ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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何だ? この<女性専用>というエリアは・・・・   ★韓国の禁煙事情

2015-07-13 17:13:32 | 韓国の時事関係(政治・経済・社会等)
 すでに終わったかのような4月のソウル4泊5日の旅関係の記事が実はまだ続くのです。
 4月21日、国立中央図書館に行くためその最寄りの地下鉄高速ターミナル駅で降りました。ところが広すぎる地下街で右往左往。地上に上がったところ、ビルの横側のなんだか殺風景な空間へ。そこで目に入ったのが<여성전용(女性専用)>という表示のある、簡単に区画されたコーナーです。(下画像。)
 「何だ、これは?」と思って横にまわると・・・。
 タバコのマークでわかるように「女性専用」の喫煙コーナーなんですね。しかし見てみると女性は1人だけであとの数人は皆男性のような・・・。これも「細かなことにはこだわらない」韓国人らしいところでしょうか??(笑)
 少し先に行って、コチラは「男性専用」、じゃなくて、たんに「吸煙指定場所(SMOKING AREA)と表紙されています。(※韓国では普通「喫煙(끽연)」ではなく「吸煙(흡연)」という言葉を用いています。
 日本の禁煙状況について日常的な喫煙者ではない(つまり隠れスモーカー)である私ヌルボはよくわかっていませんが、日本ではとくに「女性用」の喫煙室等が設けられているという例はないのではないでしょうか?
 韓国が女性の喫煙に厳しい社会であるということはいろんな本等にも記されています。街で喫煙している女性を道を行く年輩の(と限らない?)男性が注意するという光景もままある等々。
 <ソウルナビ>の記事(→コチラ)にも、「ここ数年で女性が外で吸っている光景を見るようにはなって来ましたが、まだまだ道端や公共の喫煙スペースで堂々と吸っている女性の姿は少ないように思います。女性はタバコを吸わない、という考えがあるのか、日本よりも女性が喫煙することにとても厳しい国だと感じます」とあります。しかし、続けて記されているように、「カフェやコーヒーショップに行くと、ほとんどが女性」で、また「トイレに専用の灰皿、またライターまで設置してあるところも多い」のだとか・・・。

 ところが、このところ韓国では禁煙区域の拡大、罰金制度の強化、吸殻のポイ捨ての取締り強化等々、喫煙者にとっては厳しい施策が次々と打ち出されています。
 今年1月1日の<聯合ニュース(日本語版)>(→コチラ)によると、今年から韓国ではタバコが一斉に2000ウォン値上げされた上、これまで面積100平方メートル以上の飲食店に限られていた禁煙が、面積に関係なく全ての飲食店にまで広げられました。違反者には10万ウォン、店の経営者には170万ウォンの過料が科せられるとのことです。
 喫煙といえば、サークル仲間の愛煙家T兄(ヒョン)からこの5月束草に行った時に禁煙指導員のオジサンに注意されたという話を聞きました。
 彼は食堂が全面禁煙になったことは知っていたので、外に出て吸っていたところ、胸に名前を付けた指導員のオジサンが近づいてきて、「ここは禁煙区域になったんです」とか「罰金が・・・」等々といった説明をするので、わざとカタコトの韓国語で「外国人なので何も知りませんでした」「すみません。今後気をつけます」「今回ばかりは大目に見てください」等々平謝りして、なんとか罰金は免れたそうです。
 2014年1月の「中央日報」(→コチラ)には、下の画像のような束草の禁煙指導員の写真が載っていました。

 また今年5月の<NEWSIS>の記事(→コチラ)によると、束草市の禁煙区域がさらに拡大して、街を含む公共の場所の喫煙禁止区域拡大されたとのことで、喫煙が摘発されれば5万ウォン以下の過料を払わなければならいそうです。束草市がとくに厳しいのかどうかはわかりませんが、禁煙キャンペーンが強化された矢先で、店の外とはいえ禁止区域で堂々と喫煙していたT兄が注意されることになったのもまあ当然ですね。
 ところで、この<NEWSIS>の記事に載っていたのがこの写真(下画像)。
 このキャンペーン用の垂れ幕がT兄は目に入らなかったのかな?と思いつつ、よく見るとこれは束草ではなく「鍾路区」と記されているではないですか。
 いろいろ探してみると、2013年9月の<wooritvnews>の記事(→コチラ)で同じような垂れ幕の写真がありました。鍾路区が仁寺洞を禁煙区域に指定し、その宣布式を行ったという記事です。
 そして今。その鍾路区でも、喫煙に対してさらに厳しい施策が進められています。
 私ヌルボが高速ターミナル方面に行った翌日の4月22日午前10時半頃、たまたま教保文庫光化門店の東に新築された光化門Dタワーの下の道をちょいとのぞいてみると・・・。
   
