風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

歌舞伎座新開場こけら落 二月花形歌舞伎 夜の部(2月13日)

2014-02-16 01:13:16 | 歌舞伎




歌舞伎座に入ったら染五郎さんの奥様がいらっしゃって(お綺麗ですね~)、「あれ?染五郎出るっけ・・・?」と本気で考え込んでしまった私です。。。ごめん染ちゃん。。。
すぐ後からABブログでお馴染みの某フォトグラファーさんが来られ、奥様に挨拶されていました(^_^)

※3階B席中央
 

【青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ) ~白浪五人男~】

五人男のうちの3人が音羽屋なので、大向こうが「音羽屋!」尽くし
でも中村屋!高麗屋!も景気よくかかっていました。紀尾井町!五代目!も。菊ちゃんって五代目なんですね~。花形ってあまり何代目とか意識したことないからなぁ。
しかし黙阿弥は大向こうさん必須ですね~。なかったら絶対寂しい。

さて、菊之助の弁天小僧。
昨年4月に菊五郎さん弁天に感動して以来ずっと菊ちゃん弁天を見てみたかったのですが、ようやく叶いました。
感想は、良くも悪くも想像どおり、かな。
「花見の場」は本物の坊ちゃんにしか見えなかったので、もうちょっとだけ“化けてます”感が透けて見えてもいいような気が。
ここに限らず全体的に、菊之助の弁天小僧はどうも滲み出る空気がお育ちがよく、健康的すぎるのです。
弁天って世間や人間の暗部も知ってしまっている少年だと思うので、お嬢吉三ほどでないにしろ、そういう人生を歩んできた人間独特の気だるさのようなものが私は欲しいのですよ。明るい中にも透けて見える、ほの暗い色気のようなものが。
声も、台詞まわしも、ふとした表情も時々ドキッとするほど菊五郎さんにそっくりなのに、その点だけが全く違う。お父さんと同じになる必要はまったくないけれど、やっぱりあの空気は欲しいです。
同様に「神輿ヶ嶽の場」の見顕しも、舞台は暗いのに漂う空気が健康的すぎるために、面白味がない。
そして仮名手本の判官と同様、わかりやすい凛々しい系に演じるのがどうしても菊ちゃんはお好きなようで、、、「浜松屋」の名台詞もとってもいい声でハキハキ聞かせてくれるのだけれど、”聴かせて”はくれないというか。。。私はもっとウットリ聞き惚れたいのよ~~~。たっぷり酔わせてほしいのよぉ~~~~~。。。
そして見顕し前の項垂れシーン。菊ちゃん、ほんっと基本の演技はアッサリなのに、こういう場面で引っ張るの大好きだよね。。。(@四谷怪談新薄雪野崎村)。でも今回はさすがに長すぎよ~・・・。お父さんの軽く3倍は引っ張っていたのじゃないかしら。。。どっかで「素晴らしい緊張感」みたいな感想も見かけたけど、私にはただのやりすぎにしか思えん。。

でも良いところも、もちろんいっぱいあったよ!
とにかく綺麗
「花見の場」の一番最初の登場シーンで、七三で一瞬ふっと松緑と目を合わせてガラ悪く微笑むところ、ここは色っぽくてイイ感じだった~。
浜松屋で着物を肌蹴る場面は、見てはいけないものを見ているようなイケナイ気分にさせられた^^; 実際弁天小僧ってそういう系の美少年だと思うので、これはこれで正解なんだろうな。これは昨年の菊五郎さんにはなかったものです笑。「極楽寺屋根」の立ち回りも、美しかった(だんだん疲れてく感じも切なさ出てた)。
色々書いてしまったけれど、じゃあ他に花形で誰がやれるか?誰のを見たいか?と考えると、やっぱり私は圧倒的に菊ちゃんなので、ぜひもっともっと私好みの弁天に近づいていってもらいたいと切に切に切に願っております。。。

