後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔466〕畏友・山﨑隆夫の新刊『危機の時代と教師のしごと』(高文研)は教職半世紀の集大成です。

2022年04月28日 | 図書案内
 山﨑隆夫は東京学芸大学で出会った親友であり、畏友です。2人とも教育学部小学校教員養成課程社会科所属、入学式で出会い意気投合しました。バドミントン経験者の山﨑とバドミントンの部屋を訪れ即入部、ダブルスも組んだ仲間です。
 山﨑は東京都で38年間教師を勤め、定年退職と同時に都留文科大学で教職支援センター特任教授になりました。私と同様に約50年にわたって小学校と大学で教育の現場にいたことになります。すでに数冊の著書をものにしていますが、今回、新たに『危機の時代と教師のしごと』を出版しました。半世紀にわたる教育の実践と理論を1冊の本にしたためたことになります。

 まずはどのような本なのか、出版元のHPを紐解いてみましょう。



◆『危機の時代と教師のしごと』(高文研HPより)
山﨑 隆夫(著/文) 発行:高文研 四六判

○紹介
コロナ禍でさらに困難な時代を生きる子どもたちの悲鳴と生きづらさに寄り添いながら悩み、葛藤し未来を生みだしていく教育の真実がある。教師が〝本物教師〟になっていく真の姿がここにある!

私たちの前には、いま深い闇がある。5年、10年先の未来が見えない。コロナウィルスの問題や核戦争に対する不安、気候変動による災害や環境問題も待ったなしに迫っている。子どもたちも「未来」から不安や見えない危機が忍び込み、希望が見えにくくなっている。

この危機の時代に何が教育や教師に求められているのか。
現在、「情報器機」を利用した「個別最適化された学び」「協働的な学び」が文科省から提案され具体化が始まっている。その子に相応しい学習の学びが達成されていくという理由だ。果たしてそれは子どもの心の琴線に触れるような、そして子どもと教師の心を熱く揺るがすような教育が生まれるのだろうか。

著者は、いまを生きる教師こそ、安易に何かに委ねることやマニュアルにたよったりせず、試行錯誤を重ね子どもの抱えるものや思いに共感しながら時代を切り拓いて欲しいと説く。

○目次
はじめに

Ⅰ章 いま問われる〝教師のしごと〟
   1 教師のしごと 命を守り、命を育む
   2 教師のしごとは「奇跡」の連続

Ⅱ章 子どもを理解するとは
   1 教育実践において子どもを理解するとは
   2 教師の「いま」と教育実践
   3 今日の教師にとっての子ども理解の問題
   4 子ども期を夢中に生きること、人生を肯定し憧れを刻むこと

Ⅲ章 授業と子ども
   1 授業に流れる時間と質を問う
   2 子どもが授業の中で夢中を生きるとき
   3 聴く、聴き合う授業で広がる子どもの世界
   4 学びとつながり合うもうひとつの世界

Ⅳ章 扉の向こうは子どもの時間

○著者プロフィール
山﨑 隆夫 (ヤマザキタカオ)

1950年静岡県生まれ。東京都公立小学校教師として38年間勤務。生きづらさを抱える多様な子どもたちを教室で受け止めながら、楽しく豊かな授業づくりを目指し、日々努力をしてきた。現在、都留文科大学教職支援センター特任教授。教育科学研究会常任委員。学びをつくる会世話人。主な著書に『希望を生み出す教室』(旬報社)『パニックの子、閉じこもる子達の居場所づくり』(学陽書房)『学級崩壊』(共著、高文研)『教室は楽しい授業で いっぱいだ!』(高文研)など。


 55歳で自主退職した私は、大学の授業の合間を見て、小学校の3つの現場を訪れました。故・鳥山敏子さん(立川市の賢治の学校)、霜村三二さん(朝霞市)、そして山﨑(大田区)の教室でした。
 山﨑の退職前に一度授業を見ておきたいと思って連絡を取りました。当日は千葉の大学の学生たちも多く訪れていました。国語か道徳の授業だったでしょうか。子どもたちとの当意即妙のやり取りが絶妙でした。彼らの意見を細大漏らさず聴き取り、手際よく黒板にまとめていきます。学生時代から得意だった絵も描きながらの見事な板書でした。私はその様子を珍しく写真に収め、それを山﨑に送ったのでした。
 休み時間も彼と話す時間はありません。彼は子どもたちが校庭でエスケン(?)をするのを見守っているのでした。

  本を捲りながらこの時の授業を思い出していました。
 本の各章のトビラに山﨑の絵が掲載されています。どれも柔らかなタッチの子どもを描いたものです。とりわけ、学級通信「なかよし いっぱい!」の最終号が素敵です。おそらく学級通信を書き続けてきた彼の最終号だったのではないでしょうか。ドラゴンの形の船に子どもたちがいっぱい乗船し、これから出港するのでしょうか。本文によると子どもたちは自分がどれか、どうやら特定できるようなのです。そういえば山﨑の年賀状も彼の手描きの絵で飾られていましたっけ。

 山﨑の特技は絵を描くことだけではなく、詩を作ることもその1つです。このことも学生時代からたびたび目にしていたことなのです。本では教師の仕事をわかりやすく詩で表現しています。子どもたちも詩や作文が大好きのようです。それが本にたびたび登場し、実践記録に豊かな彩りを添えています。

 この本で一番感心するのは、すべてが実践に裏付けされた文章だということです。だから仮名で登場する子どもたちの眼差しや息づかいまでも伝わってくるのです。
 そして文章に凄みを与えているのは実践の光と影を描き出しているからです。単なる成功談ではなく、時には痛みを伴った実践報告の様相を呈しているということなのです。ここに教育の深層やリアルが立ち現れてくるのでしょう。

 この本には教室風景が数多く報告されていますが、その中でもとりわけ秀逸なのは「春の歌」(草野心平)の授業です。この20頁ほどの文章を読みあって校内研究にかけてもおもしろいかもしれません。自分ならこうする、という意見も誘発する優れた実践です。

 山﨑から送られた本を通読して良かったと実感しているのは、彼の教育思想の全貌をトータルに知り得たことでした。雑誌『教育』掲載の文章はけっこう読んでいたのですが、毎日新聞「新・教育の森」、新聞赤旗などに掲載された論考は初見でした。
 この本は教師を目指している学生、悩みを抱えている教師、自分の実践を見つめ直してみたい教師などにお勧めです。

 さて、これから山﨑隆夫は何処に向かうのでしょうか。注視していきたいと思います。

〔465〕西崎典子さんの衆議院憲法審査会(4月21日)報告です。「持続する志」を見習いたいものです。多謝!

2022年04月28日 | 市民運動
 最新の憲法審査会ウオッチングが届きました。西崎典子さんからです。感謝のみです。

◆傍聴して審査会ウオッチングを重ねる西崎です。
BCCで知り合いの皆様にお届けします。お知り合いにさらに広めてください。

はじめに。自公維新公明有志の会が27日に国民投票法の改正案を衆院へ共同提出したという報道がされています。
これは、憲法審査会の21日の討議が改憲派の談合の協議だったと暴露するかのようで、大変残念です。

■当傍聴グループからのおすすめ
「審査会委員に市民の声を届けましょう。激励や意見や疑問を、ファクス・電話・メールによって」

◎本日の討議
森会長挨拶 「…特に憲法改正国民投票に係る有料広告について調査を進めます」。
(注、奥野幹事は国民投票が公平公正に行われるようにCM規制について論じるべきだ、と
 主張してきました。それを取り入れたかのような形です)
 
参考人として民放連の専務理事永原伸氏、同常務理事の堀木卓也氏の2名を招致し、
3種類の資料を用いた参考人の意見陳述のあと、
委員と質疑応答を行いました。

【参考】国民投票法 第105条 (注、ずっと重要視されてきた条文)
何人も、国民投票の期日前14日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、次条の規定による場合を除くほか、
放送事業者の句放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることができない。
(=投票期日前14日から投票日まで、国民投票運動CMは放送禁止)

民放連、国民投票CM規制強化反対 衆院憲法審: 日本経済新聞 (nikkei.com)
・討議をざっと知るために、↑こちらをまず紹介します。
  (そこに記載がないが、大変重要なのは奥野幹事の具体的な主張、赤嶺委員の質問です。もっと下の方に記しました)

もう少し詳しく言うと、民放連の参考人と自公国民維新+有志の会は、CM規制に否定的で
、その分政党側が規制することを促す。
広告の受け手(TVラジオ)については民放連作成の「考査ガイドライン」の自主規制があるので、
それでよい。あとは広告の出し手(政党)が自主規制について話し合いをすればよい、国会内に作られる「国民投票広報協議会」が活用できる、とします。
それらは枝葉は異なりますが、コアの部分は事前に話し合ったかと思えるほど同じ主張です。
奥野幹事はひとり反論しCM規制は行うべきだし、他にも規制すべきことは色々あると強調します。

なお、21日の新聞各紙の見出しは「民放連がCM規制に慎重」「規制強化に反対.民放連」のごとく、
民放連の発言への関心の高さがうかがえます。

さて議事速報ですぐわかるように、「言論・表現の自由」という言葉がこの日は飛び交いました。
しかし目下、日本のメディアにあるのは自粛・忖度の自由と言論・表現の不自由ではないでしょうか。
自由があるなら質のよい報道番組がもっと作られていたでしょうし、
政権が万一番組に介入したとしても追従はしないでしょう。
この偏った不自由さの中で国民投票が公正公平に行えるどうかは大いに疑問です。

