団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

東光、ECU用金属コイル開発-耐熱155度C実現

2014-08-26 10:21:39 | 日記
 東光はバッテリーやエンジンなど安全走行に必要な車載機器に搭載する電子制御ユニット(ECU)用として耐熱性能を高めた金属コイルを開発し、10月に量産を始める。車の安全走行に関連するECU向けに金属コイルを生産するのは初めて。バッテリー制御用ECUに採用が決まっており2014年10―12月期に自動車部品メーカーへの供給を開始し、エンジンや変速機などほかの車載機器への採用を狙う。

 量産するのは独自の金属磁性材料を使った金属コイル「DFEH=写真」。ECU用に耐熱性能をスマートフォン向けの金属コイルより70度C高い、155度Cに高めた。サイズは7ミリ角、10ミリ角、12ミリ角。中国の珠海工場(珠海市)に専用の生産ラインを立ち上げる。バッテリー向けECUへの供給を皮切りにエンジンや変速機などのECU向けで採用を目指す。
 スマホ向けで培った材料技術や巻き線技術を車載向けに応用し、耐熱性能を高めることでECU向け金属コイルを製品化した。




筑波大、有機薄膜太陽電池の電荷生成効率決定法を確立

2014-08-26 10:19:48 | 日記
筑波大学の数理物質系の守友浩教授らは、有機薄膜太陽電池での電荷生成効率の決定方法を確立した。同電池内部を超高速分光法と、有機半導体から任意の量の電子を引き抜く手法により詳しく分析。1個の光子から電子が生成される割合を決定した。物質・材料研究開発機構太陽光発電材料ユニットの安田剛主任研究員らとの共同研究。有機薄膜太陽電池の性能向上に役立つと期待される。成果は米科学誌アプライド・フィジクス・レターズ電子版に掲載された。

SPEEDI情報公開せずに、臭いものには蓋をする反省無しの責任逃れ

2014-08-26 10:09:11 | 日記
単なる「風向計」 福島の原発事故時のSPEEDI

予算が大幅縮小される「SPEEDI」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)は、原発事故時に住民避難を判断する要になるはずだった。しかし、福島第一原発事故では期待された役割を果たせなかったうえに情報も公開されず、不信や混乱を招いた。自治体にも予測に頼らない避難への備えが求められているが、態勢づくりは道半ばだ。

 福島の事故当時、SPEEDIはただの「風向計」になってしまっていた。

 もともとは、放射性物質が、いつどこへ、どれだけの濃さで届くかを即座に予測し、住民避難に役立てるはずだった。ところが、予測のもとになる「放出源情報」が得られなくなった。

 原発からどれだけの量が出ているかを示す刻々のデータ。これを気象や地形のデータと合わせて計算するはずだったが、地震や津波で電源を失って原子炉の情報が得られず、どの部分から放射性物質が漏れているのかもわからなくなった。

 SPEEDIにとって、長時間データが得られないのは想定外だった。この結果、放出源情報を1時間に1ベクレルと仮定した予測(単位量放出)を続けることになった。わかるのは風下の方向のみで、濃度の数値は示せない。こうした情報の扱いも決まっていなかった。

 元原子力安全委員長の班目春樹氏は「風向きはぐるっとまわるため、単位量放出では見極めは難しかった」と言う。別の専門家は「放出源情報を把握し、予測できるという考え自体が安全神話だった」と指摘する。

 こうした教訓から、原子力規制委員会が昨年改定した指針では、予測に頼らず判断することにした。重大事故が起きた段階で5キロ圏は即避難。5~30キロ圏は屋内退避し、毎時500マイクロシーベルトになった区域ごとに数時間以内に避難する。

 各自治体で進む避難計画づくりもこの指針に基づく。測定に使うモニタリングポストも、よりきめ細かく測れるよう増設する。九州電力川内原発がある鹿児島県は22カ所を67カ所にした。詳細な測定のため移動式の44台やモニタリング車1台も活用する。

 ただ、5キロごとという目安はあるものの、詳しい設置基準はいまだ明確になっていない。判断にどれだけのデータがあれば十分かははっきりせず、各地の設置も途上だ。30キロ圏外については、避難や屋内退避の判断基準はなく、9月から規制委が議論を始める段階だ。

