後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔296〕「茨木のり子の家を残したい会」の「季刊・茨木のり子手帖」はすぐれて文学的です。

2020年08月27日 | メール・便り・ミニコミ
 先日、清瀬・憲法九条を守る会の仲間のTさんが「茨木のり子の家を残したい会」の存在を教えてくれました。茨木のり子亡き後、茨木邸をなんとしても遺したいという人たちの活動でした。
 私も茨木のり子は大好きな詩人です。書架には何冊かの詩集が並べてあります。『詩のこころを読む』(岩波ジュニア新書)は取っ付きやすくて時々読み返しています。

 この会にわずかばかりのカンパをしたところ、「季刊・茨木のり子手帖」という冊子が送られてきました。2020夏 第5号、B420頁の手作りの冊子でしょうか。挨拶文には600部印刷とあります。
 内容はさすがに茨木のり子を慕う人たちだけあって、文学的薫りがぷんぷんと漂ってきます。手紙や感想メールも紹介されていますが、どの文章もなかなか味わい深いものばかりです。いずれも茨木のり子の詩に関連したエッセイと言えます。どれもこれも丁寧にじっくり読みたくなります。

 どのような会なのかネット検索してみました。(抜き書き)

■茨木のり子の家を残したい会

*団体名代表者名 小田桐孝子
*連絡担当名 柳田由紀子 042-461-3246  FAX番号042-461-3246  y.yanagita@nifty.com
*会員数 市内:61人 市外:31人
*設立年月日 2016/12/25

*団体の特徴
 茨木のり子さんの詩が生き方に共感する人たちが、会報や集いを通して、交流し、学び合っています。家の残し方については模索中です。
*活動内容
 2019年度より会報を季刊で発行(500部~600部)会員のほか公民館・図書館に配布。四季に集いを開催し、フィールドワーク、朗読会等交流を深める。草刈りたいボランティア部発足し、茨木邸の草刈りを実施。内部見学会等予定。

https://www.yumecollabo.jp/organization/12245


 関心のある方は連絡を取ってみてください。会員、カンパ歓迎のようですよ。

〔295〕続編『それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影』(六草 いちか)も速攻で読みました。

2020年08月21日 | 図書案内
  2つ前のブログ〔293〕で『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』のことを書きました。そこになぜこの本を手にしたのかということを記しています。切っ掛けは妻・福田緑の友人Uさんの紹介でした。Uさんの知り合いに作家の六草いちかさんがいらして、実に光栄なことですが、緑と共通する面があるということで興味を持ったのでした。
 その後ブログをUさんが読んでくださり、そのことが六草さんにも伝えられて、とても喜んでくださったということです。
 そうそう、『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』の文庫が出版されるにあたって、4月に六草さんの記念講演が予定されていたようですがコロナ禍で残念ながら中止になったようです。ネットで知りました。

  さて、この本には続編があるということは文庫本で知ってはいましたが、残念ながらすぐには手に入りませんでした。在庫があるのかどうか、アマゾンで調べても、古本はプレミアがついてかなり高価なのです。そうこうしているうちに妻が図書館に連絡を取ってあっという間に入手できました。それが次の本です。

■『それからのエリス いま明らかになる鴎外「舞姫」の面影』六草 いちか、講談社、2013/9 、2500円+税、363頁


  今回も読み出したら本当に頁をめくる手が止まりませんでした。
 この本も是非文庫本にして欲しいなと思いました。出版されて数年が経っています。六草さんのことです、おそらくその後、本を巡っての様々なやりとり、判明した新たな事実があったに違いありません。そのことも含めて文庫に収めてほしいなと思っています。
 さあ、本書を紹介しようと思ったら、すでに素敵で秀逸な書評が発表されていました。