・IWJも丹念な追求記事を配信しています。

・さらに巨大広告代理店の強い影響力については、

  本間龍「メディアに操作される憲法改正国民投票」(添付文書)(重要部分の数行を抜き書き)

・奥野幹事の発言より p.7上~
「広報協議会、出し手(政党)、受け手(民放連)の3者がバランスを取って考えていくと聞いたが、
他にもプレーヤーはいる。政党だけが自主規制すればいいというものではない。
いろいろな政治団体もあるし、直接見えてくるかどうかはわかりませんが、
外国の政府とか、いろいろな関心をもつ人たちがいろいろな形で関わってくると思うんですね。
だから、その三者で、例えば政党だけが自主規制をすればいいという話ではないと思います」

「やはり量的な規制について…考えなきゃいけないと思っているんです」

「14日間はできない、スポットCMは打てないということですが、それ以外のところは、皆さんの
言い方をすると、言論の自由市場の淘汰に任せると言うことだが、
そうすると資金の多寡によって結論が左右されると言うこともおこってくる。」

「(メディアの)表現の自由、報道の自由とおっしゃるが、一方で(国民には)意思決定の自由もある。
メディアが働きかけて意思決定の自由を侵害してしまうこともあると思う。
…あくまで、資金量の差があって、言論の自由の市場の淘汰に任せるべきとお考えですか」(p.8上)
と参考人に尋ねますが、不明瞭な答えです。

「憲法のもう一つの価値観、意思決定の自由をどう守っていくかと考えた時には、
法律で介入するという手段もあると思います」

「国民投票法運動に対する賛否の勧誘のための放送広告はもう全期間にわたって禁止をしてしまう…
ネットも含めて、正当による広告については、賛否の勧誘だけでなく賛否の意見表明、そしてインターネット
有料広告についても禁止する」p.8中

「間接的規制の、運動資金規正については、運動資金の上限を定めたり、運動資金を届け出る。
支出額が一千万を超える団体については収支報告を義務付ける
 5億円の支出限度額を設けたり、外国人寄付の受領禁止などの資金規正は必要」p.9上
(注、規制することは沢山ありそうです。

次に放送事業者についての本質的な質問です。
・【質問】赤嶺委員 p.15上
「国民投票では、国民が幅広い意見に接し、自由闊達に意見を表明し、
意思を形成することが何よりも重要です。特に放送が担っている
社会的な役割は大きいと思いますが、放送事業者には何が求められているのか、お聞きしたい」

【回答】堀木参考人
「放送法の4条の定めの中で大きなことは、多角的論点の提示だと思います。ふだんから放送事業者は、
民主主義の基盤を維持することにおいて、このことが一番大事だと考えています。
国民投票法の放送対応でも同じことがいえると承知しています」

【質問】赤嶺委員 p.15上
「政治報道については、国政選挙の報道時間は選挙のたびに減少傾向にあるという指摘もされています。
…特に顕著なのが、選挙期間中の政党間の討論番組や制作報道が減っていることだと言われています。…
政治報道、選挙報道が減っていると言う指摘は大変重要だと思いますが、
参考人はどのように受け止めておられますか」

【質問】堀木参考人 p.16 上
「討論番組が少ないとか政策報道が少ないというご指摘については、
 真摯に受け止めて考えていかなきゃいけないことと思っております」

その他の委員の意見は、新藤幹事と同じですが、参考までに代表例を挙げます。
・北側委員 p.11下~12
「表現の自由は最大限に尊重しなければならず、それが…民主主義の基盤になっていく。
過度な規制は許されない。三年前に民放連の皆さんが、考査のガイドラインを決めたのは高く評価する。
放送メディアの自主規制として一つの結果を出していただいた。
法律上は国民投票法の105条があるが、表現の自由に対する法的な規制はできるだけ最小限
でなければならない。だから、自主規制をすることが大切」。

〔464〕NHKラジオ深夜便「明日へのことば」(祈りの彫刻を撮り続けて20年) の反響の多さにびっくりしました。

2022年04月26日 | テレビ・ラジオ・新聞
 福田緑が出演したラジオ深夜便に多くの反響がありました。
 「緑さん、楽しそうにいきいき話していたね。」と語ってくれたのは同世代の親しいお隣さん、眠れないと深夜放送をかけたまま寝床に入ってしまうのだそうです。だけどこの日はしっかり聞いてくれていました。
 私のところにも何通かのメールが入ってきましたが、緑にはかなり多くのメールや手紙、はがきが届いています。今日、ディレクターの玉谷さんからの手紙には、長野在住の深夜便ファンという方のお便りが同封されていました。
 私がアマゾンに出店している図書販売の「猫家族」には注文が殺到しました。福田緑写真集『祈りの彫刻-リーメンシュナイダーを歩く』(全4巻、丸善プラネット)、福田緑『子どもっておもしろい』(晩成書房)を合わせて20冊以上出荷しました。第1巻はお陰様で完売となりました。6月刊行予定の第Ⅴ巻には予約注文がかなり入っています。

 掲載写真は第2回写真展の時にいただいたお花です。何というランか存じ上げませんがこ堪能ください。



◆NHKラジオ深夜便

○放送日時:4月19日(火)午前4時05分頃〜50分頃(長さ40分位)
○放送波:ラジオ第1&FM放送
○番組名:「明日へのことば」
○タイトル:祈りの彫刻を撮り続けて20年
○出演者:元教員・アマチュア写真家 福田緑さん
○聞き手:玉谷邦博(ラジオ深夜便ディレクター)



〔463〕市橋久生さんの「花は美しく咲いているか22」はウクライナ危機を憂う詩です。

2022年04月25日 | メール・便り・ミニコミ
 久しぶりに市橋久生さんからの詩が届きました。メールと一緒にお届けします。
 小さな我が家の庭にウクライナカラーのモッコウバラが咲きました。詩の背景に添えてみました。



◆福田さん

朝日歌壇の歌に深く同意しつつなお、
自戒を込めて創ったものです。

朝日歌壇4月10日より
ウクライナを遠くて温い(ぬくい)部屋にいて
詠んでいいのかという思いは ある
(長崎市 里中和子)



   花は美しく咲いているか22

戦争の世紀は終わった、のではなかった
九・一一から、新世紀の戦争は始まった
なじみの薄い国や遠い地域
聞き覚えのない民族や集団
そんな名は
紛争や難民とともにやって来る
またひとつ初めて聞く
地図を開いては、嘆息がもれる

こんな世界に、花は美しく咲いているだろうか
兵士たちの踏み荒らす畑
難民の逃げ惑う道
破壊される家々の庭
砲弾の雨にさらされるビルの窓に映る

私たちに夢みることはできるだろうか
世界中のあちこちから花のたよりが
新聞やテレビ、インターネットに載って
どこそこでは、若者たちのあいだで
花の相聞歌を詠むおしゃれな遊びが流行っているとか
どこそこでは、学校の時間割に
花の図工、花の音楽、花の文学がならび
どこそこでは、年寄りたちが花の匂いをかいでは
深い年輪の笑顔を自慢するコンテストが話題になっているとか
どこそこでは、満開の花で視界不良につき
車輌通行止めになったとか
花吹雪に見舞われて列車が立ち往生しているとか
どこそこでは
少年が道端の花びらに頬をくすぐられて
自転車のハンドルをあやまったとか
・・・・・・
そういう花の消息はけっしてなくて
また一つ刻まれてしまった
ウクライナ2022・2・24
見わたすかぎりのひまわりは
今年も見られるだろうか


〔462〕西崎典子さんの憲法審査会の報告の続報ですが、実はこれでも前振りのみです。

2022年04月23日 | 市民運動
 前ブログに引き続き、審査会ウオッチングを続ける西崎さんの報告です。
 4月14日(木)の衆議院憲法審査会を傍聴されました。「中継録画と議事速報」が添付されていたのですが、あまりに長いので、彼女の解説部分のみの紹介になっています。それでもここまで書いている新聞はほとんど無いのではないでしょうか。貴重な報告ですね。

◆傍聴して審査会ウオッチングを重ねる西崎です。
BCCで知り合いの皆様にお届けします。
議事速報が遅れたため、遅くなりました。
どうぞさらに広めてください。

■4.7院内集会、田中弁護士の呼びかけ
「大切なのは傍聴して、インターネット中継を見て、議事録を読んで、審査会の最前線を知ること。
学習会や署名をして、選挙に勝つこと。
市民・法の専門家・学者・研究者、皆で頑張りましょう」

■当傍聴グループからのおすすめ
「審査会委員に市民の声を届けましょう。激励や意見や疑問を、ファクス・電話・メールによって」


注意事項)
この日は、維新の2委員による赤嶺委員への攻撃的な質問があり、ここで取り上げています。
そのため全体も長くなりますが、どうぞお読みください。


■4.14の討議状況
森会長挨拶「国民投票法について討議をします。まず各会派一名ずつ、その後各委員が自由に発言を行うこととします」。

新藤筆頭幹事 p.1-2 上段
「2021年6月に成立した改正国民投票法には附則4条に検討条項が追加されている。…
この検討条項の下でも憲法本体の議論や憲法改正の発議は条文上可能である
ことについては、…共通の認識である」と述べる。

