室井絵里のアート散歩

徒然現代美術&感じたこと、みたもの日記

横浜トリエンナーレ2008

2006年11月30日 | アート他
次回は、2008年!?に予定されている横浜トリエンナーレのプレス発表に行きました。
二回目のは、磯崎新さんが途中降板し、アーティストの川俣さんがアーティストならではの発想で、市民ボランティアの人も巻き込んだ形でなんとかやりこなしたトリエンナーレですが、いよいよ三回目です。

次回の総合ディレクターは神奈川県立近代美術館の企画課長でもある水沢勉さん。テーマは「Time Crevasse」(時間のクレヴァス)国際展のクォリティは保ちつつ、多くの人にアートが伝える時間を越えるメッセージの強さと深さと魅惑を感じてもらえたら、ということ。

今年韓国の光州・釜山や、中国の上海や、シンガポールで開催されたビエンナーレも二年後にあたります。ちょうど同じ年に開催される予定なので、他の国際展との連携も深めていくとのこと。


キュレトリアル・アドバイザーは今のところ、外国の人3人。
ドイツのダニエル・バーンバーム。
ビタミン・クリェイティブスペースのフー・ファン、私がむかーし会った時は、パリ市立美術館にいたハンス・オブリストら三十代後半の世界で活躍しているキュレータたち。実際にキュレーションを行うメンバーは今後増える可能性があるそうです。

質疑応答で、水沢さんは一度目のトリエンナーレの四人のディレクターのうち、河本さんティストに・・みたいなことを言ってました。
河本さんのコーディネーターをさせていただていた私は、内心ヒヤヒヤ。河本さんはバッタのキュレーターでもあり、同時に担当していた、赤煉瓦会場の狭間にあって、予算が足りなくてどちらか捨てようかとすら(冗談でしょうけど)悩んでたし。なんとなくですが、ハンスと水沢さんは色があわないよーな気がするし。水沢さんじしんは学究肌の人だから「後2年じっくり時間をかけて」と言ってましたが、2年しかない上、場所もまだ決まってなければ、だいたい生きたアーテイストの欲望と、あのドサクサに耐えられるのだろうか・・・と。心配になったりしました。

一度目にかかわっている人たちが何人か会場に来ていて、だから「組織委員会のその組織をしっかり作ろう」とあれほど言ったのにねぇ・・・。国際交流基金の担当、伊藤さん小山さんは一度目から実働隊なのではありますけれど、いかんせん、みんな年もとっていくわけですし、結局コアの組織がしっかりしていなければ、なんだか最後のドタバタがひどくなるのに。

一度目は、最終的には半年で組織を作って、夜中も昼も無く働いていたので、みんなからそういう意見が出たのですが・・・。

二回目は、丸投げしようとして失敗して、今回はどうするんだろうか。まぁ、内容的にはオーソドックスな落ち着いたものになるでしょうが、多分。

そうなると、二回目で盛り上がった浜ことりなど市民ボランティアとの連携をどうとるかなど色々ありそうです。

私は、三回目は市民に任せる横トリとかにするんかと思ってましたが・・。
まぁ、水沢さんは東博の「仏像展が・・」てなことも口にしてましたから、日本独自の国際展ということでいっそのこと日本人アーティテストのみで会場構成しちゃうとか。
彫刻は仏像からでもはじめていいから、障壁画ももってきて近代の日本画から洋画や現代にいたる日本のアートの現在までひっぱって来たらこの際どうでしょうか。

海外の有名なアーティストと仕事をすることは、楽しいことでもあるのですが。だって、他の国際展でも作品見られるしなぁと思えば、純粋にアートに使える予算は四億しかないわけだから。。。

私的には、今回のテーマがなんか一番好きです。
水沢さんならではの、渋い、いい味の国際展を期待しています!!



