８月１５日夜中……午前２時半。
私の枕元で充電しているスマホから、ピロロンピロロ～ン！と大音量で受信音が流れた。
画面を見ると、「いけるかな？？」という友人Iくんからのメール。
リオ・オリンピックのテニス、錦織選手のことである。
ふん、と打っちゃっておくと、
３分後……またしてもピロロンピロロ～ンッ！
今度はＯくん、「左ラケットでしょう！」と、７名宛全員返信メール。
２時５１分……「Ｇｏ，Ｇｏ！！」のＩくん。
３時２３分……「ナダルもしぶとい！」とＯくん。
３時４９分……「やばー(≧▽≦)」なＩくん。
すぐに受信……「ここが頑張りどころ！」とＯくん。
４時３８分……「やったー！！よくぞ気持ちをきりかえた！」のＩくん。
４時４１分……「えらい！ ９６年ぶりのメダル！」のＯくん。
ここで初めて登場のＭくん……「本当にその通り！！これで、ゆっくり眠れる」
こっちは眠れるかいッ！
今度は１７日……夜中の１時半。
「卓球女子やったね！！」の題名で、またしても受信が始まって、
枕元ではピロロンピロロ～ンが鳴りやまず。
次に１９日。
夜中の２時４０分に「バトミントン女子金メダル」「凄い攻防！！」のお知らせに続き、
またもや全員メールが飛び交った……。
「キミたちもうすぐ３時だよッ！ さっさと寝なさいッ！」と私の怒号メールも何のその、
早朝５時半。「レスリングの吉田が負けた！」のＳくんから始まるメールが押し寄せた……。
それにしても、今どきのラインを使わず使えず全員メールの応酬という彼ら。
彼らは高校時代の友人たちである。
その中のＳくんから、昨日、「喪失感」と題されたメールが届いた。
そうだろう、そうだろう、あれだけ毎夜熱くなっていたからね、とメールを開けてみると、
「昨日の昼頃の集中豪雨の時、ミーちゃんがうちの近所の通りで車にはねられて死んだ。」
生後半年のみーちゃん
ミーちゃんというのは、Ｓくんチの庭に居ついたノラ猫だ。
生まれた時から４年目を迎え、ずっと可愛がっていたそうだ。
ノラとはいえ毎度Ｓくんチでご飯をあげていたらしい。よく懐いて足にスリスリしたという。
Ｓくんは犬派でパピヨンを飼っているが、近頃は『猫って可愛いね～♪』とよく言っていた。
そしてその日。ミーちゃんにご飯をあげて、犬の散歩に出かけた時はねられたという。
奥様のＭさんと泣いて一日経ったけど、この喪失感は益々強くなる。と結ばれていた。
うわぁぁぁぁ～～！ つらいッ！ つらいメールだなぁ……！
すぐに返信したら、「返信読んでまた涙……」なＳくん。
「近所のアニマルクリニックに頼んで多摩墓地に埋葬してもらったことが、
出来る精一杯のことだった。」
なんていいヤツなの、Ｓくん！
ミーちゃんは、生まれて捨てられたのか、捨て猫の子供なのか……わからない。
それでも、少なくとも、Ｓくんチでご飯を食べて、名前を付けてもらって、そして今、
泣いてもらっている。
きっとＳくんと奥様のＭさんとの会話の中で、いつまでもミーちゃんとの思い出話が出ることだろう。
だからミーちゃんは、人知れず名もなくいつのまにかこの世からいなくなったのでない！
ミーちゃん、愛されていたんだよ。 良かったね！ ミーちゃん！
そしてＳくんの名刺では、なんだか色んな所の色んな肩書を持っているエライ人らしいが
私には興味がないので覚えていない。
ただ、やっとわかった！ Ｓくん、あなたは本当にエライ人ですッ！
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