また「付則第4条の第2号のCM規制等については論点を確認しておきたい」と発言、

(注.これは下記の奥野幹事の抗議を誘う)。

「CM規制の問題は広告の受け手(民放連など)や出し手(政党側)の役割を整理しておく必要がある」。
「…民放連、民放各社からは考査ガイドラインなどが発表されている」。
「…出し手である政党側のCMに対する取り組みも議論が必要で、
国会に設置される国民投票広報協議会の役割が重要だ」的に言い、
「来週も審査会を開催し、国民投票法の議論を深めることを幹事会で提案した」。

奥野幹事 p.2-5
「新藤幹事が論点の確認ができたとおっしゃっているが、先週4.7も中間的な取りまとめをして
論点の確認をしたいと冒頭発言したが、実際はこれは個人的な意見だった、と審査会の中でわかった。
審査会全体の確認事項とか中間とりまとめかのような発言をして、世論に誤解を与えるようなことは
謹んでいただきたい。抗議をします」とまず述べる。

そして「制度の不備により国民の意思がゆがめられ投票結果に反映されることはあってはならない」
と強調。「ネットCMやSNSのあり方についても議論する必要があります」
「付則4条に基づいて、国民投票運動の必要な見直しを最優先の加地として行うことを求めます」
で発言を締めくくる。

馬場伸幸幹事 p.5
「今日は国民投票法を中心にということですが、どうしても緊急に確認をさせていただきたい」と切り出し、
志位委員長が4.7に発言した自衛隊活用論の関係だとして
赤嶺議員に憲法9条関連の8つの質問を矢継ぎ早やに繰り出す。

注)みなさまにはこの箇所をぜひインターネット中継で見ていただきたいのです。
そこで早口でまくし立てる姿は、
真摯に答えを得ようとしているようには、とても見えません。
8つの質問を耳にしただけで、内容がわかる人はいないでしょう。
議事速報の文字づらからは分からないので、音声と画像での
確認が必要です。馬場氏の言葉遣いには「物議を醸しています」「片腹いたいとはこのこと」「あきれます」という、
品位を大きく欠く表現が含まれています。

赤嶺委員の答え p.6上
「維新らしく、かなり日本共産党の路線をゆがめて、歪曲した発言」で始め、回答をします。
注)このような反応も無理からぬことと思わせました。

玉木委員 p.7下
「…一部の政治家やメディアの中に、緊急事態条項の議論がコロナの感染拡大やウクライナ危機への
便乗であるとの世論をあおるような言説があることは遺憾であります」

注)この下の西村委員の「ウクライナだから9条の議論を」発言は便乗とも取れますが…?
「…本憲法審査会の議論は、便乗と批判されるようなものではなく、
…極めて建設的で冷静な議論が行われていることは、当審査会の
名誉のためにも付言しておきたいと思います」
注)維新の2名による赤嶺委員への質問は「建設的で冷静」ではなく、その対極にあるのでは?

赤嶺委員の発言 p.9中-10下
「私たちは国民が改憲を求めていない中、改憲の手続法である国民投票法を整備する
必要はないという立場です」
「当初から三つの根本的な欠陥があると考えています」として
「1)最低投票率の規定がないこと、
 2)公務員や教員について、…地位を利用した国民投票運動を禁止している
ことにおいて、国民の自由な意見表明を不当に制限していること、
3)改憲案に対する広告などの仕組みが公平公正になっておらず、
資金力の多い方がテレビなどの有料広告を買い占める恐れがある」
「このような状況下で新藤幹事からの、…連休明けに安全保障の議論をしたいと言う意向が報道されていることは重大だ」

西村委員(自民)p.12上―下
「…是非提案をさせていただきたい。それは緊急事態の議論と国民投票法の議論を、
並行して議論を進めていただきたいということ」
「並行的に進めていくために、それぞれ小委員会を設けて、そこで議論、論点を深めていくべき」
 疑問)共産党は赤嶺委員一名のみです。はたして小委員会での扱いは?どちらか一方の小委員会にのみ所属?

「その上で、ロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにして、我々の憲法9条の議論についても議論をしていくことは
極めて重要で、こちらは審査会本体で進めていくことをご提案したい」

足立委員 p.14中
「…先ほど…八つのご質問を申し上げましたが、一問もご回答いただけませんでした。
…日本共産党は、一般国民に火炎瓶や武器を手に取って戦えとおっしゃっている以外に
想定できないんですが、もしそうであれば破防法の監視対象になっていることの理由も
極めて合理的に理解できるんですが、…」

赤嶺委員 p.14下
「デマを言うにもほどがあると言う感じの質問でありますが、…」

足立委員 p.15下
「全くお答えになりませんでした。…維新の会がなにかゆがめているとか、
そういう先ほど非難されましたが、全く逆でありまして、
私たちは、こういう日本共産党のような政党と選挙協力をしている勢力とは
一切政治を共にするつもりはありませんので、改めて宣言をしておきたいと思います」

注)馬場幹事長は赤嶺委員への質問を始めるとき
「どうしても緊急に確認をさせていただきたいことがありますので(p.5上)」と
前口上を述べました。その結末が足立委員の上記の言葉ですが、緊急どころではない。自党のPRです。
審査会は政党のPRの場所ではありません。
かつ会長は何も注意をしません。これでは審査会の品位や権威に疑問符が付くというものです。

説明)上記の足立委員の発言が終わるところ(1:39:35)で、「会長、会長」と言う声が聞こえます。これは赤嶺議員の声です。
このとき同委員は、挙手もしつつ発言を求めました。
このときはそのまま次の船田委員の発言に移りますが、
その途中で、会長の周りに数人が集まり、続いて審査会の事務局職員が赤嶺委員の席に赴き、名札をおこします。
このようにして、赤嶺委員に最後の発言の機会が与えられました。

赤嶺委員 p.16上-中
「今日はやむを得ず、…多く発言する機会になりました。
ウクライナ情勢の下で、核共有論とか、敵基地攻撃能力論とか、非核三原則の見直しとか、
そういう議論こそが日本を戦火に巻き込む危険な道だと思っています。
…火炎瓶だとか、…そういうことを持ち出して、国民に火炎瓶を持たすのか
というものは全く当たらないし、デマ攻撃だということを申し上げておきたいと思います」。

注)船田元委員は、超党派の議連で中心役だったいたころに比べると、普通の委員になって発言もずいぶん
与党に沿った内容となっていました。

注)不破委員長が4.7に「日本に対する急迫不正の侵略が起きた場合には、
自衛隊を含めてあらゆる手段を用いて国民の命と
日本の主権を守り抜く」と表明したことには、様々な意見や反応が起きることは自然でしょう。
しかし、審査会はこれについて攻撃的に侮蔑表現を用いて質問をする場ではないことを強調いたします。

注)改憲派の複数の委員からは「国会に設置される国民投票広報協議会で監視をしていく、その役割が大きい」
という発言が相次ぎました。
これに対し赤嶺委員は次のように述べ、 p.10中
「改憲案の広報を担う広報協議会も、委員は国会の各会派の所属議員数の比率で割り当てることになっています…
都合よく、運用、運営されかねません…」問題視します。
説明は以上です

〔461〕マスコミがあまり取り上げない憲法審査会の報告を継続してくれているのは西崎典子さんです。

2022年04月18日 | 市民運動
 とりあえずの改憲が最大の目標であるとしか思えない憲法審査会が頻繁に開かれています。自公政権やその補完勢力の「努力」の賜です。日本国憲法が少しずつ骨抜きにされようとしている事実をしっかりと伝えるマスコミはわずかです。
 そんななか、西崎典子さんは足繁く国会に通い、「審査会ウオッチャー」として、細大漏らさず、憲法審査会やその後の集会の様子まで克明に伝えてくれています。
 このブログでは、送っていただいた「報告」をとてもすべて掲載はできませんが、適宜紹介させていただきます。
  西崎さんは清瀬・くらしと平和の会の総会などに近隣から自転車を飛ばして参加してくれます。同世代の彼女の行動力、バイタリティーに敬意を表したいと思います。

◆審査会ウオッチャーの西崎です。
知り合いのみなさまにBCCでお送りします。
(審査会の報告は別途お知らせします)。

表記は「改憲問題対策法律家6団体連絡会」と「総がかり行動実行委員会」の
共催で、衆院の審査会(午前)のあと午後に行われました。
傍聴者の多くが、こちらにも参加しました。

お話は上記団体のお二人の弁護士さんでした。
そのお話ぶりはとてもリアルで、特に審査会のダークサイドが
よくわかりました。審査会の危機的な状況も。 
呼びかけとして挙がったのが、審査会を傍聴すること、インターネット中継を見ること、議事録を読むこと、
集会・宣伝をすること、署名をすること、参議院選に勝つことです。
協力しあいましょう。

全体はYoutubeでもご覧になれます(表題で検索ください)。
一回見てそれで忘れるのはもったいないと思い、
私は、核となる部分を文字化し、ダイジェスト文字版を作りました。
何度でも読み返せることが強みです。 多少長いですが。

併せ、上記6団体の緊急事態条項案に反対するに緊急声明4.6付けもお送りします。
声明アピール - 法と民主主義|日本民主法律家協会 (jdla.jp)


◆いま、憲法審査会は? 4.7 院内集会◆
日時:4月7日(木)13:00~14:30
衆議院第二議員会館、
「改憲問題対策法律家6団体連絡会」、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の共催。
◎Youtube(IWJ, UPLAN)でも視聴できます。審査会の実態がわかる貴重な集会です。核になる2弁護士の発言を中心に文字化し、●部分を見出し/段落風にまとめた版を作りました(大江弁護士の了解済)。                                                                                  
ボランタリー作業者 西崎典子

