オリオン村(跡地)

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ハジミティヤァーサイ沖縄 史跡巡り篇 今帰仁の巻

2011-10-09 19:57:37 | 日本史

 

当初の計画では帰りの飛行機の搭乗時間のリスクを考えて、距離的に遠い今帰仁城を初日に回る予定でした。
距離が遠ければバスの時間が遅れる可能性が高まりますので、万が一の場合でもタクシーで時間調整がしやすい那覇を二日目にしたのは当然と言えば当然です。
しかし初日が晴れ、二日目が曇りから雨という予報だったために移動時間が長い今帰仁城を後回しにしたのは初日の朝の決断で、これが結果的に大成功でした。
初日の中城城と首里城はほとんど晴れでしたし、二日目の今帰仁城は那覇から名護に向かう途中で激しい雨に降られたものの名護に着いたときには小雨になり、最寄りのバス停に着いたときには薄日が差し始め、そして城を登り切ったときには晴れ間が見えましたのでラッキーとしか言いようがありません。
さらには帰る頃にはまた雲が厚くなりましたので、これ以上にないタイミングでの今帰仁城となりました。

最寄りのバス停から暫く歩くと派手な案内にぶつかりますが、しかしここからまた1キロほどを歩くことになります。
中城城と同様に今帰仁城も山城ですから延々と上り坂が続き、それでも中城城に比べれば距離は半分でしたし舗装をされた一本道ですから迷うことはありません。
そうは言っても雨に降られたら大変なことになったであろうことは想像に難くありませんので、とにかく雨が上がってくれて助かりました。

山道を登り切ったところでまずは今帰仁村歴史文化センターで今帰仁城の下調べ、冷房が心地よく疲れた体を休ませるにはピッタリです。
入口の前では猫が気持ちよさそうに日光浴をしていました。
どうやら首輪をしていましたので飼い猫のようで、人慣れをしているのか近づいてもピクリともせず、俺の居場所を邪魔するなと言わんばかりの大きな態度です。

施設内には今帰仁城の模型があり、こういった気配りは助かります。
しっかりとメモをして、自分がどこにいるかを考えながら歩くことができました。
この今帰仁村歴史文化センターのチケットは今帰仁城と共通ですので、必ず最初に寄ることをお奨めします。

券売所からちょっと歩いたところにも模型があるのですが、こちらは現在地以外の説明がありません。
直前まで降っていた雨水が溜まっていたのは置いておくにしても、せっかく模型を作ったのであればもう少し踏み込んで欲しかったです。
どうにも中途半端さが否めない模型でした。

この今帰仁城跡も琉球王国のグスク及び関連遺産群の一つとして、世界遺産に登録をされています。
誇らしげに入口にその碑がありましたが、形が微妙に中城城跡のそれと違うのが意味深だったりもします。
簡単な説明文もあり、それを読むことで気持ちが高まってきました。

まずはガチガチの石門である平郎門で、今帰仁城の正門にあたります。
左右にあるのは銃眼のようにも見えますが、時代を考えればのぞき穴なのでしょう。
この平郎門は1962年の復元ですが、どうやらきちんとした発掘調査をせずに古老などの記憶に基づいての修復だったようです。

平郎門を抜けると立派な石畳に階段が一本道のように続きますが、こちらは戦後に整備をされた新道です。
それでも両側に木々が生い茂るなどして雰囲気はたっぷりで、なかなかの趣きがあります。
その手の分野に疎いのでどういった木々かが分からないのですが、季節によっては花が咲き乱れる光景になるのではないかと思います。

この新道の脇から広がるのが大隅で、兵の訓練の場だと言われているようです。
発掘調査で馬の骨も多く見つかったとのことですから、馬場としての役割もあったのかもしれません。
かつてはかなりの広さを誇ったようですが、現在は立ち入るにはちょっと躊躇うようなでこぼこの土地となっています。

新道を登り切ると広いところに出ますが、そこが大庭と呼ばれる場所です。
祭祀などを行う儀式の場だったようで、説明板にも祭礼を行う姿が描かれていました。
このあたりは沖縄の城らしい、まさに神と同居をするかのような有り様を示しているものとしての印象が残ります。

この大庭の手前には旧道があり、新道とは違った表情を見せてくれます。
これは他の城も同様ですが攻めにくいように曲がりくねっており、戦闘のための城という側面が感じられます。
新道を脇にそれてこの旧道に道が繋がっているのですが、ちょっと歩きづらいのは当たり前ではありました。

大庭から海側の階段を登ると、女官の住居であったと言われる御内原があります。
トップの写真のとおりに眺望が見事な場所で、こういった場所を城主が独り占めをしていないことにはちょっとビックリです。
城内でも崇高な場所に位置づけられていたようで、男子禁制の拝所が残されています。