●それからのエリス 六草いちか著  森鴎外の「恋人」の足跡
                               作家 中沢けい
 森鴎外の「舞姫」ほど日本でくりかえし読まれた恋愛小説はほかにないだろう。そして「舞姫」は現代の多くの読者に困惑を与える恋愛小説でもある。『それからのエリス』の著者の六草いちかもこの作品の裏にある真実を知るまでは「女性である私にとってはたんなる『むかつく小説』」と書く。ドイツに置き去りにされた妊娠した恋人が発狂するという「舞姫」の結末は現代の読者にとって男女を問わずなかなか受け入れがたいものだ。
 ドイツから東京まで鴎外を追いかけてきた女性がいることはよく知られている。著者の前作『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』は綿密で詳細な調査によって舞姫のモデルを突き止め、モデルとなった女性が東京からドイツへ帰るまでを描いている。その女性の名はエリーゼ・ヴィーゲルトである。
 『それからのエリス』は、ドイツ帰国後のエリーゼの足跡を追うものだ。冒頭、鴎外の母峰が西洋へ為替を定期的に送っていることが物語られる。この謎の送金はエリーゼにあてたものであったのだろうかという推量は、エリーゼは鴎外の子を産んでいたのだろうかという疑問を生む。
 そこから、ドイツでの綿密な調査が再開される。この調査の過程が実におもしろい。調査は難渋するが、それによって20世紀初頭から中期にかけてのドイツの庶民の暮らしぶりが無味乾燥な記録の中から浮かび上がってくる。
 ドイツ帰国後のエリーゼは帽子製作の職人として生き、ユダヤ人の夫と結婚していた。横浜の港で手を振って別れて以来、生涯会うことのなかった2人だが、その関係は続いていた。帰国後のエリーゼには、大きな世界史の流れに巻き込まれるという運命が待っていたのだ。
 そして鴎外との関係は、鴎外の作品、遺族の証言などから解き明かされて行く。ロマンチストであり、思いやりの人であった鴎外の一面が実に生き生きと著者の中で創造されて行く。エリーゼが亡くなったのは1953年、つまり第2次世界大戦後であった。
                      [日本経済新聞朝刊2013年10月20日付]


  400頁にもなろうとする実に丁寧で徹底的で執拗な「研究書」を過不足なくまとめ上げています。さすが作家さんですね。
 
 この本は驚きの連続ですが、ついにエリーゼの写真を発掘したことやベルリンにある森鴎外記念館が鴎外の下宿跡ではないということなども突き止めています。手持ちの『地球の歩き方』〈ベルリンと北ドイツ、2018~19〉の「森鴎外記念館」の説明として「鴎外が下宿していた館の2階には当時の様子が再現されている。」は明らかな間違いだったのですね。ベルリンに行ったときに間違いを指摘しようと思っています。
 六草さんの他のご著書も気になってきました。


〔294〕好きな役者さんでした。三浦春馬さんの逝去を悼みます。

2020年08月16日 | 追悼文
  若い役者さんで良いなと思う人はそう多くはいませんが、三浦春馬さんは何か気になる存在でした。
 最初に彼の名を知ったのはTBS系テレビ『私を離さないで』でした。ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロ原作の作品です。珍しくテレビドラマを見ようと思ったのはカズオ・イシグロの話が脚本研究・森の会で話題になったからです。
 出席者のHさんが、ノーベル賞を取るなら村上春樹よりカズオ・イシグロが相応しいと言いました。会ではそれから何回かHさんによるカズオ・イシグロ作品の報告が続きましたが、周知のように彼女の予言は当たることになります。
 そんなおり、テレビで『私を離さないで』が放送されたのでした。主演は綾瀬はるかですが、初見の三浦春馬も重要な役を与えられていました。透明感漂う押さえた演技で、惹かれるものがありました。臓器提供を宿命づけられたクローン人間を妖しく演じていました。