■集会の内容
・改憲問題対策法律家6団体連絡会から~大江京子弁護士の及び田中隆弁護士の解説。
・立憲野党の議員の挨拶(この版では省略)
・質疑
・集会アピール採択、行動提起(この版では省略)
 
【大江京子弁護士】憲法審査会の包括的なお話 
今国会での審査会の動きについて
●選挙のときは改憲のことは一言も言わなかった維新が、終わったとたんに、言い出しました。理由付けはコロナ。「感染拡大が起きて国会機能が維持できなかったら、どうするんだ」と責めあげた。「論憲」の立場の立憲民主党は、それに応じなければいけない状況になりました。

●オンライン審議の議論を始める
じゃあまず改憲しなくてもオンライン審議はできるのかどうか、そこら辺を議論しましょうということで2.10からスタートしました。
しかし、それが今や、コロナ禍の話から、ロシアによるウクライナの侵攻、そして東北中心の大きな地震が起き、そういうことを口実にとって想定できない緊急事態、日本が沈没しちゃうときに国会はどうやって維持するんだと、そういう議論を始めてきています。
そうすると国民はみんな大きな震災がおきたら、どうしようと、もちろん心配ですよね、
それにかこつけて緊急事態のときに国会の機能を維持するんだ、という名のもとに、緊急事態条項に関する議論が進む。

●オンライン審議についての取りまとめ
そこで、オンライン審議に関する取りまとめと言うのをしたのですね。私どもはいかにも早すぎるなーと思っております。参考人の高橋名誉教授、只野教授がおっしゃったように憲法の議論はもっと丁寧にすべきです。いきなり3.3に取りまとめはないだろうと思いました。
取りまとめただけで別に、議運でもう一度一から議論するという当たり前の通常の路線に戻りましたからよかったのですが。

●緊急事態条項も意見の取りまとめをすべしと言う声が上がる
緊急事態条項に関し、憲法審査会で意見を取りまとめるべきだという維新とか一部の改憲派の委員の方々からの声が3.30の審査会で圧倒的になってきましたので、実は今日4.7は非常に心配しながら、6団体や日弁連からも多数の弁護士が傍聴しております。

●奥野筆頭幹事のがんばり
しかし、今日はほんとに奥野さん、がんばりました。原則を言っていただきました、はっきりと。「改憲ありきの議論はしない、緊急政令のようなものはとんでもない、あるいは安倍元首相が国会外とはいえ、数の力で押し切ると言うような暴論を吐いている、絶対許されない」と。そういう形でまた「改憲手続法に関しては、欠陥がいっぱいあって、昨年附則を付けて、その結果を3年間以内でちゃんと修正しましょうと、自民党も公明党も含めて決めた訳だから、その欠陥法を修正しないで、ましてや憲法の改憲発議なんかできませんよ」ということをね。 
私は奥野さんのおっしゃったことは全く筋だし正しいし、弁護士・研究者・市民が求めるところをきちんと言ってくれたな、と思っています。

●めちゃくちゃな発言が多い。
大きな声で、脅しのような形で幹事会で、「毎週やれ」とか、「これををとりまとめろ」とか、とても、国会議員の議論とは思えないような、理論的でない議論がなされているかのように聞こえてくるところもございます。憲法審査会を傍聴していても、とても憲法を知っているとは思えないような、我々弁護士からすると、憲法のことを全くわかっていなくて何をめちゃくちゃ言っているんだろうと思うような発言が多いんですね。

●実態を知らせるべき
だけどそういう中で、数の力で押し切ろうみたいなことをですね、もっともっとこんなことが行われている、とんでもないことが行われている、と知らせなくてはいけないと思うんです。ですから声の大きいほうが勝って数の大きい方が勝って、改憲されちゃうなんてことを絶対に認めるわけにはいきません。今回動画も配信していただいていますし。

●マスコミ報道の少なさ
もっともっと、マスコミは、記者席に何人かパラパラ来ているんですが、もっと書いてほしいですね、問題点をね。

●市民の主体的なかかわりが大切
そして我々市民が、やはりいかに改憲派の言っていることが理屈がとおらない、憲法を無視している、立憲主義も民主主義も葬り去ろうとしているような無謀な議論が行われていると言うことを市民の我々がやっぱり訴えて国会を包囲していく、そして立憲民主党・共産党・社民党の立憲野党が頑張っていますので、 ほんとに応援して支えていく必要があると思っています、みんなでこのような無謀な改憲を勝手にすすめさせることを許さないということで。

●国会がやることは別にある
いま何よりやるべきことはコロナのもとで苦しみ痛んでいる国民のために国会が何をするか、そして大震災が起きた時に少しでも被害を少なくするために国会は何を議論しなければいけないか。それをまさにやれと私たちは怒りの声でぶつけなければいけない。
そうしないと、勘違いした方々が数の力ですすめていく、それでは民主主義にも立憲主義にも反する政治を許すことになります。ぜひこの集会を契機に、6団体連絡会もがんばり、皆様とも一緒にやっていきたいと思います。理論的な中身については田中弁護士より詳しくお話いたします。(拍手)

【田中隆弁護士より憲法上の論点について】
●毎週開催は異常
審査会はやらないといけないような情勢になされて毎週開催されているんですよ。
弁護士には民事裁判があるが、だいたい月に一回なんです。その間にまとめて打ち合わせをして準備します。毎週は無理です。それを毎週あれだけの議論をやっている議員さんたちは大変でしょうが、それを傍聴しあるいは検討して、それでどうするかを色々文章を書いている我々市民も法律家も大変だ、というのが実情です。しかもその審査会は毎週のように局面が変わります。

●任期延長に関する取りまとめ
今日は実は任期延長で何かのとりまとめ文章が作られちゃうんじゃないかということを大変心配していました。先週から色んな文章を作ったりして、手を打ち続けました。そんなきわどいことをやっている。はっきり言ってこんなことをやっている状態自体が何ですか!というのが実感なんですが、そんなことも言っちゃおれないので審査会の議論の意味するところを中心にお話しします。

●今回(今期)の流れ。オンライン出席の取りまとめまで。
最初のテーマになったのはオンライン審議。論点は国会の定足数を決めた憲法第56条の出席にリモートによるオンライン出席が含まれるか、でした。併せて、議員が病気や出産のような場合も含まれるか、そんな議論も登場しました。
実は学説の中ではですね。出席は現実にそこにいなくてはならないという物理的出席説と、最近はオンライン出席も含むという機能的出席説に分かれて、まだ議論は始まったばかりなんです。ただそうなんですが政党会派の中で、オンライン出席も含むという主張が多数でした。
論の展開については、2.10から始まって3.3まで、オンライン出席を議題に4週連続で開催されました。2.24には参考人の憲法学者の陳述が行われました。高橋和之東大名誉教授は反対で、「極端な事例を出して、こうしなくてはいけないと議論をすると間違う危険が多いんだ」という的確な指摘をされました。もう一人、一ツ橋大の只野教授も「許容はされるが限定的、相当慎重な検討が必要だ」と強調されました。
それにも拘わらず、多数が押し切り、翌週の3月3日「オンラインによる出席も含まれると解釈できるというのが意見の大勢だった」とする取りまとめが文書化され多数決で採決されてしまいました。

●取りまとめはしたものの…
とりまとめは議長に提出されて舞台は議院運営委員会に移りました。昨日の朝日新聞に拠りますと、運営委員長は記者団に議論は入り口からやるんだと説明したそうです。何か自民党の中にも、「与党側が憲法質問の実績作りのためのアリバイとして利用しただけだという冷めた見方もある」というのが朝日の報道(注、4.6付け朝刊4面)なんです。これ自身、実は大変な問題もあると思ってます。

●審査会が憲法解釈を決められるか?という問題
より深刻な問題は、審査会のあり方なんです。憲法学者の中で様々な議論がある中で、審査会が憲法解釈を決めるかのような取りまとめをしてしまった。そんな権限がほんとにあるのか、という問題です。
国民民主党の玉木委員は、裁判所が憲法判断を避ける傾向があるから、憲法審査会には準司法的な機能があるんだ、とまで言っています。私は弁護士ですから今の裁判所がいいとは思いません。問題があると思います。
そうなんだけど失礼ですが、国会の多数派が憲法解釈を決めてしまうというのは、もっと危険じゃないですか?と、法律家としては言わざるを得ないのです。

●取りまとめの影響
もう一つの問題は、まとめを公式にやったことのす影響なんです。憲法関係で法案や改正案の議決以外の取りまとめが採択されたというのは、これはもう憲法、改憲手続法より古いんです。2005年に行われた衆参両院の憲法調査会というのがありましてそこで憲法調査報告書が取りまとめられました。これも多数決でした。社民党・共産党は反対でした。
それ以来、17年ぶり。憲法調査会はそれでも、調査を目的に作られたもので5年間それなりに公正に慎重に調査されたと思います。だから最後に取りまとめるというのも、一応理解できます。今回のオンライン審議については本来の管轄は議員運営委員会なんです。憲法審査会が本来責任を持った管轄ではない。だから本来議論したってかまわないが、採決する必要はなかったはずなんです。ところが必要ない採決が多数決でやられてしまった。
このことが、審査会が本来の仕事とする憲法改正原案の取りまとめの予行演習にされる危険というのは、私は極めて大きいと思っています。
早くも維新だとか国民民主党あたりから会期延長問題のとりまとめをちゃんと採択しろよという言葉が登場すること自体に、私はこの危険が露骨に表れていると思います。

