでいて(12時の回)、最初からかなりいい雰囲気でした(笑)。
マクラでは、生で南原さんを初めて見た人は?という定番の話がありつつ。
12時の回では、前日の夜に内子に来て地酒の吹毛剣(すいもうけん)を呑んだという話(吹毛剣は現代狂言の時も地元ネタとして出てきてたな~)に続き、宮崎に行ったときに訪れたお寿司屋さんでリアクションに困った・・という話から本編へ。
15時30分の回では、「12時に初日を迎え、15時30分に千秋楽です」という話で笑いをとりつつ(笑)、あだ名の話に。
内村さんは帰省王、南原さんは黒髪王だが、実は・・・という話。
これ、発芽の会でも話してたけど、客席が微妙な感じになるのでマクラとしてはどうなんだろう?という気がしますが(笑)、とまれ、こちらもリアクションに困るという話から本編へ入っていきました。
『犬のブチ』の内容は割愛しますが、これまで聴いた噺と基本的に同じで、『あんまと泥棒』に関わるエピソードが新たに加わってました。
落語はマクラを含めて約25分(15時30分回は3分くらい短め)でした。



南原さんが出囃子とともに退場し定式幕が閉じると、場内が暗くなりピンスポだけに。
照明が消えただけではなく、二階のカーテンもサッと閉められ、小屋の中は一変して月あかりの夜の風景に。
そして、花道から近藤さんが登場して『あんまと泥棒』の始まり始まり・・・。
こちらも、内容は割愛しますが、お芝居と、素の近藤さんと南原さん(に戻ったような芝居)が入り交じった舞台は最初から大笑いの連続。
さらに、前述した通り序章としての『犬のブチ』が物語に深みを与え、笑いながらも大感心でした。
舞台と客席が近い内子座なので、ただでさえライブ感満載なのですが、あんまの南原さんは客席に「おっとっと」という感じで入っていき、お客さんとの交流も(笑)。
もちろん台本や演出通りなのだと思いますが、お客さんが相手なので、12時の回と15時30分の回では台詞や、やり取りも違いました。
でもそこは南原さん、上手いこと笑いに変えていて流石・・というか、このへんはお手の物という感じでした。

それから、今回の配役を最初に聞いた時は、二人の役は逆じゃないのかな?とも思いましたが、ずる賢くて裏表があり過ぎるあんま役の南原さんと、人の好い泥棒役の近藤さんは、それぞれはまり役だったように思います。
今回の舞台では、物語の回し役は基本的に近藤さんが担ってましたが、とても上手くて安心して観ていられました。
南原さんも自由にあんま役を出来たのではないかな?という感じ。
現代狂言や古今狂言会の新作では、南原さんが回し役&ツッこみというのが定着していますので(『ドラゴンキャッスル』では万蔵さんが回し役やってましたが、翌年は『ドラゴンキャッスル1.1』として役柄を入れ替えてますし)、南原さんが自由に振る舞える役を見れるというのは嬉しい限りでした。
もっとも、コンビならば、回し役&ツッこみの内村さんに自由にボケる南原さんという構図を普通に見ることが出来るのですが、それが新鮮に感じてしまうというのがちょっと残念・・・この話をすると長くなりそうなのでこれくらいにして(笑)。

お芝居の中では、南原さんが拍子木を一本落としてしまう場面などもありましたが、そんなのはハプニングに入らず無問題(笑)。
近藤さんと南原さんの掛け合いが続くなか、いつの間にか朝になり・・・。
爆笑と二人の絶妙なやり取りを楽しんでいるうちにあっという間に終演を迎えた、約55分の『あんまと泥棒』でした。


カーテンコールでは、今回も撮影タイムがありました。
挨拶だけではなく、お芝居の中の名場面を再現してポーズをとってくれたので、まるで観劇中のような写真も撮れてビックリ。
南原さんいわく「次回公演実現のために宣伝してください」とのことでしたので、ネタバレな写真もありますが、悪しからずご了承ください。



           

           

           

           
(ツイートでは、二人で深々と礼をして幕が閉じたとつぶやいてしまいましたが、実際には最後は二人とも手を振りながらの退場でした。失礼しました)



12時の回はカーテンコールは一回。
15時30分の回は、カーテンコールは二回でした。
近藤さんは「(内子座で公演が出来て)役者をやってて良かった」。
南原さんは15時30分の回では、公演実現のために尽力してくれた皆さんにお礼の言葉を述べ、その方々にお客さんを含め皆で拍手。
最後も大きな拍手のなか大団円で幕を閉じた『あんまと泥棒』でした。





内子座では今回の公演のチラシを手に入れることが出来ましたが、チラシとは言えないくらいとても良い紙を使っていてビックリ。

           

これはお金がかかってます(笑)。
そして、パンフレットもカラーのとても立派なものでした(見開きで全体が見えるようになってます)。

           


カテコで南原さんも言ってた通り、多くの方々のおかげでこんな立派なチラシやパンフレット、そして素晴らしい公演が実現できて、改めてありがとうございます、であります。
(終演後、内子座の楽屋口の前を通ったのですが、このとても素晴らしいフクロウの版画を制作した、石村嘉成さんが楽屋を訪れて近藤さんとお話をしているところに偶然出くわしました。石村さんは「笑い過ぎて息をするのも・・」。近藤さんは「素晴らしい絵を・・」というような話をしてました)




今回は、南原さんは落語を口演したり、お芝居の中でも台詞が多かったり大変そうではありましたが、南原さんの良さが存分に発揮されており、ファンとしてはとても満足な舞台でした。
それだけに、一日限りというのはもったいないな~。
でも、内子座という魅力的な小屋で行われる、一期一会の舞台だからこそ感じる面白さや素晴らしさもありますので・・・う~む、難しいところです。
とまれ、今回限りではなく、近藤さんと南原さんの次回公演があることを願いつつ(また内子座行くのか!?笑)。
大いに笑った90分弱。余韻に浸りながら家路についた内子座公演でした。









ここからは余談を少し。

今回も、四国へはもちろんサンライズ瀬戸で行って(帰って)きました(笑)。

           

こんな機会じゃなければなかなか乗ることもないので(3度計5回乗ってますがいずれも南原さん関連・笑)、お芝居だけではなく電車旅も十二分に堪能してきました。

           


              


瀬戸大橋からの日の出は何度見ても良いな~。

              


内子駅に着くと、SLがお出迎え。

           



そして、内子座の近くにある郷之谷川の枝垂桜がちょうど見ごろでした。

              

前回、現代狂言を観に来たのは3年前の3月13日。
その時とは10日くらいしか違わないのに、景色が一変しておりビックリでした。


それから、公演の合間には内子町の散策も。

           

町のそこここに『あんまと泥棒』のポスターが貼ってあり、内子座を町全体で盛り上げているのを実感しました(かなり小さくてわかりにくいですが・笑)。
それから、昔ながらの町並みも散策もしたりして

           

何もかもみな素晴らしい旅でした(めちゃくちゃ眠い以外は・笑)。



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