ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国人の知り合いからいただいたおみやげは、重さ1キログラムのミスカル(はったい粉)でした!(下)

2014-07-12 16:37:05 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 1つ前の記事の続きです。


 先月韓国のYさんからいただいたミスカルです。
 記事のタイトルにミスカル(はったい粉)と書きましたが、実はちょっと違うかも・・・。


 見た目はきな粉に似てますが、きな粉の原料が大豆であるのに対し、はったい粉は大麦を炒って挽いた粉です。麦焦がしともいいますね。香煎(こうせん)等々の言い方もありますが・・・。
 ミスカルはというと、袋に記載されている原材料を見ると、「大麦40%、煎り豆20%、もち米15%、トウモロコシ10%、黒豆5%、キビ5%、ゴマ3%、ピーナツ2%」とあります。このように大麦が多いとはいえ他にいろんな物が入っています。「17穀」と銘打った製品もあります。

 はったい粉は私ヌルボにとっても懐かしい食べ物です。丼茶碗に入れ、砂糖を混ぜてお湯を少し注いで練ってスプーンで食べる。あるいは砂糖と混ぜて粉のままストローで吸い込む。勢いよく吸い込んでむせたりしたものです。
 今はどのくらいポピュラーなものなんでしょうか? 近所のスーパーにはきな粉はあってもはったい粉はありませんでしたが・・・。

 ところが、韓国ではこのミスカルがけっこうふつうに親しまれているようなんですね。とくに近年の健康指向の風潮ともあいまって・・・。
 また、日本とは違って主に飲み物として飲まれています。この袋に記されている説明にも「水またはミルクで溶いて砂糖や蜂蜜を入れて飲む」とあります。

 で、私ヌルボもミルクで溶き砂糖を入れて飲んでみました。予測通りの懐かしい味です。


 ※本筋とは関係ないですけど、このネコの図柄入りのマグカップについては→過去記事で書いたことがあります。

 このように「健康に良い」「韓国の伝統飲料」ということを念頭において、韓国人Yさんはヌルボたちにミスカルを下さったのでしょう。(そして前の記事に書いたように「重くかさばる」点に気持ちを込めて。) ※あと、以下のことを書いたあとで思ったのは、これから暑い夏を迎えるという時期に合わせて、ということもたぶんあったと思われます。カムサハムニダ~。

 韓国では、このドリンクとしてのミスカルがカフェ等のメニューにもあります。
 韓国在住の日本人の方の2009年のブログ記事(→コチラ)によると「韓国のマクドナルドでもミスカル・シェイクが発売された」とあります。(2007年に一時的に発売との記事あり。韓国マックのサイトを見たら今はないようですが・・・。)
 またこの記事には「昔ミスッカルは戦争や旅の時に非常食として使われました。昔の文献によるとミスは麦を煎ったもので香ばしく、価格も安く、食べやすいので、山を越えるときや遠く旅をする時欠かせないものだという記録が残っています。ミスッカルは保管も簡単で摂取しやすく昔からのインスタント食品と言えるでしょう。スジョングヮ(수정과)やシッケ(식혜)と同様、最近、現代的な製品として開発され海外にまで広く紹介されるようになっています」とも。

 韓国サイトをみたら、伝統茶カフェのチェーン店チャオルムでもミスカルがありましたね。(しかしこれも今公式サイトのメニューにはありません。)
 ここでヌルボ、ボンヤリとよみがえってきた記憶が職安通りのコリアプラザ(韓国書店)のビルの地下にある韓国伝統茶カフェこりぷら。そこのメニューの中にもたしかにあったような・・・、ということで探してみたらありました。(※こりぷらはその後閉店してしまいました。)

   

 あれっ? ミスカル(orミスッカル)じゃなくてミシッカルになってる・・・。(HOTはなくてICEのみです。)

 この件についは、<エンハウィキミラー>の「미숫가루」の項目(→コチラ)に「미싯가루ともいうが미숫가루が正しい」と出ていました。
 また、韓国ウィキペディア(→コチラ)には「미숫가루は미수(米水)ともいう」とあり、미수(米水)+가루(粉)で미숫가루なんだな、とナットク。・・・のはずだったんですが、さらにちょっと確認のつもりで調べたらアララの展開が・・・。

 ハングルでこの2つの言葉を検索した結果は미숫가루の約422万件に対し、미싯가루も約97万件に上っています。
 そればかりか、「미싯가루」と記されている商品もあります。(下画像)