●オンライン出席の取りまとめから緊急事態条項へなだれ込む。
取りまとめを行った審査会はそのまま緊急事態条項を巡る討議になだれ込み、事実上の集中審議が今日まで続けられました。オンライン審議が緊急事態に対応する性格を持っていたことに加え、新型コロナの感染、ウクライナ侵攻それから東北などの地震等、緊急事態を論じやすい情勢があって、それに改憲派が乗っかっているのが理由だと思います。

●不安を口実に憲法改正を論じたがる人たち
人々の不安だとか恐れを口実に危機管理を論じたり、まして憲法改正を論じる、というのはそれ自身きわめて危ないんです。本来こんな時期だからやってはいけないというのが、私は見識だと思います。落ち着いてからやろうと。
残念ながら改憲派にはそれができない。だから本来こんな議論はしたくないのですが、現に論じられている以上内容に踏み込むしかない、と思います。阪神淡路大震災や東日本大震災以降、震災もありますし新型コロナの感染拡大もありますから、緊急事態が起こること自体は頭から否定はできません。

●緊急事態条項は必要か?
問題は緊急事態への対処のために、憲法に緊急事態条項を作る必要があるのか、あるいは法律による対処でやっていけるのか、というところにあります。自民党はもう最初から緊急事態条項を作ると言っています。

●自民党のふたつの改正案はどう違う?
①2018年3月にまとめられた安倍改憲4項目の素案。条文がふたつあります。
64条の2で選挙ができないときの任期の特例、これがいわゆる任期延長です。
73条の2で法律に代わる政令すなわち緊急政令の制定を認める。どういう場合かと、大地震その他の異常かつ大規模な災害となっていること、ふたつともそうですね。武力攻撃事態・戦争や内乱・大規模テロは書かれていません。この災害の中に有事法制に書かれている武力総攻・撃災害も含まれるのではないかという議論を私はしたことがあります。
危ないと思っているんですが、少なくとも表向き戦争と言うのは憲法に書かないたて付けなんです。これが安倍改憲でした。
②6年前2012年4月に自民党大会が決定した日本国憲法改正草案、98条、99条に盛り込まれています。
武力攻撃事態・内乱・自然災害などの場合に緊急事態の宣言を発することができる、これが98条ですね。そして99条では任期の特例や緊急の政令だけでなくて、人権の制限、すなわち国その他の公の機関の指示に従う義務まで認めています。これがいわばフルセットの緊急事態付帯条項です。
自民党に①②の2種類があることをぜひ頭に置いてください。で、こういう問題を発表している自民党が緊急事態条項を作るのは、当然なんですが、立憲野党が慎重反対を主張している以外は、維新・公明・国民民主・そして有志の会は、会派によって濃淡はありますが、いずれも創設を主張しています。

●自民党の二つの改正案と審査会の議論を比較すると
安倍改憲では書かれるのは表向きは災害だけ。それから、任期の延長と緊急政令だけだったんです。
審査会の議論では、安倍改憲になかった人権制限や国民動員まで堂々と議論されています。議論の土俵はもう安倍改憲ではなく、この国の形を根こそぎ作り変えようとした12年の自民党改正草案と同じものになっている。ここにはぜひ目をつけておいていただきたいと思います。

●そして自衛隊を憲法に書き込むことになると…
緊急事態として武力攻撃だの戦争だのを書き込んだ憲法に、それに対して動くであろう自衛隊、あるいは12年改正草案では国防軍です。これが書き込まれないことが考えられるか、こう問い直せば語られていることの意味は明らかだと思います。

●国の形が変わります。
ここに入り込んだら確実にこの国の形が変わります。これが、コロナと震災とウクライナに乗じてあるいは国民の抱いたであろう不安に乗じて議論されている緊急事態条項の創設論であり、この国の将来像なんだということを、はっきりさせ、ぜひ広めていただきたいと思います。

●改憲手続法(国民投票法)の関係。
(注、詳細な解説でしたが、スペースの関係で割愛します)

●国民投票法の改正をしないで公平公正な国民投票は行えない。
7項目改正のときに付けられた附則4条では国民投票の公正及び公平を確保するために、CM規制・資金規正・ネット適正利用の措置等を3年を目途に行うことを明記しました。簡単に言えば現在の手続法が公正公平な手続きになっていないことを法律自身が認めたものと言うしかないのです。そうであるなら、少なくとも附則4条に列挙されたCM規制・資金規正・ネット適正利用のための手続法の抜本的改正を行うことは国会の義務でして、その義務を果たさない国会があろうことか、義務違反に頬かむりしたまま憲法改正案の発議をすることが許されるわけがないのです。これはっとはっきりさせておかなければいけない、本質的に。
ところが改憲派はこの義務を果たそうとしませんで、ほっとくとサボタージュする危険性があります。今日も発言していましたが、与党筆頭議員の新藤議員はことあるごとに「附則4条は改憲の発議を妨げるものではない」と言ってはばかりません。だったら何で賛成して付けたのか、という話にしか、実はならないんですがね。でもなぜそういう風にサボタージュしたいのか

●改憲手続法は当時から改憲をやりやすくするための手続法でした。
改憲に傾斜した手続法です。だから私たちは断固反対したのです。
従って今のままのほうが9条などの改憲を有利にやれる性格をもともと持っている。だから附則4条の措置はやらないか、見せかけだけやってお茶をにごして、今年7月におこなわれる参院選のあと3年間の国政選挙がおこなわれないと思われる、黄金の3年間と彼らが言う、この3年間に明文改憲の強行を行おうとすると思われます。

●呼びかけ
どうあっても皆さんと共に改憲の強行を阻止しないといけません。そのために3点のお願いをします。
ひとつ目
審査会で起こっていることをぜひ広め、広げてください。
一緒に傍聴しましょう。ただし傍聴は定員に限りがあります。審査会はネットでリアルタイムでも見れますし、そのあと中継録画でも見れます。文章で読むなら、審査会の議事録が一か月内にできてホームページに載りますから、それを広める。そんな作業をしましょう。
どんなひどいことが言われているか、何がやられているかということを知ることが、闘いの始まりになる。審査会はそういう局面だと思います。

二つ目 草の根から改憲案に反対する声を多く掲げることが決定的だと思います。コロナでハンディがあると思いますが、学習や宣伝を広げましょう。
そして憲法改悪を許さない全国署名を拡大して地域・草の根がこういう反対をしているということを国会に届けていただきたいと思います。
特に立憲野党もさっきからお話があるように、大変苦しい中で毎週奮闘しています。健闘している立憲民主党・共産党・民社党の議員の皆さんにぜひ激励をしていただきたいという風に思います。

三つ目言うまでもないことですが、7月の参議院議員選挙が決定的です。
勝利して改憲派を三分の二未満に追い込むこと、これが明文改憲策動を封じる決定的な道です。これを皆さんと共に確認をし、呼びかけると共に6団体も、奮闘する決意を申し上げて報告と致したいと思います。4212どうもありがとうございました(拍手)。

(ここから質疑に移ります)

【質問】
●今後の自民党の動きについて
今自民党は全国で対話集会を開き、改憲に向けた世論醸成を図っていく。そして一方で審査会の安定的開催をして動かし続けるんだ、と。この二つを大きく目標としていると思うのですよね。
先ほど田中先生は「黄金の3年間」を引き合いにしました。
この参議院選挙までの流れの中で強引に突っ込んでくると私は思わないんです。
そのあとの3年間で何とかしようと彼らは思っているわけだから。国民的な世論の情勢を考えると、そこまで突っ込まないかなと甘い考えを持っているんですけれど、どんな風に先生方はお考えでしょう?

【答え.田中弁護士】
3.24までは私も同じ感想で、議論は拡散させていろんな論点があるということにする。しかし取りまとめまではもっていかず、参議院選をやってスケジュールを組みなおすのだろうと見ていました。しかし3.31にはぎょっとしました。自民党の新藤筆頭は論点型の話だったが、それ以外の改憲勢力が「任期延長では一致しているから、ここに絞って取りまとめをするべきだ、オンライン審議でやったんだからできる」という発言を一斉にしました。ここに自民党からも細野豪志委員が同主旨の質問(下記)を奥野筆頭幹事におこないました。

●細野豪志委員の質問
東日本大震災の実例を取り上げて「あの時自分は政府の中にいたんだ」と。「あの時、被災地が大変なことになっていて、特例法を作って87か所、とにかく最大8か月遅らせたではないか」と。「ところで奥野さんも同じ政党にいて与党だったよね、あなたがあのとき政府の責任者だったら、そしてその時に国政選挙だったらどうした?」と。きつい質問でした。しかもそんな以前の同僚がやる質問かという気が私はするんだけど、はっきり言って。自民党からも任期延長に絞ってやって、そしてこの一点では一致するはずだから至急に取りまとめようという話が出ました。ですので、今後取りまとめの危険については決して油断はできないという風に申し上げた事情です。

