真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「美人乳母 襖の奥の…白い肌」(2005/製作:フィルムハウス/提供:Xces Film/監督:坂本太/脚本:岡輝男/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:鏡早智/照明:野田友行/編集:フィルム・クラフト/録音:シネキャビン/音楽:中目黒合唱団/助監督:羽生研司/撮影助手:池田直矢/照明助手:吉田雄三/監督助手:前野耕佑/スチール:阿部直哉/撮影協力:カプリ/現像:東映ラボ・テック/出演:長崎玲奈・河島杏里・瀬戸恵子・柳之内たくま・成田渡・藤木誠人・吉田祐健)。
 配偶者のマザコンに手を焼き、離婚した菅原さくら(長崎)は五ヶ月になる乳飲み子・ミキオの親権は係争中で、ひとまづ実家に預け、母子の生活を成り立たせるべく求職中。も、なかなか見つからず頭を抱へてゐる。一方、さくらの教師時代の同僚・鹿島千代(瀬戸)は、現在は皆良(みなよし)家庭教師センター(以下皆良)を経営。繁盛してはゐたものの、教官が千代と中井雛子(河島)の二人しかをらず、こちらも頭と、くたびれ果てた体とを抱へてゐた。そこで千代は仕事を探してゐる筈のさくらに話を持ちかけ、渡りに舟とさくらは皆良で働き始める。苛烈な同業他社との競争を勝ち抜くために皆良が掲げたモットーとは、「母親のやうに接し、癒し、勉強に集中させる」。要はさういふ方便で、過激通り越して豪快に違法な本番肉弾授業を繰り広げてゐた、とかいふ幾らピンクとはいへ底を抜くにもほどがある物語である。未婚の千代や雛子に対し、授乳期間のど真ん中にさへあるさくらは正にこの職にうつてつけ、だなどといはれてしまへば、ガックリと首の骨も折れんばかりの勢ひで頭を垂れるほかない。といふか、岡輝男なら何でも許されるなんて思ふなよ。
 主演の長崎玲奈、当サイト的にはそこに触れる琴線の持ち合はせはないものだが、実際にバッリバリの授乳期間中にある。乳輪を押し摘めばピューピューと、まるで水芸かスプリンクラーでもあるかの如く母乳が噴き出す。ジャンルでいふところの噴乳、の王道を全速力で驀進する。それももう、王道なのだか横道なのだかよく判らない。絶え間なく母乳を噴いて呉れるのは構はないが、ルックスはといふと、薩摩揚げに海苔と胡麻で適当に目鼻口を描いたかのやうな、どうにもギャグマンガのモブキャラじみた顔立ちをしてゐる。口跡の方も冗談なのか、アフレコは佐々木基子がアテてゐる風に聞こえたが、そこのところは微妙に自信が持てず。
 といふ次第でびしびしばしばしらんらん噴かれる母乳の開き直つた一点突破で、残りは延々延々延々底の抜けた濡れ場濡れ場を連ね倒すのみの一作。これで長崎玲奈にもう少し十全な容姿が具はつてゐたならば、全体的な印象も全く異なつたものになつて、ゐた、かも知れない、もしかすると。脇を固めるのが瀬戸恵子に、佐倉麻美を15kgばかり増量したやうなエクセスライク二番手といふのも矢張り弱い。何はともあれ噴乳さへ拝めれば御飯何杯でもイケる筋金入りの御仁以外には、戯れにもお薦め出来ないといつてはそれこそ実も蓋もない。
 藤木誠人はさくらが皆良を見学してゐる際に、雛子が担当してゐた谷村健作。成田渡は、さくらが初めて受け持つ川島拓海。どうでもよかないが私立医大を受験するのに、数学が一次方程式といふのはあんまりだろ、何処の中学校のドリルか。こゝまでは脆弱な員数稼ぎで、柳之内たくまと吉田祐健が男優部のメイン。幼少時に母を亡くし母親といふ存在を知らない河合幹生と、幹生の父親で弁護士の慎太郎。
 徒に乳を噴くばかりで中身は希薄などころか全くないながらに、幹生らとの関りの中で考へを改めたさくらが、慎太郎の尽力で抱へてゐた事情を万事解決。一方千代と雛子は、さくらに憧れ産めや増やせやの殖産思想に開眼する。といふ結末はいゝ加減かつ大概な力技にせよ、一応映画をそれなりに畳んでみせた点に関しては評価したい。

 新日本映像(エクセス母体)公式によると。撮影中スタッフが「子供の分は大丈夫?」と心配すると、「子供が吸へば、また出ます」(長崎玲奈談)とのこと。はあ、さうですか、とでもしか最早いひやうもない。げに偉大なる母性、だなどと無理矢理に纏めてみせろ   >投げやりか

 再見に際しての付記< 主演女優は間違ひなく佐々木基子のアテレコ、今なら断言出来る   >何時なんだ


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