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青木万樹子展・エッセンシャルペインティング展・小川信治展

2006年11月26日 | アート他
青木万樹子
「愛の力学」展は大阪のキュービックギャラリーで残念ながら、昨日11月25日に終了している。
家族の写真や、犬や。元彼かも?それが自分の家族であるとかはともかくとしても何か鮮烈な印象が残る。

エッセンシャルペインティング展は
大阪の国立国際美術館で 12月24日まで。
九十年代から現在まで国際舞台で脚光をあびた欧米の13人の画家たちで、日本にこれまで紹介されてきたものの作品の実物が見られなかった作家たちの作品が、ブースにちゃんとわけられているので、会場構成上一つ一つを個展としてみることもでき、堪能できる。そして、ここに見られる絵も妊娠した姿とか・・・新鮮な具象絵画である。

青木は、今現在の日本の若いペインターなのだけれどなぜか世代的には先行するはずのエッセンシャルペインティングの欧米の画家たちに匹敵する内容と、筆力をもつと感じたのが面白かった。

小川信治展は、エッセンシャルペインティングが開催されている国立国際の常設の特別展で見た。逆にこれまで彼のもつ筆力を企画展と、常設の写真の展示ととの対比によって認識させられもした。そして、風景としては具象であるはずだが、彼の作品は実際の風景では決してない。有名な絵画作品や風景写真から最も重要なファクターを抜き去ったり、二重に描いたりしている。

見てというのは、たいていかなり無自覚にいい加減にものを見ているわけでそのことを突きつけてくるという意味で、それぞれ考えさせられるものがあった。

まー、面白いのはこういう偶然で。
私が、今月の美術手帖の展評をしていたら関西ではこの三つの展覧会を選ぶかな。

ま、いい加減な感想ではありますが。
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アーティストとワークショップ

2006年11月24日 | アート他
アーティスト金沢健一さんから「音のかけら」とワークショップ展という報告書が届いた。
ワークショップ十年前ほどから、公立の美術館等の普及活動の一つとして頻繁に開催されるようになった。
また、妻有トリエンナーレなど地域と密着した形の展覧会などでも開催されている。

金沢さんの作品「音のかけら」は二十年近く制作されてきた作品だが、鉄をよう断して作られた作品で、それを色々なもので叩いて音を出す。ここ十年ワークショップの要請も強くなってきた。
私も展覧会の中で「音のかけらを叩いてみよう」というイベントはしたことがある。展覧会の中のイベントならともかく、難しいのはワークショップのみの開催という時だ。
何度か、金沢さんたちとこの話をして来た。


金沢さんと一緒に活動してきた新倉さんが報告書の本文に「美術館の担当者とのワークショップの打ち合わせは、段取りや材料の手配などといった話ばかりで、ワークショップの内容の検討がほとんどおこなわれていない。 略 市民と美術家のあいだをコーディネートし、開催するワークショップを、共に作り上げる専門家は、いつ現れるのだろう。さらに言えば、美術家は作品作りの専門家であって、ワークショップの専門家ではない。」と書いているが、私もこれに尽きると思う。

もちろん、ワークショップを開催することは美術家にとっても作品の鑑賞という以外での新しい出会いになることは確かだが、安易にこれに頼って、本来の美術作品の強度を失ってしまっては無意味だ。まして、ワークショップのための作品など本末転倒した話なのだが、多くのアーティストはこれを発表の場という意味程度に安易に引き受けてしまっているようにみえる。

依頼する美術館の担当者も、そこまで深めて考えている人は少ない。本来、作品をどう見せるか、生かすかそういうことを抜きに単純に現場をつくってそれを「教育普及」だとするのは私は問題ありと思う。

金沢さんのこの十年のワークショップとの関わりと、川越市立美術館でこの夏開催された「ワークショップ展」の報告書は一人のアーティストの軌跡とともに、美術館とワークショップとの関わりなど考えさせられるものである。
(報告書は40部限定だそう)

(それでも、ワークショップでも無いよりあるだけマシになってきたら恐いが・・・。)
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gallerism2006 現場だ!

