真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「白襦袢レズ 熟女ねぶり」(2003/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/撮影:千葉幸男/照明:小川満/編集:酒井正次/助監督:加藤義一/監督助手:北村隆/撮影助手:池宮直弘/効果:中村半次郎/音楽:レインボーサウンド/出演:本庄まきえ・林由美香・ゆき・岡田謙一郎・竹本泰志)。
 大会社の社長令嬢―さういふタマにも、別に見えないが―室井真帆(本庄)は、道彦(岡田)を入り婿に迎へ結婚した。道彦は仕事に託けて家を空けがちではあつたが、真帆はそれはそれで構はなかつた。高校時代からの親友・成美(林)との、十数年来の百合の花香る関係が未だ続いてゐたからである。成美も作家の菊池弘(竹本)と結婚してゐたが、さつぱり売れない夫との生活には疲れ気味で、真帆との関係に潤ひを見出してゐた。
 ゆきは、道彦の愛人・菅原小枝子。起承転結でいふと承部で、映画は唐突に二つの記念日を巡るどうでもいいコメディになる。小枝子が道彦に月々何かをねだる為に持ち出して来る何とか記念日と、真帆と道彦の実際の結婚記念日とがバッティング。珍しく家に帰つて来た夫に、成美が居るので別に帰宅して貰はなくとも構はない真帆が、スーツの替へなら会社にも置いてあるのに、と傾けると、道彦は―小枝子との―記念日だからな、と適当な弁明。すると藪から棒に、結婚記念日を道彦が覚えてて呉れた、と勘違ひした真帆はスッカリ嬉しくなつてしまふ。一方、大会社の社長の癖に愛人を連れてSA○Yなんぞに買ひ物に行つてゐる道彦は、小枝子の為に用意した部屋に昼間からシケ込み、情事を楽しむ。真帆はといへば、レストランも予約してあるのに道彦が何時まで経つても帰つて来ないので、徐々にオカンムリだ。小枝子の腹の上で、今日が真帆とのリアル結婚記念日であることにハッと気付いた道彦は、小枝子のブランド品の買ひ物袋を一袋真帆への手土産にひつ掴み、飛んで帰る。それ私の!ワガママな愛人役を演らせれば、ゆきの右に出る女優は恐らく居まい。最近新作ではとんと見ないが、引退されてしまつたのであらうか。
 すつかり夜も更け、道彦は恐々と帰宅する。そもそもは愛人への買ひ物であつたプレゼントに機嫌を直し、真帆と道彦はセックスする。エッサカホイサカ頑張つてゐる最中に、つい道彦は小枝子の名を呼んでしまふ。それまでアンアン喘いでゐたのは演技だつたのか、真帆は途端に顔色を変へる。サイコー、サイコーつて言つたんだよ、道彦のどうでもいい、といふかどうしやうもない言ひ訳も虚しく、時既に遅し。
 転部に突入すると又、物語は横滑るやうに無造作に動く。真帆が道彦と離婚、するまでは兎も角として、会社が急に倒産。本当に新田栄や坂本太の映画では、展開上の次の一手でコロコロコロコロ会社が簡単に倒産する。道彦は、あつさりと小枝子にも捨てられる、ピンクなのにオッサンに物凄く冷たい
 対して成美は、さつぱり売れなかつた菊池の小説が小説賞を受賞し、俄に人生がバラ色に。結局、以前とはすつかり立場が逆転してしまつた真帆と成美ではあるが、何時までも変らない友情を誓ひけふもレズビアンに励むのであつた、ジャンジャン♪とでもいふ、掻い摘むのも面倒臭いので全部書いてしまつたが、女の友情を男の劣情で適当に描いた映画である。女同士の人生が例へばこんな塩梅でクロスした場合、絶対にかうはならないやうな気もしないではないが、小林悟の映画よりは起承転結が判然としてゐる分、本当にその分だけマシ、といふばかりの映画である。何時も何時も、新田栄に関しては小林悟よりはマシ、と同じことばかりいつてゐるやうな気もするが、他にどうにもいひやうがないので仕方もない。
 クレジットにもポスターにもその名前は無いが、丘尚輝(=岡輝男)が道彦の運転手役で、ワンカット姿を見せる。


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