元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「17歳の肖像」

2010-05-24 06:24:35 | 映画の感想(英数)

 (原題:An Education)予告編で紹介されたこと以外は何もない映画である。1961年のロンドンを舞台に、オックスフォード大を目指していた女子高生が胡散臭い年上の男と知り合い、大人の世界を垣間見た後、自分を取り戻して元の生活に収まるまでを描いた作品だ。もちろん、いろいろな経験を積んだ彼女はほんの少し“成長”しているというオマケ付きである。

 話自体が“語るに落ちる”ようなレベルで意外性のカケラもないし、出てくるキャラクターがいずれも判で押したみたいなタイプばかり。まあ、微妙な屈託を抱えている担任の女教師や、腹に一物ありそうな年上男の友人(およびその彼女)のように突っ込めばそれなりの面白さを出せそうな登場人物も存在するのだが、作劇は通り一遍に流すだけである。

 監督は「幸せになるためのイタリア語講座」(私は未見)のデンマーク出身のロネ・シェルフィグなる人物だが、平易に過ぎる展開に終始し、そんなに力量のある演出家とも思えない。

 本作で一躍脚光を浴びたというヒロイン役のキャリー・マリガンは、確かにスタイルは良いが御面相は老け顔でパッとせず、演技のカンも殊更優れているとは感じない。少なくとも日本の若手女優陣の敵ではないだろう(爆)。エマ・トンプソンも顔を出しているが、正直、どうでもいい役だ。

 ケナしてばかりでは何なので、ちょっと興味を覚えた部分も書いておこう。それは時代設定だ。1961年はまだビートルズやローリング・ストーンズは台頭していない。当時はロンドンはポップカルチャーの中心地ではなく、ただの保守的な街だったのだろう。背伸びしようとしていた若者の憧れの的はパリだったというのが面白い。主人公が心酔するのはジュリエット・グレコの歌声やサルトルの哲学だ。いわゆる“スウィンギング・ロンドン”の前夜の様子を示してくれたのは有り難かった。

 それと、有名大学に入るための段取りも興味を引いた。欧米の一流大は成績が良いだけでは入れず、どういう課外活動をやったのかも考査基準になるが、ヒロインの父親の“戦略”が徹底して功利的で、何にどれぐらい手を出したのかということばかり重視する。どんな成果を上げたのかは二の次らしい。現在の状況は分からないが、少なくともこの頃はこういう指導方法もあったのかと、ヘンなところで感心した次第である。
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