 自治体にはSPEEDIに期待し、より多く判断材料を持ちたいとする意識が残る。規制委には予測精度への疑問から不要論もあるが、新たな考え方は必ずしも浸透していない。

 鹿児島県の担当者は「国の考えに合わせざるをえないが、予測が全く使えないわけではない」と強調。「福島では、使う側に有効という認識がなかった。運用の仕方が悪かっただけだ」とも話す。

 自治体は実測データをもとにした避難計画づくりや避難訓練などの対応を迫られる。しかし、参考情報に格下げされたSPEEDIで実測をどう補完し、いつ誰が使うかも決まっていない。北海道の担当者は「参考情報としてどう活用するのか国は早く示して欲しい」と注文する。

 SPEEDIは仮の事故の予測も計算でき、自治体の避難計画づくりにも使われてきた。13年度は17道府県が計算を依頼したが、規制委は「一通り終えた」として今年度の依頼は受けていない。今後は独自の予算による計算が必要になる。(
川田俊男)

SPEEDI情報はなぜ、公開されなかったのか

2014-08-26 09:56:47 | 日記
もはや、国家の体をなしていないのではないか。国が国民の命と国土を守ることは、曲がりなりにも国民が法に従い、税金を払う大前提である。この大惨事に日本の中枢は、やるべきことのことごとくをサボタージュした――。

なぜ、「議事録を残してない」のか

驚くべき事態が判明した。東京電力の福島第一原発事故で、住民の避難区域や除染の基本方針、農作物の出荷制限など、原発事故をめぐる重要事項についての意思決定を下してきた政府の「原子力災害対策本部」に「議事録」がないというのだ。事務局を務めるのは経済産業省原子力安全・保安院。2011年11月に会議情報の公開を求められた保安院の担当官僚が、12年1月に入って「議事録はまったく残していない」と回答したのである。

議事録作成の作業責任は当然、同保安院にある。担当者は、「忙しかったから」と釈明にもならない言い訳をしているという。議事録がなければ当然、会議での具体的なやりとりは“闇の中”だ。

「公文書管理法」では、政府の意思決定の過程を検証するために、重要な会議の記録を残すよう定めている。議事録ゼロなど通常はあり得ないことだ。1月23日の記者会見で藤村修官房長官は、政府内で調査して議事録を“復元”する考えを示し、翌24日には枝野幸雄経産大臣が文書作成を指示。保安院が出席者のメモや記憶で会議内容をまとめた文書を作り、2月中にも公開するという。

しかし、それはもはや「議事録」とは言えまい。責任逃れのために都合よく事実関係が捏造される可能性があるからだ。公文書管理担当の岡田克也副総理は、「震災直後の政府の緊急災害対策本部でも、議事録が作成されていない疑いが濃厚。震災関連のほかの会議でも同様の検証が必要」と述べている。

実は、本当は議事録があるにもかかわらず、会議内容の隠蔽を目的に作成しなかったことにしたのではないかとの疑いがある。そうなると、もはや日本はまともな国家ではないことになる。もし、官僚がそこまでして隠したい事実があるとしたら、それは何か。

パニック抑制よりも、国民の安全確保を

原発事故では、放射性物質が飛散して沈着した場所だと知らされずに、そこに移動した多くの人々が、しなくてもよかったはずの被曝に見舞われた。事故直後の3月21日、政府の情報隠蔽に危機感を覚え、取り急ぎ送稿した11年のプレジデント記事「5年前に指摘されていた福島原発『津波』への無力(>>記事はこちら)」(4月18日付、3月28日発売号)で、筆者は「情報が開示されず“金縛り”に遭ったまま、国民は危機回避の機会を奪われている」ことを伝えた。政府と自治体が、従来から準備していた放射性物質拡散予測システムの情報に基づいて住民を適切に誘導していたら、乳幼児を含む多くの人々の被曝量はかなり抑えられていたはずだ。

原子力安全委員会が放射性物質の拡散予測データを本格的に公表したのは、瞬間的に一部を公表した3月23日を除けば、事故が勃発した3.11の2カ月後である。その間、拡散予測情報は伏せられ続け、危険エリアを知らされずそこに避難していた住民たちは時々刻々と被曝し続けた。