2006年11月06日 | アート他
会期は、11月11日まで。
大阪府立現代美術センターにて開催。

関西の画廊が集まって毎年開催されてきた展覧会で、新しい画廊も加わったり、イベントも開催される。
「画廊の視点」改め?「画廊の支店」らしい。
今年は「現場だ!」がサブタイトルで、会期中に行けないので帰って来る前にまさしく「搬入の現場だ!」にお邪魔しました。

一時期作家の顔ぶれもマンネリ化傾向にあったようだけど、若い作家も増え、ぐっと新しい雰囲気で会場も活気がありました。
また、絵画作品なども増えてきたよう。

以前ギャラリー白でちょっと印象に残ったインスタレーションを発表していた冬耳さんの作品と、キュービックギャラリーの谷口順子さんの作品(写真・搬入中)が目につく。
ギャラリーマーヤ推薦の谷内一光さんはライブペインティングだそうだが、会場で本人自身が異彩を放っていた。

奈良のギャラリー アウト・オブ・ブレイスの森村誠さんは白くてコンセプチュアルな静謐な雰囲気の作品。

傾向が多様化しているのが、この会場からも伺える。
いわゆる「アートフェア」とは一味違った、関西のギャラリストの心意気と、それぞれ推薦の
アーティストたち。ここに一同に会した、関西の現場の雰囲気にも触れられる。
関西方面に行かれる方は、ぜひ。無料ですし。
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夏の名残

2006年11月06日 | アート他
夏の間、青森の奈良サンの展覧会やらなんやら行っていたのだけど
書くのを忘れている間に日が過ぎた。

夏の初め、今年はぬか漬けに挑戦した。
ついでに茄子の鉢植えを買って来て、1000円でおよそ二十個くらいの茄子を収穫した。
夏の終わりにできたのが、写真のように出来損ないみたいだったので
それを鑑賞用にして、水をやって過ごして来た。

なんと、最近またまた星形の可愛い紫の花が咲き始めた。
で、先週は立派に一個実も収穫!
まだ生きているヌカ床で茄子の漬け物になった。

十個くらいの花が、果たしてどうなることやら。
出来損ないの実は残したまま、せっせと肥料と水をやっているのである。
夏の名残を、まだ楽しんでいる今日この頃でした。

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信濃橋画廊・菊池孝展

2006年11月05日 | アート他
先週大阪の信濃橋画廊でみた菊池孝さんの作品。
菊池さんはもっと観念的な形状の彫刻を作る人だと思っていたので、
一瞬彼の作品だとは思わず、向こうが私に声をかけてくれたので
なるほど、と思った。
改めて見ると、確かに菊池さんの作品で造形力の力強から納得できた。


「作品の奥にある写真はなんなんですか?」
本当はなんで鹿なんか聞きたかったところだけれど、直裁な質問を投げるのもつまらないのでこう聞いた。

奈良のアトリエでは最近鹿が出るそう。
で鹿は雌雄一対で行動するものであるということと、写真はその
鹿が本来いた場所と思われる山の写真だそう。

そういえば、先週唐ゼミにつきあって京都の修学院に泊まっていたがそこでも鹿が出たそうだ。
その話が面白くて
最初リードをつけていない大型犬がいるけれど、そのリードの先に飼い主がいないーと思って、
じっと見たら鹿だった、らしい。

野生の鹿は、かなり恐かったらしい。

そりゃそうだろう。私が家のマンションで、走ってくる野生の狸に会った時も、恐かったもん。
野良犬だって、野良猫だって昔は凶暴でこわかったもんだ。

そういうものにインスパイアーされる気持ちは、よくわかるし
作品からもその「感覚」は伝わってくるんだけど。
鹿の住んでいた山ってのは・・・どうなんだ?

そもそも人間が鹿の住んでいるところに今住んでいるかもしれないんだしさぁ。熊だって。なんだって。

造形力として力の強い作品であるだけに、少し素直すぎる気もしたが・・・。

例えば「猿の惑星」なんてメッセージとしてそれを倒錯させた形でもうずっと前に映画にしているんだし、
何か、メッセージとして伝える手段として少し素直すぎるようにも思う、菊池さんなら
鹿との出会いからもっと抽象的な造形を作れそうにも
思ったのだが。。。
そこのところが、私的には少しだけ残念に思えました。



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