【答え.大江弁護士】
立憲民主党は、取りまとめなんかとんでもない、としっかり考えてくれています。もちろん、共産党・社民党もそうです。ですが、先ほどから言ってますが、ものすごい圧力で、やらないと国民に対する裏切りだとか、国会議員の仕事をしてないんだ、とか、そういう攻め方をされています。
だから取りまとめをしない、と今、立憲野党ががんばっている、それを私たちが応援しないと、ほんとにがたがたとなっちゃうかな。というくらい私は心配しています。
で取りまとめというのは、結局中身なんか何にも詰まってないんです。詰まってないけれど、形式的にそれを文書で上げれば、それがものすごい既成事実になって次の改憲原案づくりにものすごく役立つわけですよね。だから絶対それを許しちゃいけない。まあ私も甘い考えで自民党も公明党も参議院選挙前にあまりにも無謀なことは選挙のことを考えて、やらないんじゃないかと思ってましたけど、やはり維新なんてすごく大きな声で、先手を打って動いていますのでね、決して油断できない、そう思います。

【質問】
審査会では立憲の奥野さんへの攻撃みたいな感じがひどいと感じます。例えば、今日は維新が「サボタージュをしないで10秒で答えろ」と奥野さんに言って、そんなことをいう権利がどこにあるのか?と思いました。3.31は細野さんから「3.11のときに内閣の責任者だったらどうしたか」、という、ひどい質問をされましたが、そんなに攻撃されてる中、「今日踏みとどまった」とお聞きしました。でもそんなに攻撃されたらいつどうなるかわからないと言う状況なんですか?応援したいと思いますが、ああいう攻撃の中で、立憲の方々はしっかり支えているんでしょうか?

【答え.田中弁護士】
奥野さんとは何度も懇談しています。完全に意見が一致するわけではないですが、やはりこの憲法審査会で、「改憲ありきの議論は絶対させちゃいけない」という信念はもって本当にがんばっている人です。
そこは、あの局面の中であれだけやられながらも議論の言葉の筋は変えていません。もちろん、きついと思いますよ。
実を言いますと、前回の東日本大震災の質問はあんまりだと思ったので、私自身は反論を書きました。そのくらいひどいし、それにこの間もう人格的な攻撃に近いことがあります。
たださすがに、その国会議員と国会議員の議論に対して名誉棄損なんて言っても免責特権が…、という感じになりますから、ここはしょうがないんだけれど、特に維新の委員から節度を越えた対応をされるのは事実で、それに抗して頑張っているのだということはきちっと見て、応援をしたいと思っています。それにもちろん、奥野さんだけじゃなくて、議員団がいるし、立憲には、憲法調査会が作られていて学習会をやって、私は何度かそこで話をしたこともあります。
共同で議論をして分担してやっていくという体制ですから、率直に申しまして、何とかぎりぎり持ちこたえていると、いうことだと思うんですよ。そこをさっきも申し上げたように折に触れて応援のコールを届けること、できるなら控室に行って、激励するとかいうことをぜひお願いしたい。
私からは以上です。

【質問】
世論調査などでは憲法改正に賛成か反対とか、もう少し絞って9条改正や緊急事態条項への賛否とかパターン化されています。今みたいにウクライナやコロナ禍の下では国民の命とくらしを守るために、と言われたら、そういう質問の仕方だと、賛成、賛成となってしまう。
例えば人に改正原案の危険性、狙いは何か、徴用などの可能性もあり、とかそういうのを街頭で広めようとする場合、改正案そのものも知らない人がいっぱい。審査会が開かれていることも知らない、審査会とは何だ、それもしらない人がいっぱいいます。
やはりこの中身を9条改憲反対と言うだけでなく、一つ一つ条文などを示して、これが草案のように変わると大変、不自由な社会になります、とか一度にいくつもの条文は示せませんが、今日はひとつだけでもこの条文を紹介するとか、はどうでしょう。
現憲法では拷問が絶対にダメとあるのに、草案では「絶対に」が消えています。そういう風に具体的に一つ一つでも言っていくのはどう思われますか?そういうことを考えているんですけど、みんなに知ってもらいたいと言う思いです。

【答え.大江弁護士】
ありがとうございます。私ども法律家6団体連絡会も本当にそう思います。圧倒的多数の国民は憲法審査会なんて知らないし、開かれていることも、そこで言われていることもご存じないんだと思うんです。
生活は大変だし、コロナでね、そういうこともあるし一般の報道もやはり足りないですよね。だからほんとに今おっしゃった意見は大事です。そして抽象的なことではなくて、こういう議論がされて今の憲法がこういう風に変わる、と狙われています。変わるとどうなります、という具体的なところで法律家もがんばって知らせて行くことが必要かなと思います。
あとこういう集会を、コロナの中ではありますが,開いてひとつひとつ具体的にわかりやすく知らせていくように総がかり行動実行委員会でも6団体連絡会でも考えていきたいと思っています。
そういうものも、皆さんが使えるものもお渡しできるようにね、しなくちゃいけないな、と思っています。
【質問】
それと、もう一つ。この条文がこう変わると、世の中がこんなふうに変わるんだよ、と言っていくのはいいとしても、やはり街中には改憲派の市民もいますよね。
そういう時に誹謗中傷だと非難されたり、スラップ訴訟に持ち込まれたりなどすると困るので、どこまでやっていいかというのが気になります。
憲法草案があればこれはこういう風に違ってくるんだと、あまり過激にならないように言った方がよろしいんでしょうか?

【答え.田中弁護士】
ことは憲法に関する議論でしかも要するに改憲派は改憲草案でも、あるいは憲法審査会での発言でも、相当もう露骨に言ってますから、それを具体的に取り上げて、こういう風に書いていくと、それをやってしまったらどうなるか、さっきちょっと申しましたけれど、国民に緊急事態に際しては公けに従う義務があるよと書いてしまったら、実は本当に業務従事命令、徴用物資そよう命令、徴発ができるし、できたわけです。
少なくとも仕組みとして同じことになっちゃうよ、これ全く事実なんですよ。そういう、現に作られている草案であるとか、審査会での発言を取り上げて「ここはおかしい。こんなふうになるんだ」と言う発言をすることはね、これは、言論の完全な自由でして、それに対して名誉棄損だとかあるいは誹謗だと言って裁判を起こしてくることはまずありません。
それをやったらそれこそ全世論を敵に回しますから。そんな国を作るんだと言う話にしかならないので、わかります、今ロシアと同じことが起きるよ、と言っているわけでしょ。さすがに彼らは国をロシアにするために憲法を変えるとは言えないわけだから。
そこは胸を張って堂々とやっていいと思う。というかやらないといけない。それは言論の自由だと思います。頑張ってください。

【質問】
昨日の参議院の憲法審査会でオンラインの参考人質疑があって長谷部さんが登場して、今日新藤さんがGHQが緊急事態条項を拒否したんだと言う話をされて、NHKの会の人が戦前の帝国憲法が大事だと言う発言をした。それで長谷部さんが答えたんですが、GHQは拒否したけれどもそれを受けて日本政府内でも議論をして、国会でも議論をして確か74条と言ったかと思うんですが、いわゆる政府と政令で緊急事態への対応ができるように当時憲法制定議会の中でされた、と。いう発言がありまして、その辺が今日新藤さんもGHQが拒否したんだみたいなことを言ってたんだけれども、実は今の憲法の中にも緊急事態への対応ができるようになっているんだ、と長谷部さんが言われたかと思っているんですね。その辺のことを一つ教えていただきたい。
あと、大江さんにも前にお会いしたときに国民投票法のときにも院内集会を緊急にやりまして情勢を変えましたけれど、今日みたいな位置づけは非常に大事なので、総がかりや6団体でも節目節目で動きがわかるような大衆的な集まりを開いていただけるとありがたいな、という風に思っています。
私たちもまた毎週の開催には疲れるんですが、みんなで傍聴に行こうと輪番制を取ったところ、毎回傍聴者が増えてきてました。傍聴者が職場や地域に帰って伝えて、それぞれのl憲法署名とつなげていくという運動が本当に大事だな、と思ってます。
そのことを通じて参院選挙で勝っていくというのが当面の私たちの課題かな、と先ほど田中先生が3つのことで言われましたが、私たちもがんばりたいということでよろしくお願いします。

【答え.大江弁護士】
GHQのほうでどういった議論があったかというのは、詳しくはわかりません。要するに憲法上条項は必要なくて、超法規的な形で考えればいいんじゃないか、つまりそれほどあり得ない訳で、そういうのが起きた場合、超法規的な措置でいいんだと言った、という議論はあると思います。
と同時にみなさんよくご存じの、憲法がなぜあえて緊急事態条項を載せないのか、という金森国務大臣の第9回帝国議会、あれはまさに日本国憲法の緊急を口実にして捻じ曲げられるそういう濫用を絶対阻止するために緊急事態条項をあえて設けないと。で、しかし緊急の場合をまったく憲法は考えていないわけではないんだよと。
でさんざん議論されている緊急事態とか、あとは参議院が半数改選になるとか、国会がどんなことがあっても機能できるように憲法は考えているし、最も大事なのが平時に国会で濫用のないように法律と、議論することが大事だというね、日本国憲法の緊急事態条項をあえて設けなかった理由について述べているところの方が大事だと思います。
ですから、昨日ちょっと長谷部さんの全部録音を見てないのでよくわからないのですが、長谷部さんもちょっと前におっしゃったときよりさらに進めた進歩された議論をおっしゃったということを日弁連から報告を受けておりますので、あとでまたご報告したいと思います。

(質疑を終え、集会アピール採択と行動提起で終わりにしました)。以上 

〔460〕名取弘文さん編の『ナトセンおすすめ おもしろ学校映画館』(子どもの未来社)が出版されましたよ!