■『私を離さないで』カズオ・イシグロ(ウィキペディア)
 2016年1月15日から3月18日まで、TBSテレビ系「金曜ドラマ」枠にてテレビドラマ化された。主演は綾瀬はるか。脚本は森下佳子。
 原作のイギリスから、舞台を日本に移して翻案。主人公は「恭子」、ヘールシャムは「陽光学苑」などに置き換えている。物語は恭子が過去に遡って語るモノローグ(=信頼できない語り手)によって進行し、第1話 - 第3話を「第1章:陽光学苑編」、第4話 - 第6話を「第2章:コテージ編」、第7話以降を「最終章:希望編」としている。


 三浦春馬に「再会」したのはドイツに向かうJALの飛行機でのことでした。日本中国合作映画『真夜中の五分前』が上映されていたのです。こちらも感情を押さえた演技で存在感がたっぷりでした。とりわけ中国語が堪能なのには舌を巻きました。相当中国語を勉強したようです。この映画がアジアで評価され三浦ファンがアジアに多いと聞きました。彼の死を惜しむ声は日本だけではありませんでした。

■日本中国合作映画(ウィキペディア)
『真夜中の五分前』(まよなかのごふんまえ)は、2014年の日本・中国合作映画。原作は本多孝好の小説『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow(side-A・side-B)』(新潮文庫刊)。


  昨日、2020年8月15日、日本敗戦の日に放送されたのがNHK『太陽の子』でした。主演は柳楽優弥ですが、三浦春馬は彼の弟役での熱演でした。大海原に向かって自殺を計るシーンは今までの穏やかなイメージを変えるものでした。そして、特攻を志願して帰らぬ人となるのでした。
 この作品を完成させてからこの世に別れを告げるつもりだったのでしょうか。ここでの演技とダブらせてみてしまうのです。

■NHK「太陽の子」(ウィキペディア)
 『太陽の子』(たいようのこ、英語: GIFT OF FIRE)は、「国際共同制作 特集ドラマ」としてNHK総合、NHK BS4K、NHK BS8Kで終戦75周年となる2020年8月15日土曜日の19時30分から20時50分に放送された日本のテレビドラマ。第二次世界大戦下の日本で原子爆弾の開発に携わった科学者の苦悩と青春を史実をもとにフィクションとして描いた群像劇。第二次世界大戦末期に京都大学で行われた核分裂エネルギーを用いた新型爆弾の開発(F研究)において、爆弾開発の研究に没頭する1人の若手研究者が戦争という時代の波に翻弄されていく姿を史実に基づいて描く、若者の戦争における悲劇の物語[1]。黒崎博作・演出。主演は柳楽優弥。


 あまりに若すぎる30歳での自死でした。
 貴方より2倍以上生きた年寄りが、貴方の死を息子のように悼んでいます。合掌

〔293〕『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』(六草いちか、河出文庫)に断然はまりました。

2020年08月13日 | 図書案内
  『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』という本が出版されているのを妻に教えてもらいました。早速取り寄せて読んだらこれが面白いのなんのって、絶対に外れない本です。
 この文庫本は、2011年に講談社から刊行された『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』を加筆修正したもので、今年の4月に初版発行されたばかりでした。
 そもそも何で妻がこの本を知ったのでしょうか。
 それは昨年の秋、妻の写真展「祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く」(東京・江古田、ギャラリー古籐)を開催したときのことでした。日本で初めてのリーメンシュナイダーの写真展ということもあって、15日間で500人を越える来館者は想定外の大盛況でした。(ブログ参照)
 その写真展に来ていただいたお1人にUさんがいらっしゃいました。長年ご夫婦でドイツに暮らされ、ドイツそのものにもリーメンシュナイダーにもとても詳しい方でした。彼女のお知り合いが現在ドイツ在住で、作家をされている六草いちかさんです。この時まで我々は六草さんのことは存じ上げませんでした。
 Uさん曰く、六草さんは連れ合いの福田緑と共通点があるというのです。どういうことなのか、その理由を知りたくて読んだ本が『鴎外の恋 舞姫エリスの真実』でした。森鴎外の処女作『舞姫』に登場するエリスは誰なのか、その謎解きが面白くて、あっというまに読んでしまったのです。妻は間髪入れず手に取りました。

