チョット目を通して下さい。
中学2年女子の救命措置から学ぶ「いのちの尊さ」
私が住む地域には、地域の情報をメインにした記事を発信する新聞社があります。新
聞のページ数が少ないことはともかく、週2回発行ということから、リアルタイムで
のニュースを伝えるには無理な面もあります。しかし、地元ならではのホットな情報
を見聞きできる身近な存在として、私はwebから閲覧するようにしています。
先日、中学2年の女子が曽祖父を救命したとの記事が掲載されていました。具体的に
いうと、風呂場で倒れて意識不明で呼吸も止まっていた曽祖父に対して、心臓マッサ
ージ(胸骨圧迫)を施すことで最悪の事態を避けることができたという内容です。
日常的に、曽祖父の入浴時は、彼女の祖母がお風呂の外から声を掛けてようすを伺っ
ているといいます。しかし、その日、入浴から1時間ほどして声掛けしたとき反応が
ないため風呂場を覗くと、洗い場のイスに腰掛けていた曽祖父が、崩れるように倒れ
ていたのです。祖母によって脱衣所までひっぱりだされた曽祖父に心臓マッサージを
開始したのが、中学2年の女子。しかも、彼女の姉(高校2年)が、救急車を依頼し
て、心臓マッサージの指示を受ける前から始たといいます。
彼女は、その3日前、医師会主催の救命講習を受けたばかり。「息が戻らなくても、
あきらめずに続けることが大切」など、講習会で聞いたことばを心の支えに心臓マッ
サージを続けたのです。その甲斐があって、曽祖父は5分くらいで自発呼吸が戻り、
呼びかけにも反応するようになったといいます。救急車が到着したのは、要請を受け
てから約10分後ですが、そのときは、ふつうに会話ができるまでに回復。搬送先の
病院では、経過観察の入院で済んだそうです。
曽祖父が倒れたのは、日曜日の夕方。そのとき家にいたのは彼女たち姉妹と祖母で、
ほかの家族が居合わせたどうかの記載はありません。しかし、救命措置ができたのは
救命講習を受けていた中学2年の彼女だけだったのです。
救急車が到着するまでの時間は、地域の地理的事情などもありますので、10分での
到着は、むしろ速いといえるのかもしれません。しかし、その10分の間に命運を左
右する最悪の事態になっていた可能性は十分あります。中学2年の彼女が、わずか
3日前、医師会での救命講習を受けていたことも幸運でした。大切な家族を助けられ
たことは、まだ14歳の彼女の人生に大きなプラスになることは間違いないと思われ
ます。
生命を軽んじる痛ましい事件が多い時代、このような貴重な話題にふれると、身が引
き締まる想いがします。AED(自動体外式除細動器)の講習受講が役立ち、救命に
貢献したというニュースはよく見聞きします。私の高校時代の同級生夫婦も貴重な体
験をしており、冒頭で紹介した新聞に掲載されたことがあります。
「ある人生の選択肢より」(4月22日掲載)では、「献体」をテーマに取り上げまし
たが、そのときの補足をさせていただきます。かなりの高齢だった故人ですが、葬儀
のあと、献体のために大学病院へ向かう車を見送る50歳代の孫から「おじぃ!」と
の叫び声が……。
また、80歳代の実父を交通事故で失った友人は、「寿命でない亡くなり方をしたこと
が悔しい」と、同じく交通事故で実母を失った私に打ち明けてくれました。「おくや
み欄」に掲載される年齢が高くなると第三者は納得しますが、家族にとって、年齢は
関係ないのだと改めて感じさせられた貴重なできごとでした。
ちなみに、今回話題になった家族では、曽祖父が100歳まで生きることが家族共通の
願いで、意識が戻らないときも「100歳まで生きるんやろ!」と必死で呼びかけたと
いわれます。その曽祖父は、現在97歳です……<翔子> ( 2012/07/07 18:15 )