相変わらずに立ち上がりの悪さを三振と柿沼の肩に助けられて凌ぎ、その後は力強いストレートで押したかと思えばフォークやスライダーでかわす、そんな柿沼のリードにばらけていたコントロールも落ち着きを見せて五回まではノーヒット、六回に不運な内野安打を打たれてしまいましたが大記録の予感すらあった岩下でした。
いきなりスリーボール、フルカウントまで戻すも結局は歩かせてしまい、次の打者もスリーボールとなったところではどうなることかと思いましたが、三振ゲッツーからは上から目線で力感のあるボールに本人もかなり乗っていたのか踊るポーズも数多く見られましたし、それだけに七回途中での降板が残念でなりません。
チームとしては3連勝がかかっていましたし眼下の敵であるオリックスとの大事なカード初戦ですから石橋を叩き割るぐらいの慎重さも分からないでもないですし、突然のスピードダウンに何かあったのかと不安にもなりましたが、まだ81球で完投、完封が狙えただけに非情なのか無情なのかただの近視眼的な発想なのか、もったいなさ過ぎます。
本人もあそこを任されるようにならなければ、とかなり悔しかったようで、その言葉どおりにあそこを乗り越えさせてこそ先発の軸として大きく踏み出せるのですからカード頭に抜擢をしたのであればもっと信頼をするとともに我慢をして欲しかった、それぐらいにここまでの課題に対して答えを見せた岩下のナイスピッチングでした。
幸いにも危ういところもありましたがリリーフ陣が踏ん張って二木の二の舞になることなく白星を手にすることはできましたが、ちょっともやもやとしたのが正直なところです。
また力押しのタイプを上手くリードする柿沼を細川に代えたのも岩下のそれと同じく目先に過ぎて、今よりも少し強い負荷を与えて能力を引き出す術を知らないのでしょう。
打線は数少ないチャンスを連打で点を稼いで、先制に中押し、だめ押しとタイミングもよく、貧打の中では効率のいい点の取り方ができました。
マーティンの一発が流れとしてはかなり大きく、来日初アーチが逆方向でしたので広角なタイプかと思いきや外のボールを強引に巻き込むようなスイングでライトスタンドですからプルヒッターなのかもしれず、スイングもどこか藤岡にも似ているような軌道ですがパワーがあるだけ打球に勢いがあるのがここまでです。
ボールをしっかりと見ようとする姿勢もいい感じではありますが、外の見送り方がややぎこちないのが引っ張り専門が理由であれば先行きがやや不安ではあり、それでもとりあえずバルガスをもう抜きましたので補強としてはまずは合格、あとは打球が飛んだだけでスタンドがどよめく守備での綻びが出ないことを願うばかりです。
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◆7月30日(火) 千葉ロッテ−オリックス13回戦(オリックス7勝6敗、18時15分、ZOZOマリン、22,778人)
▽勝 岩下 16試合5勝3敗
▽S 益田 39試合3勝4敗19S
▽敗 田嶋 7試合2勝3敗
▽バッテリー
千葉ロッテ 岩下、松永、東條、唐川、益田—柿沼、細川
オリックス 田嶋、増井、エップラー、比嘉、山田—若月、松井雅