 なるほど、六草いちかさんと妻の共通点が明確にあるのでした。
 まずはドイツが舞台ということ、妻は中世ドイツの彫刻家リーメンシュナイダーの追いかけ人になって20年、リーメンシュナイダー本人や工房、弟子たち、リーメンシュナイダー派の作品まで、カタログやネットで調べ尽くしました。そして、十数回ドイツに渡り、徹底的に執拗にその作品群を足で歩いてカメラに収めました。現在はそれをほぼ見終わり、さらに同時代の作家の作品を私と訪ね回っています。本邦初のリーメンシュナイダーの写真集『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』『続・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』『新・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』を出版し、この秋には4冊目の『完・祈りの彫刻 リーメンシュナイダーと同時代の作家たち』を刊行予定です。(いずれも、丸善プラネット発行)

 一方、六草さんは88年よりベルリンに在住し、ドイツ人のお連れ合いとお子さんが3人いらっしゃるそうです。「2000年より雑誌やガイドブック、専門誌等にドイツの観光情報やライフスタイル、映画関連の記事を執筆。07年よりベルリンの歴史や日独交流史を学びノンフィクション分野に。」(ソデ)とあります。当然、ドイツ語には堪能で、地の利を活かしたご著書になっていました。
  こんな「案内」が本に書かれています。

■〔裏表紙〕
 「エリスにたどり着くまでの道のりは、蜘蛛の糸をたぐり寄せるような、心許ない作業のくり返しだった。
 夏のある日の夕方、それは一丁の拳銃から始まった」
予期せぬことがきっかけでスタートした「舞姫」エリスのモデル探し。日本文学史上最大の謎・エリスの真実が130年の時を超え、いま明らかになる。謎解き「舞姫」、待望の文庫化。
          ◎文庫解説=山崎一穎(跡見学園女子大学名誉教授)


  六草さんのエリス探しの執念は凄まじく、目を見張ります。目次に書かれただけでも、乗船名簿、住所帳等を調べるために公文書館、市立博物館、教会、プロシア王室古文書館等に何回も足を運んでいます。ベルリンの南西地区にお住まいで、市中央までは車で1時間の距離といいますが、調査にどれだけの根気がいったことでしょう。その原動力は、エリスのモデルが娼婦であるという通説の汚名を晴らすことにあったようです。そして、研究者が誰も成し遂げられなかったエリスの実像を艱難辛苦の末に突き止めるのです。まさに偉業です。

 私が『舞姫』を最初に読んだのは1965年頃、高校の国語教科書でした。筑摩書房だったような気がします。本文は結構長いので、もちろんその1部だったでしょうが。若い女の先生(都立大泉高校。たぶん新卒、あだ名は髪型からして「鉄兜」でした。)が熱を入れて授業してくれたのを思い出します。六草さんの本を読んだ後、50年ぶりぐらいに再読、完読しました。作品のそのものの評価、鴎外の生き方など、親しい人と語り合いたくなりました。読書会がしたいくらいです。その切っ掛けを作ってくださった六草さんに感謝です。
 前回のベルリン行きで見送った「森鴎外記念館」(鴎外の第一の下宿近く)に次回は必ず足を運ぼうと思うのです。

*六草さんのたどり着いた内容についてはネタバレのおそれがあるので控えておきます。


〔292〕コロナ禍の下、岡山の「アマビエ」のお札が矢部さんから届きました。

2020年08月06日 | メール・便り・ミニコミ
 新型コロナウイルスの勢いが止まるどころか、もはや第2波に入っていると実感している東京在住の私です。こんな折、このブログでお馴染みの矢部顕さんから今人気の「アマビエ」のお札がメールで届きました。疫病を封じ込むという「アマビエ」は最近なかなかの人気です。読者の皆様にもお裾分けいたします。
一刻も早くコロナが終熄して、以前に近い日常が戻りますように祈念いたします。かつて広島に原爆が投下された日に!