2022年04月15日 | 図書案内


 あの名物教師の名取弘文さんは今年で喜寿だそうです。
 もう今までに何冊の本を出版してきたことでしょう。単著だけでなく編集代表をしていた『日本の教育』(現代書館)などを加えたら30冊を優に越えているのではないでしょうか。
 その彼がこの4月、『ナトセンおすすめ おもしろ学校映画館』を出版されました。子どもの未来社からの映画関連の本は『ナトセンおすすめYA映画館』『ナトセンおすすめシニア映画館』と合わせて3冊目になります。実は、『シネマの子どもに誘われて』(現代書館)も書かれていて、映画本はなんと4冊を数えます。
 名取さんが若かりし頃、演劇に興味を持たれていて、雑誌などに論考を発表していたのを知る人はナトリマニアということになるのでしょうか。私には彼は映画通より演劇通というイメージが強いのです。

 ところで、『ナトセンおすすめ おもしろ学校映画館』は名取弘文編です。全部で100本の映画がそれぞれ見開きで紹介されていますが、執筆者は名取さんを入れると17人です。『おもちゃと遊び』(現代書館)の野上暁さんも数本執筆されていますが、でも圧倒的に多いのが名取さんです。まあ良くこれだけ映画を見て、丁寧に論評しているなと感心します。
 執筆者に岩内博さんの名前を見つけて嬉しかったです。同世代の教師で、東久留米市の児童文化部で同席したことがありました。現在は立川市の東京賢治シュタイナー学校の教師を続けているそうです。

 そもそも5歳上の名取さんとの出会いのキーワードは「男の家庭科先生」です。1979年、名取さんは藤沢市で、私は清瀬市で同時に小学校家庭科専科になりました。以前から名取さんは有名教師で、一方的にこちらが知っているだけで、示し合わせたわけではありませんでした。へえ、名取さんも家庭科専科になったんだ、という感覚でした。
 1982年に「新しい家庭科We」(半田たつ子さん編集、We書房)が発刊され、名取さんが1年目に家庭科の実践を連載します。翌年、私にも声がかかり連載をさせてもらいました。推薦してくれたのが名取さんでした。私もさまざまな新聞やテレビ、雑誌などで家庭科実践を取り上げてもらえたことがきっかけになったのでしょう。

 さてさて、話を『ナトセンおすすめ おもしろ学校映画館』に戻しましょう。
 私はこの本に少しだけかかわっています。
 名取さんは家城巳代治監督作品「ともしび」を取り上げています。「熱血漢の青年教師だが、村のボスたちに追い出されてしまう。」と見出しコメントが付けられています。映画の重要場面で『山芋』(大関松三郎、寒川道夫指導)の詩の朗読が出てくるそうです。
 現在、大関松三郎が書いたとされる『山芋』は、寒川道夫の少年詩だということが定説になっています。太郎良信の『「山芋」の真実』(教育資料出版社)がその決定的な役割を果たしたのですが、そのことを私も興味を持って追いかけていたのです。拙著『地域演劇教育論』(晩成書房2018年)に「寒川道夫の光と影」という20頁ほどの文章を収めています。



 このあたりの事実関係について名取さんが尋ねてこられたので、わかる範囲でお話ししました。「ともしび」ページの後半では拙著も紹介していただきました。寒川や『山芋』のあれこれについて簡潔にまとめています。さすが名取さんといったところです。私としては、少しはお役に立てたかなと喜んでいます。
 実際に本屋で手に取ってみることをお奨めします。映画鑑賞手引きとしてはもってこいの本です。

 もう少し詳しく知りたい人のために子どもの未来社HPを紹介します。

◆『ナトセンおすすめ おもしろ学校映画館』(子どもの未来社HPより)

名取弘文/編集
定価:1,980円(1,800円+税)
判型:A5
○内容紹介
子ども、教師、学校を中心に、環境問題や様々な文化・社会問題、アニメなどにわけて選りすぐりの100本を紹介。原爆の子、転校生、嫌われ松子の一生、ブータン山の教室、夢みる小学校、MINAMATA、小さいおうちなど。
○目次
おさそい 
1 子どもは見つめる 時代と世界の明と暗
風の中の子供/緑色の髪の少年/原爆の子/少年/父パードレ・パドローネ/ブリキの太鼓/典子は、今/転校生/友だちのうちはどこ?/アンジェラの灰/神の子たち/ジョゼと虎と魚たち/幸せの絆/ちいさな哲学者たち/森聞き/三姉妹~雲南の子/悪童日記/やさしい本泥棒/はじまりへの旅/ハウス・イン・ザ・フィールズ/巡礼の約束/はちどり/夏時間/少年の君/スザンヌ、16 歳/海辺の金魚/コラム 山ねこの幻燈会「やまなし」

2 さまざまな教師像 翔んでる先生
嘆きの天使/一人息子/信子/父ありき/カルメン故郷に帰る/日本の悲劇/ともしび/人間の壁/秋刀魚の味/ライアンの娘/おもしろ学校のいち日/鳥山先生と子どもたちの1カ月/子供たちの王様/草ぶきの学校/蝶の舌/初恋のきた道/嫌われ松子の一生/コラム 山ねこの幻燈会「雪わたり」 

3 行きたくなる! こんな学校があった!
山びこ学校/女の園/教室の子供たち/いまを生きる/学校/パッチギ!/銀の匙/モンテッソーリ 子どもの家/GOGO 94 歳の小学生/ブータン 山の教室/屋根の上に吹く風は/夢みる小学校/コラム 山ねこの幻燈会「どんぐりと山猫」 

4 多様な文化・環境・それぞれの生き方
バオバブの記憶/プラスチックの海/人間の汚した土地だろう、どこへ行けというのか/二重のまち/ 交代地のうたを編む/くじらびと/ふたりの桃源郷/カナルタ 螺旋状の夢/モロッコ、彼女たちの朝/東京クルド/神さまこんにちは/アダダ/こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話/インディペンデントリビング/きこえなかったあの日/草の響き/MINAMATA ―ミナマタ―/水俣曼荼羅/さようならCP/コラム 山ねこの幻燈会「雨ニモマケズ」
 
5 時代は語る 戦争・社会問題
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6 よみがえる名作 アニメも注目
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あとがき
著者略歴
名取 弘文(ナトリ ヒロフミ natori hirofumi)
1945年東京都荒川区生まれ。早稲田大学文学部卒業。藤沢市立鵠沼小学校などに小学校教諭として勤務し、途中から家庭科専科となる。様々なゲストを呼んでの公開授業など、ユニークな教育実践で知られる。2007年退職。退職後は「おもしろ学校理事長」を名乗り各地で出前授業をしている。 主な著書に『おもしろ学校の日々』(教育出版)、『おもしろ学校開校記念日 ― 好学心とエントロピー』(有斐閣)、『教室から世界へ飛びたとう ― おもしろ学校の特別授業』(筑摩書房) 、『こどものけんり』(雲母書房)、『子ども百面相』(パロル舎)、『シネマの子どもに誘われて』(現代書館)、『ナトセンおすすめYA映画館』『ナトセンおすすめシニア映画館』(子どもの未来社)など。映画・TVに「おもしろ学校のいち日 名取弘文の公開授業」(制作・監督 西山正啓)がある。

〔459〕今度は、図録『聖なるかたち 後期ゴシックの木彫と板絵』を手にして少々興奮しています。

2022年04月14日 | 図書案内
 少し前のブログで国立西洋美術館主催の展覧会の図録(カタログ)を紹介しました。
①『デューラーとドイツ・ルネッサンス展』1972年 ドレスデン国立美術館など協力
②『ドイツ美術展 中世から近世へ』1984年 ニュルンベルク・ドイツ民族博物館(現・ゲルマン国立博物館)協力

 そして今回紹介するのが次の図録です。アマゾンでの購入です。
③『聖なるかたち 後期ゴシックの木彫と板絵』(アーヘン市立ズエルモント=ルートヴィヒ美術館所蔵) 1994年



  おもしろいことに、20世紀末、国立西洋美術館を中心に、大きな「ドイツ美術展」を10年ごとぐらいに開いているのです。①は京都国立近代美術館、③は愛知県美術館でも開催されています。〔当時の名称を含む。〕



  「聖なるかたち 後期ゴシックの木彫と板絵」展については、これもブログで紹介した『芸術新潮』特集「聖女たちとやさしいキリスト教」、1994年7月号ですでに知っていたので、まあ、この雑誌があるから、図録はいらないかと思っていたのです。しかも、どうやら、私がマークしているリーメンシュナイダーやシュトースなどの作品はなさそうなのです。
 ところがどうして、調べてみると、興味深い事実がわかってきたのです。従来のこの手の美術展だと絵画が中心で彫刻作品はせいぜい10点程度でした。今回は77作品のうちなんと55の木彫が展示されていたのです。
 そして、図録は当然ながら展示77作品が全部出ている、大型本だということがわかってきたのです。

 実際に手に取ってみると、見どころ満載でした。
 リーメンシュナイダー作品は無いけれど、ハンス・ラインベルガー工房作、ミヒェル・エーアハルト周辺作、さらにゴシック後期の彫刻家の名前が解説文に頻繁に登場してくるのです。これらを眺めるだけで嬉しくなってきました。
 そして懸案の1つ、表紙の写真が彫刻のどの部分を写したのか、ついに特定できたのです。「テューリンゲンの聖エリーザベト」のスカートの部分でした。図録ではそれとわからず、雑誌に3方向からの写真があって、それでようやく判明したのです。