 再度検索ヒットした記事をみると、その中にあのKBSの「바른 우리말(正しい韓国語)」までありました。(→コチラ。) タイトルはまさに「미싯가루と미숫가루」。読んでみると次のような説明がありました。(抄訳)

 元々は「ミシカル」が標準語だったが、多くの人々が長い間「ミスカル」と発音してきて、それが大勢を占め固定化してきたため、現在は「ミスカル」を標準語と定めています。大人たちはまだ「ミシカル」を多用していますが、標準語規定にしたがって「ミシカル」は「ミシカル」に直して教えてください。

 えっ、「ミシカル」が標準語だったとすると、ウィキペディアのミス(米水)って何だったの? それに考えてみれば「米の水」じゃなくて「大麦の水」じゃないか。

 また<DAUM知識>(→コチラ)にはさらに詳しい説明がありました。

 「ミスカル」は、蒸して乾燥させた米の粉や大麦の粉を意味する「ミシ」と、「カル」(粉)との合成語。「ミシ」自体で乾燥粉末を意味するので、「ミシカル」というと「駅前の前」同様の重複した意味になります。
 「ミス」は中世韓国語では「ミシ」となっていて、「ミシ」は今の「ミスカル」と同様の意味で用いられていました。その「ミシ」の語源は明らかではありませんが、満州語にmusiという語があります。
 このように、かつては「ミシ」、「ミシカル」が標準語でしたが、今は多くの人が「ミス」、「ミスカル」と発音するのでそれが標準語とされるようになりました。


 ふーむ、なるほどねー。

 これらの言葉の現在での使われ方について、先の<エンハウィキミラー>の記事に次のように書かれています。

ふつう「ミスカル飲もう」とは言うが「ミス飲もう」とは言わない。ミスカルは文字の通りだと粉なので飲めるはずがなかろうに・・・。.
 このように液体に溶いて食べる場合が多いから、ドリンクも粉も同様にミスカルと呼ばれている。 ただし、実際の生活の中でミスカルといえばふつう水に溶いたミスカルを意味する場合が多い


 いつもながら<エンハウィキミラー>の説明文は細部がおもしろいです。
 たとえば・・・・

・ボイルドポテトと一緒に食べると美味しい。
・絶対に新生児にミスカルを与えてはならない! 新生児は消化器官がまだ発達していないのでミスカルを消化しないからである。

 このあたりは「なるほどね」レベルですが・・・、

・粉末食品なので、敏感な人はすきっ腹の時に飲むと胃の中に暴風が吹くのを感じるので要注意。


 ・・・とかは「ホンマかいな?」。
 そしてホントにおかしいレベルが次。

夏の猛暑の時、車の中に袋入りのミスカルを置いたままにすると袋が破裂して車の中が最悪の状態になることもあるので注意しよう。

 ・・・これは想像すると笑ってしまいますが、もしかしたら筆者自身の体験によるのでは?

 それにしても1㎏をひと夏で消費できるかな?
 ミスカルに興味を持った方、新大久保方面で買えますよ。スティック状の小袋入りのものもあります。→コチラのブログ記事をご参照下さい。

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1 コメント

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パンにしてやると大量に消費できますよ。 (カイカイ反応通信)
2015-04-13 09:29:59
私、昔はホームベーカリーってバカにしていたのですが実際に使ってみて、『キナコ』とか『すりごま』とか『はったい粉』みたいに普段あまり使わない、或いは使うとしても大量消費しにくいコナモノを混ぜてパンにしてやると大量消費できることに気がつきました。
例えばスリゴマを卓上に置いておいて、家人に自分でご飯にかけて食べてもらうようなやり方だとなかなか食べてもらえませんがパンにしてやると強制的に家人全員に食べさせられます。
たしか、キムチももともとは漬け物として日本に入ってきた当初はなかなか消費量が伸びなかったそうです。卓上に置いておいて個人個人で摘まんでもらうやり方は限界があったそうで。
そこで、北朝鮮資本のモランボンさんが漬け物としてではなく、鍋のスープにキムチを使ってもらう発想に転換してキムチ鍋の素を開発・発売してからキムチの日本における消費量が飛躍的に上がったとのことです。鍋にしてしまえば家人全員に強制的に食べさせられますからね。パンの例と似ていると思います。
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