■矢部顕さんのメール

暑中お見舞い申し上げます。

一昨日の日曜日に、我が家の裏山にある神田稲荷という小さな祠の
祭典がありました。

例年ですと、祭典のあとの金魚すくい、かき氷、ビンゴ大会などが
あって子どもたちや家族連れで賑わうのですが、今年は新型コロナ
のため神事のみとしました。

「茅の輪くぐり」を行うための「茅の輪」は作りましたが。

今年、神主が配布したお札は、例年のものにプラスして、もう一枚
ありまして、それには「アマビエ」の絵が描かれていました。

最近「アマビエ」が復活(?)しているようですが、お札にあるとは
思いもしませんでした。

この時期のお祭りは、もともと無病息災を祈るものですから、
厄病終息で新型コロナウイルスさんどこかに行ってくださいと
祈るのはいつものことの延長なのですよね

お札を添付します。



下記は「アマビエ」についてです。(ウィキペディア)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%93%E3%82%A8


〔291〕「JNN世論調査、内閣支持率35.4%で最低を記録」不支持率は62.2%ですね。

2020年08月04日 | テレビ・ラジオ・新聞
 東京もようやく梅雨が終わり、コロナ禍の猛暑の夏がやってきました。
 パソコンをいじっていたら、「JNN世論調査、内閣支持率35.4%で最低を記録」というニュースが飛び込んできました。やっぱりというか、とうとうといいか、まだというか、ですね。
 ご存じない方もいらっしゃると思いますので、一部を転載させていただきます。

■JNN世論調査、内閣支持率35.4%で最低を記録
8/3(月) 7:35配信
TBS系(JNN)

 最新のJNNの世論調査で、安倍内閣の支持率は35.4%と最低を記録しました。また、「GoToトラベル」キャンペーンについて聞いたところ、「使いたいと思わない」と答えた人が77%にのぼりました。

 安倍内閣を支持できるという人は、先月の調査結果より2.8ポイント減って35.4%でした。一方、支持できないという人は2.4ポイント増加し、62.2%でした。

 JNNでは2018年10月に調査方法を変更したため単純に比較はできませんが、先月に続いて第二次安倍政権発足後、最低の支持率を記録、不支持率が6割を超えたのも初めてです。

 新型コロナウイルスの感染防止に向けた政府のこれまでの取り組みについて、「評価する」は26%と、今年2月以降で最低の数字となりました。

 中でも、政府が先月22日から東京発着の旅行を対象外としてスタートさせた「GoToトラベル」キャンペーンの是非について聞きました。「評価する」が25%だったのに対し、「評価しない」は66%、キャンペーンを使いたいと思うかについては、「使いたい」は19%にとどまり、「使いたいと思わない」が77%に達しました。

 感染者の増加を受けて政府が緊急事態宣言を再び出すべきか聞いたところ、「出すべきだ」は61%、コロナ対応などを話し合うため早期に臨時国会を「開くべき」との声は8割に達しています。(以下略)


  そして、本日、2020年8月4日の朝日新聞夕刊の「素粒子」です。だめ押しですか。

■素粒子
感染拡大ニ目ヲツブリ/ソレデモ「GoTo」ナノカノ疑問ハ素通リ/閉会中審査ヘノ首相ノ出席ハ無視シ/憲法53条ニ基ヅク臨時国会召集要求ハ聞コエヌフリ/河井被告陣営ヘノ1億5千万円ニツイテノ説明ハオ茶ヲ濁シ/「モリ・カケ・桜」ノ説明責任ハ口先ダケ/ソウイウ政権ヲ/アナタハ支持シマスカ?
 ◎
政権各位、夏休み返上の子どもたちに恥ずかしくない?

