風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

新日本フィルハーモニー交響楽団 @すみだトリフォニーホール(3月9日)

2024-04-23 16:24:20 | クラシック音楽



マーラー/交響曲第3番ニ短調
出演
井上道義[指揮]
林眞暎[メゾ・ソプラノ]
栗友会合唱団(女声)[合唱]
TOKYO FM 少年合唱団、フレーベル少年合唱団[児童合唱]
新日本フィルハーモニー交響楽団


こんな前の感想を書いても・・・と思いつつ、覚書なので頑張って書く!

井上さんのマーラーを聴くのは、第2番『復活』に続いて2回目。
1楽章、完璧
ガチャガチャおもちゃみたいな、でも整った、矛盾が矛盾のままに許容されている世界。井上さん以外で聴けない音のような気がする。一筋縄ではいかない「マーラーらしさ」がいっぱい。
井上さん曰く「道義としては特に1楽章は素直に彷徨う若人だった自分を思い起こし体力のすべてを文字通り死力を尽くした。細かいニュアンスを弦楽器、木管楽器と探り合い、グスタフが仲間入りしたかった「ウィーンの世界」の再現を試みた。平和というものは実はカオスであることが許される世界を指す。皆の思いが時にはアンビバレンツに表現できることが大事だ。」と。

2楽章も悪くなかったけれど、3楽章〜4楽章はオケの音がリハ不足な感じがした。バンダのポストホルン(と言うんですね、あのカテコで見せてくれた小さいホルンみたいな楽器!新鮮な音。なんの楽器だろう〜?と不思議に思いながら聴いてた)の演奏があまり好みではなかったかな。
井上さんが「日本では少ない黒真珠のようなアルト」と喩えていた林さんの声は、とてもよかったと思った。『復活』のときより今日の方が良かった気がする。

5楽章の冒頭は合唱とオケがズレて修正されるまでしばらくハラハラしたけど、天使の歌声な合唱がとても良かった。

6楽章はサラサラと早いけど、清廉で、人間や未来への希望を感じさせてくれました。優しい希望。井上さんの6楽章は、自分に酔っていないのに命の音がする。
こういう曲を大仰にしない(したくないのだと思う)、のに感動させる、改めて井上さんの音楽作りが好きだなあと感じたのでした。
今年いっぱいだなんて、残念すぎる。。でもどんなことにも終わりは来るのだよな、今ここにいる人達もみんな永遠ではない、でもこうして同じ時間に同じ空間で重なって同じ演奏を聴いて。だから音楽は美しいのかもしれない。というようなことを感じながら終楽章を聴いていました。
井上さんは「6楽章、今回はマーラーが幸福な時に楽譜に書きこみすぎた人間不信の思い入れを一度客観的に捉えなおし、世で演奏されるベトベトのテンポは取らなかった。会葬者がしかたなく喪服を着てハンカチで顔を隠しているような腐った葬式風な演奏は捨て去った。それが死が隣にいる毎日というものだろうが。」と。なるほど。

井上さんのブログ

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