本丸にあたる主郭には多くの礎石が残されており、かなりの建物があったことが想像されます。
城主の居住したところですので当然のように一番高い場所に位置しており、相応の広さと開放感があります。
例によって火神の祠があるのですが、こちらは城としての機能が無くなった後に作られたようです。
今帰仁城は北山王の居城として築城をされたものが尚氏の琉球統一の後は北山監守が置かれ、1665年にその北山監守が廃止をされてからは城の性格が変わったようです。

主郭からさらに進むとその南側に姿を現すのが、家臣たちの住居があったとされる志慶真門郭です。
城の裏門にあたることから重要な場所と位置づけられており、家臣たちがそこを守るといった構図だったのでしょう。
ここはさほど広い場所ではないので当時の兵力はどの程度だったのかが気になるのですが、おそらくは百人単位ではないかと思います。

この今帰仁城で目立つのが城壁で、見事なぐらいの野面積みです。
築城年代としては中城城や首里城に比べて1世紀ほどしか古くはない今帰仁城ですから、その歴然とした差には不思議な感じがします。
もちろん中城城などにも野面積みの城壁はありましたが一部であり、ここまで徹底しての野面積みですと爽快感すらあります。
整然とした石垣もよいですが、こういった荒々しさも城の魅力の一つです。

城の外郭の外れにあるので見落としがちですが、古宇利殿内がぽつんとあります。
これも礼拝をするための祠で、古宇利島の人が8月に参拝に訪れるそうです。
古宇利島は今帰仁城から目と鼻の先にある島ですが、今は日本一長い2キロ弱の橋で屋我地島と繋がっており、また屋我地島も同じく橋で名護と繋がっていますので地続きです。
海水浴場もありますので、次に訪れるときにはコースに入れておきたい場所です。

来た道を帰るのも芸がないので、帰りは当時の人が利用をしていたとのハンタ道をチョイスしました。
実は来るときも迷ったものの「ハブや蜂に注意」とあったので大人しく舗装道路を登ったのですが、帰り際に係の人に「半ズボンに裸足のサンダルは無謀ですかね」と聞いたところ「ダメだと思ったら戻ればいいよ、ハブなんて50年で2回しか見たことないから」との心強いお言葉をいただき、意を強くしての特攻です。
結果的にはやや険しい石段などもありましたが基本的には道も整備をされており、完全に肩すかしです。
これであれば七尾城などの方がきつかったと、春日山城なども足を滑らせたら半年は見つからないだろうなと思えるような場所でしたので、ちょっと看板倒れでした。

その途中にあったのが阿応理屋恵ノ口殿内火の神の祠と供のかねノ口殿内火の神の祠で、思わず舌を噛みそうです。
こちらは草むらをかき分けるように進まなければならないので女性などが一人では勇気がいるかもしれませんが、ちょっと進めばすぐに開けたところに出ます。
その他にも石積やら何やらあったのですが、帰りのバスの時間が気になっていたので軽くスルーをしてしまいました。
結果的にバスの時刻表が変わって時間はたっぷりあったので、最後の最後にそれはないだろうといった感じで今回の史跡巡りを締めくくることとなりました。


【2011年9月~10月 沖縄の旅】
ハジミティヤァーサイ沖縄
ハジミティヤァーサイ沖縄 旅情篇
ハジミティヤァーサイ沖縄 旅程篇
ハジミティヤァーサイ沖縄 史跡巡り篇 中城の巻
ハジミティヤァーサイ沖縄 史跡巡り篇 首里の巻
ハジミティヤァーサイ沖縄 グルメ篇
ハジミティヤァーサイ沖縄 おみやげ篇

 

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2 コメント

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Unknown (はれたろう)
2011-10-10 21:16:50
私が、初めて今帰仁にいったのは、10年くらい前ですが、その頃にも看板猫が居ましたね。
ひょっとしたら代替わりしてるかも知れませんけど人懐っこい感じでした。

その頃はあまり手が入ってない無いような感じで若干荒れるに任せたままのような感じでしたが、それから何年かで徐々に整備されてましたね。入場料も200円から段階的に上がってましたけど、整備や維持に使われているのなら納得です。(笑)

門を抜けたところに植えられているのは桜ですね。二月くらいに行ったときちょうどきれいに
咲いていました。
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お返事 (オリオン)
2011-10-10 21:25:56
調べてみたら、かなり有名な猫でした(笑)
みーちゃんという、センターの飼い猫みたいです。
猫の寿命は10~15年ぐらいですから、もしかしたら同じ猫かもしれませんね。
この猫だけではなく、私は見ませんでしたが今帰仁城にはかなりの数の猫がいるらしいです。
ちなみに今の登城料は400円です。
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