〔290〕いたく赤木雅子さんに共感し『私は真実が知りたい』(赤木雅子、相澤冬樹、文藝春秋)を読みました。

2020年08月03日 | 図書案内
  毎日のワイドショーを彩るようなセンセーショナルな単行本や週刊誌はまず購入したことがありません。例外は相澤冬樹『安倍官邸vsNHK』(文藝春秋)ですが、これについては後ほど触れます。今春「週刊文春」に森友問題の記事が出たときも、大いに関心があったのですが触手は動きませんでした。森友問題は安倍政権による権力犯罪であるとしてもです。
 ところが森友文章の改ざんを命じられ自死された赤木俊夫さんのお連れ合いが実名を出してマスコミに登場されたとき、これは「沈黙」していてはいけないなと思いました。この人は命をかけて闘っているなと直感したからです。
 
  彼女は報道番組に顔は出さなかったのですがこの間立て続けに出演しました。私が贔屓にしている番組が多かったです。インタビュアーの力量や人柄ゆえだとは思いますが、どの番組も彼女の本心が語られていたようでした。「刺せるものなら刺してみろ」とnews23では語っていました。

・6チャンネル 「報道特集」インタビュアー金平茂紀 7月11日
・6チャンネル news23 インタビュアー小川彩佳 7月14日
・1チャンネル クローズアップ現代+ 武田真一 7月15日
・6チャンネル サンデーモーニング 関口宏 報道あり

 これらの番組で彼女が本を書いたことが取り上げられていました。
「妻の赤木雅子さんは真実を明らかにするため国などを提訴。事件の再調査を求めて行った署名活動には、35万を越える賛同が集まった。」という署名には私も名を連ねたのですが、何かささやかな支援ができないかを考えて、本を買おうと思いました。
 秋津駅の本屋では注文取り寄せた人がいたらしいのですが店頭には置いていませんでした。清瀬駅近くの本屋にも置いてありませんでした。反面、保守系の雑誌や本は山ほど置いてあります。最近は雑誌「世界」や「週刊金曜日」を置いている本屋はめっきり減りましたね。
 しょうがないのでようやくアマゾンで取り寄せることにしました。

 内容については、ネタバレ的な要素があるのでここでは詳述しません。彼女の応援、支援のために是非手に取られることをお勧めします。
  結論的にザックリ書くと「良い本でした」。
 赤木俊夫さんの死に到るまでの変化、自死の様子、それを発見したときの雅子さんの思い、そもそも自民党支持の彼女がなぜ裁判だったのか、弁護士を変えたのはなぜか…といったところがいたく共感したところでした。この間の彼女の行動を支える人として、相澤冬樹氏の存在があります。2人の出会いとすれ違いなどもリアルに書かれているところにも共感が持てます。相澤冬樹氏は派手にアピールする人ではありませんが、信頼が置けると思うのは前著『安倍官邸vsNHK』(文藝春秋)を読んだからでした。

 本のオビやソデに書かれたコメントをもれなく紹介しておきます。

□『私は真実が知りたい』(赤木雅子、文藝春秋、1500円+税)
〔副題〕 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?

〔オビ〕あきらめない。国会議員・公務員の皆さん どこを向いて仕事をしてますか?改ざんをしてしまいましたが夫・赤木俊夫はまっすぐ前を向いていました。赤木雅子

「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ。」(赤木俊夫さんの遺書より)
森友事件の渦中で、総理夫人らの名を隠蔽するために公文書の改ざんを命じられ、懊悩の末、2018年3月、自ら命を絶った近畿財務局職員・赤木俊夫さん。享年54。
 2020年3月、赤木さんが遺した痛切な手記が週刊文春で公開され、大きな反響を呼んだ。妻の赤木雅子さんは真実を明らかにするため国などを提訴。事件の再調査を求めて行った署名活動には、35万を越える賛同が集まった。

〔ソデ〕
 本書は、夫を理不尽に失った赤木雅子さんが国などを提訴、俊夫さんの手記の公開に至るまでの怒り、迷い、葛藤を率直に綴つた「手記」と、事件を発覚当初から追い続けてきたジャーナリスト・相澤冬樹氏による「同時進行ドキュメント」で構成されている。