  図録と雑誌を比較してみるといろいろ発見があります。
 写真は圧倒的に雑誌の方が魅力的です。図録はほとんどが正面からの1枚だけのショットで、全体をとらえることに専心しています。様々な角度からアップも交えて作品に肉薄しているのが雑誌でした。
 バイエルン国立博物館のヴェニガー博士が、福田緑の写真がおもしろいと書いてくださったのは、このことと関連していると思われるのです。
  国立西洋美術館の田辺幹之助さんが図録ではカルカーの祭壇を詳述し、雑誌では後期ゴシックの代表的な祭壇を紹介しています。雑誌では植田重雄さんがマリアやキリスト、聖人などについて易しく解説しています。写真もいいし、キリスト教をわかりやすく説いているので、この雑誌はかなり売れたのではないでしょうか。(前ブログ参照)

 アーヘンは世界遺産の教会のある街です。一度訪れたことはあるのですが、アーヘン市立ズエルモント=ルートヴィヒ美術館には行きませんでした。渡独の際は再訪を願っています。

〔458〕ウクライナ危機へのショート・コメント。反戦の想いを込めて清瀬市内にウクライナカラーの花を探してみました。

2022年04月06日 | メール・便り・ミニコミ
 新聞やテレビでウクライナ危機が報じられるたびに、心の中が激しくかき乱されます。人間は少しも進歩していない、戦争の世紀に戻ったかのようです。
  侵略する国とされる国、この位置関係をしっかり把握したいと思います。
 私にできることは駅頭で反戦を訴えること、少しばかりのカンパをすること、ミニコミやブログを書くことぐらいです。そして、ウクライナの国旗色の花を市内に探しました。

◆ゆめ通信より(清瀬・くらしと平和の会発行)

 かたや、ネオナチと民族主義者を駆逐するためと根拠のない大義を振りかざし他国を侵略し、殺戮の限りを尽くす「プーチンの戦争」。こなた、火事場泥棒的に、「核共有」「敵基地攻撃能力」の保持、軍事費増強を叫ぶ、ウラジミールと親しい輩。ともに山県有朋の「主権線と利益線」論だけを学んだかのよう。歴史の真実に目をつぶる指導者を野放しにしない! 清瀬でも焦げくさい臭いが漂う今日この頃、『戦争は女の顔をしていない』(スヴェトラーナ・アレクシェービッチ)を読もう。コロナ禍のウクライナ危機、嗚呼!〔福助〕












 そしてこちらはプロのコラムです。

◆大地震弧状列島
  鎌田 慧(ルポライター)

 法事があって盛岡へ出かけた。両親を引き取っていた長兄が亡く
なり、義姉が他界して一周忌だった。
 今月16日、マグニチュード7.4の地震の影響で、2週間たっても郡山−
一ノ関間の東北新幹線は運行停止中。それで在来線、新幹線を交互に
乗り継ぎ、自宅から9時間以上もかかって、盛岡駅に到着した。
通常なら4時間のコースだ。

 まん延防止等重点措置が解除された土日の行楽日。それも指定席
なし、全席白由席だったから、乗り換えるたびに席取り競争。
 運よく立ちっ放し乗客にはならなかったが、80過ぎの老人には過酷な
旅だった。11年前、強烈な放射線下を逃げ惑い、命を落とした老人や
入院患者たちの苦悩を思った。
 地震によって東北新幹線は脱線、不通となった。それでも転覆しな
かったから惨事は免れた。

 福島第一原発、第二原発あわせて10基も、二度目の強度の地震襲来を
なんとかかわして、再度の事故にはならなかった。
 東北ばかりか全国の新幹線もあらためて大地震の発生が心配になった。
 予想されている東海大震災、伊方原発や玄海原発に影響する長大な
中央構造線断層帯、あるいは南端の与那国島周辺まで。

 この日本弧状列島は世界に冠たる大地震列島だ。
 この海岸線にずらりと原発や核再処理工場など地震に弱い、超危険な
原発を建ち並べた責任者はだれか。
      (3月29日東京新聞朝刊25面「本音のコラム」より)

〔457〕田川建三さんの「リーメンシュナイダーの世界」(「福音と世界」連載)を再読したらいろいろ「発見」がありました。

2022年04月04日 | 美術鑑賞
 ティルマン・リーメンシュナイダーに関心のある人に是非とも読んで欲しいのが、新約聖書学者、田川建三さんの「リーメンシュナイダーの世界」(雑誌「福音と世界」連載)です。ただ、今から20年以上前に雑誌に載ったものなので、実際に手にするのは難しいかもしれません。
 福田緑は『祈りの彫刻-リーメンシュナイダーを歩く』(丸善プラネット、2008年)を出版する前に、「リーメンシュナイダーの世界」をネット検索で知り、雑誌のバックナンバーが一橋大学に保管されていることを突き止めてコピーしてきました。私もそれを読んで目に鱗、今までにないリーメンシュナイダー論に衝撃を受けました。それで、緑の写真集(全4巻)の「資料」には必ずこの連載を収録してきたのです。
 田川連載については後程書くことにしましょう。

 さて、日本では、美術史家など様々な研究者がリーメンシュナイダー論を展開しています。私が調べたところ、次の方々に行き当たりました。

◆土方定一、植田重雄、佐々木基一、杉田達雄、阿部謹也、田川建三、内海松壽、小田実、永田浩三、元木幸一、高柳誠…

 詳細は、6月刊、福田緑・福田三津夫著、福田緑撮影『結(ゆい)・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーからシュトース』(丸善プラネット)に「リーメンシュナイダー・覚え書き」として収録します。手にとってくださると嬉しいです。
 書きまとめた項目としては次のようになります。

◆リーメンシュナイダーとの邂逅、その静謐さ、厳かさ
◆祈りの身体性と劇的群像性
◆聖母子像の応答性
◆マイトブロンの嘆きの群像の正面性
◆田川建三のリーメンシュナイダー論
◆植田重雄のリーメンシュナイダー論
◆佐々木基一、日本で初めてのリーメンシュナイダー紹介者

 田川連載について話を戻します。連載は1回が4,5頁、全15回でした。タイトルは次のとおりです。

◆田川建三「リーメンシュナイダーの世界」(「福音と世界」全15回連載、新教出版社、1998年1月号~1999年3月号)
・1回 出会い
・2回 ブルジョアたちの魅力
・3回 菩提樹の広がるところ
・4回 どうして彫刻は中世で絵画はルネサンスなのか?
・第5回 ローテンブルクの聖血祭壇
・第6回 ユダが真ん中に?
・第7回 初老の市民の居眠りと誠実
・第8回 色か塗りか
・第9回 領主司教ルドルフ
・第10回 自分の姿を彫刻に(1)
・第11回 自分の姿を彫刻に(2)
・第12回 弾圧の後遺症?
・第13回 市民の教会?
・第14回 自由都市になろうとした
・第15回 女性像は下手だった?

 田川さんのリーメンシュナイダー論は次の一節に集約されています。

「宗教改革や農民たちの運動が可能になったのは、まさに自治・自由の場所として自分たちの腕の技術で生産力を高める実力を持った市民(ブルジョワ)たちが都市を作り上げていった、その力を基盤としていたのである。その力を、その生命力を、その魅力と親しみを、そしてその時代の悲劇を、たぐい稀な表現力をもった一人の彫刻家が我々に伝えてくれている。」(第1回、5頁)

 多くの論者がリーメンシュナイダー作品の特徴として、キリストやマリアや群像の静謐さや精神性の高さを一番に指摘することが多いのに対して、田川さんは使徒像や群像に当時のブルジョワの投影を見ていて、そのリアリティー、生命力にリーメンシュナイダーの凄さを感じているようです。
 ところで、今回連載を再読して、田川さんはリーメンシュナイダーの同時代の作家についても取り上げていたんだなと嬉しくなりました。私も大好きなアダム・クラフト、ペーター・フィッシャー、ハンス・ムルチャーなど、当時各地に群雄割拠していた、個性豊かな彫刻家たちです。
*第11回、「ペーター・フィッシャーの自画像」の写真は間違いだと思われます。

 いずれにしても、田川さんのリーメンシュナイダー論を丸ごと1冊読みたいと熱望しています。第2回福田緑写真展に「資料」として「リーメンシュナイダー・覚え書き」を用意したところ、田川さんのリーメンシュナイダー論の件(くだり)がおもしろいと、写真家の樋口健二さんが熱く語ってくれました。
 ところで田川さんはリーメンシュナイダーの本をまとめるつもりだとHPに書かれています。でも「執筆予定は第3位」だそうです。首を長くして待っています!
 刊行された暁には、真っ先に購読します! と田川さんには伝えてありますが、はたして、その願いはいつ叶うでしょうか。

◆田川建三からのお知らせ(HPより) 〔執筆予定は第3位〕
3. リーメンシュナイダー あの、今では最も愛されている 16世紀の教会彫刻家の作品と伝記を、何としても読者の皆さんに伝えたい。
      自治自由の都市の形成をになった、中世都市自由民の代表格の人物。
      その人間愛が、作品の一つ一つににじみ出ている。 その作品に会うと、昔からの親しい知人に会ったような喜びが湧いてくる。