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忍び寄る食糧危機の足音、穀物急騰で「我慢比べ」

2012-07-16 09:58:07 | 日記

[ロンドン 12日 ロイター] 米国の穀物主産地が25年ぶりの干ばつに見舞われているのを受け、世界の商品市場では大豆やトウモロコシなど穀物相場が高騰。数年前に世界の貧困国を苦しめた食糧危機が再来すると懸念が強まっている。

中国など食糧を輸入に大きく依存する国は今のところ、急騰した穀物の新規取引を見合わせつつ、健全な水準にある穀物備蓄を使いながら相場の高騰が収まることを期待している。

しかし、そうした望みは、需要家が一気に市場に戻ってくれば、もろくも崩れ去ることになるだろう。

米国産トウモロコシが世界全体の出荷量の半分以上を占めていることを考えれば、主産地の中西部が記録的な熱波に襲われたのを受け、相場が過去3週間で約40%上昇したことも不思議ではない。大豆先物相場も過去最高値水準で推移しており、小麦相場も急騰している。

複数の市場筋によると、欧州や北アフリカ、中東の需要家は通常の穀物取引を手控え、相場が落ち着くのを待っているという。しかし、あるトレーダーは「時限爆弾のようなものだ。いつもは弱気筋の自分だが、トウモロコシ価格が10ドルになっても驚かない」と述べた。

シカゴ商品取引所(CBOT)では足元、トウモロコシ先物12月限は1ブッシェル当たり7ドルを超えて急騰している。

現在の状況と数年前の食糧危機には、猛暑による不作が相場の高騰をもたらすなど、いくつかの共通点がある。今回は米国のトウモロコシが干ばつの影響を受けているが、2010年はロシアの小麦が干ばつによる大打撃を受けた。

共通点は他にもある。前回に穀物相場が現在の水準まで高騰した2008年は、リーマン・ブラザーズの破綻につながる金融危機の芽があった。現在は、債務危機でユーロ圏に激震が走っており、世界のほかの地域も危機と隣り合わせの状態にある。

<十分な備蓄>

エジプトやイラン、中国やインドなどの穀物輸入国はこれまでのところ、相場高騰にも落ち着いた動きを見せている。年間1000万トン以上の小麦を輸入する世界最大の小麦輸入国であるエジプトは先に、6カ月分以上の戦略備蓄があると明らかにしていた。

中国とインドも、過去数年の記録的な収穫高によって小麦とコメは潤沢な備蓄を抱えている。また、米国のトウモロコシ輸出業者によると、中国と韓国は需給ひっ迫と価格上昇を見越し、すでに大量調達で先手を打っているという。

<危機の兆候>

2007/08年の食糧危機時には、国連食糧農業機関(FAO)は、世界の飢餓人口は7500万人増えると警告していた。また、別の機関からは最大1億6000万人が新たに飢えるとの推計も出されていた。

国際穀物理事会(IGC)の穀物・油糧種子指数は今週、2008年7月以来の水準に上昇。IGCの統計によると、現在の穀物在庫は2008年に比べ25%多い水準だが、小麦とトウモロコシの在庫は中国が大量に抱えており、国際市場に流通する可能性が非常に低い点は留意する必要がある。

過去数年、穀物消費量は右肩上がりで伸びてきた。IGCは今月に入り、2012/13年(7月─6月)の穀物消費量は、発展途上国での肉の消費増加に伴う飼料需要の拡大も手伝い、前年比1.8%増加するとの予想を発表している。

アジア最大の冷凍鶏肉輸出国であるタイの当局者は、飼料となるトウモロコシと大豆の価格上昇が、食品インフレをあおると危機感を示す。タイ商工会議所のPornsil Patchrintanakul事務次長は「2012年第4四半期に食品価格は5─10%上昇するとみている」と語った。

<我慢比べ>

高値買いを避けるため、急騰している相場から一歩引いておくのは賢明な選択肢と言えるだろうか。

モロッコは現在、穀物取引を控えている。しかし、2012年の穀物収穫量は510万トンと前年から300万トン以上も減っており、輸入が必要な穀物の量は過去30年で最高の水準にまで高まっている。

シンガポールの穀物トレーダーは「買い方は過去数週間、相場が反落するのを期待して取引に応じなくなっている。韓国やフィリピン、ベトナムでも同じだが、一体どれだけ待てるのだろうか」と語った。

買い方は、9月や10月になって東欧や黒海沿岸諸国からの穀物が市場に出回るのを待とうとするだろう。しかし、そうした地域も万全とは言えない。

ロシアやウクライナ、カザフスタンは、高温で乾燥した天候によって収穫予想を下方修正しており、同地域の今年の穀物生産量は2011年に比べ、少なくとも3500万トン減る可能性がある。

(原文執筆:Veronica Brown記者、Nigel Hunt記者、翻訳:宮井伸明、編集:梅川崇)


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