ところが、拡散予測データは事故当日にはすでに出力されていた。そのため、反原発の世論の勢いで経産省の情報操作と東京電力の金の力から一時は遊離しかけた一部のマスメディアが、批判の矛先を「データの非開示」に集中した徴候もあった。

しかし、問題の本質はデータ公表の有無ではない。住民の被曝を予測したにもかかわらず適切な誘導をしなかった政府の非人道性と犯罪性こそが問題なのである。乳幼児を抱えた住民が危険エリアで被曝し続けていることを承知で、それを黙視し放置し続けた理由と責任が問われなければならないからだ。政府を信頼した国民を平然と裏切った担当官僚は当然、法に基づいて断罪されるべきだろう。

いったい、誰が、なぜ、どのような思惑で、そのような冷血な不作為を成し得たのか。また、その行為はいかなる法的根拠に基づいているのか。

法に基づいて責任の所在を明確にしなければ法治国家とも文明国ともいえない。

国民に被害をもたらす災害への対処と責任について、法律は政府に対してどのように命じているか。災害対策基本法第3条には、政府の責務がこのように記されている。

「国は、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ、組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する」

民主党政権と官僚は、この法律を軽く見ているのではないか。政府は、パニック抑制よりも国民の安全確保を優先しなければならず、それを前提に国民は政府に信任を与え、強大な権限を付託しているのである。ところが、政治家も官僚も傘下の関係機関も、放射性物質の拡散予測図を住民に公開しなければならないという法令がないことを免責の言い訳にしている。実際、防災基本計画でも安全規制担当省庁と関係自治体への情報伝達を定めているにすぎないからだ。

しかし、莫大な税金を投じて開発した防災システムの管理と運用が、国民ではなく政府の手に委ねられているのは、政府と関係機関が国民の安全のためにそれを常識的かつ適切に活用することを前提としているからなのだ。

仮に、どこかの小学校で火事が発生した場合、防災と避難場所の手筈を承知した教師と学校には、生徒を誘導してその安全を確保する責任がある。逃げ惑う生徒が飛び込もうとしている教室が実は火が燃え盛る場所だと承知のうえで、それを引き止めようともせず、結果的にその教室に逃げ込んだ多くの児童が焼死すれば、教師も学校もその無責任と非道を糾弾され、重過失罪に問われる。この場合の教師が安全規制担当省庁の役人たちであり、学校は政府だ。

司法の場でも、さまざまな動きがある。福島県内の私立幼稚園関係原子力損害対策協議会は1月24日、事故後の園児休・退園で収入が減少したため、東電に約6億6700万円の損害賠償を請求した。東電はどう対応するか。

事故を起こした東電の対応に国民が驚かされた訴訟がある。東電福島第一原発が撒き散らした放射性物質の汚染除去を求めて、事故から5カ月後の2011年8月、現地から約45キロ離れた二本松市のゴルフ場が汚染除去を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。これに対して東電は、「飛び散った放射性物質は東電の所有物ではなく、もともと無主物である。仮に東電の所有物だったとしても、すでに外部に付着したから、もはやそれは東電のものではない」と反論し、同地裁の福島政幸裁判長は「営業に支障はない」として、除去責任も賠償請求も退けた。

しかし、労働安全衛生法と労働安全衛生法施行令の規定に基づく電離放射線障害防止規則の第28条「放射性物質がこぼれたとき等の措置」は、事業者に対して次のように命じている。

「事業者は、粉状又は液状の放射性物質がこぼれる等により汚染が生じたときは、直ちに、その汚染が拡がらない措置を講じ、かつ、汚染のおそれがある区域を標識によって明示したうえ、別表第三に掲げる限度(その汚染が放射性物質取扱作業室以外の場所で生じたときは、別表に掲げる限度の十分の一)以下になるまでその汚染を除去しなければならない」

これらの汚染地域を予測し、住民誘導の目安として準備されていたのが、放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)である。


86年、参院委員会でのSPEEDI“初お目見得”

原子力防災指針には、「SPEEDIの情報や事故状況などを基に、50ミリシーベルト以上の被曝が予測される場合に避難指示を出す」と明記されている。今回の事故でそれが活用されなかったことに対して、緩い追及しかできない政府の事故調査・検証委員会でさえ、11年12月26日にまとめた中間報告で「(SPEEDIの)予測情報が提供されていれば、より適切な避難経路などを選ぶことができた」として、安全規制担当省庁の処断を批判している。