 大勢の会社員たちがたむろしています。何をしているのかというと、右の写真のようにもちろん喫煙。
 建物内が禁煙になったので、このように外に出て吸っているというわけ。
 しかし、こういう状況に対する批判もあるということは以前何かで読んだし、ましてやこんな目立つ所でこんな大勢が・・・となると、きっと問題化されそうだな、と思いました。
 すると案の定。5月28日の「東亜日報」に「愛煙家の解放区に転落した中学川」という記事(→コチラ.韓国語)が掲載されました。
 中学川とは、清渓川に注ぐ幅3mほどの細い川で、上の写真ではよくわかりませんが、光化門Dタワーの下を北から南に流れています。記事では、その鍾路区庁〜清渓川の340mの区間は「風が心地よい」等で近隣の会社員たちの間で「絶好の喫煙場所」とされるようになり、退勤時には数百人も集まってスパスパやってる、と伝えています。で天気によっては煙がたちこめたり、それ以上にポイ捨てされた吸殻が歩道や川底にたまって清掃が大変とか・・・。また同様の問題は付近の寿松洞(スソンドン)の他、武橋洞(ムギョドン)でも起こっていると書かれています。
 そして7月9日の<アジア経済>に「鍾路区が禁煙区域を追加指定」という記事。(→コチラ。)
 そこに掲載されている写真が、まさに上記の中学川沿いの光化門Dタワーの前あたりではないですか。
 横断幕には「中学川歩行路 禁煙区域指定予告」「-吸煙時、過怠料(過料)として10万ウォン賦課-」とあります。そして7月末までの予告期間を経て禁煙区域となり、禁煙指導員・取締り要員を配備して「啓導(계도)」「取締り(단속)」そして禁煙キャンペーンを併行して実施する計画とか・・・。

 私ヌルボ思うに、この禁煙運動についても「これが正しい」と思ったらひたむきに取り組む韓国人らしさがあらわれているようです。
 <コメディの皇帝(코미디의 황제)>といわれたイ・ジュイル(이주일.李周逸)が肺癌で亡くなったが2002年でした。たしか月刊「マル」の表紙に病床の彼の写真が用いられていました。その頃から禁煙が大きな社会問題とされるようになってきたと思います。
 しかし、<コネスト>の記事「韓国のタバコ文化」(→コチラ)によると2013年の韓国の成人男性の喫煙率は43.7%、女性は7.9%。「男性の喫煙率はOECD加盟国では2番目に高い数値で、韓国は世界的にも喫煙率が高い国」とのことです。ちなみに厚生労働省の統計(→コチラ)によると日本の喫煙率は男性が30.3%、女性が9.8%です。50年前の男性の喫煙率は8割以上、20年前は約6割だったことを思えばずいぶん低下したものです。しかし韓国ではタバコの値上げや禁煙キャンペーンにもかかわらず喫煙率はあまり下がっていないとか・・・。まあこの数字にはいろんな背景、要素といったものがありそうだからなー・・・。
 で、私ヌルボの見解。この先(少なくとも10年くらい?)、完全に喫煙を禁止するのは無理でしょう。また「根絶」に向けて頑張っちゃうというのもいかがなものか? 基本的に私ヌルボ、0%とか100%を実現すると必ずいろんな無理が生じるし、そんな施策は正しくないと思うから。「健康に悪い」といっても本人が承知の上で吸っているのをやめさせることはできないのでは・・・。もちろん喫煙者が受動喫煙とか吸殻とかについてマナーをきっちり守ることは大前提ですけどね。
 しかし、中学川から締め出しをくらった喫煙者たち、これから先どうするんでしょうね?


【横浜駅東口の喫煙場所です。横浜市民でも非喫煙者の皆さんはご存知ないかも・・・。】

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