僕の家内は招き猫が好き

個人的なエッセイ?

男のプライド

2016年11月16日 | 日記
郷里の、月忌回向のお手伝いに行きました。

朝早くにお寺を出て、九州へ向かいます。
高速で、1時間30分の道のりです。

外回りをしていると、どうしてもトイレに行きたくなります。
寒くなると、回数が増えていきます。

檀家さんのお宅でお借りすればよいのでしょうが、
これが、なかなか頼みずらいものです。

朝1番のお宅を辞した後、トイレに行きたくなりました。
確か、坂に上の公衆トイレがありました。

  そこのトイレに行って。

私は、家内に頼みました。

坂の途中に車を停車して、ドアを開けました。

  「前後に車がいるから、気をつけて。」

家内が注意します。

改めて見ると、前後に数台の車が停車しています。
その列の中に、私の車はいました。

車の列は、動く気配がありません。

  道路工事でもしているの?

 「ちがうわよ。
  保育園に、子供を預けているのよ。」

車の列からは、子供を抱いた女性が、小走りで次々に建物に入っていきます。

朝の、9時前。
ちょうど、通園時間と重なってしまったようです。

 「時間がないから、早くトイレに行ってよ。」

じれったそうに、家内が言います。

でも、この車の列の中。
それも、女性が見ている中で、作務衣を着た、はげ頭のお坊さんが、
公衆トイレに行く姿を想像して、私はおじけづきました。

  はずかしいよ。

 「何言ってるのよ。
  だれも、あなたなんか見ないって。」

私は、前後の車を見ました。
やっぱり、無理だ。

男のプライドが、許さない。

  我慢するから、車を出して。

 「我慢できるの。
  漏らさないでよ。」

私は、首を縦に振りました。
でも、車の列は一向に動きません。

下腹が、痛い・・・。
このままでは、漏らしてしまう。

あぶら汗が出ました。

季節は、冬。
なのに私は、汗まみれ。

羞恥心の中に、顔を隠して、私はトイレに走りました。

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