国民が被曝せずにすむはずのSPEEDIシステムで安全対策が講じられていたにもかかわらず、それを適切に活用しなかった政府は、「住民への公開を予定した法令が存在しなかった」などという理由にもならない寝ぼけた言い訳で多くの国民を被曝させた。今、その責任逃れをタライ回しで押し付け合っている。

放射性物質拡散予測システム=SPEEDIは、原子力発電所などで事故が発生した場合、放出源・地形・気象条件、放射性物質の大気中濃度など、地理的・数値的なデータに基づき、危険エリアや被曝線量などの予測計算を行うシステムである。日本原子力研究所が1980年から研究・開発を始め、第二世代の世界版SPEEDIを経て、最近では第三世代SPEEDI-MPの開発が進められていた。開発には、平成21年度までに累計116億円の税金が投じられ、その後の予算づけもなされていた。

「SPEEDI」の存在が初めて国会で報告されたのは、1986(昭和61)年5月19日の参議院・科学技術特別委員会である。

原発事故発生時の放射性物質拡散を予測し、国際的な情報交換ができるシステムの必要性に関する松前達郎社会党参院議員(当時)の質問に答えて、辻栄一科学技術庁原子力安全局長(同)はこう答えている。

「私ども安全だ安全だと言うばかりではございませんで、一応防災体制につきましてもスリーマイルアイランド以降いろいろやってきております。

特に、放射能の放出とその予測につきましては、事故直後から原子力研究所におきましてこういった予測システムの開発に着手してまいりまして、もう最近では実用化の段階にまいりまして、すでに実用化の1号機をつくっております。

これはSPEEDIという名前をつけているんですけれども、コンピュータープログラミングでございまして、原子力発電所のある日本の細部の地形が全部コンピューターに入っております。

それからこれと気象庁のアメダスは、テレビでは雨の数字だけ出てきますが、あれだけじゃなくて、風向、風速、温度、そういったデータも全部あのアメダスに入ってきておりますので、アメダスとそこをコンピュータでつなぎまして、そういう気象データが入ります。そうすると、インプットデータとしては発電所からどのぐらいのキュリー数が放出されたというのが出ますと、そのコンピュータでどのぐらい放射能のプルームが流れるかというのがディジタルで目に見えるようにできてきております。

今年の秋ぐらいまでにはこれと安全委員会とをつなぎまして、安全委員会の方にディスプレーをつくるというような形にまで整備されてくると思いますので、そういった方面の情報流通には大いに使われるのではないかというふうに考えております」

ところが、福島第一原発事故でSPEEDIが5000枚以上の計測データを弾き出していたにもかかわらず、政府の安全規制担当省庁がこれを活用せず、公開もせず、官邸にも報告しなかったため、放射性物質の飛散方向に逃げる住民を現地では誰も適切に誘導できず、前述のように多くの人々が被曝した。

国民を守るための適切な情報開示をしなかった理由を国会で問われた高木義明文部科学大臣(当時)は、多数の人々をみすみす被曝させてしまった理由について、「情報がなく計算できなかった」「計算したことを知らなかった」「計算結果は内部情報」と、関係官僚に振り回されたその場しのぎの答弁を繰り返し、自らの責任逃れに終始した。

SPEEDIの情報を最初に把握したのはいったい誰なのか。国民を守るための予測データは、誰が、どのような理由で隠蔽したのか。そして、それはなぜ活用されなかったのか。行政の重大な不作為が明らかであるにもかかわらず、いまだに誰も罰されていないのはなぜか。

原子力安全技術センターが「深刻な拡散」知っていた証拠

SPEEDIの開発・運営の主体は文部科学省の外郭団体である財団法人原子力安全技術センターである。幹部役員は、同財団に非常勤で天下った元科技庁事務次官の石田寛人会長、常勤の数土幸夫理事長、石田正美理事(文科省出身)、長谷川英一理事(経産省出身)、林光夫監事(科学技術庁出身)らだ。

原子力災害対策特別措置法を見ると、SPEEDIの計測結果は文科省、経産省原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会、関係自治体、オフサイトセンターへとネットで迅速に伝達され、防災対策を講じるための重要な情報として活用すべきことが定められている。

