真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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凄絶・監禁レイプ/DMM戦
や行
/
2014年10月16日
「
凄絶・監禁レイプ
」(1990/製作・配給:大蔵映画/監督:矢竹正知/脚本:浮舟節子/企画:佐藤道子/撮影:倉田昇/美術:鎌倉浩一/照明:森隆一郎/音楽:吉栖康浩/編集:酒井正次/スチール:最上義昌/助監督:竹内雅俊/撮影助手:稲葉正広/照明助手:高橋淳/メイク:坂上久子/衣装:日本芸能美術/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/小道具:高津映画装飾/撮影協力:章英スタジオ・ホテル2001年/出演:川奈忍・井上真愉美・山岸めぐみ・赤城玲子・野沢純一・高崎隆二・長沢聖也・岡谷修・西田光月・時田賢一・大西毅・大森鉄)。出演者中、井上真愉見でなく井上真愉美といふのは本篇クレジットまま。
高崎隆二が多分大森鉄にボディーは駄目だ足を狙へとピストルを手渡し、バキューンと足を撃たれた野沢純一(a.k.a.野澤明弘)がフッ飛んでタイトル・イン。川奈忍が、四人がかりでモタモタ手篭めにされる。続いて山岸めぐみと長沢聖也と、井上真愉美と野沢純一の濡れ場二連戦。五里霧中のストーリー展開を仕方がないので総合的に、もしくは事後的に整理すると、シャブの元締め・蔵島か倉島か倉嶋か蔵嶋(西田)のシマの新宿に、横浜から東堂か藤堂(高崎)が進出。二人連れのチンピラ(時田賢一と大西毅の二役?)に絡まれてゐたところを助けた縁で、情婦(山岸)を蔵島一家のジロー(長沢)に寝取られた東堂は激昂。東堂に恐れをなした蔵島は、ジローの兄貴分・ハートのマサ(野沢)にジローを匿はぬやう指示する。ビリング上は二番手であるものの扱ひは三番手の井上真愉美は、マサの情婦・ユミ。東堂の片腕・片桐鉄(恐らく大森鉄)にマサが銃撃された現場に、女友達とレインボーブリッジを見に来てゐたユウコ(川奈)が通りがかる。
配役残り又しても脱がずの四番手の赤城玲子は、あからさまなキナ臭さに関り合ひになることを避け重傷のマサを見捨てて逃げる、ユウコの連れ。ビリング推定で岡谷修は、マサが担ぎ込まれた病院の医師?ここでの看護婦が、赤城玲子のもう一仕事か否かは正面から抜かれないため不明。消去法で時田賢一と大西毅は東堂の子分、片方はサブ。
さて矢竹正知第二戦、特に狙つた訳でもないのだが、「
新妻・衝撃の夜
」のちやうど次作に当たる1990年第四作。これがまあ、粗が多過ぎて途方に暮れる強ひていふならば怪作。前作で火を噴いた長尺カットは改悛したかのやうに鳴りを潜め、逆に結構小刻みに刻んで来る。尤も、間に何某かの画を挿むだけで、結局長々と回してゐることに変りはない。ともあれ今度は刻んだら刻んだで、不用意にバンクを多用するゆゑ、何か意味があるのかと思ひきや、実際には一切まるで全然ないといふ情報撹乱レベルのインサートにはクラクラ来る。それ以前に、最初にこの人達は何者なのかといふイントロダクションをスッ飛ばして山岸めぐみV.S.ジロー戦とマサV.S.ユミ戦が延々と展開される序盤に、脈略といふ概念は存在しない。医師から摘出した銃弾を見せられたマサが、“スミス&ウェッソンの38口径リボルバーで銃身の短い近距離用”と拳銃の種類を無闇に詳細に分析してみせるのは、マサの凄腕ぶりを―凄く下手糞に―演出しようとした一幕なのかも知れないが、そもそも、開巻で
東堂が片桐に渡すのはオートマチックである
、寧ろ隙がない。ユウコと足を洗ふことにしたマサが、思ひついた新商売が歩行者天国でのわらび餅の露店といふのは、そこは笑ふところなのか?拉致したユウコ―ヤサに如何に辿り着いたのかは謎―に対する東堂の恫喝が、画は使ひ回しにも関らず開巻では“お尋ね者を匿つたらどうなるか”云々であつたものが、終盤では何故か“裏切り者を匿つたらどうなるか”、
何故わざわざ間違つた方向にアフレコし直す
。看板の監禁レイプも確かに凄絶、口では子分に譲つておいて東堂が最初にユウコを犯す時点で既にあまりにあんまりなのだが、続いて音声上は二番手を指名された鉄が大喜びしてゐるのに、画の中で実際にレイプするのはサブ、どうすれば斯くもへべれけな映画が撮れるのか。ユウコと、何時の間にかジローも捕はれたマサは、それなりに野澤明弘らしい戦闘力を発揮し東堂一家を壊滅、二人を救ひ出す、描写的にはジローはもしかしたら死んでるかも知らんけど。自首する腹でユウコの下を去つたマサが、港で適当にカッコつけて終りといふラストは何だこりや、高飛びでもするつもりかよ。繋ぎの夜景ショットひとつ取つてみても、パンが妙にぎこちない辺りが不完全無欠。稚拙あるいは出鱈目といふ直截はあへて呑み込むならば、ある意味不毛な愉しみには満ち溢れてゐるともいへ、最早ツッコんだ方が負けなのかと不安が鎌首をもたげぬでもない釣堀映画。何だか変に楽しくなつて来た、もう少し攻めてみよう。
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