*赤木雅子
1971年、岡山県生まれ。1989年、地元の高校を卒業し、地元で就職。1995年、24歳のとき赤木俊夫さんと結婚。2018年、夫、俊夫さんが命を絶つ。2020年、俊夫さんの死を巡り国と佐川宣寿元財務省理財局長を相手に裁判を起こす。同年7月15日に初弁論。

*相澤冬樹
1962年、宮崎県生まれ。1987年、NHKに入り記者に。阪神・淡路大震災、福知山線脱線事故など取材。森友問題取材中の2018年、記者を外されNHKを退職。大阪日日新聞に。週刊文春、日刊ゲンダイ、Yahoo!ニュース、ハーバー・ビジネス・オンラインなど各種メディアで執筆。


〔289〕松本キミ子さんの「私の久美子」を読んで私の絵画教育修行を思い出しています。

2020年08月02日 | メール・便り・ミニコミ
  松本キミ子さんは東京芸術大学彫刻科を卒業し、1973年、産休補助教師として都内の学校に勤めた方です。1975年には「美術教育についてのまったく新しい理論・指導法を提唱。これは後に『キミ子方式』として知られるようになった。」と著書『教室のさびしい貴族たち』(1984年、仮説社)の奥付には書かれています。
*松本キミ子・堀江晴美共著として『絵のかけない子は私の教師』(仮説社)、『三原色の絵の具箱』(全3巻、ほるぷ刊)、松本キミ子『絵を描くっていうことは』(仮説社)が我家の本棚に並んでいます。
 まさに美術教育に画期的な方法論を提起した方です。私の理解では、3原色と白を駆使して、植物や動物などの生物については輪郭を取らず「隣から隣へ」という描き方を提唱されました。(人工物は輪郭を取ってから色塗りという工程を踏んでいましたが。)
 私の教師人生のなかで、6年間、家庭科専科と同時に3年生だけ図工科を担当したことがあります。清瀬七小でのことでした。この時期に図工教育について自分なりの研究をしたのですが、清瀬十小の図工専科の滝口泰正先生(美術教育を進める会)が3原色と白の描画法や人体の描き方の提案をしていて、何度かお話をうかがったことがありました。キミ子さんも彼から学んだことは多かったようです。

 何冊か本を読んで、キミ子さん講師の講習会(「ひと塾」だったかもしれません)に1度だけ参加したことがあります。講習後に彼女の連絡先を知り、夫婦のミニコミ「啓」を勝手に送りつけたのでした。読んでもらいたい人に相手の迷惑も顧みずミニコミを送るというのが我々の流儀でした。(後に福田緑著『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く』を購入してくださいました。)
 そうこうするうちに彼女の発行する月刊「The Beginning News」(キミ子方式 芸術の原点)という8頁立ての冊子が届くようになりました。
 巻頭に必ずキミ子さんのエッセイが掲載されています。キミ子さんは名文家です。これがとても読ませられるもので、いつも真っ先に愛読します。

 2020年8月号の巻頭はやはりキミ子さんの「私の久美子」というエッセイでした。久美子さんはいわゆる教え子の1人です。
 『シーラという子』(トリイ・ヘイデン著、入江真佐子訳、早川書房)を彼女が手にする経緯から文章は起こされます。彼女はこの本を読んであまりに御自身の著書『教室のさびしい貴族たち』と内容が似ていることに戸惑いますが、『シーラという子』のほうが12年後に出版されたということでほっとするのです。
  私は未読ですが『シーラという子』は情緒障害児との関わりを著者が綴った実践記録のようです。さらにこの出版の7年後、今度はシーラがどう成長したのか、『タイガーと呼ばれた子』として出版されたといいます。
 さて、松本キミ子さんは自身を振り返って、彼女の教え子がどう成長しているのか、ということに思いを馳せるのでした。エッセイの結末を知りたい方は以下に連絡し購読されるといいと思います。

*発行所:キミコ・プラン・ドウ
〒153-0041 東京都目黒区駒場4-7-8 リバティハウス
TEL.03-3467-3657
「The Beginning News」定価 80円