一方、IAEAの政府報告書には、SPEEDIを運用する原子力安全技術センターに文科省から計測指示がなされたのは、震災が勃発した3月11日午後4時40分と記載されている。同センターの数土理事長もこれを認めている。しかも、その計測指示は「1号機が水素爆発した場合の放射性物質拡散予測データ」だった。以降、同センターがそれぞれの機関から予測データ計測の指示を受けた回数は、3月16日までで実に計84回にも達している。

つまり、彼らは皆、深刻な拡散分布状況を知っていたのである。事故当日には1号機の水素爆発を予測し、その後も住民の深刻な被曝を承知していたということだ。斑目春樹原子力安全委員会委員長と寺坂信昭原子力安全・保安院長は、事故勃発直後から官邸で首相や官房長官と会議を重ねていた。そうなると、彼らが報告義務を怠ったせいで、住民への適切な避難措置が発令されなかったことになる。子どもを抱えた母親たちが危険エリアに逃げ込んで明らかに高線量を被曝している様子を、彼らが黙視し、放置し続けたということになるのだ。

11年1月16日に国会で開かれた事故調査委員会で、SPEEDI予測データを公表しなかった理由を問われた文科省科学技術・学術政策局の渡辺格次長は、それが「無用の混乱を招きかねないとの判断」によるものだったと答えている。

重大な報告を怠った官僚を弾劾できない政治家たち。それが過失か意識的なサボタージュかは問題ではない。重大な過ちを起こして国民に被害を与えた「結果」をこそ問われねばならない。官僚の責任を問い、罷免できないのは、「任官補職」という身分制度があるからだ。それは他国にもある。日本の場合、かつて官僚は「天皇の下僕」だったが、戦後は「米国の下僕」だ。

渡辺次長は、事故直後のデータを外務省経由で米軍に提供したことも認めている。同次長はその理由について、「緊急事態に対応してもらう機関に情報提供する一環として連絡した」のだと説明した。

「無用」というきわめて恣意的な表現は論外だが、冒頭に述べたように住民の安全を確保するための適切な誘導さえ行われていれば、「混乱を招きかねないデータ公表」をする必要はない。だが、被曝することが分かっているにもかかわらず住民保護がなされなかった事実は、それが単なる過失ではなく意図的な采配だった疑いすら生じてくる。拡散予測データを把握し、危険エリアを知りながら、彼らが平然と住民の被曝を眺め続けたのは紛れもない事実だからである。

政府は、SPEEDIを使わなかった理由を、「原子炉施設からの放射性物質の放出の状況」が不明でその正確な解析データが得られないためとしている。「放出の状況」とは、放射性核種の時間ごとの放出量だ。

しかし、そもそも「データの精度に疑いがあり、その公表は混乱を招く」という弁明には真実性が乏しい。なぜなら、国民には開示しなかったその情報を、賠償問題などでより大きな国益を損なうかもしれない外国(米国)に対して何の躊躇もなく流しているからである。国際的・対外的な混乱と国際問題の発生を考慮しなかったわけではあるまい。

こうした嘘が平然とまかり通るような事故調査委員会の生ぬるい検証では、国民の知る権利は全うされない。その不当な行為がなされた理由を国民が合理的に推測するため、以下に事実と必然と常識を列挙する。

・関係官僚は、事故当日に情報を入手し、以降も膨大なデータで汚染状況を監視し続けた。

・関係官僚は、ある時期までその拡散予測データの存在も内容も、官邸には報告しなかった。

・関係官僚は、官邸や国民よりも先に米国に報告した。日米安保の相手である米国には正確な情報提供が必要だ。従って、関係官僚はそのデータが実態を表していることを理解していた。

・核爆弾投下以来、米国は依然として人類の被曝データを集め続けている。

・関係官僚は、SPEEDIを運用する技術センターに事故直後から膨大な量のデータ計測を指示し、汚染状況の観測を秘密裡に続けた。従って、事態が尋常ならざる事態であることを常識的に認識し、多くの被爆者が出ることも当然、予測できた。

・彼らは放射能汚染地図を把握し、危険な場所がどこかも承知していた。従って、そのデータに基づいて住民たちを安全な場所に誘導することもできた。しかし、それをしなかった。