松緑の南郷。
胡散臭さ、薄暗さ、凄みが滲み出ていて、とってもよかった。
(このちょっと荒んだ空気が弁天にも欲しいのよ!この空気さえ出れば、菊ちゃん弁天は最強だと思うの!)
台詞まわしが単調になり気味なので、長く話す場面だと冗長に感じられるのが少々残念。でも四谷怪談のときに比べるとずっと良くなってた。
菊ちゃんとの相性もなかなか良かったです。丁稚役の大河くんとの絡みも微笑ましかった^^ この子もいつか南郷をやるようになるのかな。
ところで松緑、痩せた?精悍な顔でとてもカッコよかったけど、なんだかこの人が痩せると心配になってしまう。。。ブログで薬とかお酒とか色々書いてるものだから・・・

七之助の赤星。
こちらも、とてもよかった。ときどきはっとする華があって、目を見張りました。七之助、最近いいですね。行くつもりのなかったコクーンのお嬢吉三が俄然見たくなってしまった。

亀三郎の忠信。
亀三郎は本当に声も最高に良いし、動きもキッパリしていて見ていて気持ちがいいし、演技も安定しているのだけれど、、、どうも個性が薄い気が。。脇役のときは全く気にならないのだけれど。同世代の他の役者が個性的な人ばかりのせいだろうか。
ところで亀三郎って電車通勤なんですね(by 昨夜のtwitter)。雪で電車が運休してるからって帰るルート検索しててびっくらした。東銀座って油断してると歌舞伎役者がうようよいますよね。。

染五郎の駄右衛門。
なぜかとっても声が弱く感じました。
声が良すぎる音羽屋一門に囲まれていることだけが理由ではないのではないかなぁ・・・。どうしたんだろう・・・。声質はともかく、声量については今までこんなに気になったことなかったのだけれど・・・。
でもそれはそれとして、このお役、ニンじゃないと言えばこの上なくニンじゃないのだけれど(一番最初の登場場面などギャグ?と思ってしまったし^^;)、「蔵前」以降は悪くなかったように思います。
声が細いのはもうしょうがない。四谷怪談のときはいい感じの低く太い声を出していたけれど、無理をすると喉を潰してしまうかもしれないし。
そして今回の駄右衛門を見ていて思ったのですが、染五郎は吉右衛門さん系は目指さない方がいいのではないかと(四谷怪談のときは目指してほしい!と書きましたが)。今回同じ役をやっているのを見て思いましたが全然役者のタイプが違うので、彼のせっかくの個性が潰れてしまいそうな気がする。
基本幸四郎さん路線を目指しながら(幸四郎さんの駄右衛門は私は嫌いじゃないっす)、プラス染五郎らしい個性を伸ばしていけば、とてもいい役者になるのではないかな。
30年後に「初役のときの駄右衛門を観たな~」と楽しい気分で思い出せますように!応援してるよ~!


右近の宗之助。
品があって、よかったー。

梅枝の千寿姫。
義経千本桜の静とまったく同じに見えましたが^^;、相変わらずイイ感じに姫でした。

亀寿の鳶頭清次。
声が良くてカッコよかったけれど、
あんまり用心棒には見えなかったような。

「稲瀬川勢揃の場」で五人並んだ姿は、大変眼福でございました。キラキラ眩しい~
適度に重みもあるし、背丈も揃っていて素敵だった。
今回の5人
では、個人的には七之助と松緑がとてもよかったように思いました。
陰と陽の両方をバランスよく持っていたのも、この二人だったような気がする(でもまだまだよ!)。松緑は見得も大きくて立派。

この先長くこの演目を演じる彼らを見守っていけたらいいな、とそんな風に感じた夜でした。私と同世代ですしね。
あ、そうそう。前回同様、3B席からは山門の上の駄右衛門の上半身は全く見えませんでした^^; 
でも橋の上の凛々しい青砥左衛門@菊ちゃんがたっぷり観られたから、満足♪



木挽町広場も志ら浪



歌舞伎稲荷も志ら浪

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