ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ラヴェンダーの咲く庭で』

2005-04-19 20:28:17 | 新作映画
------この映画ってジュディ・デンチとマギー・スミス、
ふたりのオスカー女優が共演しているんだよね。
なんだか渋い映画って感じがする。
「でも、中身は切ない切ない恋物語。
舞台は1936年のイギリス、コーンウォール。
ジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)。
浜辺の近くで静かに暮らす初老の姉妹の日常が、
ある嵐の日を境に大きく変わっていく。
その嵐は、アンドレア(ダニエル・ブリュール)と名乗る一人の美しい青年を
ふたりの元へ運んでくる。
アーシェラは一目彼を見た瞬間から、すっかりその虜となってしまう。
最初はジャネットも彼に惹かれ、ふたりの間には火花が散り始める。
かつて夫がいたジャネットの<熱>は次第に沈静化するんだけど、
免疫ができていないアーシェラは、
それこそ少女のように彼にときめいていくんだ」

-----ふうん、そんなことってあるのかニャア。
「だから、昨日も言っただろう。
恋はいつどこから始まるか分からないって....。
さて、話を進めると、
この青年アンドレアは実はポーランドのヴァイオリニスト。
折しもその町には、名ヴァイオリニストを兄に持つ
オルガと言う若く美しい女流画家性が滞在。
彼女がアンドレアの才能に気づいたことから、
ふたりの接近を恐れる姉妹は、
やってはならないことをやってしまう」

-----えっ、なになに?そのやってはならないことって。
「オルガがアンドレアに出した手紙を焼いて
知らないふりを決め込むのさ。
この映画の悲しさは、
恋の情熱が老いと言う現実の前で立ち往生せざるをえないという残酷さにある」

------う~む。確かに確かに。
そのオルガってのは悪い子なの?
「いや、そうは描かれていないところがまた辛い。
オルガはアンドレアを画のモデルにと望むわけだけど、
その接近を、
自分がアンドレアを誘惑しようとしてるのでは....と、
姉妹が警戒しているということにも気づいている。
そのことをオルガに教えられたアンドレアは
ふたりの関係を男と女の関係へと変える行為に出ようとする」

------(笑)回りくどい言い方だニャア。
「しかし、そこでオルガは態度を一変。
厳しく彼を突き放す。
つまり、オルガに取って彼への興味は
その美しさも含んだ<才能>にしかないわけだ。
アーシュラがあんなにも恋焦がれている相手だけに、
これはほんと辛い話」

-----でも、話聞いてると物語ばかり語ってるニャア。
映画としての見どころはどこなの?
「やはりふたりの女優の名演だね。
微妙な表情や仕種が、
老いらくの恋の痛みを伝えてあまりある。
あっ、物語ばかり語ってるのは、
この映画がそのような作られ方をしているから。
いかにも脚本どおりに撮っていきましたって感じなんだね。
すべてを見せていてあまり想像の余地を残していない。
よくいえばウエルメイドの映画。
だれもが安心して観られるんじゃないかな。
ただ、欲を言えば時代が時代だけに、
主人公の青年をポーランド人と設定したんだったら
そこにもう一枚、ドラマをかませてもよかったと思う。
相手もドイツ語を喋るオルガだけにね」


   (byえいwithフォーン)

※一口メモ:1936年11月、BBCはテレビ放送を開始。
この映画ではラジオが頻繁に出てきますが、
その中でテレビのことも少しだけ語られています。

※辛い度切ない度
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