・危険を避ける形で住民を誘導すれば当然、誘導の根拠となるSPEEDIとそれが示す深刻な拡散分布図の公表を求められる。

・政府のデータが公表されれば、汚染された土地の政府による買収や政府と東電が被る賠償がいずれ問題になったとき、それらに重大な影響を与える“証拠”となる。

・一般的に、官僚は「自分の裁量と責任でそれを開示すれば、出世や天下りで不利が生じる」と考える。

・采配の責任は政治家が負う。そのため、政権与党の政治家たちが失態をさらせば政治家は臆病になり、情報を握る立場の官僚に政治を操られやすくなる。

列挙した事柄のすべては、筆者の私見でも憶測でもなく、事実と必然と常識に基づくものだ。善良な国民は、「まさか、官僚が利己的な保身や利益のために被災地の住民を見捨てたなどという非道があるはずはない」と思うかもしれない。もちろん、これらが住民の安全確保をしなかった理由だと断言することはできない。

しかし、官僚がSPEEDI情報に基づく住民の安全誘導をせず、その情報も隠し続けたことは事実なのである。繰り返すことになるが、なすべき報告がなされず、なすべき誘導もなされず、そうであればせめて公表すべきデータも公表されず、危険回避の判断基準となる防災情報が意図的に長く隠蔽され、その結果として、乳幼児を含む多くの国民が被曝したのである。

事故調査委員会から2日後の1月18日、原子力安全委員会は意外にも次のような内容を記した防災システム見直し案を公表した。

「SPEEDIは予測に不確実性が大きく、緊急時の活用は困難である」「信頼性が低いため今後は使わず、実測した放射線量などで判断する」

だが、3月の事故勃発から数カ月を経た汚染地域の環境調査結果では、SPEEDIの予測データが汚染実態とほぼ一致するほど高精度だったことが証明されている。原子力安全委員会は、莫大なコストをかけて作り上げた高精度の防災システムを今後は使わない方向で今、日本の原子力防災指針を改定しようとしているのである。

事故調査委員会の調査においては、前述の「議事録」がなければ、采配の是非を処断する証拠が不十分となりかねない。記録すべきことを記録しないことが通常はあり得ない以上、事務局である官僚が議事録を隠匿したかもしれないことを前提に、徹底的な事態の解明がなされねばならない。

President ONLINE ジャーナリスト 藤野光太郎

予想を超える10倍のスピードで…弱まり続けている「地球の磁場」

2014-08-26 09:47:57 | 日記
「地球の磁極の反転」が、約2,000年後という従来の予測よりかなり早く起きるかもしれない。最新データによると、地球の磁場は、当初予測された10倍のスピードで弱まっているというのだ。


欧州宇宙機関(ESA)の報告によると、地球の磁場はこの6カ月間、当初の予測の10倍のスピードで弱まり続けているという。

地球の磁場が発生する理由は、地球の外核にある溶解鉄の対流だと考えられている。この磁場は、地表の上空約600,000kmにまで広がって、太陽から吹き寄せる放射線からわれわれを守ってくれている。地球の高緯度地域で素晴らしいオーロラが見られるのも、地球の磁場のおかげだ。

ESAは2013年11月、地球の磁場の変化を高精度・高詳細に測定することを目指し、3基の人工衛星「SWARM」を打ち上げた。そして、SWARMが返してきた最初のデータによると、地球の磁場は「10年で約5%」というスピードで弱まっているという。

これは、それまで予測されていた「100年で5%」をかなり上回る速さであり、地球の磁極の反転が、約2,000年後という従来の予測よりかなり早く起きるかもしれないことを示唆している。西半球の上空にはすでに、磁場が弱いスポットができ始めている(冒頭の画像の青の部分)。

ただ、心配しなくていい。それでも磁極の反転には数百年、あるいは1,000年はかかると見られている。また、過去の磁極の反転が、当時の生物に大量絶滅や放射線による損傷をもたらしたという証拠もない。電力網と通信ネットワークは大変なことになるかもしれないが、人類は無傷で切り抜けるはずだ。

われわれはそれを待つ間、地球の磁場が変動し、磁北が蛇行していくのを見守ることしかできない。磁北は現在、(1年に約64kmというスピードで)シベリア方面に向かっている。

※海洋プレートに記録された古地磁気の研究によって、数万年~数十万年に1度の頻度でN極とS極が反転していることが知られている。



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