真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「妹・OL・人妻 すけべ丸出し」(2013/製作:幻想配給社/提供:オーピー映画/監督:友松直之/脚本:百地優子・友松直之/撮影・照明:田宮健彦/助監督:高野平/編集:酒井正次/録音:シネキャビン/監督助手:島崎真人・井澤昌也/撮影・照明助手:河戸浩一郎・川口諒太郎/ヘア・メイク:化粧師AYUMO/スチール:高橋大樹/ライン・プロデューサー:石川二郎/制作担当:冨田大策/現像:東映ラボ・テック/フィルム:報映産業/協力:池田勝る・山口通平・スタジオペルーサ/原作:『妹の甘い匂ひ』《マドンナメイト文庫》/制作協力:アウトサイド/出演:あん・希咲あや・宮村恋・倉田英明・津田篤・郡司博史・若林美保・中村剣一・前田勝弘・中江大介・染島貢・SHIN・高橋靖・たかひろ・石川真由・原口和也・土橋聞多・梅ちゃん)。出演者中、郡司博史以降は本篇クレジットのみ。
 夜の公園をホテホテ歩く希咲あやが、マスクを被り、エフェクト過多で何を言つてゐるのか正直よく判らないボイス・チェンジャーを噛ませた、月光ならぬ激昂仮面に襲はれる。犯されながらも、マスクに手をかけた希咲あやが怪人の正体に愕然としたところでタイトル・イン。タイトル明け一転、股を開かせたロリ系少女の甘い匂ひ漂ひさうな裸の下半身を、ムッサい小太りの男が凝視する、ある意味開巻を超える衝撃的なシークエンス。1ラウンドから猛然とKOを狙ひに行く、ラッシュが実に心地良い。二十五歳のフリーター・杉崎啓太(倉田)の部屋に、父親の後妻(二人とも欠片たりとて登場せず)の連れ子、義理の妹となる現役受験生の沙織(あん)が、予備校の夏期講習に通ふ目的で転がり込む。大陰唇の左右非対称に悩む沙織が、啓太に確認を求めたといふ始末。何だかんだ盛り沢山な長い長い遣り取りの末に、沙織は啓太の俗にいふ手マンで放水レベルの潮を噴く。すると何のものの弾みか啓太の運気が俄に好転、ポスティングのアルバイトに憂き身をやつす啓太はチラシを撒いたマンションに住む出産直後の人妻・桜木百合子(宮村)、バイト先(有)「ベルーサ」事務員の東条綾香(希咲)の据膳をたて続けに頂戴する。ところが直後に激昂仮面の綾香に、百合子はHATE MAN。啓太がポスティングする先々の女達が、次々にレイプされる事件が発生。百合子の証言に基き、勿論身に覚えのない啓太にお縄がかゝる。
 配役残り津田篤は、「ベルーサ」社長・横田。郡司博史以降は、啓太の部屋に現れる二人連れの刑事と、細工したライトバンが、細工したライトバンにしか見えない修羅場に集まる野次馬要員。若林美保を視認し損ねたのは口惜しいが、もしかして首から上は抜いてない?
 二年ぶりの復帰後は快調に飛ばす友松直之の、一作跨いで2013年第三作。第二作お盆公開の新東宝はその内地元駅前に来るのではないかと期待しつつ、現時点では未見。更に撮影順は知らないが封切り順だと新東宝と今作の間に、あの嘉門洋子にカモンし倒させる大仕事も友松直之はしてのけてゐる。もしかすると我々は後世の人間から、友松直之に対する評価の低過ぎた間抜けども、といふ誹りを免れ得ないのかも知れない。それはさて措き映画本体に話を戻すと、激昂仮面のアバンを置いて大股開いての一大攻防戦。濡れ場の潤沢さも交へ啓太に急遽到来した今でいふモテキと、再起動したヘイトマンを軸に繰り広げられる、顛末の落とし処は雑なサスペンス、三部構成でサクッと観させるポップ・チューンである。今回の友松直之十八番の大容量情報戦の肝は、毎度毎度の愛くるしく屈折した持論に加へ、男女双方の下心込み込みの身勝手さなり、裸映画固有の展開の大らかさに対する、絶妙な間だけでなく平等に突き放した距離感が清々しい啓太のツッコミ。殊に、主演女優のM字開脚もあるとはいへ、ほぼモノとダイア両面のローグだけで乗り切る序盤が圧巻。四の五の語弊を残しながらも、棹は立つし観音様は濡れる。さういふ人間の仕方なさを描いたものならばこれまでも幾多とあれど、豪放磊落なパブリック・イメージの陰に隠した緻密な構成力―但し、画作りに関しては十人並―で今風のコントとしても十二分に成立せしめた一作は、それはそれで断固として素晴らしい五十年一日の艶笑譚の先を行く、ピンク映画最新型の姿を想起させる。といつて、敵が友松直之である以上、ギャースカギャースカ傑作傑作と連呼するほどのことは別にない。といふのも、ここから先は純然たる正しく文字通りの私事なのだが、実際に妹が居るゆゑ、私にはいはゆる妹属性が微塵もない。重ねて、これ見よがしにロリッロリしたあんよりも、エロエロいお姉様―といふが一体幾つ年下なんだ―的な希咲あやの方が断然琴線を激弾きされる。要は性癖に鑑賞を妨げられたといふ馬鹿馬鹿しい次第でしかないが、この辺りのノレるノレないは、腰から下で観る映画は仕方がなからう。


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