後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔657〕『なぜガザは戦場になるのか - イスラエルとパレスチナ 攻防の裏側』(高橋和夫)はとてもわかりやすい一書です。

2024年02月10日 | 図書案内

 ウクライナへの侵略が進行するなか、中東でもイスラエルとパレスチナ「戦争」が勃発しました。東西冷戦が終結し、平和な世界が到来するかと淡い期待を抱いていたのですが、それも霧散してしまいました。
 中東のパレスチナ問題というのは複雑でどうにもわかりにくいものがあります。そんなとき、手頃な一書をある方からいただきました。著者は高橋和夫さん。彼はテレビや新聞で引っ張りだこです。

 「第5章 揺れ動くアメリカ」まで読んだところですが、難解な中東情勢をわかりやすく解説してくれているのが「第3章 パレスチナ問題の歴史」です。イギリスの「3枚舌外交」、中東戦争の歴史、イスラエルの誕生など、目に鱗でした。「第6章 イランとヒズボラ」が楽しみです。
 本書を地域の仲間に紹介し、意見交換しようと思います。
 

■『なぜガザは戦場になるのか - イスラエルとパレスチナ 攻防の裏側』 (ワニブックスPLUS新書) 新書 – 2024/2/8   高橋 和夫(以下、アマゾンのサイトより引用)

激化するイスラエルのガザ地区への攻撃。
発端となったハマスからの攻撃は、なぜ10月7日だったのか――

長年中東研究を行ってきた著者が、これまでの歴史と最新情報から、
こうした事態に陥った原因を解説します。

・そもそもハマスとは何者なのか
・主要メディアではほぼ紹介されないパレスチナの「本当の地図」
・ハマスを育ててきた国はイランなのか、イスラエルなのか
・イスラエル建国の歴史
・反イスラエルでも一枚岩にならないイスラム教国家
・アメリカが解決のカギを握り続けている理由
・ガザの状況を中国、ロシアはどう見ているのか
・本当は日本だからこそできること

など、日本人にはなかなか理解しづらい中東情勢について
正しい知識を得るためには必読の一冊です。


 ◆「国のために戦えますか」
  と言われたら、戦わせようとする為政者と闘うべきだ

                       大矢英代(カリフォルニア州立大助教授)

 「米国人は、自由を回復し、独裁政治を終わらせ、解放するために
やってきたのだ。征服するためではない」。ワシントンDCの第2次世
界大戦記念碑には、そんな刻印がある。見渡す限り壮大な花崗岩で築か
れた記念碑には、戦場の残虐性は見えない。「戦争を終わらせるために
は、正義という名の暴力が必要だ」。 
 そんな米国型の戦争価値観が具現化された空間の中で、言葉にならな
い恐怖を感じた。

 「あなたは祖国のために戦えますか」。
 ジャーナリストの櫻井よしこ氏のSNS発信が、今、ネットで物議を
醸しているという。「多くの若者がNOと答えるのが日本です。安全保
障を教えてこなかったからです」と櫻井氏は投稿した。
 平和のために武力が必要だという米国と、平和のために武器を捨てて
対話せよと唱える日本国憲法。「同盟国」という名で結ばれた二つの国
は、「平和」 への考え方が根本から異なる。

 しかし、櫻井氏の発言にみるように、ここ数年で、日本はアメリカ型
の価値観に着実に近づいてきている。
 いや、「お国のために死ね」と言ったかつての帝国主義的価値観に逆
戻りしているというべきだろう。
 「国のために戦え」と言われたら、戦わせようとする為政者と闘うべ
きだ。
 それでも戦えと迫られたら、逃げよ、隠れよ。自分の命を一番大事に。
               (2月5日「東京新聞」朝刊21面「本音のコラム」)