室井絵里のアート散歩

徒然現代美術&感じたこと、みたもの日記

映画・甘い生活

2005年04月26日 | アート他
韓国映画「甘い生活」のレイトショーをみに川崎のチネチッタに。そもそもは、ご近所の先輩と韓流ブームについて話していて「ヨンさまならまだイ・ビョンホンの方がいいかなー」と私がいったのが今日のきっかけでその方がイ・ビョンホンのファンになられたからだ。イタリアンを楽しくいただいてから、レイトショーに。
「甘い生活」は原題は「甘いお菓子」。主役のイ・ビョンホンが食後の甘いチョコレートのお菓子とエスプレッソを飲んでいる間の夢というような感じともとれる内容。中国の天下をとる一生のできごとが全てうたた寝のできごとだったという、あれとも似ている。揺れているのは風か木の枝か。それはみている自分だなどと、ちよっと哲学的でもある。泥に埋まったり、カーチェイスをしたり、アクションも全てスタント無しでイ・ビョンホンが演じたとのこと。
結論として、けっこーいいかも。最近の日本映画の堕落とは、ちょっとわけが違うところが本格的ともいえる。色合いもおしゃれだし。食後の幸せなレイトショーとしてみるには、あほなテレビドラマみているよりは100倍おすすめ。バンバン鉄砲うってくれてすっきりするし。ガラス窓にむかってシャドーボクシングするイ・ビョンホンもかわいいしね。
オシャレ度は、ひと昔前のフランス映画みたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アート散歩・福西数身展

2005年04月24日 | アート他
青山のギャラリーGANで開催されていた、福西数身展の最終日(4/19)にでかけた。この一週間前のオープニングには関西に行っていたのででかけられなかったし、関西在住の作家だから「いつ東京にくるの?」と聞いたところ、最終日ということだったので最終日にでかけた。大阪のキュービックギャラリーでみた作品が多かったのだが、これが全く違ってみえた。キュービックは閉じられた完成された空間ではあるからか、作品に封じ込められていくような緻密な描き方が感じられたのだが、青山では街路に面して大きな窓のある空間だからか、むしろ大胆な筆致で描かれた絵のように思われた。
私が行ってねーと紹介していた知人が画廊に足を運んでくれた印象が「大胆な筆致」ということだった。私にとっては、それは全く違った見方だったので・・・あれれ、と思っていたのだが・・・。それで、福西さんと外に出てしばらく話していた。そこへ、同じく画家の日高理恵子さんも来て、しばらく日高さんの日本画の画法や、福西さんの絵の具の話やらかなりマニアックな話になった。そして、時間をおいて画廊へ戻ると夕方に近くなっていたのでキュービックでみた時の印象に近い作品になっていた。
どちらが、良いとか悪いとか好きとか嫌いではなく。こういう変化を見せてもらったことだ大切なのではないかと思う。
それこそが、作品も展示にかかわった作家も画廊も今を生きているということではないかなー。

こういことがあるから、私は一回きりみた印象だけで作品を評価することが恐くてできない。
場が変わっても変わらないのが作品とかモノの力だっていうのは、幻想じゃないか。作品の善し悪しなんていうのは、ちよっとしたことで変わる。時代や、場所や、取り込む光の具合によって。気分や体調によっても変化するくらいの謙虚さがミテにあってもいいかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現代美術の先達たち

2005年04月22日 | アート他
ここのところ、気骨のある現代美術の先達たちの訃報があいついだ感がある。大阪の国立国際美術館を経て、icc美術館の副館長であった中村敬治氏、また、昨日は岡本太郎の秘書でありよきマネージャーでもあり岡本記念財団の代表であった岡本敏子氏。
中村さんの企画展の工藤哲巳展や、敏子さんのとおして語られる愛情あふれる太郎さんへの語り口が個人的に好きだっただけに正直ちょっと参ったなぁ・・・。私にとってはキュレータとして、またマネージャ的存在としてアーティストにどう接し、尊敬し続けるかを見させてくださったお二人だ。そして、最後まで肉体的な「現場」を大切にされた方たちだったとも思う。慎んで、ご冥福を祈ります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アート散歩・世田谷美術館の常設展

2005年04月04日 | アート他
世田谷美術館の常設スペースでは「畏怖する眼」という展覧会をしていました。ここで、出会ったのが小堀四郎という人の絵。ざーと通り過ぎるように見ていたのですが「無限静寂」と題された三点の油絵にひきとめられた。星が描かれている絵。
入り口の目録のペーパーの説明によるとー小堀四郎は昭和初期の美術界再編をめぐる混乱時に、師、藤島武二に「画壇を捨てて自らの芸術を追求せよ」との言葉を得、以後ほとんど作品を公表せず独り制作に打ち込んだ、異色の画家です-。と、ある。若描きの絵にも見えるが、晩年の作だそう。また、人を引込む力をもちつつ、中心から拡散する意識みたいなものも感じる。築地のカトリック教会に祭壇画になっているそうだ。今度、行ってみよーかな。築地。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アート散歩・世田谷美術館 

2005年04月03日 | アート他
ついでに、世田谷美術館で同じく10日までの「瀧口修造ー夢の漂流物」展へ。全体の印象として瀧口の集めたモノや作品や瀧口じしんの作品や詩にかこまれて、タイトルどおり夢の中で見たような不思議なモノたちが美術館に漂着してきたような会場の雰囲気だ。瀧口は1976年に亡くなった美術評論家であり、詩人であり晩年には水彩画なども描いていた。2年前には松濤美術館で瀧口のペーパーワークに焦点をあてた展覧会も企画された。その時も何か不思議な時間に誘われたように思えたが、今回は、まず瀧口の書斎に座っている晩年の瀧口夫妻の写真に出迎えられる。それから様々なものたちが展示されているのだが、要するに瀧口が生きていたらこの十畳あまりの書斎にギュとこれらのもんが詰めこまれていたんだろうということが想像できるのが面白い。池田達雄が二十五年前の記憶をたどって瀧口邸の図面を書いているが、シンプルなつくりだけど、真ん中のオリーブを中心としている家で決して広くはない。それに、この書斎の雰囲気といい、庭といい・・・どこかのお宅に似ている。
そうか、瀧口とも親交のあった画家合田佐和子さんの鎌倉のアトリエと似ているんだ!!合田さんは、鎌倉で昭和のお宅をかりているらしい、家賃は高くて大変ってちよっとおっしゃっていたが・・ちよっと無理でも瀧口の気概ってもんをひよっとして、伝えてらっしゃるのか。書棚の本のかわりに、絵をおいてみたらすごくよく似ている。そんなことを感じながら会場へ。瀧口が集めた作品の中には、もちろん合田さんのものもあるし、中辻悦子さんや、河原温や小野洋子や・・・様々な作品があるが、共通点は作品の大きさだ。比較的小さなサイズの絵やオブジェが集められているので、統一感があり、瀧口の描いた作品とも統一感がある。私が特に好きだったのは、作家が瀧口に贈ったモノたち。ミロが贈ったカラバさでつくった瓢箪とか、ダリが贈ったジャスミンの花とか、デュシャン夫人が贈った紙箱におさめられた葉巻きとか中西夏之が贈った砂入りのビンとか・・・みんな瀧口の好みを熟知した贈り物たちだ。それだけ作家との親交の深さもうかがえる。また、瀧口からも海外に行く人たちに手作りのリバティパスポートを贈ったりしているし、自宅のオリーブを瓶詰めにして特性のラベルまでつくって贈ったりもしている。なんだか、余裕がある遊びがあって楽しい。そういえば、合田佐和子画のデュシャンの「ローズセラヴィ」を描いた作品もあった。ローズ・セラヴィはデュシャンが自分につけた架空の名前で、瀧口の架空のオブジェの店にこの名前を贈っている。
横浜でやっていたデュシャン展も、こういう瀧口との交流とつなげて見れば、もっと生きたものに見えたんじゃないだろうか。瀧口展も、多少なりとも瀧口を知っているから見られる部分もあるが、まるで知らない人が見たら、結構「わからない」といわれかねない展覧会かもしれないなぁ・・・私にとっては、ミロの絵に詩を瀧口がつけた詩画集に子供の頃ふれていたので生きた現代美術の展覧会に見えたけれど。

桜にはまだちょっと早い砧公園から田園調布までバスで戻り、多摩川駅まで。多摩川ぞい古いビルにあるギャラリーのアート&リバーバンクに。矢島慎一という若い写真家の展覧会だ。風景を4の5でフィルムで撮影し、それをカットアップしたというもの。風景なのだがあらゆる物語をとりはらった世界みたい。抽象画みたいにも見える。静謐感のあるいい作品だと思う。

ところで、桜は一分咲きだけど桜の花が咲く前の桜の木の燃えいずるような紅さって知ってますか?
それを夜見ると、まるで満開の桜の木かとみまごうばかりの木から発する光が見えるように思えます。
今日のサンボはちよっと桜がまだ見られなくて残念でしたけど、桜が咲く前の美しさを見られましたよ。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アート散歩・目黒区美術館

2005年04月03日 | アート他
目黒区美術館では、4月10日まで『川村清雄』を知っていますか?というタイトルの展覧会を開催中です。知っていますか?と聞かれても、数年前に静岡の美術館で展覧会があったような、でも作品は知らないなぁ。旧幕臣でも、幕末に勝海舟らの力で渡米し、絵画を学び、ベネチアにも留学していた人だとか。作品は、近代絵画以前、日本画の手法を用いた油絵といったらいいでしょうか・・・現代絵画で日本画の手法で描いている作家の原点てもいえるような、おもしろい。
「オウムと蝶」というタイトルの作品は、オウムとパラが不思議な構図で描かれていて変な感じでもありでイイ。明治美術協会設立などにもたずさわったようだが、日本画と西洋画の違いを理解していたからこそできる、画面上での一致という興味深い作品が並んでいた。こういう時代にこういう作家がいたんだな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする